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放置すると車両火災に繋がりかねない?危険なトラックのブレーキ引きずりとは?

放置すると車両火災に繋がりかねない?危険なトラックのブレーキ引きずりとは?
トラックを減速させ停車させる制動装置のブレーキはトラックの運行になくてはならない重要部品の1つに挙げられますが、ブレーキを引きずった状態で走行すると車両火災の原因になりかねない側面も持っています。代表的な安全装置であるブレーキを引きずることによって発生するリスクとブレーキ引きずりで生じる症状や発見方法などを紹介します。

車両火災の原因にも!トラックのブレーキ引きずりとは?

車両火災の原因にも!トラックのブレーキ引きずりとは?
ドライバーの意思で操作することでブレーキはトラックの安全な運行に欠かせない代表的な安全装置として機能します。しかしドライバーの意思に反して常にブレーキがかかった状態となる不具合が存在し、この不具合を「ブレーキの引きずり」と呼びます。

完全にブレーキが機能していればトラックを発車することが難しくなるため大事に至ることはありませんが、中途半端にブレーキが利いている状態では案外ドライバーが気付くことなく、ブレーキを引きずった状態で走行することが珍しくありません。

国土交通省交通省もブレーキ引きずりによる車両火災発生に注意を促している

ブレーキの引きずりによるトラックのトラブル発生件数は決して少なくなく、トレーラー車両火災の発生原因の大半がブレーキの引きずりによるものだと言われています。2013年からの3年間で約80件以上のブレーキ引きずりによる車両火災が発生していることから2016年に国土交通省はブレーキ引きずりによる車両火災再現実験を行い、11分59秒の映像を公開し注意喚起を行っています。

引きずりはフットブレーキでもパーキングブレーキでも発生する

引きずりはフットブレーキでもパーキングブレーキでも発生する
トラックには減速や停車時に使用するフットブレーキと駐車時に使用するパーキングブレーキの2つのブレーキが搭載されていますが、ブレーキの引きずりはフットブレーキとパーキングブレーキの双方で発生する可能性があります。

パーキングブレーキの戻し忘れによるブレーキの引きずりは経験したことがある方も少なくないのではないでしょうか?しかしドライバーが意識的に操作するフットブレーキでもブレーキの引きずりが発生するので注意が必要ですね。

トラックがブレーキ引きずりを起こす原因は?

パーキングブレーキの解除は発車の際の一連の動作の中に組み込まれているため、習慣として無意識に行っている方も少なくないと考えられますが、ふとしたきっかけでパーキングブレーキを解除せずに発車するうっかりミスでパーキングブレーキの引きずりが発生します。

またブレーキの引きずりの発生原因として次に挙げるものが存在します。

ブレーキシステムのトラブル

ブレーキペダルを踏みこむとブレーキキャリパー内のピストンがスライドしブレーキパッドが押し出され制動力が発生します。ブレーキを離すとピストンがスライドしてブレーキディスクが解放され制動力を失いますが、ピストンにサビが発生して固着することでブレーキの引きずりが発生します。

吊り下げ式ブレーキペダルの場合

小型トラックに搭載される油圧ブレーキは上から吊り下げられるような形のブレーキペダルである「吊り下げ式ブレーキペダル」が採用されているものが大半です。

ペットボトルや缶飲料などがはまり込みブレーキが機能しないトラブルの発生リスクもありますが、左足をブレーキに触れさせる癖がある場合は無意識のうちにブレーキを機能させブレーキの引きずりを発生させている可能性があるので注意しましょう。

オルガン式ブレーキペダルの場合

中型クラスや大型クラスのトラックにはエアブレーキが搭載され、アクセルペダルのような形状でトラックの床にブレーキペダルが設置されるオルガン式ペダルのものも多く存在します。

吊り下げ式ブレーキペダル同様、異物を挟み込みブレーキが機能しないリスクがあると共に床面に設置されるため、泥や砂、雨や雪の影響を受けペダルの支点となる部分にサビが発生して戻りにくくなりブレーキの引きずりが発生するケースが存在します。

ブレーキ引きずりが生じるとトラックの挙動に変化が出る

ブレーキ引きずりが生じるとトラックの挙動に変化が出る
トラックを減速させ停車させる制動機能であるブレーキを引きずりながら走行すると、ブレーキを解放した状態で走行するよりも大きな抵抗が発生しますので通常時の運行では見られない挙動がトラックに生じます。

ブレーキ引きずりによってトラックに発生する挙動を察知することで、車両火災などのトラブルを回避することができますのでブレーキ引きずりでトラックに生じる挙動の変化を紹介します。

ブレーキ引きずりが原因でトラックに生じる症状

ブレーキを引きずっているトラックに現れる挙動の変化として次の3つが挙げられます。これらの挙動の変化はなかなか気づき難いものであると言えますが、毎日運転するトラックであればトラックの挙動の変化に気付くことができるのではないでしょうか。

  • 発車時の加速が悪い
  • 惰性での走行距離が縮む
  • 走行中に異音や異臭がする

発進時の加速の悪化はブレーキ引きずりを察知する大きなチャンスだと言えます。タコメーターやエンジンの発する稼働音、振動などトラックドライバーであれば体に染みついているフィーリングと異なるドライブフィールを感じた際はブレーキの引きずりを疑いましょう。

また走行中に惰性での走行距離が短いと感じた場合や金属が擦れるような異音や金属が焼けるような異臭を感じた場合もブレーキ引きずりの可能性があります。異臭は休憩などでトラックから降りた際にも感じ取ることができますので、通常感じない臭いがトラックからするときには臭いの発生源を確認してください。

フィーリングや異音・臭いなどドライバーの感覚に頼る察知方法ですが、人間の感覚は驚くほど繊細にできているので、走行中にちょっと違和感を感じた場合はトラックを停車させて点検することをおすすめします。

トラックのブレーキ引きずりは気付き難い!早期発見方法は?

トラックのブレーキ引きずりは気付き難い!早期発見方法は?
放置するとトラックが危険な状態となるブレーキ引きずりですが、中途半端にブレーキが利いている状態では意外と気付き難いのも事実です。日頃からブレーキ引きずりを起こしていないかの確認を習慣付けるのが最も効果的だと言えるでしょう。

ブレーキの引きずりを目視で発見できるケースもある

ブレーキが機能するとブレーキダストと呼ばれる粉塵が発生するので、タイヤのホイールには少なからず黒い粉塵が付着します。ブレーキを引きずるとブレーキダストの量が明らかに増加するので定期的にホイールの状態をチェックするだけでブレーキ引きずりを発見できる可能性が高くなります。

五感を生かした運転がブレーキの引きずり発見に繋がる

ブレーキ引きずりが左右対称に発生することはまずありえませんので、片輪だけに制動抵抗がかかります。トラックの速度を上げるとハンドルが取られる感覚が生じますし、引きずったブレーキから金属が擦れる異音も発生しますので五感を生かした運転を行うことがブレーキ引きずり発見に繋がると言えます。

休憩時などのチョットした習慣がブレーキ引きずりの発見に繋がる

既にふれたとおり引きずったブレーキからは金属が焼ける異臭が発生しますしブレーキダストの発生量も増加しますので、休憩時などに積み荷の状態の確認と共にトラックの周りを一周しながらホイールの目視確認と臭いの確認を行うことでブレーキの引きずりを発見できる可能性が高くなります。

セルフメンテナンス時の引きずりチェックで発見する

セルフメンテナンスの際に簡単なチェックでブレーキ引きずりの有無を確認することも可能です。セルフメンテナンスでトラックをジャッキアップした際にタイヤを手で回してみて下さい。

ブレーキ引きずりが発生していない場合はタイヤを手で簡単に回すことができますが、引きずりを起こしている場合はタイヤを手で回すことはできません。セルフメンテナンスでの確認方法は簡単ですが確実にタイヤの引きずり発生の有無を確認できる方法だと言えます。

重要保安部品ブレーキにトラブルが生じたトラックは乗り換えがおすすめ

重要保安部品ブレーキにトラブルが生じたトラックは乗り換えがおすすめ
タイヤの引きずりが深刻なトラブルであることは、新車で発生した場合にメーカーが国土交通大臣に届け出たうえで無料点検整備を行うリコール対象となる可能性があることを道路運送車両法で定めていることからも図ることができます。

道路運送車両法第63条の3
陸運局長は、第一項の呈示があつた場合においては、検査を行い、当該自動車が保安基準に適合し、且つ、呈示をした者が当該自動車を使用する権利を有すると認めるときは、当該自動車検査証の有効期間を更新し、その旨を自動車検査証に記入しなければならない。

使用中のトラックでブレーキの引きずりが発生した場合はブレーキシステムのオーバーホールや全交換が必要となると考えられますので、修理費用の経済的負担は決して小さなものではありません

またブレーキの不具合は安全運転の根幹に関わる問題ですので、トラックの乗り換えも検討するべきだと考えられるのではないでしょうか。

効率的なトラック乗り換えには中古トラック販売店の利用が効果的

ブレーキの不具合が発生したトラックを運転し続けるのは精神衛生上よくないと言えるので思い切ってトラック買い替えを行いたいところですが、費用面や納車期間の問題で二の足を踏んでしまいがちです。

しかし中古トラック販売店を利用して中古トラックを購入することで、費用面や納車期間の問題が解消するのではないかと考えられます。中古トラック販売店は幅広い価格帯や車種の中古トラックを取り扱うため予算に合わせたトラックを選べますし、購入後すぐに乗り出せるトラックも数多く取り扱われています。

ブレーキ引きずりを起こしたトラックは思い切って買い替えを行い、新たな気持ちでトラックの運行に臨むのはいかかでしょうか?

まとめ

ブレーキ引きずりはトラックの車両火災原因となる非常に危険な不具合だと言えますが、気づき難い側面がある厄介な存在であるのも事実です。

トラック運転中にブレーキ引きずりを発見するポイントは次の3点ですので、ポイントに注意しながらトラックを運転して下さいね。

  • ブレーキ引きずりで増加するブレーキダストの量に注意
  • ハンドルを取られるや金属を擦るような異音の発生に注意
  • 金属が焼けたりゴムが溶けるような異臭に注意

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