トラック搭載オートマ故障の主な症状や発生原因・修理費用と予防策とは?
近年トラックへのオートマ採用例が飛躍的に増加し、トラック搭載オートマの故障発生件数も増加していますのでトラック搭載オートマ故障の主な症状や発生原因・修理費用と予防策などを紹介します。
搭載トラックが増加傾向にあるオートマチックトランスミッションとは?
MT車両の比率が高かったトラック業界ですが、近年トラックへのオートマチックトランスミッション採用例が増加傾向にあります。ドライバーがクラッチペダルとシフトレバーを操作しながら任意に変速して走行するMT車に対して、オートマはP(パーキング)・R(リバース)・N(ニュートラル)・D(ドライブ)の基本レンジとギア段固定レンジを選択して走行します。
Dレンジを選択すれば車速やエンジン回転数に合わせ自動的にギアチェンジが行われるため、運転時中のドライバーへの負担軽減効果が高いと言われていますが、従来はトラックには不向きなミッションシステムだと考えられていました。しかし、ミッションシステムの機能向上が行われたことや2007年に行われた道路交通法改正で誕生したオートマ限定免許保有者の増加が、トラックへのオートマ搭載の後押しをしたと言えるでしょう。
トラックに搭載される各メーカーのオートマは
トラックへのオートマ搭載の後押しを行った要因の1つにミッションシステムの機能向上を挙げましたが、これは多くの乗用車のオートマにはトルクコンバータ式のオートマが採用されるのに対してトラックには機械式オートマが採用されている点にあらわれています。
ATフルードを使用するトルコン式オートマはロスが多くトラックには不向きなシステムだと考えられていましたが、トラックメーカー各社が行った機械式オートマの技術革新によって実用的なオートマトラックが登場したと言えるでしょう。
三菱ふそう・イノマット
三菱ふそうのトラックに搭載されていたMTのトランスミッションをベースにコンピュータ制御で自動変速を行う機械式オートマが三菱製のトラックに搭載されるオートマシステムのイノマットです。搭載車両の車両区分によって5~16段のギア段数が設定され、小型クラスから大型クラスまで幅広いモデルに採用されています。
いすゞ・スムーサー
いすゞのトラックに搭載される通常のMTのトランスミッションにフルードカップリングと油圧アクチュエータで動作する摩擦クラッチを組み合わせ、クラッチ操作を自動的に制御する機械式オートマがスムーサーです。E・F・Gのバリエーションを持ち小型クラスから大型クラスのトラックに採用されています。
日野・プロシフト
日野のトラックに搭載される通常のMTのトランスミッションのシフトチェンジを自動化した機械式オートマがプロシフトで、他社のオートマとは異なるセミオートマとして扱われATではなくAMTとして表記されています。日野自動車の製造販売する小型クラスから大型クラスのトラックに採用されています。
UDトラックス・エスコット
UDトラックスのトラックに搭載される通常のMTのトランスミッションをベースに開発された機械式オートマシステムがエスコットで、日野自動車のPro Shift同様セミオートマに位置付けられます。7つのバリエーションを持ちUDトラックスの親会社であるボルボ社の大型クラスに採用されるモデルも存在するミッションシステムです。
トラックのオートマ故障の主な症状や故障原因は?
国内トラックメーカー各社が自社開発する機械式オートマは年々高性能となっており、「オートマは故障が多い」というイメージは薄れつつありますが、オートマのミッションシステムはMTよりも構造が複雑なため、残念ながら不具合の発生はゼロではありません。
機械式オートマはMTのミッションシステムをベースにしているため、一般的なオートマで生じるミッションの滑りが生じるケースは稀だと言えますが、機械式オートマ特有の故障が存在します。
オートマ故障の主な症状は変速不良
トラックに搭載される機械式オートマに故障が発生した場合に現れる症状として変速不良が挙げられます。変速不良が生じるとトラック走行時のフィーリングにぎこちなさや不自然なエンジン回転数、異音などが生じるため、オートマの故障が発見されるケースが多い傾向にあります。
これらの症状に気が付かずオートマの故障を放置すると症状が進行し、最終的には走行不能状態に陥る可能性があるので走行中のトラックのフィーリングを確認することが重要だと言えますね。
オートマミッションの不具合を発生させる原因とは?
オートマシステムなどトラックに搭載される重要パーツは頑丈に作られ高い耐久性を持ちますが、複雑な構造の金属パーツが擦れ合いながら動作するため使用と共に摩耗や金属疲労などの経年劣化が発生します。
トラックの機械式オートマに生じる変速不良も金属パーツの摩耗や金属疲労によって引き起こされるため、トラックのオートマ故障の主な発生原因は経年劣化だと考えられます。
オートマ故障の予防策は
トラックに搭載する機械式オートマの主な故障発生原因が経年劣化であれば、経年劣化を回避したいものですが残念ながら経年劣化を避けるためにはトラックの使用を中止するしか方法がありません。
しかし経年劣化の進行速度を緩やかにすることは可能ですので、オートマ故障の予防策としてトラックのミッションシステムの経年劣化速度の低下が期待できる方法を紹介します。
オートマでも過度の変速は禁物
オートマは車速やエンジン回転数を感知し自動的に変速してくれる非常に便利なミッションシステムですが、MTのように意図的に変速をコントロールするのが困難である弱点を併せ持っています。変速の回数が多いほどミッションシステムに負荷が生じるため、過度な変速を控えることで経年劣化の速度低下が期待できます。
丁寧なアクセルワークでオートマ故障を予防できる
オートマはドライバーの意図を運転に反映させるため、アクセル開度でも変速コントロールを行っていますので、トラックのオートマの変速を控えるためにはアクセルワークがポイントとなります。
走行中にアクセルをグッと踏み込むとシフトダウンすることでより強い駆動力を発生されるように設計されています。キックダウンと呼ばれるこの症状は加速や登坂には効果的ですが、雑なアクセルワークを行うと通常走行時に無用なキックダウンが発生し変速頻度が高くなりますので丁寧なアクセルワークはオートマの経年劣化の速度低下効果が期待できると言えるでしょう。
オイル管理は重要!ATFも交換しよう
MTのミッションをベースとして開発されたトラックの機械式オートマですが、オートマに分類されるためミッションオイルは一般的なオートマ同様ATFと呼ばれます。精密機器であるトランスミッションのなかでは金属パーツが擦れ合いながら稼働していますので、潤滑・清浄・冷却・応力分散などオイルの機能が欠かせません。
オイルの量が不足したり劣化した状態では適正な効果を得られなくなり、トラックのオートマの経年劣化が加速しますのでATFの管理を行い必要に応じてオイル交換を行うことで経年劣化の速度低下が期待できます。
トランスミッションの故障は致命的!乗り換えの検討も視野に入れるべき
トラックの走行に大きな影響を与えるトランスミッションはエンジンと並んでトラックの最重要部品だと言っても過言ではありません。また高い耐久性を持ち構造が複雑な重要部品はパーツの価格、修理に関わる工賃共に高額であるため故障が発生した場合は乗り換えの検討も視野に入れるべきだと考えられます。
重要部品トランスミッションは修理や交換にコストがかかる
既述のとおりトラックに搭載される重要部品はトラックの基本性能に大きく影響を及ぼすため、各メーカーは高い耐久性を保証するために非常に頑丈に設計・製造しています。それだけに重要部品のパーツは高額ですし、修理を行う際に複雑な機構を分解し確実に組み上げる技術力が求められるため作業工賃も高くなります。
オートマトラックのミッションをオーバーホールする場合は、数十万円程度の修理費用が発生しますし、載せ替えとなると百万円単位の大きな出費となることを覚悟する必要があります。
丈夫なパーツトランスミッションの故障はトラックの経年劣化の目安となる
走行性能に直接関係する重要部品に対してメーカーは試験を繰り返すことで高い耐久性を実現していますので、重要部品の経年劣化はメーカーの設定する使用限度に達したことを意味すると考えるべきだと言えるでしょう。つまりトランスミッションの故障が発生したトラックは使用限度を迎え寿命に達した状態であるとも言えますので、乗り換えのタイミングを示していると考えられますね。
中古トラックへの乗り換えはミッション修理よりも経済的
トラックの重要部品であるトランスミッションの故障は修理費用が高額となるうえにミッションだけを修理しても他の部分の経年劣化が進み、頻繁に修理や交換が必要となる状態に陥ることが予想されますので、トラック乗り換えを行った方が経済的であるとも考えられます。
中古トラック販売店は予算に合わせた理想的な車両選びを行える
トラックのオートマの修理費用も高額ですがトラック乗り換えのコストも決して安いものではなく、一定の経済低負担を強いられることに違いありませんが中古トラック販売店を利用することで経済的負担を軽減することができます。
中古トラック販売店では非常に多くの中古トラックを取り扱っており、新車同然のものから低年式車両のなかから予算に合わせた中古トラックを選ぶことができるのが魅力だと言えます。
トラックのオートマが故障した場合は中古トラックへの乗り換えがおすすめ
現在使用しているトラックのオートマが故障した場合は、近い将来深刻なトラブルが生じることが想像できますので修理か乗り換えの選択を迫られますが、より効率的にトラックの乗り換えを行うためには中古トラック販売店を利用して中古トラックへの乗り換えを行うことをおすすめします。
中古トラックのなかから最適な1台を選ぶことでミッショントラブルの不安から開放され、安心してトラックを運行することが可能となると言えるでしょう。
まとめ
トラック走行時のドライバーへの負担を大幅に軽減するオートマですが、経年劣化による故障が発生すると走行不能リスクが生じてしまいます。オートマの故障が深刻な状態に進行する前に次に挙げる初期症状を察知して早期に対処を行うことが重要だと言えますね。
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- トラック走行時のフィーリングのぎこちなさ
- 通常とは異なる不自然なエンジン回転数
- 通常生じることのない異音