タイヤの空気圧は寿命や燃費に影響する?タイヤの空気圧のチェック方法などを解説
車両重量が大きく沢山の荷物を積載するトラックを支えるタイヤは普通自動車のタイヤより遥かに大きく、トラックの力強さを感じさせるパーツの1つだと言えます。しかしトラックに装着されるタイヤも一般的なタイヤ同様空気を充填して使用するもので、空気圧の管理が必要となります。
トラックは車両重量が大きく多くの荷物を積載して走行するため、タイヤにかかる負担は普通自動車よりも遥かに大きく空気圧が適正圧力でない場合はタイヤの寿命が短くなりますし、燃費や安全性能にも大きく影響を及ぼします。トラックタイヤの機能や性能、空気圧力が機能や性能に及ぼす影響、適正圧力のメリット・デメリットなどを紹介します。
トラックの重要部品タイヤには多くの機能や性能が求められている
真っ黒なゴム製のタイヤは見た限りではどの製品も変わりがないように見えますし、タイヤを交換したからといっても操作性や居住性が劇的に変化するものでもありません。構造も特別複雑なものではなく「型枠にゴムを流し込んで固めただけなのでは?」と感じている方も少なくないのではないでしょうか?
タイヤのマメ知識として乗用車のタイヤ1本の接地面積がハガキ1枚分で、4本合わせてもハガキ4枚分の接地面積で車両を支えていることは知られています。一見シンプルに見えるトラックのタイヤですが、実はさまざまな技術が投入された技術力の結晶といっても過言ではないもので、タイヤにはさまざまな機能や性能が搭載されています。
重要部品タイヤに搭載される四大機能
タイヤはトラックを構成する数多くのパーツの中でも、トラックの基本性能に大きな影響を及ぼす重要パーツの1つに含まれるパーツだと言えるでしょう。重要パーツであるトラックのタイヤには次に挙げる4つの機能が搭載されています。
荷重支持機能
トラックの車両重量と積載する荷物、ドライバーなど乗務員の体重の全ての荷重はタイヤで支えています。荷重支持機能はタイヤの四大機能の中で、最も判りやすい機能だと言えるでしょう。
駆動・制動機能
エンジン出力はトランスミッションで駆動力に置き替えられた後にプロペラシャフトで駆動輪に伝達されトラックが駆動しますし、ブレーキペダルに加えられた力は油圧や圧縮エアによってブレーキに伝達され制動力が生まれます。これらの力は、最終的にタイヤを介して路面に作用しトラックの駆動や減速・停車時の制動力として働くため、タイヤは駆動・制動の要であるとも言えます。
緩衝機能
車重の大きなトラックを支えるためにトラックには頑丈なサスペンション機能が搭載されていますが、トラックの緩衝機能はサスペンションのみで賄われる訳ではありません。
小さなタイヤを装着する低床トラックが大きなタイヤの高床トラックより居住性が悪いのは、ドライバーの方は経験的にご存じだと思います。小さなタイヤでは緩衝機能の能力が不足するため、大きなタイヤの高床トラックよりタイヤが小さな低床トラックは居住性能が劣ります。
操縦性・安定機能
どんなに高度な操舵装置が開発されトラックに投入されても、タイヤが路面にグリップしないことにはハンドル操作どおりの操縦は実現しませんし、タイヤがグリップすることでトラックに走行安定性がもたらされます。ハンドルで操作するトラックの操舵装置も最終的には、タイヤを介して路面に作用することで効果が得られますし安定性もタイヤのグリップによって実現しています。
タイヤには3つの性能も求められている
タイヤにはトラックの基本性能に大きく影響を及ぼす四大機能が搭載されていますが、現在存在するタイヤがタイヤの完成形という訳ではなく、タイヤにはさらなる進化が求められ研究開発が続けられています。
次に挙げる性能を向上させたタイヤが今後開発されるトラックのタイヤには求められていると言えるでしょう。
- 回転時の摩擦や転がり抵抗の最適化による高い経済性能
- 外傷・疲労・熱・衝撃に耐性を持つ高い安全耐久性能
- ノイズ・振動・ハーシュネスを抑えた高い居住性能
トラックの大きな荷重を支えるタイヤは適正な空気圧を保つ必要がある
トラックの基本性能に大きく影響する四大機能を搭載したタイヤですが、タイヤの搭載機能を十分活用するためにはタイヤに封入する空気圧を適正圧力に保つ必要があります。注入する空気圧が適正値から外れた状態では、タイヤの搭載機能を十分活用することができないばかりか、思わぬトラブルの原因になる可能性があります。
タイヤの適正空気圧は車両区分で大きく異なる
トラックのタイヤに封入する空気圧を適正値に保つことは、タイヤの搭載機能を引き出すための絶対条件だと言えますが、車両区分ごとにトラックの規格が異なるようにタイヤもサイズによって規格が異なり、封入する空気圧の適正値も異なります。
小型クラス・中型クラス・大型クラスの3つの車両区分に大別されるトラックに装着するタイヤの適正空気圧の目安は次に挙げるとおりです。
- 小型クラス(2トン車):5.0kg/cm2~6.0kg/cm2
- 中型クラス(4トン車):7.0kg/cm2~8.0kg/cm2
- 大型クラス(10トン車):8.5kg/cm2~10.0kg/cm2
タイヤ空気圧はタイヤ性能に大きく影響する
タイヤに搭載された四大機能はタイヤに封入する空気圧に大きく影響されることは既にふれましたが、空気圧がタイヤの機能にどのように影響を及ぼすのかを具体的に紹介します。
適正値以外の空気圧で生じるメリットとデメリット
タイヤは空気圧が低いと著しく機能が低下しますが、かといって空気圧が高ければ良い訳でもありません。タイヤの搭載機能をフル活用できる適正値が、タイヤメーカーが指定する適正空気圧力ですので、適正値を保つことが重要です。適正値以外の空気圧で生じるメリットとデメリットを紹介します。
空気圧が高めのメリット
空気圧が高いと、タイヤの転がり抵抗が軽減されるため燃費の向上が期待できることやタイヤの腰砕け感がなくなり走行安定性も向上します。トラックの運行には魅力的なメリットだと言えますが、デメリットも存在するので次項で確認して下さい。
空気圧が高めのデメリット
タイヤの空気圧が高いと、タイヤ中心部の摩耗が激しくなり偏摩耗の原因となるほか、タイヤの柔軟性が損なわれタイヤが傷付きやすくなる点や突き上げ感が強くなり居住性が損なわれるのがタイヤの空気圧が高めのデメリットとなります。
空気圧が低めのメリット
タイヤの空気圧が低い場合には、特に生じるメリットはないと言えますが、あえて挙げるならタイヤの接地面が広くなりトランクションが稼ぎやすくなる傾向にあることでしょうか。未舗装路でスタックした場合などはタイヤの空気圧を抜いてグリップ力を上げてトランクションを稼ぐセルフレスキュー手段がありますが、一般的ではないと言えるでしょう。
空気圧が低めのデメリット
タイヤの空気圧が低めの場合に生じるデメリットでまず挙げられるのが、転がり抵抗の増加で生じる燃費の低下だと言えます。また抵抗が多いため発熱損傷のヒートセパレーションが起こりやすくなり、タイヤの外側と内側のみが摩耗する偏摩耗の原因にもなります。
さらに、恐ろしいハイドロプレーニング現象が起こりやすくなり、トラックの安全性が激しく低下するなどタイヤの空気圧が低いと多くのデメリットが生じます。
タイヤの空気圧チェックの仕方は?
空気圧がタイヤの搭載性能に大きな影響を及ぼすため、タイヤの空気圧管理はトラックの重要なメンテナンスの1つであると言えます。しかしやみくもにタイヤの空気圧を測っても効率的ではありませんので、タイヤの空気圧チェックの仕方を紹介します。
タイヤ空気圧のチェックサイクルは?
タイヤの空気圧チェックは可能であれば2週間に1度は行いたいものですが、実行するのは意外と難しいと考えられますので最低でも1ヶ月に1度は全てのタイヤの空気圧をチェックすることをおすすめします。
空気圧チェックはタイヤが冷えている状態で行う
走行中のタイヤは転がり抵抗や摩擦で温度が高くなり、熱膨張でタイヤに封入している空気圧が上昇します。適正空気圧はタイヤが冷めている状態の空気圧を指しますので、熱膨張で高くなった状態でチェックしてもタイヤの空気圧が適正値であるかの判断ができませんので、走行前のタイヤが冷えている状態で空気圧チェックを行って下さい。
中古トラック購入時にはタイヤのコンディションのチェックは重要
トラックのタイヤは大型で本数が多いことから、タイヤ交換を行うとなると経済的負担が小さくはありません。中古トラックとは言え車両購入は一定の出費が伴うものですから、購入直後のタイヤ交換は避けたいものです。
中古トラック販売店で取り扱われる中古トラックは全オーナーが使用していた状態で販売されるケースが多く、タイヤも全オーナーが使っていたものがそのまま装着されているのが一般的ですので、購入時にはタイヤのコンディションチェックは欠かせないと言えます。
購入した中古トラックのタイヤ空気圧管理を行って経済的な運行を!
中古トラック販売店で購入費用や納車期間の問題をクリアし、お得に中古トラックを購入した後でタイヤトラブルによる余計な出費は回避したいものです。購入した中古トラックのタイヤ空気圧管理をしっかり行って、ランニングコストを最小限に抑えながらお得なトラック運行を実現してください。
まとめ
トラックにはつきものであるタイヤは重要パーツでありながら存在があたりまえ過ぎるあまり、トラックに搭載される他の機能に比べると存在感を感じることがなくなる傾向にあるパーツだと言えます。
しかしタイヤはトラックの基本性能に大きく影響を及ぼす機能を搭載しているため、搭載機能を十分に発揮するため空気圧を適正に保つ必要があります。タイヤの空気圧が低い場合にメリットは生じませんが、それ以外のタイヤの空気圧が適正値でないことで生じるメリットやデメリットは次に挙げる3つだと言えます。
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- メリットは燃費の向上や走行安定性、向上が空気圧が高め
- デメリット燃費悪化や走行安全性能・耐久性低下