ユンボの処分方法とは?重機の廃棄や廃車方法|下取りから買取の流れを紹介
不具合が頻発したり、動かなくなったりしたユンボの処分を検討しているとき、車体の大きさから処分方法や費用が気になるものです。実はユンボは、一切費用をかけずに処分する方法もあります。
この記事では、さまざまな処分方法と、処分にかかる費用、処分するときに必要なものを紹介します。
ユンボの処分方法
ユンボを処分する際、3つの方法があります。
・自分で廃車にする
・買取業者に依頼する
・下取りを活用する
それぞれのメリットとデメリットを解説します。
自分で廃車にする方法
メリット | デメリット |
確実に処分できる | やるべき手続きが多い 処分費用がかかる レッカー費用がかかることも |
1つ目は、自分で廃車にする方法です。
解体業者(スクラップ業者)に解体を依頼し、処分費用を支払います。この時、解体時に出た鉄は、解体業者が買い取ります。
処分費用から、鉄屑代が差し引かれたものが、最終的に支払う金額です。
最大のメリットは、どんな状態のユンボであっても、確実に処分できることでしょう。
ただ、どうしても費用がかかることはデメリットです。次の場合には、レッカー費用もかかります。
ユンボが壊れて走らない
解体業者が遠方で距離がある
私有地で使用していたユンボのためナンバープレートがない
その他、ユンボを解体するときには、運輸支局で「永久抹消登録」をしなくてはなりません。手続きに手間がかかることもデメリットと言えます。
買取業者に依頼する方法
メリット | デメリット |
高く売れる | 買取してもらえないこともある 複数社から査定を取る手間がかかる |
2つ目は、買取業者に依頼する方法です。
複数の買取業者から査定を取って、最も高値で買取してくれる業者へ売却します。
買取のメリットは、ユンボが古い型番だったり、壊れていたりしても、高値で買い取ってもらえる可能性があることです。
なぜなら、以下などの日本トップの重機メーカーの技術は、世界から高い評価を受けていて、中古でも需要があります。
コベルコ建機
KOMATSU
日立建機
住友建機
古河機械金属
その他にも、労働安全衛生法では、ユンボなどの重機に定期自主検査を義務付けています。定期的なメンテナンスのおかげで、中古車でも壊れにくいです。これにより、古い重機であっても買取ってもらえます。
また、壊れていても、修理をすれば動いたり、もしくは部品取りをしたりができるため、買取してもらえる場合があります。
買取では、費用をかけずに処分できるため、まずは買取の査定を取るのがおすすめです。
ただ、損をしないためには、複数社から査定を取らなくてはなりません。査定は対面で行われるため、複数社と面談する手間がかかります。もちろん、買取してもらえず他の処分方法を検討しなくてはならない可能性もあります。
下取りを活用する方法
メリット | デメリット |
処分と新車の購入を一度に済ませられる | 下取りしてもらえないこともある 買取よりは安くなる |
3つ目は、新車のユンボを購入するときに、販売店に下取りしてもらう方法です。
処分と新車購入を同時に済ませられるため、とにかく手間がかかりません。
ただし、中には下取りしてもらえないケースもあります。その他、買取と比較し、どうしても価格が安くなってしまうのはデメリットです。
安くなる理由は、下取りしたユンボを再販する際にかかる、必要経費を差し引かれるためです。
【再販にかかる必要経費】
整備費用
販売後のアフターサービスにかかる人件費
廃車にする方法
ユンボを廃車にする方法をまとめました。ユンボは、ナンバープレートの有無と、車両の大きさで、手続き方法と必要なものが異なります。
それぞれのケースで必要な書類、手続き方法、処分にかかる費用を紹介するので、参考にしてください。
廃車の手続き方法と必要なもの
ユンボを廃車にするときの、大まかな流れは、以下のとおりです。
①解体業者で処分する
②ナンバープレートがある場合、永久抹消登録をする
その際、「永久抹消登録」の方法は、「車体の大きさ」により異なります。
「ナンバープレートの有無(公道を走れるかどうか)」と「車体の大きさ」ごとの処分の流れは次のとおりです。
ナンバープレートのある大型特殊車両 | ナンバープレートのある小型特殊車両 | ナンバープレートのない大型特殊車両・小型特殊車両 |
①自走で解体業者まで運ぶ ②解体業者に処分依頼をする ③処分後に管轄の陸運局で永久抹消登録し、ナンバープレートを返納 |
①自走で解体業者まで運ぶ ②解体業者に処分依頼をする ③処分後に管轄の軽自動車検査協会で永久抹消登録し、ナンバープレートを返納 |
①公道を走れないためレッカーを依頼し解体業者まで運ぶ ②解体業者に処分依頼する |
それぞれの手続き方法と必要書類を説明します。
ナンバープレートのある大型特殊車両の場合
ナンバープレートのある大型特殊車両は、自分で解体業者まで運び処分を依頼します。処分完了後、管轄の陸運局で永久抹消登録し、ナンバープレートを返納するのが一連の流れです。
特に、大型特殊車両は、償却資産として固定資産税が課税されています。処分後は、税の申告時に資産として計上していたユンボの除外を忘れずにおこないましょう。
それぞれで必要な書類は以下のとおりです。
【解体処分時に必要な書類】
譲渡証明書:解体業者にユンボを譲渡することを証明する
販売証明書:「車種」「メーカー名」「排気量」「車体番号」がわかる販売業者から発行されている書類
【永久抹消登録で必要な書類】
印鑑証明書:直近3ヶ月以内に発行したもの
実印:所有者のもの
解体証明書もしくは廃棄物処理法に基づくマニフェストB2票:解体時に業者から発行される
自動車検査証:車検証を陸運局にて返納する
ナンバープレート:陸運局にて返納する
申請書:陸運局で取得可能/適宜記載する
手数料納付書:陸運局で取得可能
住民票、戸籍謄本:現住所が車検証に記載の場所と違う場合のみ必要
ナンバープレートがある小型特殊車両の場合
ナンバープレートのある小型特殊車両も、まずは解体業者まで持っていき処分の依頼をします。その後、管轄の軽自動車検査協会で永久抹消登録しましょう。
必要な書類は以下のとおりです。
【解体処分時に必要な書類】
譲渡証明書:解体業者にユンボを譲渡することを証明する
販売証明書:「車種」「メーカー名」「排気量」「車体番号」がわかる販売業者から発行されている書類
【永久抹消登録で必要な書類】
ナンバープレート:返納する
標識交付証明書:ない場合は不要
ナンバープレートの紛失・処分理由書:もともとは公道で使用していたものの、後にナンバープレートを外し返納できない場合のみ
小型特殊車両も、永久抹消登録を行わなければ自動車税が課税され続けるため、注意しましょう。
ナンバープレートのない大型特殊車両・小型特殊車両
例えば、私有地でユンボを使用していたとき、もともとナンバーがないこともあります。
その場合、公道を走れないため、解体業者までレッカーで運送します。解体業者で処分後に実施する手続きはありません。
必要な書類は以下のみです。
【解体処分時に必要な書類】
譲渡証明書:解体業者にユンボを譲渡することを証明する
販売証明書:「車種」「メーカー名」「排気量」「車体番号」がわかる販売業者から発行されている書類
廃車処分にかかる費用
廃車処分にかかる費用とそれぞれの相場は、次のとおりです。
レッカー費用 | 解体費用 | 永久抹消申請費用 |
小型特殊車両:1万円 大型特殊車両:3万円 |
小型特殊車両:1〜2万円 大型特殊車両:3〜5万円 |
無料〜1万円 |
永久抹消申請は、自分で書類を集め、申請する場合は無料です。ただ、手続きは行政書士に依頼することもできます。その場合は1万円前後かかるケースが多いです。
買取業者に頼む方法
ユンボの処分を買取業者に頼む方法を紹介します。手続きの流れから必要なものをまとめました。
買取手続き方法と必要なもの
買取の手続き方法は、大まかに次のとおりです。
①インターネットなどを利用して、複数の買取業者へ簡易査定の問い合わせをする
②簡易査定額を提示されるため、納得できる業者に対面の査定を依頼する
③買取価格や対応が納得できる業者を選定する
ユンボの場合、一般的な中古車買取業者に依頼するのではなく、重機の中古車を扱う業者へ依頼します。専門的な業者であれば、海外など需要が高い場所での販売ルートが開拓されているためです。
まずは、簡易査定で必要なことを紹介します。簡易査定では、買取業者から次の情報をチェックされます。事前に調べておきましょう。
【査定時に必要な情報】
稼働時間と修繕記録
年式
付属部品
定期検査の記録
取扱説明書
型式の需要
買取の手続きで必要なものは次のとおりです。廃車と同様で、大型特殊車両、小型特殊車両ごとに異なります。
【ナンバープレートのある大型特殊車両の買取時に必要な書類】
印鑑証明書
自賠責保険証明書
自動車検査証
固定資産税の納税証明書
買取業者への手続き委任状
譲渡証明書
身分証明書
【ナンバープレートのある小型特殊車両の買取時に必要な書類】
標識交付証明書
譲渡証明書
【ナンバープレートがない大型特殊車両・小型特殊車両の買取時に必要な書類】
譲渡証明書
販売証明書
譲渡証明書には実印が必要となります。実印も忘れずに用意しましょう。
買取依頼した際の費用
買取業者へ依頼した際、処分に費用はかかりません。また、対象のエリア内であれば、無料でレッカーに対応していることもあります。
費用がかからず、簡単に手放せるため、処分方法に悩むときは、最初に試してみたい方法です。
ユンボの買取相場価格
ユンボの買取相場価格をメーカーと年式ごとにまとめました。参考にしてください。
メーカー | 型式 | 年式 | 買取相場 |
コベルコ建機 | SK200-8 | 2010〜2012年頃 | 480〜550万円 |
KOMATSU | PC200-8 | 2007〜2011年頃 | 420〜500万円 |
日立建機 | ZX200-3 | 2008〜2010年頃 | 400〜500万円 |
加藤製作所 | HD820-6 | 2014〜2016年頃 | 750〜850万円 |
CTA | 320D | 2005〜2007年頃 | 450〜530万円 |
あくまで目安となるため、同じ型式、年式であっても査定額が異なることもあります。
また、中古車の買取は、価格交渉が可能です。提示された価格に納得できないときは、他社の査定価格も提示しながら、交渉してみましょう。
下取りの依頼方法
ユンボを購入するとき、今まで使用していたユンボは下取りで処分してもらえる場合があります。買い替えを検討している場合は、下取りも選択肢となるでしょう。
下取りで処分するときの手続き方法や、必要なものをまとめました。参考にしてください。
下取りの手続きの方法
ユンボを下取りしてもらう際の手続き方法は以下となります。
①ユンボの販売と下取りを実施している業者を探す
②購入したいユンボが売っているかつ下取り価格に納得できる業者へ依頼する
ご自身でやることは、購入したいユンボが売っている、かつ下取りを実施している店舗を探すことです。より高い価格で下取りしてほしい場合は、買取と同様に相見積もりを取りましょう。
あとは、業者の指示に従い下取りと購入するだけです。ほぼ業者が手続きしてくれるうえに、処分も購入も同じ窓口で済ませられます。
また、下取りの際に必要なものは、買取と同様となります。
下取りにかかる費用
下取りも、買取と同様で負担する費用はありません。
インターネットの普及前は、重機を買い替えるときには、メーカーの下取りで処分するのが一般的でした。
ただ、実際メーカーは、買取を得意としておらず、安い下取り価格になってしまう場合がほとんどです。
下取りしたユンボの再販時にかかる必要経費を差し引くうえに、買取業者のように特別な販売ルートが開拓されていないケースも多いためです。
これらを踏まえると、買い替えを検討している場合でも、下取りだけでなく「買取」も視野に入れた方が良いかもしれません。
下取りと買取の査定価格を比較してみて、納得のいく方を選択しましょう。
ユンボの維持と更新時期
長年業務で使用してきたユンボに不具合が生じたとき、修理するか、処分して買い替えるか悩むかもしれません。
そこで、ユンボの適切な維持方法や費用、更新が最適な時期をまとめました。
ユンボの耐用年数と更新のタイミング
ユンボは、実施している作業内容や使用環境により、使用できる年数が異なります。そのため更新の際は、年数ではなく使用時間を目安にします。
使用時間は「アワーメーター」にて確認できます。一般的に以下の使用時間を超えると、更新のタイミングを迎えているケースが多いです。
小型ユンボ | 大型ユンボ |
3,000時間 | 10,000時間 |
ただしユンボは、建設業や、土木業、農業などありとあらゆる業種で利用されるため、上記は目安に過ぎません。業種や作業内容によっては、2,000時間程度の可動で不具合が現れることもあります。反対に、作業内容によっては、小型ユンボで4,000時間を超えていても、まだまだ活躍できるケースも見られます。
維持方法とかかる費用
ユンボは、定期的なメンテナンスで、部品を交換していくと長く使用できます。ユンボの維持に必要な部品の交換と、かかる費用は以下のとおりです。
必要な部品交換 | 費用相場 |
作動油およびフィルター | 2,000円前後 |
エンジンフィルター | 3,000円前後 |
燃料フィルター | 〜1,000円 |
ギアオイル | 〜1万円 |
冷却水 | 〜2,000円 |
油圧ホース | 5,000円前後 |
燃料ホース | 2,000円前後 |
バケットピン | 2,000円前後 |
ボルト類 | 〜1,000円 |
バッテリー | 〜2万5,000円 |
板金修理 | 30万円前後 |
エンジンやシリンダーのオーバーホール | 100万円前後 |
キャタピラー | 〜100万円前後 |
大掛かりな修繕や交換になると、メンテナンスに100万円近くかかるケースもあります。
これらの修繕や交換の記録を次のとおり残しておくことも大切です。
いつ修繕や交換を実施したか
どのくらいの費用がかかったか
稼働時間と点検の結果、そして交換の記録を照らし合わせることで、これから必要になる交換やかかる費用を算出できるでしょう。
今後かかる費用がわかれば、処分し買い替える適切なタイミングも見えてきます。
ユンボなどの重機を処分するときによくある質問
重機の区分とはなんですか?
重機には2つの区分があり、大型特殊自動車と小型特殊自動車に分かれます。これらは、最高速度と車体のサイズで分けられています。それぞれの区分を表にまとめました。
最高速度 | 車体のサイズ
(長さ×幅×高さ) |
代表的な重機 | |
大型特殊自動車 | 時速15km超 | 4.7m×1.7m×2.0m超 | フォークリフト トラクター ホイールローダー ショベルカー |
小型特殊自動車 | 時速15km以下 | 7m×1.7m×2.0m以下 | 農耕トラクターなど、農耕作業用の特殊自動車 |
ユンボを中古で購入するときの相場はいくらですか?
ユンボの中古車の価格は、年式や車体の大きさ、状態によって幅があります。そのため、中古車の相場を算出するのは難しいです。
参考までに、2024年7月時点の価格ドットコムの数値を見ると、最安値と最高値のユンボは次のとおりでした。
メーカー | 型式 | 年式 | 価格 | |
最安値 | KOMATSU | PC20-6 | 1990年 | 58万8,000円 |
最高値 | 日立建機 | ZW30-5B | 2024年 | 480万円 |
まとめ
ユンボなどの重機の処分には、「解体処分」「買取してもらう」「下取りに出す(新しいユンボを購入したいときのみ)」という方法があります。ユンボは、国内外から人気が高いため、故障していたり、動かなかったりしても、買取してもらえる可能性があります。また買取が最も高い値段がつきやすいです。
そのため、まずは、中古の重機を専門に扱う買取業者で査定を依頼し、買取ってもらえなかった場合に、費用と手間のかかる解体処分を検討しても良いかもしれません。今回の記事で紹介した情報を参考にしていただき、貴社に合った適切な処分方法を見つけてください。
ユンボの処分は買取→下取り→解体処分の順で検討すると良い
買取と下取りは、費用がかからず無料で処分できる
ユンボを処分する目安の時期は、「小型ユンボでは3,000時間使用したとき」「大型ユンボでは10,000時間使用したとき」
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- ユンボの処分は買取→下取り→解体処分の順で検討すると良い
- 買取と下取りは、費用がかからず無料で処分できる
- ユンボを処分する目安の時期は、「小型ユンボでは3,000時間使用したとき」「大型ユンボでは10,000時間使用したとき」