エンジン温度管理の要ウォーターポンプ故障の主な症状と発生原因、修理費用や予防策とは?
万一ウォーターポンプが故障すると稼働中のエンジンを冷却することが不可能となり、エンジンの温度は上昇するばかりとなり異常加熱に陥ります。ウォーターポンプ故障の主な症状と発生原因、修理費用や予防策を紹介します。
トラックのエンジン管理を行うウォーターポンプとは?
トラックのエンジン冷却装置と言われて多くの方がイメージするのはラジエーターではないでしょうか?ラジエーターは熱交換を行い、エンジンを冷却するかわりに高温になった冷却液を放熱して冷ますパーツですが、残念ながらラジエーターだけでは冷却装置としての機能を果たすことができません。
ラジエーターとエンジンのウォータージャケットの間で冷却液の循環を行うために機能するのがウォーターポンプで、ウォーターポンプがなければエンジンの温度管理は行えないと言っても過言ではないでしょう。
冷却液をウォータージャケット内に循環させるウォーターポンプ
トラックには、稼働による発熱で高温となったエンジンをクーラントと呼ばれる冷却液で冷却する水冷式のエンジン冷却システムが搭載されているのが一般的です。エンジンにはウォータージャケットと呼ばれる冷却液の循環路が搭載されており、ウォータージャケットに冷却液を循環させることで熱交換が行われエンジン冷却効果が得られます。
エンジン冷却を行った冷却液はラジエーターで放熱し、温度を下げたのちに再びエンジンの冷却を行いますが、エンジンのウォータージャケットとラジエーターの間で冷却液を循環させるためには動力が必要となるためウォーターポンプが使用されます。
ウォーターポンプが故障したトラックに生じる主な症状とは?
トラックのエンジン温を管理する、冷却装置の動力源となるウォーターポンプが故障すると、エンジンの温度コントロールができなくなりトラックのエンジンは異常加熱状態に陥ります。
異常加熱状態はオーバーヒートとも呼ばれ代表的なトラックのエンジントラブルとして知られていますが、軽度のオーバーヒートの場合は稼働中のエンジンが熱ダレを起こし異音や振動の発生、エンジンの回転がスムーズに上がらず加速の鈍化やパワーロスなどが生じます。
重度のオーバーヒートの場合は異音・振動・加速不良・パワーロスの症状が激しくなり、エンジンが抱きつきを起こし稼働が停止、自走不能の状態に陥るリスクがあります。
走行不能リスクが潜むオーバーヒート
オーバーヒートが軽度の場合はリカバリーすることができますが、自走不能となるほど重度の場合はエンジンブローが発生していますので、エンジンオーバーホールや最悪の場合は載せ替えが必要となるなど修理費用の経済的負担が大きくなります。
冷却液を循環させるウォーターポンプ故障の発生を察知した場合は、トラックへのダメージを最小限に抑えることができますが、故障発生を見過ごしオーバーヒートを起こした場合は深刻な状況に陥るケースも珍しくないと言えるでしょう。
ウォーターポンプ故障の主な発生原因や予防策は?
故障が発生すると、トラックの心臓部分であるエンジンに深刻なダメージを与える原因となりかねないのがウォーターポンプの故障ですので、ウォーターポンプは「冷却装置の構成部品の1つ」として軽視するべきでない重要パーツだと言えます。大きなリスクが潜むウォーターポンプ故障の主な発生原因や予防策を紹介します。
ウォーターポンプは耐久性が高いパーツ
ウォーターポンプはエンジン稼働中には高温・高圧の過酷な環境で稼働し続けるため、使用限度は経過年数ではなく、走行距離で計られ10万kmがウォーターポンプの使用限度の目安だと言われています。
トラックのエンジンに搭載されるタイミングベルトの交換サイクルも10万kmが目安となっていることからも、冷却装置の重要パーツウォーターポンプは耐久性の高いパーツの1つに含まれると考えることができます。
冷却液不足を予防するのが最も効果的なウォーターポンプ故障の予防策
エンジン冷却装置の要であるウォーターポンプは基本的に高い耐久性を持つパーツであるものの、エア噛みや空回りをすると焼き付きを起こし故障の原因となりますので、定期的に冷却液であるクーラントの量をチェックすることが効果的な故障の予防策です。
また冷却液も劣化するので定期的に交換することをおすすめしますが、セルフメンテナンスで冷却液の交換を行う際は、ウォーターポンプがエア噛みしないように慎重にエア抜きを行うべきことは言うまでもありません。
ウォーターポンプ故障の修理費用目安額は?
ウォーターポンプはトラックのエンジンを適正温度で稼働させるために不可欠な重要パーツであり、ウォーターポンプ故障によってオーバーヒートが発生し最悪の場合、自走不能となりエンジンのオーバーホールや乗せ換えが必要となるケースも存在します。
故障したウォーターポンプは通常交換によって修理が行われます。交換による修理費用は修理の依頼先やトラックのメーカーや車両区分、ウォーターポンプの大きさなどで異なりますが、ウォーターポンプ交換修理費用の目安額は約30,000~150,000円程度だと言えるでしょう。
耐久性の高いウォーターポンプの故障はトラックの経年劣化の目安となる
稼働時には必ず発熱するエンジンにとって冷却装置は正常な稼働に欠かせない非常に重要な機能であり、ウォータージャケットとラジエーター間で冷却液を循環させるウォーターポンプは冷却装置の要であることから高い耐久性が備わっていると言えるでしょう。
つまりウォーターポンプの故障が発生するということは、トラックの経年劣化が進行していることを意味します。トラックに搭載される重要パーツは使用限度の目安が10万kmとされているものが多く、ウォーターポンプの故障はこれらのパーツが使用限度に達するタイミングが迫っていることの目安であると捉えるべきだと言えるでしょう。
ウォーターポンプの修理を行っても他のトラブルが予想される
トラックのウォーターポンプ故障がトラック自体の経年劣化が進んでいる事の目安であることは既にふれました。ウォーターポンプを交換し故障を修理してもトラック自体の経年劣化をリセットすることはできませんので、使用限度に達したパーツ交換が次々に現れトラブルが頻発することが予想されます。
ウォーターポンプ故障の対応策として中古トラックへの乗り換えが効果的
エンジン焼き付きやエンジンブローの発生原因となりかねないウォーターポンプ故障は、看過すことができない深刻なトラブルであるため早急な対応が必要となります。しかし既述のとおり、ウォーターポンプの故障はトラック自体の経劣化がすすんでいることを指し示す目安であるため、対処法ではなく抜本的な対策を講じるべきだと考えられます。
トラックに対する抜本的な対策と言っても進行した経年劣化をリセットできるのは、大規模なオーバーホールやパーツの総取換えなどしか方法がないためあまり現実的ではないと言えるでしょう。最も現実的な抜本的対策としておすすめできるのが中古トラックへの乗り換えです。
耐用年数に達する車両は維持や運行管理の難易度が高くなる
長年使用したトラックには愛着が湧き「できるだけ長く乗り続けたい!」という気持ちを持つのが一般的だと考えられますが、工業製品であるトラックは残念ながら使用限度がありどのトラックもいつかは寿命を迎えます。
トラックの基本性能に影響を及ぼす重要パーツは頑丈に作られているため、耐久性が高い傾向にありますが、10万kmを目安に使用限度に達するものが現れ始めます。修理や交換のため整備工場などへ持ち込む頻度も高くなり、トラックの維持コストが高騰し運航スケジュールを立てることも困難となります。
良好なコンディションの中古トラックへの乗り換えは最善のトラブル回避策
運送業務に用いられるケースが多いトラックにとって維持コストの高騰や計画的な運航スケジュール作成が困難になることは、致命的ダメージに繋がると考えられますが、新車への乗り換えは購入コストや納車期間などの障壁が存在し実現が困難である側面もあります。
しかし、中古トラック販売店での中古トラック購入を導入手段に加えることで、導入コストや納車期間に頭を悩ませることなく効率的で理想的なトラック乗り換えの実現が可能となります。
長年運送業務に活躍してくれたトラックでウォーターポンプ故障が発生した場合は、中古トラック販売店を利用したトラックの乗り換え計画を検討してみることをおすすめします。
まとめ
トラックの重要な冷却機能であるウォーターポンプは基本的には高い耐久性を持つものの、経年劣化で故障することがあります。ウォーターポンプの故障が発生すると次に挙げるオーバーヒートの症状が現れるので、症状発生を見逃さずオーバーヒートを軽度で食い止めることが重要だと言えるでしょう。
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- 稼働中のエンジンから異音や振動が発生する
- エンジンの回転数が伸びず加速が鈍る
- エンジンの回転数が上がらずパワーが出ない