もう少しだけが命取りに!トラックに多い整備不良箇所や運転リスク・整備方法とは?
国内を運行する全てのトラックは道路運送車両法によって国土交通省への登録と、国が定める保安基準をトラックが満たしていることを車検で証明することが義務付けられています。車検時以外も保安基準を満たした状態を保つことが義務付けられており、基準を満たしていない状態で公道を走行すると整備不良で処罰されます。仮に整備不良で死傷事故を発生させると通常の処分に加え業務上過失致死傷罪が適用され、さらに所属企業に対する責任追及が行われることも珍しくないなど整備不良トラックへの厳罰化が進んでいますので、整備不良トラック運転リスクや整備不良になりやすい箇所や整備方法などを紹介します。
年間走行距離が多いトラックに発生リスクが高い整備不良とは?
国内の全てのトラックには車検を通過することで国が定める保安基準を満たしていることを証明すること、保安基準を満たした状態で公道を走行することが道路運送車両法によって義務付けられています。
商業用車両であるトラックは一般的に年間走行距離が大きな傾向にあり、経年劣化による摩耗などで各部のパーツが使用限度に達するのが早いため保安基準をみたした状態を保つのが難しく、整備不良で処分されるリスクが高いのも事実です。
車検時に検査する保安基準を満たせない状態で公道を走行すると整備不良となる
整備不良に該当するか否かは国の定める保安基準を満たしているかどうかがカギとなり、車検時に検査対象となる部分が車検に通過できる状態ではない車両で公道を走行すると整備不良が適用されます。
また車検はトラックが保安基準を満たしていることを確認するために行う確認検査であり保安基準を満たしていることを保証するものではないため、仮に車検の帰りに保安部品が故障し警察官に発見されると整備不良車両として処分されます。
年間走行距離が多いトラックは整備不良が生じやすい!定期的な点検整備が重要
年間走行距離が大きいトラックは、搭載部品の経年劣化速度が速く車検で証明した保安基準を満たした状態を保つことが困難な傾向にあるといえますが、保安基準を満たしていない状態で公道を走行すると整備不良として道路交通法違反や道路運送車両法違反で処分されます。
整備不良とは?整備不良になる故障・ならない故障の違い
既述のとおり、車検の検査対象となる部分が故障・損傷・摩耗などの影響で正常な機能を失い車検を通過できる状態ではないトラックに対して整備不良が適用されます。車検場で行われる保安基準の検査は、
①同一性確認
②外回り検査
③内回り・足回り検査
④サイドスリップ検査
⑤ブレーキ検査
⑥スピードメーター検査
⑦ヘッドライト検査
⑧排ガス検査
⑨下回り検査
の流れで行われますが、現実的には車検証の記載内容との同一性を確認する同一性確認、専用測定器や設備が必要なサイドスリップ・ブレーキ・スピードメーター・下回りなどの検査項目で整備不良が適用されるケースはないと考えられます。
走行中に整備不良が指摘されるのは、目視で確認できる外回り・内回り・足回り・ヘッドライトの検査対象や小型測定器でも測定できる排ガス検査の検査項目が対象になるのが一般的です。
整備不良となるのは国土交通省の定める保安基準に影響する箇所の故障
走行中でも目視で確認できる車検の検査対象がどの部分になるのが気になるところですので、走行中のトラックに整備不良が適用されるケースが多い部分を具体的に紹介します。
外回り検査
検査対象 | チェックポイント |
ヘッドライトや尾灯の灯火類 | 正常に機能しているか |
ウインカーや各種ミラー | 破損や欠損がないか |
ヘッドライトや尾灯の灯火類、ウインカーや各種ミラー類などの保安部品などが正常に機能している化がポイントとなり正常に機能しない場合や欠損などがあれば整備不良が適用されます。
内回り・足回り検査
検査対象 | チェックポイント |
各種油脂類 | オイル漏れの有無 |
タイヤ | 摩耗状態 |
トラックに使用する油脂(オイル)類の漏れやタイヤの摩耗などがあれば整備不良が適用されます。
ヘッドライト検査
検査対象 | チェックポイント |
ヘッドライト | 光軸のズレの有無 |
トラックの前照灯(ヘッドライト)の光軸にズレがあれば整備不良が適用されます。
また、トラックで事故を起こした場合の事故原因究明の段階でブレーキの摩耗が確認された場合なども整備不良が適用され、道路交通法違反や道路運送車両法違反に加え業務上過失が適用されるケースが存在するのは既に紹介したとおりです。
保安基準に影響しない故障は整備不良に該当しない
荷役作業中や運転中にトラックのボディに傷を付けてしまった場合やオーディオ類やエアコンの故障など、運行に支障をきたさない故障の場合は保安基準に影響しないため故障していても整備不良に該当しません。
しかし衝突したボディが割れ鋭利な状態になっているのを放置して使用していると整備不良を適用されるケースがあるので注意して下さい。
保安基準を満たさない整備不良のトラックに生じる走行リスクとは?
毎年の検査が義務付けられている車検に対して「煩わしい存在だ」と感じている方が少なくないのではないでしょうか?
しかし、国の定める保安基準はトラックが安全に走行するために必要な基準であり、保安基準を満たしていないトラックを走行させることは事故発生リスクが格段に高い状態で走行していることを意味する危険な行為であると捉えるべきでしょう。
整備不良のトラックは事故発生リスクが高い
忙しい運送業務に追われ摩耗で機能低下しているブレーキやタイヤで走行することや、ウインカーや尾灯などが機能せず他車とコミュニケーションを取れないトラックのハンドルを握ることは、交通事故を呼び込みながら走行するのに等しい危険な行為です。
国土交通省が定める保安基準は全てのトラックが安全に運行できる最低限の機能を満たしていることを定める基準ですので、基準に満たない整備不良のトラックは事故発生リスクが非常に高いトラックであることを意味します。
整備不良のトラックで走行した場合に課せられる罰則は?
国の定める保安基準を満たせない状態のトラックを運転し整備不良が適用された場合は
・制動装置などの重要部品:違反点数2点・反則金9,000円
・尾灯などの灯火類:違反点数1点・反則金7,000円
の処分を受けると共に改善命令が下されます。改善命令に従わない場合は車両使用停止処分や50万円以下の罰金が科せられ、使用停止処分に従わない場合は6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられる場合もあります。
また悪質な整備不良に対しては3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金が科せられるケースも存在するので、整備不良のトラックは絶対に運転しないようにしてください。
トラックの整備不良を防止するメンテナンス方法とは?
整備不良の危険なトラックの運転を望んで行うドライバーは存在しないのではないかと考えられますが、保安基準を満たしていないことに気付かずウッカリ運転してしまうケースは珍しくないと言えます。
トラックが整備不良の状態に陥るのを防止するためにはメンテナンスが重要ですので、整備不良を回避するメンテナンス方法を紹介します。
法定点検や日常点検の実施はドライバーに義務付けられている
トラックの所有者や使用者には定期点検の実施が義務付けられており、事業用登録のトラックは3ヶ月ごとに行う3ヶ月点検・6ヶ月点検・12ヶ月点検、自家用登録のトラックは6ヶ月ごとに行う6ヶ月点検・12ヶ月点検を実施する必要があります。
また、トラックを運転するトライバーには運行前点検と呼ばれる日常点検の実施が義務付けられているため、これらの点検を確実に実施することでトラックが整備不良の状態に陥る可能性が大きく低下すると言えるでしょう。
中古トラック購入は信頼できる中古トラック販売店で行うべき
現在中古トラックを販売する中古トラック販売店が数多く存在し、破格の格安車両を売り物にする中古トラック販売店、コンディションの良好な安心できる中古トラックを中心に取り扱う中古トラック販売店などに分類できます。
中古トラック購入を検討している場合、予算の抑えられる格安店が魅力的に感じるかもしれませんが、あまりにも安い中古トラックは法定点検の実施を怠った車両である可能性が高くおすすめできません。
定期点検記録が整備手帳に残されている車両であれば購入後も安心して使用できますので、長い目で見るとコンディションの良好な安心できる中古トラックを取り扱う信頼できる中古トラック販売店を利用することが結果的に安上がりになることは珍しくありません。
中古トラックは整備不良が発生しやすい?
中古トラック販売店で取り扱われる車両は一部の新古車を除き既に輸送業務での使用歴がある中古トラックですので、「老朽化した整備不良の状態に陥りやすい車両なのでは?」と考える方がいるかも知れません。
確かに工業製品であるトラックは製造した瞬間から経年劣化が始まり、年間走行距離の長い商用車両であるトラックは老朽化の速度が速いのも事実ですが、製造技術が向上した現在のトラックは以前とは比べものにならないほど高い耐久性を備えているため安心です。
中古トラックでも点検整備を怠らなければ整備不良は発生しない!
中古トラック販売店で取り扱われる中古トラックのなかにはリーズナブルな低年式車両も存在しますが、丁寧にメンテナンスされた低年式車両とメンテナンスを怠った高年式車両では低年車両の方が良好なコンディションであるケースも珍しくありません。
中古トラックは「どのようなメンテナンスを受けてきた車両であるか?」、購入後に「どのようなメンテナンスを行うか?」が非常に重要となり、使用歴が比較的長い中古トラックでも点検整備を怠らなければ整備不良は発生しません。
中古トラック有効活用のポイントは定期的な点検整備!
使用歴の長い中古トラックは比較的リーズナブルな価格で購入できる魅力がありますが、「整備不良に陥りやすいのでは?」と不安を感じる方もいるでしょう。しかし既述のとおり使用歴の長い車両でも丁寧にメンテナンスを行えばトラブル発生を回避できます。
中古トラック販売店の担当者に予算を相談しながら高コスパの魅力的な中古トラックを購入し、丁寧なメンテナンスで輸送業務の効率化を図ってみては如何でしょうか?
まとめ
トラックは定期的な車検で国の定める保安基準を満たしていることを証明し保安基準を満たした状態で運行することが義務付けられており、保安基準を満たしていないトラックで公道を走行すると整備不良検で処罰されます。
トラック運転中に整備不良の状態に陥らないためには次のポイントに注意する必要があります。
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- 車検は保管基準を満たしていることの確認検査で保証はされない
- 事業用車両は3ヶ月ごと自家用車両は6ヶ月ごとの点検が必要
- トラック運転手には運行前点検(日常点検)が義務付けられている