とことんブログ とことんブログ

トラックに搭載される排気ブレーキの仕組み・故障時の対処法や修理費用の目安を紹介!

トラックに搭載される排気ブレーキの仕組み・故障時の対処法や修理費用の目安を大紹介!
普通車に広く採用されるブレーキシステムとして油圧式ブレーキが知られていますが、車両重量が大きくなる中型以上のトラックには強力な制動力を発揮するエアブレーキが採用されています。またエアブレーキの制動力をアシストする補助ブレーキとして、排気ブレーキを搭載するトラックも少なくありません。
排気ブレーキを上手に使いこなすことでフットブレーキで操作するエアブレーキに頼ることなく効果的な減速を行うことができるので、トラックドライバーにとって排気ブレーキの使い方は運転スキルを測る目安になると言えるでしょう。トラックに搭載される補助ブレーキの排気ブレーキの特徴や仕組み、故障時の対処法や修理費用の目安などを紹介します。

トラックやバスなどの大型車両に搭載される排気ブレーキとは?

トラックやバスなどの大型車両に搭載される排気ブレーキとは?
排気ブレーキはディーゼルエンジンを搭載する車両重量の大きな車に採用される補助ブレーキで、以前から中型以上のトラックには標準装備されていましたが積載量1トンクラスの小型トラックに搭載されているものも存在します。

名前のとおり排気ガスを利用して制動力を生み出すシステムですが、残念ながら車を停車することはできず減速をアシストするブレーキとして機能します。

エンジンブレーキの強化版?補助ブレーキにカテゴライズされる排気ブレーキ

減速時にシフトダウンしてエンジンブレーキを効果的に使う運転方法がありますが、トラックの場合アクセルを緩めると排気ブレーキが作動して減速をアシストします。排気ブレーキの制動力は、ブレーキを踏み込んだ際に生じるような強力なものではなく、トラックが後ろから引っ張られているような印象を受ける緩やかな制動力ですが、確実にトラックを減速させてくれる力強さを感じさせるものです。

排気ブレーキ搭載車の運転に慣れていないビギナードライバーはアクセルを緩めると生じる排気ブレーキの制動力に驚く場合もあるようですが、トラックの運転に慣れると排気ブレーキは非常に使い勝手のいい機能だと言えます。

トラックに補助ブレーキが搭載される理由

トラックに排気ブレーキが搭載される理由として、まずトラックの車両重量が大きなことが挙げられます。走行中の車両には慣性の法則が作用するため、車両重量や大きさと必要となる制動力は比例する関係にあります。

車両重量が小さな普通自動車は油圧ブレーキで十分な制動力が得られるのに対して、車両重量が大きなトラックにはより強力な制動力を発生させるエアブレーキが採用され、さらに減速をアシストする補助ブレーキとして排気ブレーキが採用されています。

荷物を積載した車両重量の大きなトラックを安全に減速させるために、エンジンブレーキをより強力にしたシステムの排気ブレーキは非常に効果的な制動システムだと言えます。

トラックに搭載される排気ブレーキのメカニズムとは?

トラックに搭載される排気ブレーキのメカニズムとは?
トラックを効果的に減速させる補助ブレーキの排気ブレーキですが、排気ブレーキが採用されているのはディーゼルエンジンを搭載する比較的大型の車両である傾向にあると言えます。

大型のディーゼル車に排気ブレーキが採用される理由は排気ブレーキのメカニズムにあるので、排気ブレーキのメカニズムを紹介します。

ガソリン車両と比べるとディーゼル車両はエンジンブレーキの利きが弱い!

トラックにはガソリンエンジンよりもディーゼルエンジンの方が多く搭載されていますが、ガソリンエンジンに比べるとディーゼルエンジンはエンジンブレーキが利き難い構造となっています。

これはガソリンエンジンは吸気量をコントロールしてエンジンの回転数を制御するのに対して、ディーゼルエンジンは燃焼室へ供給される燃料をコントロールしてエンジンの回転数の制御を行う構造であることが原因です。

吸気量を絞られたガソリンエンジンでは吸気抵抗が作用してエンジンブレーキの制動力が生じますが、吸気量を制限されないディーゼルエンジンは吸気抵抗が生じないため制動力が生じ難くなります。

排気ガスの排出を制御し強力な制動力を発生させる排気ブレーキ

車両重量の大きなトラックに搭載されるケースが多いディーゼルエンジンの構造がエンジンブレーキによる制動力を生じ難い構造であるのは、トラックの安全性能に大きなマイナスとして働きます。

しかし、燃焼室で大量の空気を圧縮し燃料を自然発火させるディーゼルエンジンは吸気量を落とすことができないため、発想を転換して吸気抵抗を利用するのではなく排気に抵抗を生じさせることで制動力を発生させるシステムとして排気ブレーキが生まれました。

エンジンの排気をバルブで制御し排気抵抗によって制動力を生じさせるのが排気ブレーキで、排気の制御バルブは次に挙げる2つの方式に大別されます。

  • 電気空気式:エアタンクの圧縮エアを電気式バルブで制御して排気バルブの開閉を行うもの
  • 電気負荷式:真空ポンプで排気バルブの開閉を行うもの

電気空気式はエアタンクを搭載する中型以上のトラックに採用され、電気負荷式はエアタンクを持たない小型トラックに採用されるケースが多いシステムです。

排気ブレーキを使用するメリット

排気ブレーキは大きな制動力を必要とするトラックに採用されますが、これらのトラックには強力な制動力を発生させるエアブレーキが既に搭載されています。補助ブレーキとして排気ブレーキが採用される理由は、「フットブレーキに頼ることなく安全に減速する必要がある」からです。

フットブレーキは強力な制動力を発生させますが、車両重量が大きなトラックでフットブレーキを多用するとブレーキフェード現象やベーパーロック現象などの発生リスクを高めます。

補助ブレーキである排気ブレーキを使用することで減速時のフットブレーキ使用頻度を下げ、ブレーキトラブルの発生を回避することができるのが排気ブレーキを使用するメリットだと言えるでしょう。

排気ブレーキの上手な使用方法とは?

排気ブレーキの上手な使用方法とは?
トラックの効果的な減速を実現する排気ブレーキですが、排気ブレーキは常に起動させておくべきものではありません。起動スイッチで起動と停止を制御できるので排気ブレーキを効果的に使用することができるのが運転スキルの高いドライバーだと言えるでしょう。

排気ブレーキの使用は燃費に影響を与える!

排気ブレーキを常に起動しておくことで生じるデメリットとして燃費の低下が挙げられます。排気ブレーキの起動時はアクセルを緩めると排気ブレーキが利いてしまうため、変速時などでアクセルを緩める度に排気抵抗が生じ制動力が発生します。

排気抵抗が生じ制動力が発生するということはブレーキを踏み続けながら走行するようなものですので、当然燃費が悪くなります。排気ブレーキは必要な時に起動し、使用後は停止するのが上手な排気ブレーキの使い方だと言えるでしょう。

排気ブレーキに発生するトラブルと対処法

排気ブレーキに発生するトラブルと対処法
トラックを安全に減速させる効果的な補助ブレーキの排気ブレーキですが、排気ブレーキが故障して思うように減速ができなくなるケースも発生します。トラックの停車はフットブレーキで行えるため排気ブレーキの故障が事故の原因に繋がることはありませんが、トラックの効率的な運行を実現するために排気ブレーキの存在は欠かせないので、早急に修理する必要があります。

排気ブレーキ故障の主な原因

排気ブレーキの故障で効果的な減速ができなくなると、補助ブレーキの存在の大きさを痛感するものです。排気ブレーキ故障の主な原因としては次に挙げるものが該当するケースが多いと言えます。

  • 排ガス浄化装置に排ガスの汚れが付着して生じるもの
  • 排気ブレーキ制御を行う電子部品の故障

排ガス浄化装置に排ガスの汚れが付着するとDPF再生機能が作動し、排気バルブが閉じ排ガス温度を上昇させて汚れを燃焼させます。この機能が作動すると常に排気ブレーキが作動することになるので、効率的な運行が行えなくなります。

また排気ブレーキ制御を行う電子部品が故障すると排気ブレーキが起動せず制動力を得られない状態となります。

排気ブレーキの故障は気付きやすい?

排気ブレーキは作動すると制動力を体感できるため故障の発生は、運転中に気付きやすい故障だと言えます。排気ブレーキはエンジンの排気量が大きいほど制動力も大きくなるので、中型以上のトラックであれば排気ブレーキの故障は発見しやすい傾向にあります。

しかし比較的制動力が小さな小型トラックの場合は排気ブレーキの故障に気付き難い傾向にあり、メーターパネル内の警告灯が点灯して初めて故障に気付くケースも少なくありません。

排気ブレーキの修理費用の目安は

排気ブレーキの故障原因の1つである排ガスの汚れで故障が発生した場合は、排気バルブとアクチュエーターの交換が必要となります。交換パーツの代金と作業工賃で50,000~60,000円前後の修理費用が発生します。

排気ブレーキが故障した場合は思い切って乗り換えを検討すべき!

排気ブレーキが故障した場合は思い切って乗り換えを検討すべき!
中型以上のトラックでは排気ブレーキの故障発生の確率は高くないと言われていますが、万一故障すると排気ブレーキを利用した効率的な走行ができなくなるので排気ブレーキの故障は早急に修理するべきです。

しかし既述のとおり、排気ブレーキ自体は基本的に故障発生率が低い頑丈な構造となっていますので、排気ブレーキの故障はトラック全体のコンディションが低下していることを意味するとも考えられます。

50,000~60,000円前後の修理費用で排気ブレーキを修理しても、すぐに他の部分の故障が発生することも予想されるので、排気ブレーキの故障が発生した場合はトラックの乗り換えを検討するタイミングであると言えるでしょう。

乗り換えコストや納車期間の面で中古トラック販売店利用は非常に有利

排気ブレーキに故障が発生しトラックの乗り換えを検討する際に障壁となるのがトラックの車両価格と納車までの期間ではないでしょうか?トラックの車両価格は決して安いものではなく、乗り換えの経済的負担は小さくありません。

また受注生産に近い形で製造されるトラックは注文後から納車までに時間がかかる傾向にあり、乗り換えのタイミングが難しいとも言えます。そこでおすすめしたいのが中古トラックを利用したトラックの乗り換えです。

完成車を取り扱う中古トラック販売店であれば納車までの期間を短縮することが可能なこともありますし、取り扱われる中古トラックも新車同然のものから低価格で購入できる低年式のものまでバラエティに富んでいます。

排気ブレーキの故障をきっかけに、中古トラック販売店を利用したトラックの乗り換えを検討してみてはいかがでしょうか?

まとめ

排気ブレーキはトラックを安全に減速させるのに非常に効果的な補助ブレーキですが上手に利用するためにはトラックの運転に慣れる必要があると言えます。

排気ブレーキの上手な使い方のコツは次の3つですので、コツを掴んで効率的なトラックの運行を行って下さい。

  • 排気ブレーキがエンジンブレーキの強化版であることを理解する
  • コ排気ブレーキは使用時に起動し使用後は停止する
  • アクセルを緩めると効果が生じる排気ブレーキの特性を身に付けると

関連する記事

  1. 中古トラック販売のトラック流通センター
  2. とことんブログ
  3. トラックドライバー情報
  4. トラブル事例・解決集
  5. トラックに搭載される排気ブレーキの仕組み・故障時の対処法や修理費用の目安を紹介!