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大型特殊免許で運転できる車両(大型特殊自動車)|費用・日数・限定解除方法

ショベルカー 24061401

大型特殊免許でどのような車両が運転できるのか疑問に思っている人は多いのではないでしょうか?大型特殊免許を所持していると、フォークリフトやショベルカー、農耕用トラクターなどさまざまな車両を運転できます。
本記事では、大型特殊自動車の定義や大型特殊免許で運転できる車両、免許の取得方法などを説明します。限定解除の方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

大型特殊自動車とは?


大型特殊自動車とは、小型特殊自動車の規格に適合しない特殊自動車のことです。
フォークリフトやクレーン車といった特定の業務で使用する大型の車両が該当します。
大型特殊自動車は、次の2種類で定義されています。

・道路交通法:運転免許などに関わる法律
・道路運送車両法:車検・登録・強制保険などに関わる法律

定義の違いを解説します。

道路交通法上の大型特殊自動車の定義


道路交通法上の大型特殊自動車の定義は、以下のとおりです。

自動車の種類 長さ・幅・高さ 最高時速
大型特殊自動車 小型特殊自動車の規格をこえるもの 小型特殊自動車の規格をこえるもの
小型特殊自動車 4.7m以下・1.7m以下・2.0m以下 15km以下

(参考元:国土交通省「自動車の種類」)

道路交通法では、車体のサイズと最高時速によって、大型と小型に分類されます。長さ×幅×高さが4.7m×1.7m×2.0mを超えており、最高時速が15キロメートルを超えている特殊自動車は、大型特殊自動車です。

道路運送車両法上の大型特殊自動車の定義

道路運送車両法上の大型特殊自動車の定義は、以下のとおりです。道路交通法のように、農耕用とその他の用途での区分けはありません。また、車体のサイズ基準も若干異なります。

自動車の種類 車輪数 長さ・幅・高さ エンジン排気量
大型特殊自動車 制限なし 制限なし 制限なし
小型特殊自動車 農耕作業用 制限なし 制限なし 制限なし
荷役運搬・土木建設作業用 制限なし 4.7m以下・1.7m以下・2.8m以下 制限なし

(参考元:国土交通省「自動車の種類」)

道路運送車両法では、農耕トラクターなどの農耕作業用の特殊自動車は小型特殊自動車に分類されます。ただし、最高速度時速35キロメートル未満に限定されており、これを超えると大型特殊自動車扱いです。

フォークリフトやショベルカーなど、荷役運搬や土木建設作業用の自動車には、車体の大きさに制限があります。また、最高速度は時速15キロメートル以下に限定されます。
荷役運搬や土木建設用の場合、長さ×幅×高さが4.7m以下×1.7m以下×2.8m以下かつ、最高速度時速15キロメートル以下の規定に当てはまらなければ、大型特殊自動車です。
(参考元:長岡市「大型特殊自動車と小型特殊自動車」)

大型特殊免許とは?


大型特殊免許(大型特殊自動車免許)は、大型特殊自動車を「公道」で運転できる免許です。工事現場などで作業する場合は、別途その作業に合った作業免許を取得する必要があります。

例えば、フォークリフトの操縦には、最大積載重荷1トン未満であれば「フォークリフトの運転の業務に係る特別教育」、1トン以上であれば「フォークリフト運転技能講習」を受けなければなりません。その他、建設機械の操縦には、労働安全衛生法に基づく運転技能講習の終了が義務付けられています。

大型特殊免許とあわせて取得した方が良い作業免許は、次のとおりです。

・けん引免許
・フォークリフト運転技能者
・運航管理者

作業免許の取得は、教習所や試験場で取得するものではありません。規定の時間にある講習を受ければ、交付されます。

しかし、教習所によっては、大型特殊免許と作業免許がセットで取得できる場合もあります。もし、作業免許の取得も目指している方は、教習所に合わせて確認しましょう。

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フォークリフト免許の取得手順・費用・日数とは?あれば便利な資格取得までの流れを徹底解説!
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大型特殊免許で運転できる車両


大型特殊免許を所持していると、道路交通法で定義された次の3種類の車両を運転できます。

・大型特殊自動車
・小型特殊免許
・原付自転車

また、運転できる車両条件は、次のとおりです。

車両条件
【長さ×幅×高さ】12m以下×2.5m以下×3.8m以下
【最高時速】15km超

ただし、運転できるのは、農業や工事などの業務で使用する重機と呼ばれる車両に限ります。トラックやバス、タンクローリーなどの大型自動車は、大型特殊免許ではなく大型免許の取得が必要です。
普通自動車を運転する場合は、車両に合わせ「普通免許」「準中型免許」「中型免許」「大型免許」のいずれかを取得しましょう。

それでは、大型特殊免許で運転できる3種類の車両を解説します。

大型特殊自動車

大型特殊自動車は、全長12m、全幅2.5m、全高3.8m以下の車両です。主に3つの現場で扱われます。

・農耕
・工事
・路面整備

大型特殊自動車の代表的な車両を紹介します。

フォークリフト

フォークリフト
フォークリフトとは、荷物の運搬や積み下ろし作業に用いられる車両です。
車両の前側に付いてる「フォーク」と呼ばれる2本の棒で荷物を持ち上げ、移動させます。「パレット」と呼ばれる荷物を乗せる板にフォークを差し込み、上下させることで、大量の荷物を一度に動かすことが可能です。

トラクター

トラクター
トラクターとは、農作業で用いられる車両です。
トラクターは、アタッチメントの交換をすると、田植えや草刈り、畝立てなどの農作業ができます。かつては、牛や馬が重い肥料や土など農業資材の運搬に利用されていました。現代では、トラクターがその役割を務めています。

ホイールローダー

ホイールローダー
ホイールローダーとは、工事現場や採石場などで用いられる車両です。除雪作業に用いられる除雪車も該当します。ホイールローダーは、車両の前方に大きな「バケット」が付いており、がれきや石などをすくえます。対象物を掬ったバケットをアームで持ち上げ、別の場所やトラックの荷台に移動させます。

ショベルカー

ショベルカー 24061402
ショベルカーとは、主に建設現場で用いられる車両です。車両の前側に長いアームが取り付けられており、その先にバケットが付いているのが特徴です。建設現場で、地面の穴を掘ったり、均したりするために使います。

小型特殊自動車

小型特殊自動車
小型特殊自動車とは「全長4.7m以下、全幅1.7m以下、全高2.0m~2.8m以下、最高速度時速15m以下」の車両を指します。
田植えなどの農耕作業や工場、作業場で用いられる小型の自動車です。

原動機付自転車(原付)

原動機付自転車(原付)
原動機付自転車(原付)は、総排気量が125cc以下または定格出力が1.00kw以下の二輪車、もしくは総排気量が50cc以下または定格出力が0.6w以下の三輪以上の車両です。
街中で走っている小型のスクーターなどが原動機付自転車に当てはまります。

大型特殊免許の受験資格


大型特殊免許を取得するためには、下記の条件を満たしている必要があります。

条件 内容
年齢 18歳以上
視力 両目:0.7以上
片目:左右ともに0.3以上※左右どちらかの目が視力0.3以下のときは、片方の目の視野が150度以上あること
※メガネやコンタクトによる矯正可
色彩識別 赤・黄色・青の識別ができる
聴力 10mの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえる
※補聴器使用可
運動能力 ・運転に支障を及ぼす恐れがある障害がない
・補助手段を講ずることで運転に支障を及ぼす恐れがないと認められる

普通免許の取得条件と、おおむね同じような内容です。
また普通免許を取得していなくても、大型特殊免許は取得できるため、上記の条件さえ満たしていれば誰でも取得を目指せます。

大型特殊免許の取得方法

大型特殊免許の取得方法を紹介します。
大型特殊免許を取得するには、3つの方法があります。

  1. 教習所に通う
  2. 合宿免許で教習を受ける
  3. 一発試験を受ける

3つの取得方法の日数、費用、メリットを表にまとめました。

取得方法 教習所 合宿 一発試験
日数 4〜17日 4日以上 約9日
費用 100,000〜200,000円 約100,000円 6,100円
(試験手数料+交付手数料+車両使用料)
メリット ・仕事と両立しやすい
・自分のペースで免許取得が可能
・免許の短期取得が可能 ・費用を削減できる

①教習所で大型特殊免許を取得する方法

大型特殊免許を取得する方法として、もっとも一般的なものは、教習所に通う方法です。
教習所選びの際は、大型特殊免許の取得に対応しているスクールかどうかを確認しましょう。
日数は、4〜17日で卒業検定まで修了できます。しかし、仕事をしながら教習所に通う場合、予定が合わずスムーズに予約が取れない可能性が高いです。教習所に行くペースが遅ければ、その分取得が遅れますが、生活リズムに合わせて自分のペースで通えるメリットがあります。

また、路上教習や仮免許がないことも特徴です。教習所のコースを利用して卒業検定までを実施します。

②合宿免許で大型特殊免許を取得する方法

合宿免許は、開始から卒業検定まで約4日間で完了する場合が多いです。連休を取得できるなら、合宿免許に参加すれば、教習所に通うよりも早く教習が終わります。
合宿免許も、教習所に通う方法と同様に、実際に運転の練習ができます。免許取得後、現場で運転するときに安心です。

③ 一発試験で大型特殊免許を取得する方法

最後に、一発試験について説明します。一発試験とは、教習所や合宿で運転免許教習を受けず、免許試験場で直接試験を受ける方法です。
一発試験には、免許取得にかかる費用が大幅に抑えられるメリットがあります。
運転に自信がある方や、どうしても費用を節約したい方はチャレンジしてもよいかもしれません。ただし、運転の練習をせず試験に望むことになるので、合格率は自動車学校を卒業した場合と比べて低い傾向です。一発試験とは、教習所や合宿で運転免許教習を受けず、免許試験場で直接試験を受ける方法です。
一発試験は、免許取得にかかる費用を大幅に抑えられるメリットがあります。
運転に自信がある方や、費用を節約したい方はチャレンジしてもよいかもしれません。ただし、運転の練習をせず試験に望むことになるので、合格率は自動車学校を卒業した場合と比べて低い傾向です。

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大型特殊免許を取得するために必要な日数や費用、コツなどを徹底解説!どんな車が該当するの?

大型特殊免許の取得費用

取得方法 教習所 合宿 一発試験
普通免許あり 約100,000円 約100,000円

※合宿時期などにより大幅な変動あり

6,100円(試験手数料+交付手数料+車両使用料)
普通免許なし 約200,000円 なし

大型特殊免許の費用は、普通免許の取得有無、またどのような形で免許を取得するかによって変動します。
また、通う教習所や合宿の場合は、時期などによっても費用は変わってくるので、それぞれの平均的な費用としてみてください。

大型特殊免許の取得日数

取得方法 教習所 合宿 一発試験
普通免許あり 最短4日間 4日間 約9日間

大型特殊免許の取得日数も取得方法によって変わってきます。一番早い方法は、合宿で取得する場合です。多くの合宿所では約4日間で大型特殊免許が取得できます。
教習所の場合も最短4日間で取得できますが、教習所に通う以外の都合もある場合、必ずしも4日間で取得できるとは限りません。

大型特殊免許の限定解除について


大型特殊免許には「農耕車限定」や「カタピラ限定」「自衛隊車両限定」など、運転できる車両が限定されている場合があります。
限定解除の手続きをすると、幅広い種類の大型特殊車両を運転できるようになります。
本章では、限定解除するための条件や取得方法、費用などを解説します。

大型特殊免許の限定解除の取得条件

大型特殊免許の限定解除の取得条件は特にありません。運転歴や年齢など関係なく限定解除が可能です。

大型特殊免許の限定解除の取得方法

大型特殊免許の限定解除の方法は、通常の取得方法と同じく教習所に通うか、試験場にて一発試験をおこなう方法の2つがあります。
どちらも場内コースで卒業検定をクリアするだけで取得できます。

大型特殊免許の限定解除の費用

大型特殊免許の限定解除する際の費用は、教習所と一発試験で金額が大きく異なります。
教習所で限定解除する場合は、約80,000円で限定解除ができます。
ただし、教習所によっても金額は異なるので、気になる方は最寄りの教習所に問い合わせてみましょう。
一発試験で限定解除する場合、受験料と試験車使用料と合わせて2,850円で限定解除ができます。

大型特殊免許の限定解除の日数

大型特殊免許の限定解除の日数は、最短4日間です。
技能講習を6コマ受講し、卒業検定を受けて合格となれば限定解除となり、学科教習はないため、短い期間で限定解除が可能です。

大型特殊車両免許を取得するメリットと注意点


大型特殊免許を取得する際のメリット、注意点を紹介します。取得の検討時に参考にしてください。

大型特殊免許を取得するメリット

大型特殊免許の取得には、次のメリットがあります。

・仕事の幅が広がる
・免許取得時の費用を支給してもらえる可能性がある

運転できる車両区分が増える分、必然的に仕事の幅が広がります。キャリアアップにつながるのはメリットです。
他にも、教育訓練給付金制度を活用すると、免許取得にかかった費用を最大10万円ハローワークから支給してもらえます。

大型特殊免許を取得するときの注意点

大型特殊免許を取得後、特殊車両を所有するときに注意したいことが2つあります。

・小型特殊車両:公道走行をおこなわなくても軽自動車税の課税対象
・大型特殊車両:減価償却資産となり固定資産税の課税対象

特殊車両は、公道を走行しなくても課税対象となることです。そのため、必ずナンバープレートの交付を受けましょう。

大型特殊自動車のよくある質問

大型特殊自動車のよくある質問をまとめました。

大型特殊免許の取得は難しい?

2022年(令和4年)の大型特殊免許の合格率は以下のとおりです。

免許 受験者数 合格者数 合格率
大型特殊免許 70,480人 61,115人 86.7%
普通免許 1,578,541人 1,176,433人 74.5%

比較のために普通免許の合格者数と合格率を表に載せましたが、大型特殊免許の合格率は普通免許よりも高いです。
そのため、難易度としては、そこまで高くはないといえるでしょう。
ただし、一発試験で大型特殊の免許を取得しようとする場合は、合格率が大きく下がります。スムーズに取得を目指すのであれば、教習所や合宿に行って免許を取得するのがよいでしょう。
(参考元:運転免許統計|警察庁Webサイト)

大型特殊自動車は高速道路を走っても良いの?

高速道路では​​、農耕用特殊自動車など時速50キロメートル以上のスピードが出せない車両は走行できません。また、原則として、幅2.5m、高さ4.1m、長さ12m、総重量25tを超える車の走行を禁止しています。そのため、この規格を超える大型特殊自動車の場合、高速道路の走行はできません。
ただし、やむを得ないと認められる場合は、通行者の申請に基づいて、条件付きで認められる場合があります。

特殊自動車通行許可は、オンラインでも申請可能です。こちらの国土交通省の「特殊車両通行許可オンライン申請」から申請できます。
(参考元:国土交通書関東地方整備局「特殊車両通行許可制度について」)

大型特殊自動車の法定速度は時速何キロメートル?

大型特殊自動車の法定速度は、一般道で時速60キロメートル、高速道路で時速80kキロメートルです。大型貨物自動車と同じ速度規制が適用されています。違反時も、大型貨物自動車と罰則は同じです。

大型特殊免許の試験はどのような内容?

大型特殊免許を取得するには、学科試験と実技試験があります。普通自動車以上の免許を持っている場合は、学科試験は免除です。実技試験は、100点からの減点方式で採点されます。

実技試験は、具体的に以下のような項目が採点されます。

・乗車前の安全確認
・ミラーの確認やシートベルトの装着手順
・発進時の操作
・指示速度での直線コース走行
・右左折
・方向変換
・駐停車時の幅寄せ
・降車手順

こちらは、あくまでも一例です。詳しくは、運転免許教本などで学習しましょう。

大型特殊免許における、第一種と第二種の違いとは?

大型特殊免許における第一種と第二種の違いは、「旅客を乗せて走行するかどうか」です。

・第一種:旅客を乗せない大型特殊車両を運転するための免許
・第二種:営業目的で旅客を乗せる大型特殊車両を運転するための免許

現状日本では、第二種として利用される車両は、ほぼありません。そのため、免許取得者の多くは、第一種を取得しています。

まとめ

今回は大型特殊自動車で運転できる車両から免許の取得方法、限定解除の方法まで詳しく解説しました。大型特殊免許は、特定の作業で活用される重機を公道で走らせるための免許です。取得することで業務の幅が広がるのはメリットです。
ただし作業時に動かす際は、別途特定の免許が必要になることや、大型特殊免許を取得しても普通自動車の運転はできないことは把握しておきましょう。
本記事の要点をまとめると下記のとおりです。

  • 大型特殊自動車とは小型特殊自動車の規格に適合しない特殊自動車のことで、道路交通法と道路運送車両法の2種類の定義がある
  • 大型特殊免許でフォークリフト、トラクター、ホイールローダー、ショベルカーなどの車両が運転できる
  • 大型特殊免許は、その作業に合った作業免許も取得する必要がある
  • 大型特殊免許の取得方法は3つ
    ①教習所に通う②合宿に参加する③一発試験を受ける

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