ダンプカーの種類と故障が多い部位。中古ダンプ購入時のチェックポイントとは?
荷台を持ち上げる特別な装置が搭載されるため、ダンプは一般的なトラックより車両価格が高価になりますが、中古トラック市場で活発に取引されているのでダンプの購入は中古トラック販売店の利用がおすすめです。
中古ダンプ購入前に知っておきたいダンプカーの種類や気になるあおりのタイプ、中古トラック市場で人気のメーカーやモデル、ダンプカー購入の際のチェックポイントや特有の故障箇所などを紹介します。
一般的な5種類のダンプカーとは?
荷台を持ち上げ積み荷をドサッと一気に下ろせるダンプは、英語でモノを一気に下ろすことを指すDump(ダンプ)が名前の由来となっている作業車両で、10種類以上ものダンプカーが存在します。
国内で一般的なダンプカーは5種類
世界的にみると10種類以上ものダンプが存在しますが、国内で目にする機会のあるものや認知度の高いダンプカーは次に挙げる5つだと言えるでしょう。
リアダンプ
最も馴染みのあるダンプは積み荷を車両後方に流し下ろすリアダンプで、国内で運行するダンプの多くがリアダンプだと言えます。
サイドダンプ
積み荷を車両後方に流し下ろすリアダンプに対して左右に荷下ろしができるタイプのダンプはサイドダンプと呼ばれます。
三転ダンプ
リアダンプとサイドダンプの機能を兼ね備えたタイプが三転ダンプで、車両の左右と後方の三方に自在に荷下ろしができるダンプです。
重ダンプ
人の身長の何倍もある巨大なタイヤを装着し20~300トン以上もの積載量を誇るのが重ダンプです。国内では公道を走行できず鉱山などで使用されるもので目にする機会がほとんどないダンプカーだと言えます。
ローダーダンプ
荷台を持ち上げるダンプ機能に荷台を車両後方にスライドさせる機能を追加したのがローダーダンプで車両運搬などに用いられます。
ダンプに搭載される4種類のあおり
荷台が露出する構造のダンプカーは、荷台を囲むように搭載されているあおりで積み荷の落下や飛散を防止しています。あおりの高さは積載容量の大きさに直結し、あおりの高いダンプは深ダンプと呼ばれ一般的なダンプとは扱いが異なります。
ダンプに搭載されるあおりは次に挙げる4つに分類することができます。
板チョコあおり
あおり内部を四角形の枠で細かく仕切り板チョコのような外観のあおりが板チョコあおりです。ダンプに採用されるあおりの中では最も一般的なタイプのものだと言えるでしょう。
額縁あおり
枠で囲んであおりを縁取りしたような形状が額縁を連想させることから額縁あおりと呼ばれます。スッキリとしたデザインで人気が高いあおりだと言えます。
船底あおり
あおりの底に荷台の内側に向かった傾斜が付けられているタイプで、車両後部から見ると船の断面のように見えることから船底あおりと呼ばれます。垂直のあおりと比べると土砂がヘバリ付きにくいため土砂ダンプに多く用いられています。
面一あおり
あおりの表面に凹凸が出ないよう1枚板で作られたあおりで、シンプルな外観が人気のドレスアップに用いられるタイプです。
あおりの高さで見分けられる土砂禁ダンプとは?
既にふれたように背の高いあおりを搭載したダンプは深ダンプと呼ばれます。積載容積が通常のダンプより大きな深ダンプは土砂を積むと過積載となるため土砂の積載が禁止される土砂禁ダンプと呼ばれています。
土砂禁ダンプに積載できるのは発砲スチロールや空のペットボトルなど容積の割に軽量な積み荷のみとなっています。
最も負荷がかかるダンプのシリンダー部は故障発生率が高い!
重量のある積み荷を積載したダンプのサスペンションや駆動系には大きな負荷がかかりますが、サスペンションにかかる積載重量は分散されますし駆動系には強度があり耐久性の高いものが搭載されるので、故障の発生率はそれほど高くありません。
実はダンプの中で最も酷使されているのは荷台を持ち上げるシリンダー部分で、シリンダー部分のトラブルがダンプの故障の大部分を占めていると言えるでしょう。重量のある荷台を持ち上げるためにシリンダー内は非常に高圧となるためシリンダーキャップのオイルシールが劣化します。
オイルシールを交換すればトラブルは解消しますが積み荷が乗った状態では修理できないため、積み荷を降ろしてから作業開始となります。シリンダー部の修理費用はメーカーや年式、モデルによって異なるので一概に目安金額が算出できません。
定期的にシリンダーのメンテナンスを行うことがトラブル回避のポイントとなります。
中古トラック販売所で行うべき中古ダンプのチェックポイントは?
ダンプカーの導入コストを抑えるのには中古ダンプの購入が効果的ですが、ダンプは特殊な機能を搭載する作業車両だけに一般的な中古車両とは異なるチェックポイントが存在します。
車両本体のチェックポイント
ベース車両に搭載したダンプ機能がダンプカーの特徴ですが、貨物自動車であるダンプカーはベース車両のコンディションの確認も重要です。
ベース車両の車両区分や年式
ベース車両の車両区分はダンプの維持費用や運転に必要となる免許区分にも影響するので、購入前にしっかり確認すべき重要なポイントです。また、排出ガス規制への適用や燃費機能は高年式の車両が優れているので、できるだけ高年式の中古ダンプを選びたいものです。
最大積載量
ダンプは重量のある積み荷を運搬することが多い車両ですので、購入予定の車両の最大積載量は確実にチェックする必要があります。また荷台寸法から積載容積を算出し主な積み荷の比重を参考にどの位の高さまで積み込めば何トンの重さになるのかを掴んでおくことも過積載回避には効果的です。
各部のオイル漏れや滲み
車両の下回りにオイル漏れや滲みがないかを確認するのも重要です。オイル漏れがある場合は車検を通過できない場合もあります。また荷台下のシリンダー部分も確認してオイル漏れや滲みが発生していないかの確認も行うべきだと言えるでしょう。
PTOの起動状態
ダンプの荷台を持ち上げる原動力はエンジン出力をPTOで取り出して賄います。PTOが機能しなければ荷台を持ち上げることができませんので、何度か起動と停止を繰り返して間違いなくPTOが稼働するかを確認します。
荷台部分のチェックポイント
ダンプカーの名前の由来となる機能である稼働する荷台も確認しますが、稼働状況だけでなく荷台の床板やあおりなど荷台全体の確認が必要です。
ダンプ方式の種類
荷台を持ち上げ方で荷下ろしの方向が異なることは既に紹介しました。リアダンプが最も一般的な車両となりますが念のためにダンプ方式は確認しておきましょう。
床板の厚み
荷台の床は積み荷の重量が直接かかる部分ですので、床板は丈夫であるべきですが鋼製の床板が厚すぎると床板の重みで最大積載量が少なくなるので購入前に確認しておきましょう。
あおりの素材や高さ
あおりの素材は最大積載量に影響します。軽いアルミ製のあおりでは土砂の積載に不向きであることから、あおりの素材確認は中古ダンプ車両選定のポイントの1つです。また高さのあるあおりは既に紹介したとおり土砂禁車両になるので高さも確認しておきます。
自動開閉シートの有無
あおり上部に装着し走行時に閉じることで積み荷の落下や飛散を防止するのが自動開閉シートです。搭載していれば使い勝手がいい機能ですので、選択できるのであれば自動開閉シート搭載車両を選ぶことをおすすめします。
ゲート部の形状
ダンプのゲートにはFゲートとLゲートと呼ばれるタイプが存在しますが実はどちらのゲートも同じもので、下付き上開きで荷台とあおりがフラットになるので積み荷が流れ出しやすいのが特徴です。
上付き下開きのゲートの場合はあおりよりも背の高い岩などが引っかかって流れ出ないことがあるのでFゲートとLゲートのダンプが人気です。
中古トラック市場で人気の高いダンプのメーカーとモデルは?
新車価格が高額となるダンプの購入コストを抑えるためには、中古トラック販売店の利用がおすすめです。数多く存在する中古ダンプの中でも人気の高いメーカーとモデルを紹介します。
日野自動車
日本を代表する商用車両専門メーカーが日野自動車です。ダカールラリーへの連続参戦が裏打ちするエンジンの耐久性の高さと国内に展開する整備拠点の多さで多くのドライバーに支持されています。
レンジャー
1964年発売の初代から55年以上ものロングセラーを続ける日野の車両総重量8~20トンクラスの中型トラックシリーズが「レンジャー」です。2015年発売の現行モデルは高い安全性能と環境性能を搭載した6代目でカタログモデルにダンプも用意されています。
いすゞ自動車
乗用車や国内向けSUV生産から撤退し2002年からトラックメーカーへ転向したいすゞは、従来から「ディーゼルのいすゞ」の異名を持つほどディーゼルエンジンの開発力に秀でたメーカーです。
エルフ
1959年から60年ものロングセラーを続けるいすゞの小型・中型トラックシリーズのエルフには、ディーゼルのいすゞが開発する最新ディーゼルエンジンを搭載するダンプがラインナップされています。
三菱ふそう
三菱は1917年に三菱造船として設立されて以来、三菱日本重工業(三菱重工業)・三菱自動車工業と名称を変えながら商業用車両を生産し続けてきました。2003年からは商用車両専門メーカーとして分離した三菱ふそうがトラックの製造販売を行っています。
キャンター
1963年から50年以上のロングセラーを続ける三菱の小型トラックシリーズが「キャンター」です。力強い走りと低燃費を実現させた人気モデルの現行8代目のカタログモデルにもダンプが用意されています。
まとめ
中古トラック販売店を上手に利用してダンプの導入を実現したいものですが、中古ダンプの購入時には次のポイントを十分確認するべきだと言えます。
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- あおりの高い深ダンプは土砂の積載ができない土砂禁ダンプ
- 床板の厚さやあおりの素材・高さに注意
- ゲート形状はFゲート・Lゲートがおすすめ