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クレーン付きトラックのクレーン故障の主な症状や発生原因、修理費用や予防策とは?

クレーン付きトラックのクレーン故障の主な症状や発生原因、修理費用や予防策とは?
クレーン付トラックは重量物でも荷物の積み下ろしを自在に行えるトラックとして広く普及していますが、主要機能であるクレーンが故障してしまうとせっかくの高い汎用性が全て損なわれてしまいます。また故障したクレーンの修理費用は決して安価なものではないことからもクレーンの故障は絶対に避けたいものですが、残念ながら搭載クレーンの故障が少なくないのも事実ですので、クレーン故障の主な症状や発生原因、修理費用や故障の予防策を紹介します。

クレーンを搭載するクレーン付きトラックとは?

クレーンを搭載するクレーン付きトラックとは?
クレーン付きトラックはユニック車などの通称で呼ばれる、荷台部分にクレーンを搭載したトラックです。ベース車両には荷台上空が解放された平ボディのトラックが用いられ、搭載クレーンで積み荷を自在に積み下ろしできることから広く普及しているボディタイプのトラックだと言えるでしょう。

クレーン付きトラックのクレーンの原動力供給を行うPTO

クレーン付きトラックに搭載されるクレーンは、車両の搭載機能に動力供給を行うPTOによって動力が供給され機能します。PTOはトランスミッションサイド・フライホイール・フルパワーの3タイプが存在しますが、停車した状態でクレーン操作を行うクレーン付きトラックはトランスミッションサイドPTOでクレーンへの動力供給を行います。

クレーン付きトラックで生じる主な故障や故障原因、対応策は?

クレーン付きトラックで生じる主な故障や故障原因、対応策は?
クレーン付きトラックの主要機能であるクレーンが故障すると本来の汎用性の高さを発揮できなくなります。クレーン付きトラックの搭載クレーンで発生する主な故障の症状や発生原因、対策方法を紹介します。

クレーンの主な故障とは?

クレーン付きトラックの搭載クレーン故障の主な症状として挙げられるのは、ブームやアウトリガーの動作不良やウインチドラムやワイヤーロープの動作不良、ラジコン操作時の動作不良などです。

ブームの動作不良

ブーム部分は旋回ギアで360度旋回しデリックシリンダで自在に伏せ起きでき、テレシリンダーで伸縮するクレーンの腕に当たります。ブームが故障するとクレーンが機能しなくなりますが、ブームの動作不良は操作レバーの故障やPTOコントロールボックスの配線が抜けて発生する場合があるので、操作レバーやPTOコントロールボックスを確認してみましょう。

エンジン停止時にブームが下がる

エンジンを稼働させPTOから動力供給が行われている間は問題なく稼働するクレーンが、ブームを伸ばし起こした状態でエンジンを停止すると勝手にブームが下がってしまう故障はデリックシリンダのカウンタバランス弁の摩耗で発生しますので弁交換で改善が期待できます。

アウトリガーの動作不良

クレーン作業中の車両をしっかり固定するのがアウトリガーですが、動力供給はPTOから行われます。PTOが確実に起動していないことがアウトリガーの動作不良の原因として見られますので、クラッチをしっかり踏み込んでPTOを起動させることで解消されるケースが少なくありませんが、改善されない場合は油圧系統の故障の可能性があるので整備工場での修理が必要となります。

ウインチドラムやワイヤーの故障

ウインチドラムやワイヤーの故障の症状としてドラムの乱巻きやワイヤーロープのキンクなどのほか、ドラムが動かない故障などが挙げられます。乱巻きやキンクはドラムの操作速度を下げることで予防できますし、ドラムが動かない場合は操作レバーの操作レバーの故障やPTOコントロールボックスの配線が原因となるケースがあります。

また過巻き防止の安全装置が誤作動している場合もあるので、この場合は過巻き防止装置のスイッチを目視確認し正常な位置に戻すことで解結可能です。

ラジコン操作時の動作不良

ラジコンでクレーン操作が行えないトラブルはラジコンの操作圏外から操作しているケースやラジコンの電池切れのケースが少なくありません。受信機が設置されている操作レバー付近に近付くことや電池交換で解消できるものが多いといえますが、改善されない場合はラジコン本体や受信機が故障している可能性がありますので、クレーンメーカーに確認する必要があります。

クレーンの故障は給脂・給油・点検で予防できる

クレーンの故障は給脂・給油・点検で予防できる
クレーン付きトラックの搭載クレーンが故障すると、現場での作業が行えなくなり、取引先からの信用を失ってしまうリスクがあると共にクレーンの修理費用など決して小さくはない経済的負担も発生します。

発生メリットが全くないクレーンの故障は是が非でも回避したいものですが、クレーン故障の多くは給脂・給油・メンテナンス不足で発生しているのも事実ですので、積極的に給脂・給油・点検を行いクレーンの故障を予防したいものです。

クレーン付きトラック搭載クレーンの給脂ポイントは?

クレーン付きトラックの搭載クレーンは金属パーツの塊であり、金属パーツが擦れ合いながら稼働するため可動部に給脂(グリースアップ)を行う必要があります。適切なグリースアップを行うことで各可動部の摩耗が減少され、故障の予防や使用限度の延長を行うことが期待できます。

給脂が必要な搭載クレーンのグリースアップポイントは次の7つです。

  • ブーム摺動板
  • ブームフートピン
  • デリックシリンダ支持ピン
  • ウインチドラムギヤ
  • 旋回ギヤ、ベアリング
  • プロペラシャフト
  • ワイヤロープ

クレーン付きトラック搭載クレーンの給油ポイントは?

クレーン付きトラックの搭載クレーンには吊り上げる荷物の全荷重がかかるため、作業中のクレーンには非常に大きな負担がかかります。クレーン本体にかかる負担を油圧機器やウインチ減速機、旋回減速機などで支えて作業を行いますが、これらの部分は封入されたギアオイルを利用して稼働しています。

油圧装置の作業油タンクには空気と共に砂埃などのゴミや水分が入り込みますし、油圧装置・ウインチ減速機・旋回減速機は、作業中に金属パーツが摩耗して発生する金属粉などで汚れて劣化しますので定期的なオイル交換が必要となります。

クレーン付きトラック搭載クレーンの点検ポイントは?

クレーン付きトラックの搭載クレーン故障を予防するためには、クレーンの点検が重要となります。特に吊り荷の全荷重がかかるワイヤーロープは使用と共に型くずれや腐食、キンクによる変形などの経年劣化が生じます。

また経年劣化が進んだワイヤーロープは痩せるため、定期的な測定を行いカタログ表示の公称径よりも7%以上直径が減少したワイヤーロープは交換の必要があります。各部のネジやボルト・ナット類の緩みは増し締めを行い、パッキンやシール類の消耗品は3年ごとに交換することでクレーンの故障発生率が大きく低下し故障予防が期待できます。

クレーン付きトラック搭載のクレーンには点検義務がある?

クレーン付きトラック搭載のクレーンには点検義務がある?
クレーン付きトラックの搭載クレーンは、「労働安全衛生法」と、同法で定められる「クレーン等安全規則」の規制を受けます。これらの中でクレーン付きトラックは自主点検や定期点検が義務付けられています。

労働安全衛生法第120 条
定期自主検査、及び自主検査の記録、作業開始前の点検、及び補修(中略)等の規定に違反した者は50 万円以下の罰金に処する。

 

クレーン等安全規則第79 条
自主検査の結果を記録し、これを3 年間保存しなければならない。

また、義務付けられた点検を行っていない搭載クレーンはクレーンメーカーの製品保証の対象外となるので注意が必要です。クレーン付きトラックの搭載クレーンに対して行う必要がある自主点検と定期点検は作業前点検・月次点検・年次点検が存在します。

クレーン付きトラックに求められるクレーンの点検とは?

労働安全衛生法・クレーン等安全規則で定められる作業前点検・月次点検・年次点検の3つの点検の点検義務を示した根拠法と具体的な点検内容は次のとおりです。

作業前点検

クレーン等安全規則第78 条
移動式クレーンを用いて作業を行なうときは、その日の作業を開始する前に(中略)点検を行なわなければならない。

必要となる点検内容

  • 巻過防止・過負荷警報・転倒防止などの警報装置の動作確認
  • 各種手動レバーが手を離した状態で中立位置に戻るかの確認
  • 手動レバーやラジコンでの操作で正常な作動をするかの確認
  • ラジコンスイッチやレバー類、ゴムブーツや本体の変形やひび割れ破損の確認

月次点検

クレーン等安全規則第77 条
移動式クレーンについては、1月以内ごとに1 回、定期に、(中略)自主検査を行なわなければならない。

必要となる点検内容

  • 作業前点検簿の内容確認
  • ワイヤーロープやフックに破損や変形がないかの確認
  • 配線・配線コネクタ類の接続状態の確認
  • オイル漏れの有無の確認

年次点検

クレーン等安全規則第76 条
移動式クレーンについては、1 年以内ごとに1 回、定期に、(中略)自主検査を行なわなければならない。

必要となる点検内容

  • 作業前点検簿・月次点検簿の内容確認
  • 荷重試験の実施

クレーンが故障したクレーン付きトラックは買い替えも検討すべき?

クレーンが故障したクレーン付きトラックは買い替えも検討すべき?

主要機能である搭載クレーンが故障すると、クレーン付きトラックは平ボディとしてしか使えなくなりますが、クレーンを搭載しているため同クラスの平ボディよりも最大積載量が小さくなり、残念ながら平ボディとしても十分活用できません。

故障した搭載クレーンは修理する必要がありますが、クレーン付きトラックの搭載クレーンの修理費用は決して安価ではないのが実情です。

クレーンが故障すると高額な修理費用が必要となる

クレーン付きトラックの搭載クレーンはクレーンメーカーが製造・取付けを行いますが、クレーンは労働災害防止のため厳格な規格管理の下に製造されています。トラックの他のパーツであれば汎用品の流用などで修理費用を抑えることが可能ですが、搭載クレーンに使用するパーツはメーカー純正品を使用する必要があり、修理費用が高額化する傾向にあります。

故障したクレーンの修理費用の目安額は?

クレーン付きトラックに搭載するクレーンの故障のなかで、比較的多く見られるのが吊り下げ荷重能力以上の重量物をうっかり吊り上げようとしてブームが破損してしまうケースですが、この場合はブーム交換が必要となるのが一般的です。

ブーム交換は搭載クレーンの吊り下げ能力によって異なりますが、50~150万円程度の費用が発生します。またクレーンの載せ替えとなると500~1,000万円が必要となるので、クレーン付きトラックの搭載クレーン故障の修理費用は大きな経済的負担を伴うものとなります。

クレーン付きトラックの乗り換えは中古トラック販売店の利用がおすすめ!

ブーム交換だけで50~100万円の修理費用が発生するため、クレーン付きトラックの故障は修理か乗り換えの選択を迫られる深刻なトラブルだと言えます。しかし新車のクレーン付きトラックへの乗り換えはさらなるコスト負担増が生じるため、クレーンを搭載する中古トラックへの乗り換えが効果的だと言えます。

中古トラック市場には多数のクレーン付きトラックが流入しており、中古トラック販売店ではさまざまなクレーン付きトラックを取り扱っています。当然完成車両が取り扱われているので、乗り換え時の課題となる納車のタイミングも短期間ですし予算に合わせた中古車両を選べるのも中古トラック販売店の魅力です。

まとめ

搭載クレーンの故障はクレーン付きトラックの高い汎用性を損なわせるばかりではなく、高額な修理費用が発生しますので、クレーンが故障した場合はクレーン付きトラックを乗り換えたほうが経済効果が高いことも珍しくありません。
クレーン付きトラックの搭載クレーンに不具合が生じた場合は次の流れで対処することをおすすめします。

  • PTOや配線、操作レバーの不具合を確認する
  • 症状改善が見込めない場合はメーカーに見積依頼を行う
  • 中古車両価格と修理費用を比較し乗り換えも検討する

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