定温輸送に欠かせない冷凍・冷蔵車の人気車種や冷凍機メーカーを大紹介!
定温輸送を可能にした冷凍・冷蔵トラックの製造には多くのトラックメーカーや冷凍機メーカーが参入し、実用化からの60年で定温輸送の技術は飛躍的に向上しました。
人気車種や冷凍機メーカーを選り出して紹介します。
新鮮な積み荷輸送に欠かせない冷凍・冷蔵車とは?
冷凍・冷蔵車は確かに身近な存在となりましたが、「冷凍・冷蔵車とは何か?」と問われると具体的な答えに窮するのではないでしょうか?定温輸送に用いられる車両は4つに大別できます。
温度管理能力によって冷凍・冷蔵車は分類できる
定温輸送に用いられる車両は4つに大別でき、車両の分類は、車両に実装された温度管理能力で行われます。高い冷却能力を持つものから冷凍車・冷蔵車・保冷車の3つに分けられ、冷凍車は低温冷凍車と中温冷凍車に分けられます。
4つに分類される定温輸送車両の具体的な特徴は次の通りです。
・低温冷凍車:氷点下30~40度までの高い冷却機能を搭載する車両
・中温冷凍車:氷点下5度前後までの冷却機能を搭載する車両
・冷蔵車:冷凍車の温度設定を高めに行い氷点下に至らない冷却状態の車両
・保冷車:断熱材を架装するが冷却装置を搭載しないクーラーボックスのような車両
温度管理能力によって定温輸送車両は上記4つに分類されますが、それぞれの車両に適した積み荷も存在します。
温度管理能力別の適した積み荷とは?
温度管理能力によって定温輸送車両は4つに分類されますが、積み荷によって必要となる温度管理能力が異なるため、次に挙げるようにそれぞれの車両に適した積み荷が存在します。
・低温冷凍車:冷凍食品やアイスクリーム、冷凍魚介類、冷凍麺など
・中温冷凍車:鮮魚や精肉など
・冷蔵車:野菜や果物、水産練製品、惣菜、生めん、乳製品、薬品や化粧品、植物・精密機械など
・保冷車:冷凍・冷蔵状態の生鮮食料品や要冷食品など
車両区分によって人気の高い冷凍・冷蔵車の車種は異なる
定温輸送のニーズの高まりと共に冷凍・冷蔵車の多様化が進み、小型・中型・大型とトラックの車両区分ごとに冷凍・冷蔵車が存在し、使用用途によって適する車両区分が異なり人気車種も異なります。
車両区分別の冷凍・冷蔵車の人気車種
小型冷凍冷蔵車の人気車種「いすゞエルフ」
人気の高い小型トラックいすゞエルフは冷凍・冷蔵車の中でも人気車種として、真っ先に挙げられます。可能な限りトルクを高めたD-COREエンジンは全回転域でターボ効果が発揮されトルクフルでありながら低燃費を実現しています。
天井が低い場所にも対応できるボディ高と7種類の多彩なボディタイプで広い選択肢を実現しています。
中型冷凍・冷蔵車の人気車種「日野レンジャー」
高い耐久性とパワフルさを兼ね備えたエンジンが人気の日野レンジャーは、中型冷凍・冷蔵車のベース車両としても評価の高い人気車種です。2017年にフルモデルチェンジが行われ、デザインが一新されると共に安全性能や居住性が一段と向上した魅力的な1台だと言えます。
大型冷凍・冷蔵車の人気車種「三菱スーパーグレート」
大型冷凍・冷蔵車は長距離運送に用いられることから、燃費性能は大型冷凍・冷蔵車を選択する際の重要ポイントだと言えます。低燃費に定評のある三菱ふそうスーパーグレートなら燃費を心配することなく長距離運送に活用できる点が高い人気の理由だと言えるでしょう。
冷凍・冷蔵車に搭載される冷凍機メーカーは冷却機能に大きく影響する
冷凍・冷蔵車の人気車種にどの冷凍機を組み合わせるかで、定温輸送の要となる冷却能力・温度管理能力に大きな違いが生じます。冷凍・冷蔵車の主役はベースとなる車両よりも冷却能力・温度管理能力を司る冷凍機だと言っても過言ではないでしょう。
冷凍・冷蔵車に搭載される冷凍機の冷却システムは3種類
定温輸送車両が4つに分類されることは既に紹介しましたが、冷却機能を搭載した冷凍・冷蔵車の冷却システムも3つ存在します。
機械式冷却システム
機械式冷却システムはカーエアコンと同じ原理で荷室を冷却するシステムです。コンプレッサーで冷媒を循環させ荷室を冷却しますが、必要に応じて氷点下まで荷室を冷却する必要があるためカーエアコンよりも遥かに高い冷却能力が求められます。
現在運送業務に活用されている冷凍・冷蔵車両のおよそ9割が採用するほど高いシェアを持つのが機械式冷却システムで、冷媒を循環させるコンプレッサーの動力源としてエンジン出力を利用する直結エンジン方式と専用エンジンを搭載するサブエンジン方式が存在します。
液体窒素式冷却システム
冷却効果が高いことで知られる液体窒素を利用して積み荷と荷室の冷却を行うのが液体窒素式冷却システムです。非常に高い冷却性能を持ちますが、液体窒素のコストが高価なため普及率が高い冷却システムだとは言えません。
しかし、液体窒素の高い冷却効果は、冷凍魚介類や冷凍精肉など傷みやすい積み荷の輸送では根強いニーズがあると言えます。
畜冷式冷却システム
あらかじめ凍らせた冷却版を積み荷と共に荷室に積み込み定温輸送を行う、原始的な冷却システムが蓄冷式冷却システムです。強制的な冷却は行えないものの動力を必要としないため、エンジン停止時にも冷却効果が損なわれることがないのが特徴で、環境に配慮したエコな冷却システムと言えるかも知れません、
冷凍・冷蔵車に搭載される人気の冷凍機メーカー
定温輸送の要となり冷凍・冷蔵車の冷却能力に直接影響するのが冷却システムである冷凍機の性能です。国内には多くの冷凍機メーカーが存在しますが、その中でも人気の高い冷凍機メーカー5社を紹介します。
菱重コールドチェーン
1972年三菱重工製を中心とした輸送用冷凍ユニットをはじめとするコールドチェーン関連機器の総販売店として設立されたのが三菱グループのグループ会社「菱重コールドチェーン株式会社」です。
輸送用冷凍装置の販売や取り付け、整備、周辺機器などの製造を事業運営の主軸とし、運営されています。長年培ってきた輸送用冷凍装置の技術力は高く評価されるもので、菱重コールドチェーン制の冷凍機は多くの冷凍・冷蔵車に搭載されています。
サーモキング
アメリカのミネソタ州ミネアポリスに拠点を置く車載・コンテナ用冷凍・冷蔵装置メーカー「サーモキング」の車載用冷凍機です。1938年に冷蔵トラックの特許を取得し、世界的な展開を図りながらシェアを伸ばしています。
2003年に氷点下35度まで冷却できる冷凍ユニット「マグナム」を開発、市場に投入するなど積極的な製品開発を行っています。国内での取扱いは1963年に日本航空の子会社として設立された東洋サーモコントロールが行っていましたが、三菱商事の子会社を経て2010年にインガソール・ランドに買収されました。
現在は買収先のインガソール・ランド株式会社サーモキング事業部として運営されています。
デンソー
トヨタグループに所属する自動車部品メーカーで、2009年以来自動車部品の世界的トップシェアを誇る企業として知られているのが株式会社デンソーです。自動車部品のトップメーカーの名に恥じない高品質な冷凍機を製造し高い支持を得ています。
東プレ
1935年に自動車用プレス部品の製造開発メーカーとして設立された東プレ株式会社は1968年にトプレックス株式会社を設立し定温輸送に欠かせない冷凍・冷蔵車市場に参入しました。
現在東プレとトプレックスは国内外20ヶ所以上に拠点を持つリーディングカンパニーとして、定温物流に欠かせない冷凍機の製造販売・メンテナンス事業・定温物流センターなどを展開しています。
東芝キャリア
1999年に東芝の空調や設備事業部と米国キャリア社の合弁会社として設立されたのが「東芝キャリア株式会社」です。2008年に東芝キャリア株式会社、東洋キャリア工業株式会社、そして東芝キャリア空調システムズの3社が合弁し現在に至ります。
東芝グループが培ってきた冷凍機の技術が投入され技術力の高さには定評のある冷凍機メーカーだと言えます。
搬送中はエンジンを切れない?冷凍・冷蔵車の取扱い方法とは?
現在最も普及率の高いのが機械式冷却システムであることは既に紹介しましたが、機械式冷却システムの弱点は冷媒を循環させるための動力源が必要となることだと言えます。
直結エンジン方式の場合は低温輸送中にトラックのエンジンを停止すると冷媒の循環を行うコンプレッサーの動力源が絶たれてしまうため、冷却が中断されてしまいます。定温輸送中はエンジンを停止することができないのが弱点です。
専用エンジンを持つサブエンジン方式であれば仮にトラックのエンジンを停止してもコンプレッサーの動力は確保されていますので、サブエンジン方式の冷却システムの方が安定した定温輸送を実現できると言えるでしょう。
まとめ
今や国内の物流に欠かすことができない存在となった定温輸送を実現するのが冷凍・冷蔵車で、ベース車両や搭載する冷凍機メーカーの選択が定温物流の成功のカギを握っていると言えるでしょう。
ひと口に定温輸送車と言っても冷凍車・冷蔵車・保冷車の3つに分類され、冷凍車は定温冷凍車・中温冷凍車に分けられます。それぞれの温度管理能力によって適する積み荷の種類も異なるので定温輸送車購入の際には「何を運ぶのか?」を把握しておく必要があります。
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- 冷却装置動力源として直結エンジン方式・サブエンジン方式の選択
- 運送シチュエーションに合わせたベース車両の選定料」
- ニーズに合わせた冷凍機メーカーの選択