使用不能リスクも!トラックエンジンブローの症状や主な原因・予防策・修理費用とは?
トラックの原動力を生み出すエンジンは人間の心臓に例えられる非常に重要なパーツで、内部の不部具合を確認し難いことなどから「不具合を発見した時は既に症状の悪化が進んでいた」というケースが珍しくありません。最悪のケースでトラックが使用不能となる可能性を抱える重大故障と言われるのがエンジンブローで、エンジンブローは何としても避けたいトラブルだと言えます。
エンジンブローを回避するためにはエンジンブローの症状や主な原因・予防策などを掴んでおく必要がありますし、万が一発生した際の修理費用の目安なども知っておくと安心ですので紹介します。
重篤なエンジントラブル!エンジンブローとは?
エンジンブローのブローには打撃・衝撃・爆発などの意味が含まれており、エンジンにダメージが生じている様子を表す言葉がエンジンブローです。エンジンブローとは具体的にどのようなエンジントラブルを指すのかを簡潔に表すと「エンジンの故障全般」と言う表現になります。
エンジン本体に発生するトラブルの総称としてエンジンブローという表現が使用されますが、エンジンブローはトラックに致命的ダメージを与える可能性がある故障を意味しますので、決して軽視することはできません。
エンジンブローが発生するとどのような症状が起こるか
エンジンの故障全般を指すエンジンブローにはさまざまな症状があり、故障発生箇所や進行度合いによって現れる症状が異なります。軽症の時期にエンジンブローの発生を察知できずに放置していると症状が進行し、ピストンの焼き付きやクランクシャフトの損傷を発生させる可能性もあります。
また衝突などで外部から強い衝撃を受けるとターボブレードの破損・タイミングベルト切れによるバルブの突き上げ・折れたコンロッドがシリンダーブロックを突き破るなどが発生する場合もあります。
エンジンブローの発生原因は?
発生するとエンジンの深刻なダメージに繋がりかねない非常に厄介なトラブルがエンジンブローです。エンジンブローの発生原因として挙げられるのが次に挙げる3つです。
- 経年劣化によるエンジン構成部品の摩耗によるもの
- メンテナンス不足によるエンジンの内部環境悪化によるもの
- 衝突など外的要因によるもの
エンジン内では高熱・高圧・高速度で絶えず金属製パーツが擦れ合いながら稼働していますので、金属製パーツの摩耗が生じるのは致し方なく摩耗したパーツは定期的に交換する必要があります。
エンジンオイルに代表されるトラックに使用されるオイル類は潤滑・密封・冷却・緩衝・防錆・洗浄の6つの働きを行いますが、これらの作用を果たすことで劣化するため定期的に交換する必要があります。
交換を怠り劣化したエンジンオイルの使用を続けると既述の6つのオイルの働きが十分に成されず、金属製パーツの塊であるエンジンの経年劣化を促進するばかりか、エンジンブローの原因となりかねません。
衝突などの外的要因によるエンジンブローは、事故などでエンジンにダメージが生じるものです。トラックのエンジンは頑丈に作られていますが、外部から強い衝撃が加わると破損や変形することがありますし、内封されている金属製パーツが破損・変形することもあります。
重篤な状態に至る前にエンジンブローの前兆は読み取れる?
エンジンブローでエンジンに深刻なダメージが発生する前に不具合を察知することでエンジンブローを回避したいものですが、エンジン内部の状態を外観から判断することは困難であるのも事実です。
エンジンブロー発生前に見られる症状とは?
エンジンブロー発生前に生じる代表的な前兆として次に挙げる症状が発生しますのでこのような症状がみられた場合はエンジンに不具合が生じていると判断できます。
- エンジンから異音が発生する
- エンジンから異臭がする
- 加速が鈍くなる
- 排気ガスが白くなる
- オイルの圧力が上がらない
これらの症状は既にエンジン内で軽度の不具合が発生している証拠ですので、見逃すことなく早急に対応策を講じる必要があります。
ターボ搭載のトラックではタービンブローの可能性も考えられる!
多くのトラックにはディーゼルエンジンが採用され、出力やトルクを高めるためにターボが搭載されている傾向にあり、ディーゼルターボのトラックが数多く存在します。ディーゼルターボのトラックにはエンジンブローと共にターボのタービンブローのリスクも存在します。
タービンブローが発生するとターボからの過給音に変化が現れたり、加速が鈍くなる、排気ガスが白くなるなどエンジンブローとよく似た症状が現れます。タービンブローも破損したタービンのパーツがエンジンに吸い込まれ走行不能に陥るケースがあるので、エンジンブローの場合もタービンブローの場合も早急な対応が必要となります。
エンジンブローの効果的な予防策は?
エンジンブローは発生前に生じる前兆を確実に捉えダメージが軽い状態で修理を行って回避したいものですが、なにより肝心なのはエンジンブローの前兆すら発生させない予防法を講じることだと言えます。
エンジンオイルの管理は最も簡単なエンジンブロー予防策
エンジンブローの予防策として最も手軽に行え高い効果が期待できるのが、エンジンオイルの管理です。エンジンオイルのコンディションを良好な状態に保つことで既に紹介したオイルの6つの機能が十分に発揮され、エンジンブローの発生を未然に防ぎます。
粘度が低下した劣化したエンジンオイルでは十分なオイルの機能を期待できませんので、定期的にエンジンオイルを交換することが重要です。特にディーゼルターボのトラックはエンジンオイルの劣化が早いので、早めのオイル交換サイクルを設定することでエンジンブローとタービンブローを予防できます。
定期的なオーバーホールがエンジンブロー予防には効果的
1台のトラックを長期間乗り続けたい方や、低価格で購入した低年式の中古トラックをエンジンブローに怯えることなく使用したい方にはエンジンのオーバーホールを行うことを提案します。
エンジン内部の摩耗パーツやパッキン類の交換などをオーバーホールで行えば、エンジンをリフレッシュすることができるので深刻なエンジンブローの発生リスクが大きく低下します。オーバーホール後にも定期的なオイル交換を行えば、エンジンブローの発生リスクは回避できると考えられます。
オーバーホールを行うタイミングは?
エンジンのオーバーホールを行う場合、一定期間整備工場にトラックを預ける必要がありスケジュール調整が必要となりますし、経済的負担も小さくありませんので計画的に行いたいものです。
トラックのエンジンは頑丈に作られているため、オーバーホールのタイミングは走行距離が20万キロに達したタイミングが目安だと言われています。しかし既に紹介したエンジンブローの前兆がみられた場合などは走行距離にかかわらずオーバーホールを行うことをおすすめします。
エンジンブローしたエンジンの修理は可能?気になる修理期間や費用目安は?
エンジンブローの症状が発生したエンジンを修理して甦らせるのかどうかが気になるところですが、修理技術が向上している現在は例えエンジンブローを起こしたエンジンでも修理で蘇らせることは可能です。
エンジンブローしたエンジンが修理することができると分かれば、次に気になるのが修理に必要な期間や修理費用の目安ですので、次項以降で紹介します。
エンジンブローを起こしたエンジンの修理期間は?
エンジンブローしたエンジンの修理はエンジンブローの原因究明を行い、破損パーツを交換しながら進められます。エンジンブローの原因が簡単に究明でき、修理を依頼したディーラーや整備工場に必要な交換パーツのストックがある場合は1週間程度の修理期間でエンジンブローの修理が完了します。
しかし原因究明に時間がかかる場合や必要な交換パーツが取り寄せとなる場合は2週間から1ヶ月前後の修理期間が必要となるケースもあります。
エンジンブローを起こしたエンジンの修理費用は?
エンジンブローを起こしたエンジンの修理はトラックからエンジンを降ろし、完全にエンジンをバラして行われるのが一般的で、交換パーツの部品代以外に高額の工賃が発生する傾向にあります。
エンジンブローの修理を依頼する依頼先や修理範囲で修理費用は異なりますが、通常エンジンブローの修理には50万円~100万円程度の修理費用がかかります。エンジンの修理ではなく載せ替えとなると数百万円の費用がかかるのでエンジンブロー修理の経済的負担は決して小さなものではありません。
エンジンブローの原因によって保険適用外となるケースも存在する!
経済的負担が小さくないエンジンブローの修理にはトラックにかけている車両保険を有効活用したいものですが、車両保険の適用条件は事故やいたずらなどの外的要因で発生したものとなり、エンジンオイルの劣化や経年劣化によるパーツの摩耗は適用外となります。
保険会社がエンジンブローの生原因が外的要因に該当しないと判断すれば、車両保険が適用されず修理費用は自己負担となります。
エンジンブローが発生したトラックは乗り換えの必要も!
エンジンブロー修理の経済的負担は決して小さなものではなく、車両保険の活用も難しいいとなれば最低でも1週間、長ければ1ヶ月にも及ぶ時間と高額の修理費用を支払ってトラックを修理するのは決して効率的だとは言えないのではないでしょうか?
同じ経済的負担を負うのであればエンジンブローを起こしたトラックから新しいトラックへの乗り換えを行えば、気分一新で仕事に励めて費用対効果が高い>のではないかと考えられます。
高額な修理より中古トラックへの乗り換えが時間と費用の節約に効果的!
期間が長く費用も高額なエンジンブローの修理を行わず乗り換えを行う場合、中古トラック販売店で取り扱われる中古トラックを選ぶのがより高い費用対効果を得られる方法だと言えます。
中古トラック販売店は購入から納車までを短期間で行え、新車同然の新古車からリーズナブルな車両まで幅広く取り扱っているので予算に合わせたトラックの購入が行えます。エンジンブローでトラックの修理が必要となった場合は是非とも中古トラック販売店の利用をご検討下さい。
まとめ
発生すると長期間の修理期間と高額な修理費用が必要となるエンジンブローは、できることなら避けたいトラブルだと言えます。エンジンブローで頭を抱えることのないように次の3つのポイントに気を付けてトラックの運行を行って下さい。
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- 異音・異臭・加速悪化・排ガスやオイル圧などの異常は即修理する
- オイル交換は頻繁に!良好なオイルコンディションが最大の予防策
- エンジンブローが発生したら修理よりも乗り換えが効果的