エンジンがかからない!トラックのエンジントラブルの主な原因と応急処置方法とは?
トラブル発生リスク回避のために新車購入を選ぶ方も存在しますが、プロが車両コンディションを確認して車両を取り扱う中古トラック販売店を利用する限り、エンジントラブルの可能性は新車と比べて高いものではありません。
導入コストと納車までの期間の圧縮が可能である中古トラック販売店の利用は、効果的な車両導入手段としておすすめです。そこでトラックのエンジントラブルの主な原因と応急処置方法を紹介します。
トラックのエンジンがかからないトラブルとは?
トラックに乗り込み「さぁ、出発!」とキーを捻ってもエンジンがかからない時は、その後の予定が頭をよぎって焦ってしまいます。工業製品であるトラックは新車・中古車を問わず、ちょっとしたことが原因でエンジンがかからないエンジントラブルを発生させる可能性があります。
3つのエンジン始動条件が整わなければエンジントラブルが生じる
トラックのエンジンには始動条件が3つあり、始動条件が1つでも満たせていなければエンジンは始動せず「エンジンがかからない!」と焦ることになりかねません。エンジンの3つの始動条件を1つ1つ紹介します。
エンジン稼働用燃料
内燃機関であるエンジンはエンジン内に噴霧した燃料が燃焼して稼働するため、エンジン内部に稼働用燃料の供給が行わなければ動きませんので、エンジン稼働用燃料はエンジン始動条件の1つに挙げられます。
始動用動力
エンジン内でピストンが上下運動し、高圧になったエンジンシリンダー内に噴霧した燃料が燃焼する燃焼エネルギーがエンジン出力となります。エンジン稼働にはピストンの上下運動を発生させる始動用動力が必要となり、始動用動力もエンジン始動条件の1つに挙げられます。
動力稼働用エネルギー
稼働中のエンジン内では吸気・圧縮・爆発・排気が、ピストンの上下運動と連動して行われています。燃焼エネルギーがエンジン出力となることを既述しましたが、エンジンは爆発で生じる燃焼エネルギーでピストンが上下運動する構造となっているので、稼働用エネルギーとなるのは爆発時に生じる燃焼エネルギーです。
エンジン始動条件の1つ燃焼エネルギーはシリンダーヘッド内に燃料を噴霧・圧縮し、ガソリンエンジンの場合はプラグでの点火・ディーゼルエンジンは圧力による自然発火によって生じます。
エンジンがかからない原因はセルが回る場合と回らない場合で分類
エンジン始動条件の1つピストンの上下運動を発生させる始動用動力は、一般的にセルと呼ばれるセル・スターターによって供給されます。セルはエンジン始動には重要な要素ですので、エンジンがかからない場合はセルが回るか・回らないかで分類して原因究明を行います。
セルが回る場合の原因に該当するもの
セルが回るにもかかわらずエンジンがかからないトラブルの原因として考えられるものとして、燃料供給ライン・電装系・外的要素の3つがトラブルの原因となっている可能性が考えられます。
燃料供給系トラブル
セルが回るにもかかわらずエンジンがかからない原因の1つに、燃料供給系のトラブルが考えられます。燃料タンク内の燃料が切れているガス欠や燃料フィルターの目詰まり、燃料供給用パイプのトラブルなどが該当します。
電装系トラブル
ガソリンエンジンでセルが回るにもかかわらずエンジンがかからない原因として、点火系統の電装系トラブルの可能性も考えられます。単純に点火プラグに接続するケーブルが外れているケースや点火系のヒューズが飛んでいるケースもあります。
外的要素
外気温が低すぎるなどの外的要素も、セルが回るにもかかわらずエンジンがかからないトラブルの原因として挙げられます。外気温が下がる冬場に長期間エンジンをかけていなかったトラックは特にエンジンのかかりが悪くなる傾向にあります。
セルが回らない場合の原因に該当するもの
エンジンをかけようとしてキーを捻っても、セルが回らずエンジンがかからないトラブルの原因としては、電源トラブルか始動動力のトラブルが考えられます。
電源トラブル
トラックのエンジンがかからないトラブルの原因としてガス欠の次に多いのが、バッテリー上がりによる電源トラブルです。経年劣化で能力が下がったバッテリーや発電機であるオルタネーターの故障で充電できなくなった場合に発生するトラブルです。
始動用動力トラブル
キーを捻るとメーターパネル内の表示灯や警告灯が正常に作動し、エアコンも動くもののエンジンがかからない場合、トラブルの原因となっているのがセル・スターターであるケースが考えられます。単純にギアを噛んで回らないこともありますが、何度キーを捻っても反応がない場合はセル・スターターを疑うべきだと考えられます。
エンジンがかからない場合の応急処置法は?
トラックのエンジンがかからないトラブルが発生すると「どうしようもない」と途方に暮れてしまいそうになりますが、意外とセルフリカバリーできる場合もあるのですぐ諦めるのではなくエンジン始動に向けていくつかの方法を試してみましょう。
セルフリカバリーできるトラブルとは?
トラックのエンジンがかからない場合でもセルフリカバリーできるケースが存在します。次に挙げる3つのトラブルの場合はセルフリカバリーできる可能性があります。
- 電装系のトラブル
- セルモーターのトラブル
- 燃料系のトラブル
上記3つのトラブルが生じた際のセルフリカバリーの方法を次項で具体的に紹介します。
電装系トラブル
電装系の元となるバッテリーが上がっている場合は、近くの車(24Vのトラック)から24V用ブースターケーブルを使用して電気を分けてもらうジャンピングスタートでエンジンを始動させます。
バッテリー上がりがトラブルの原因でない場合はヒューズ類のチェックをしてヒューズが飛んでいる場合は交換します。ガソリン車の場合点火プラグや接続ケーブルの確認も行います。
1999年以降のモデルにはクラッチスタートシステムが搭載されており、スイッチの接触でセルが回らないケースもあるのでクラッチの奥のスイッチの確認も行います。
セルモーターのトラブル
セルモーターのトラブルが原因でトラックのエンジンがかからない場合は、ギアが噛んでセルが回らない場合もあるので何度かキーを捻ってセルを回してみます。これで回らない場合はキャブを起こしてエンジンルーム内のセル・スターターを鉄の棒などで軽く叩くと叩いた衝撃でセル・スターター内部のマグネットが飛び出してセルが回るケースがあります。
燃料系トラブル
エンジン稼働用燃料が供給されないトラブルの原因で最も多いのが、単純なようですが一般的にガス欠と呼ばれる燃料切れです。ガス欠が確認できれば給油を行えばエンジンがかかりますが、ディーゼルエンジンの場合は燃料ラインにエア噛みが発生し、給油してもエンジンがかからないケースがあるので、エア抜きを行います。
ガス欠でない場合でも同様に燃料ラインがエア噛みを起こしていることもあるので、エア抜きを試してみるのも良いでしょう。
セルフリカバリーできないトラブルとは?
既述したセルフレスキューでエンジンがかからない場合は、整備工場など専門家に修理を依頼することをおすすめします。自力で何とかしようとエンジンルーム内をひっかき回しても、なかなか効果が上がることはなく残念ながら時間と労力の浪費に終わってしまう結果に繋がる傾向にあります。
セルフリカバリー後は必ず専門家に修理を依頼すること
セルフリカバリーでエンジンが始動した場合でも、エンジンがかからないトラブルが発生したことは事実ですから、エンジン始動後整備工場などに持ち込み専門家にチェクしてもらうことをおすすめします。
セルフリカバリーの方法は、知っておけばいざという時に役立つサバイバルテクニックですので日常点検の際にバッテリー・ヒューズボックス・セルスターター・燃料のエア抜き弁の位置などを確認しておくと良いでしょう。
しかしセルフリカバリーはあくまでも応急処置であり、セルフリカバリー後はトラブル再発の可能性を秘めた危険な状態であることを理解しておいて下さい。
エンジントラブル回避には管理体制の整った中古トラック販売店の利用がおすすめ
始業時や業務中にエンジンがかからないトラブルが発生すると、その後のスケジュール全てに狂いが生じてまさに大惨事になると言えます。しかしエンジンがかからないトラブルは突然降りかかる災難ではなく、バッテリーが弱っている場合はヘッドライトの光量が落ちたりセル・スターターの回転がおかしいなどの前兆があります。
エンジントラブルではあるもののエンジン本体に問題があるケースは極めて稀で、メンテナンスを行っていれば回避できる類のトラブルだとも考えられます。つまり、プロが車両コンディションを確認する管理体制が整った中古トラック販売店で取り扱われる中古トラックでは、エンジンがかからないというトラブルの発生リスクは低いと言えるでしょう。
購入コストを抑え納車までの期間が短く良好なコンディションの中古車両をお得に購入できるのが中古トラック販売店ですので、車両乗り換えなどの際には中古トラック購入を視野に入れてみては如何でしょうか?
まとめ
トラック始動の際にエンジンがかからないトラブルが発生すると愕然としてしまいますが、セルフリカバリーできるケースもあるのでエンジンがかからなかった場合の対策を取ると共に諦めないでエンジン始動に挑戦してみて下さい。
エンジンがかからない場合のセルフリカバリーのポイントは次に挙げる3点です。
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- 電装系確認後、バッテリー上がりならジャンピングスタートで始動
- セル・スタータートラブルは本体を軽く叩いて始動してみる
- 燃料系トラブルはガス欠と燃料ラインのエア噛みを疑ってみる