トラクターやクレーン付きは運転免許だけでは運転できない!運転に必要な免許とは?
普通免許では運転可能なトラックが非常に限られることから、トラックを運転するには5トン・8トン限定の準中型免許・準中型免許・中型免許・大型免許の取得が必要となります。しかしトラクターなど一部のトラックの運転には運転免許以外に特別な免許が必要となりますし、クレーン付きトラックのクレーンの操縦にも特別な免許が必要となるなど、運転免許以外に特別な免許や資格が必要となる車両は少なくありません。トラクターの運転やクレーン付きトラックのクレーン操縦時に必要となる運転免許以外の特別な免許や資格を紹介します。
改正道路交通法で免許区分が細分された免許区分で運転可能なトラックとは?
トラックを運転する際に運転するトラックの車両区分の運転資格を有する運転免許を取得していない場合は道路交通法違反として処分の対象となります。改正道路交通法によって特に中型トラックの運転が可能な免許区分が複雑化していますので以下の表で各免許区分の運転可能なトラックを確認してください。
免許区分 | 車両総重量 | 最大積載量 | 乗車定員 |
普通免許 | 3.5トン未満 | 2.0トン未満 | 10人以下 |
準中型免許(5トン限定) | 5.0トン未満 | 3.0トン未満 | 10人以下 |
準中型免許 | 7.5トン未満 | 4.5トン未満 | 10人以下 |
中型免許(8トン限定) | 8.0トン未満 | 5.0トン未満 | 10人以下 |
中型免許 | 11.0トン未満 | 6.5トン未満 | 29人以下 |
大型免許 | 11.0トン以上 | 6.5トン以上 | 30人以上 |
許可された車両区分以上の運転は条件違反?無免許運転?
取得した免許区分以上のトラックを運転した場合、道路交通法違反として処罰されることは既に紹介しましたがこの処分にも条件違反と無免許運転が存在し、処分が大きく異なることも免許区分と運転可能なトラックの関係を複雑にしています。
運転免許の条件違反とは?
運転免許の交付の際には条件付き交付があり「眼鏡等」や「中型車(5トン・8トン)に限る」などが知られています。条件付きの交付を受けているにもかかわらず、メガネを忘れたり、仮に8トン限定の交付で積載量5トン以上の中型車を運転した場合は「免許条件違反」として処罰されます。
無免許運転とは?
自動車運転免許を取得し更新し続けている場合でも無免許運転で処分されるケースも存在します。判りやすい例を上げれば2017年の法改正後に普通免許を取得したドライバーが積載量4トンのトラックを運転した場合は、運転資格を持たずに運転したこととなるため「無免許運転」として処罰されます。
トラクターの運転やトレーラーでの移送に必要となる特別な免許とは?
トラクターと呼ばれる車両には農作業に用いられる農耕車両と、トレーラーを牽引する車両が存在します。農地などの私有地内であればトラクターの運転に免許の取得は必要ありませんが、公道を走る場合には次に挙げる特別な免許が必要となります。
公道で大型トラクターを運転するのに必要な大型特殊免許
小型トラクターであれば普通免許に付帯する小型特殊免許で公道を運転することは可能ですが、トラクターが下記のいずれかに該当する場合は大型特殊免許が必要となります。
・最高速度15km/h以上
・高さ2m以上
・幅1.7m以上
・長さ4.7m以上
運送業務に用いられる大型トレーラーを牽引するトラクター(トレーラー・ヘッド)の場合は特殊車両ではないため、トラクターのみの走行であれば、大型免許を取得していれば運転可能です。
大型特殊は特殊車両の運転が対象となるためホイールクレーン・ホイールローダー・フォークリフト・ターレット・トラック(ターレー)・田植機など一般的に作業車両・特殊車両と呼ばれるものの運転が該当します。
自走できないトレーラーを引きながら公道を走る際にはけん引免許が必要!
トラクターの搬送やトラクターにトレーラーを付けて走行する際に、総重量が750kg未満であれば必要ありませんが、750kgを超えるトレーラー(被けん引車)の場合は牽引するためにけん引免許が必要となります。
運送業務に用いられるトレーラーは通常750kg以上であるため、トレーラーを牽引したトラクターの運転には大型免許と牽引のための特別な免許であるけん引免許の取得が必要となります。トレーラーが小型や中型の場合は普通免許や準中型、中型免許でもけん引免許を取得することでけん引は可能となりますが、トレーラーは大型トラックでなければ牽引できないため大型免許とけん引免許のセットが一般的です。
運転免許では運転のみ!クレーンの操縦には特別な免許や資格が必要!
身近な作業車両としてユニック車と呼ばれるクレーン付きトラックが挙げられますが、クレーン付きトラックの運転とクレーンの操縦は異なる免許や資格が必要となります。また大型クレーン車も同様に運転とクレーン操作は異なる免許や資格が必要となります。
クレーン付きトラックやクレーン車の運転に必要となる免許とは?
トラックの荷台にクレーンを搭載したクレーン付きトラックの運転は、トラックの車両区分にあった運転免許が必要となり、現実的には中型免許・大型免許の取得が条件となると言えます。
またクレーン車を搬送するだけであれば既述した大型特殊免許を取得していれば、公道走行が可能です。しかしクレーン付きトラックもクレーン車も現場での作業が求められるため次に挙げる特別な免許や資格が必要となります。
移動式クレーン運転特別教育
操作するクレーンの吊上げ荷重が1トン未満の場合「移動式クレーン運転特別教育」を受け修了証を取得すればクレーンの操縦を行える有資格者となります。
移動式クレーン運転技能講習
操作するクレーンの吊上げ荷重が1トン以上5トン未満の場合「移動式クレーン運転技能講習」を受講し修了証を取得すればクレーンの操縦を行える有資格者となります。
移動式クレーン運転士免許
上記2つの資格と異なり学科試験と実技試験の合格者にのみ交付される国家資格で、吊上げ荷重が5トン以上のクレーンを操縦できる免許です。クレーンオペレーターは大型特殊免許と移動式クレーン運転士免許の取得が必須だと言えます。
まとめ
道路交通法改正によって免許区分が複雑になりましたが、次のポイントを押さえておけば条件違反や無免許運転で処罰を受けることを回避できます。
またクレーン付きトラックやクレーン車のクレーンの操縦には特別な免許や資格が必要となり、自動車運転免許の取得だけではクレーンの操縦が行えません。
しかし必要とされる上記条件を満たせばトラクターやクレーン付きトラックの運転、クレーンの操縦などが可能となるので、積極的に免許や資格の取得に挑戦してみるべきではないでしょうか。
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- 準中型免許・中型免許、大型免許など車両区分にあった免許が必要
- 小型トラクター以外の特殊車両の運転には大型特殊免許の取得が必要
- 750kgを超えるトレーラーのけん引にはけん引免許の取得が必要
- クレーン付きトラックの運転は中型免許、大型免許で行える
- クレーンの操縦には吊上げ荷重によって異なる資格取得が必要
- 吊上げ荷重5トンを超えるクレーンの操縦には特別な免許の取得が必要