深刻なトラブル発生の前兆!トラックのギア鳴りの原因と応急処置の方法とは?
トラックの運転中にうっかりシフトミスをしてしまい、「ガリガリッ」という音と共にシフトレバーが弾かれギアが上手く入らないことがあります。これはギア鳴りと呼ばれるもので文字どおりトランスミッション内のギアが上手くかみ合わないことで生じる現象です。
ギア鳴りは「車体に負担がかかっているな」と実感させられるほどの音が生じるため、思わず運転する背筋が伸びてしまいますが、実際にトラックのトランスミッション系のトラブルの前兆としてギア鳴りが発生するケースも珍しくありません。深刻なミッショントラブルに繋がりかねないギア鳴りの原因と応急処置方法を紹介します。
放置しておくと思わぬトラブルに!トラックのギア鳴りとは?
マニュアルトランスミッション搭載車が多いトラックでは、運転中常にシフトチェンジを行いトラックの速度に合わせて正確に変速を行う必要があります。トラックの運転に慣れたベテランドライバーでもうっかりシフトミスをしてしまい、激しいギア鳴りと共にシフトレバーが弾かれ驚いた経験があるのではないでしょうか?
ギア鳴りはシフトチェンジをドライバーが行うマニュアル車ならではのものですが、トラックの運転中、変速の度にギア鳴りが発生するようであれば要注意です。ギア鳴りはトランスミッション系トラブルの前兆として生じるケースがあるので、ギア鳴りを放置しておくと思わぬ深刻なトラブルに陥る可能性があります。
ギア鳴りの原因とは?シフトミスでギア鳴りが生じる!
既に紹介したようにマニュアル車の変速時にシフトミスをすると、ギア鳴りが起こりシフトチェンジができません。初めてギア鳴りを経験すると非常に驚きますがトラックの運転に慣れるまでのビギナードライバーは比較的ギア鳴りを頻繁に起こす傾向にあると言えます。
マニュアル車のシフトチェンジに慣れトラックの運転に慣れることでギア鳴りの頻度が下がり、運転の練度が上がってくるので「どのようなシフトミスでギア鳴りが発生するのか?」などギア鳴りの原因となるシフトミスのパターンは意外と認識されていないようです。
ギア鳴りを誘発する4つのシフトミスとは?
ビギナー時代には頻発していたギア鳴りもトラックの運転技術の向上と共に発生率が下がるため、ギア鳴りが起こるシフトミスのパターンを説明できないドライバーが多い傾向にあると言えるでしょう。
ギア鳴りの発生原因を掴んでおくことでギア鳴り発生時に驚くことなく対処できるようになりますのでギア鳴りを誘発する4つのシフトミスのパターンを紹介します。
クラッチを切らないシフトチェンジ
長年マニュアル車に載り続けているドライバーにとってクラッチを切らないシフトチェンジを行うドライバーがいることは理解できないかもしれません。しかしオートマ車のトラックが年々増加傾向にあることから、マニュアル車に乗り換えたばかりのドライバーがうっかりクラッチを切らずにシフトチェンジを行うケースは意外と珍しくなくなっています。
クラッチを踏み忘れてシフトチェンジを行おうとして生じたギア鳴りに驚いて、シフトチェンジを中断したり慌ててクラッチを踏むケースが多いのでミッショントラブルに直結することは少ないと考えられます。しかしトランスミッションの破損や使用限度の短縮に繋がりかねないので踏み忘れでクラッチを切らないシフトチェンジは避けるべきです。
ギア段を入れ間違うシフトミス
2速から3速へのシフトアップするつもりがシフトノブを5速に入れてしまうなどのギア段の入れ間違いは典型的なシフトミスですが、同時に最も発生率の高いシフトミスだとも言えます。
シフトアップ時の入れ間違いはクラッチを繋いでも速度が伸びず、ノッキングが生じるなどで気付きます。シフトダウン時はクラッチミートと共にエンジン回転数が急上昇、場合によっては強力なエンジンブレーキがかかるケースもあります。
現在の車はギアの入れ間違いでギア鳴りすることはまずありませんが、特にシフトダウン時のギアの入れ間違いはトランスミッション系統やエンジン系統に負担をかけるので避けたいものです。
シフトチェンジが完了していないシフトミス
シフトチェンジの際にシフトレバーは目的のギア段の位置にあるものの、ギアが噛みあうまでしっかり変速されていない状態でクラッチミートして発生するシフトミスです。クラッチミートと同時にシフトレバーが弾かれ、ニュートラルの状態に戻りシフトチェンジできません。
基本的にトラックへのダメージは生じないシフトミスですが、ギアが中途半端に噛んでいる場合はギア鳴りの原因となりますので、シフトチェンジは確実に行いたいものです。
乱暴なクラッチワークもギア鳴りの原因に!
クラッチペダルの踏み込みが浅い状態でシフトチェンジを行うとギア鳴りに繋がりますし、変速中にクラッチペダルを離してクラッチミートしてもやはりギア鳴りの原因となります。
乱暴なクラッチワークはトランスミッションに負担をかけ、ギア鳴りやギアの摩耗を早める原因となるのでシフトチェンジは1つ1つの動作を確実に行う必要があります。
トラックのギア鳴りは運転方法やメンテナンスで予防できる
前項で紹介したとおりトラックのギア鳴りはシフトチェンジ時のシフトミスで発生しやすい症状ですので、トラック運転時のシフトチェンジは丁寧に確実に行うべきだと言えます。またメンテナンスでトラックをギア鳴りが発生しにくいコンディションに保つこともできるので紹介します。
トラックのギア鳴りを予防する3つの運転方法
シフトチェンジの際のシフトミスがトラックのギア鳴り発生に繋がりますので、シフトミスを避ける運転方法がギア鳴り予防となります。ギア鳴り予防を行うトラックの運転方法を3つ紹介します。
トラックの日常的な発車は2速発進を心掛ける
「車の発進は1速から」という認識が強くあるようですが、トラックは荷物を積載している状態でも急な上り坂を登れるように、1速の変速比を大きく設定してあり、通常は2速発進できるように設計されています。
1速はトルクバンドが狭くすぐにシフトアップする必要があるので、余裕のある運転のためにもトラックは通常2速発進を心掛けるのがギア鳴りの原因となるシフトミスの予防策の1つです。
変速時のアクセルとクラッチ操作は丁寧に
乱暴なクラッチワークはシフトミスに繋がりトラックのギア鳴りを発生させますので、シフトチェンジが乱暴にならないよう十分気を付けて運転して下さい。トラックのエンジンはトルクがあるので乗用車よりも余裕をもったシフトチェンジが行えます。
余裕のある運転をすることが丁寧なアクセルとクラッチの操作に繋がりますので、エンジンの回転を上げてからゆっくり確実にシフトチェンジを行うようにしましょう。
不要なシフトダウンを行わない
ある程度重量のあるトラックにはリターダーと呼ばれる補助ブレーキが搭載されていますので、減速時にシフトダウンをしなくても補助ブレーキを起動させることで安全に減速できる構造になっています。
シフトミスやギア鳴りの原因となるので、不要なシフトダウンは極力控える運転をおすすめします。
クラッチペダルに足を乗せるのは操作時のみにする
クラッチペダルはシフトチェンジの際のみ操作すべきもので、通常は触れるべきものではありません。クラッチペダルには遊びがありますが、シフトチェンジ時以外にもクラッチに足が触れていると半クラッチの状態が頻繁に発生しクラッチやトランスミッションに負担をかけます。
運転中クラッチペダルに足を乗せる癖がある方は、即座に改める必要があると言えるでしょう。
トラックのギア鳴りを予防するメンテナンスとは?
トラックのギア鳴り予防は余裕をもった丁寧な運転で回避することができますが、更にメンテナンスでギア鳴りしにくい状態を保つこともできます。
遊びの調整でクラッチのコンディションを保とう
トランスミッションで発生するギア鳴りの予防には丁寧で正確なシフトチェンジが効果的ですが、正確なシフトチェンジにはクラッチが正確に動作するかが大きく影響します。クラッチの遊びは多すぎても少なすぎても正確なクラッチワークが難しくなるので、クラッチ調整でクラッチの遊びを正常値に保つことがギア鳴り予防に効果的です。
ギア鳴りするトラックを放置すると高額な駆動系パーツ交換の可能性も!
シフトミスでギア鳴りが生じると思いのほか大きな音がでたりシフトレバーへの衝撃が発生するので驚かされます。シフトミスで生じるギア鳴りはトランスミッションが悲鳴を上げている状態ですが、慢性的にギア鳴りがするようであればトランスミッションに深刻なダメージが発生している可能性もあるので本格的な修理を検討するべきです。
クラッチの交換でトラックのギア鳴り改善が行えるケースも
トランスミッションは非常に高価なパーツですので、修理の経済的負担は小さなものではありません。もしトランスミッションにトラブルが発生しているのであれば、トラックの乗り換えも視野に入れるべきだと考えられます。
しかしシフトチェンジの操作をトランスミッションに伝えるクラッチが摩耗して正確なシフトチェンジが行えずギア鳴りしているのであればクラッチを交換することでトラックのギア鳴りが改善されるケースもあります。
トラックのクラッチの使用限度(寿命)の目安は?
トラックに搭載されているクラッチの使用限度は、一般的には約7~8年で到達する100,000kmが目安だと言われています。しかしトラックの使用状態やドライバーのクラッチワークなどで使用限度は変化するので、仮に100,000kmに達していない場合でも慢性的なギア鳴りがあるのであればクラッチ交換を検討してみましょう。
トラックのクラッチ交換に必要な費用の目安は?
クラッチ交換はクラッチディスクだけの交換ではなく、クラッチカバーやレリーズベアリングなど付帯装置も交換するのが一般的で、これらの交換には部品代と交換工賃が必要となります。トラックのメーカーやモデル車両区分によって異なりますが、クラッチ交換は通常150,000~300,000円の費用が必要となります。
トランスミッションが原因のギア鳴りは事態が深刻?乗り換えの必要も!
既にふれたとおりトラックからのギア鳴りが慢性的に発生する状態は、クラッチの遊びの不具合やクラッチ盤の摩耗で発生するケースもありますが、トランスミッションに深刻なトラブルが発生する前兆として生じるケースもあります。トランスミッションは高価なパーツのためトラブルが生じた際の修理費用も馬鹿にできないほど高価になる傾向にあります。
修理費用が高価な場合は乗り換えが効果的なケースも!
トラックに搭載されるパーツの中でエンジンとトランスミッションは、車両の心臓部と言っても過言ではない非常に重要なパーツで価格も高価です。例えばギア鳴りが特定のギア段で発生するケースではシンクロギアの摩耗が予想されますが、交換作業はトランスミッションの解体が必要となるため工賃が高額となり中古再生品を使用しても100,000~200,000の円費用がかかります。
摩耗が進んだトランスミッションは1ヶ所のパーツ交換を行っても、すぐに別の場所で不具合が生じる可能性があるので、思い切って乗り換えた方が結果的に安く上がる可能性もあります。
中古トラック販売店で取り扱われる中古トラックはギア鳴りしない?
中古トラック販売店では新車同様からリーズナブルな低年式まで、さまざまなトラックが取り扱われています。走行距離の多い車両や低年式車はメンテナンス履歴を確認して購入を検討する必要がありますが、以前のように「中古トラックはコンディションが悪い」ということは無くなりつつあると言えます。
中古トラック市場の車両コンディションの平均値は飛躍的に向上した!
製造技術が未熟だった当時は中古車両の品質に問題があったのも事実で、頑丈に作られたトラックも例外ではありませんでした。しかし製造技術が飛躍的に向上した現在、トラックの耐久性も向上し現在のトラックは昔より遥かに故障が少なくなってきています。
また経済成長と共に「トラックは乗り潰す」というスタイルから「計画的にトラックを乗り換える」というスタイルが主流となったことも、中古トラック市場に流入する車両コンディションの向上を促す理由だと考えられます。
幅広い車両価格や納車までの期間などの魅力がある中古トラック
トランスミッションのトラブルで突然トラックが動かなくなると、予定している仕事をこなすことができなくなり信用を失うことになりかねませんが、トラックは納車までに時間がかかる傾向にあることから突発的な乗り換えが難しいのも事実です。
しかし、完成車両を取り扱う中古トラック販売店は納車までの期間が短く済み、突発的なトラック乗り換えに迫られても対応できる可能性が高いのが魅力です。また既述のとおり新車同様から低年式車まで幅広く取り扱う中古トラック販売店なら、予算に合わせたトラックの乗り換えを実現できるとも言えます。
まとめ
ギア鳴りはトラックのトランスミッションの悲鳴ですから、トランスミッションに負担をかけない方法で運転することがトランスミッションやエンジンの摩耗を減少し、使用限度を延ばすことに繋がります。
トラックのシフトチェンジに際に気を付けたいポイントは次の3つです。<
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- クラッチペダルの操作を丁寧に行ってクラッチに負担をかけない
- 正確なシフトチェンジを心掛けシフトミスを行わない
- 3減速時には補助ブレーキ併用し不要なシフトダウンを避け