雪道走行時のトラックに降りかかるリスクと雪道の安全走行のポイントを大紹介!
季節の移り変わりがある日本では春夏秋冬それぞれで美しい自然の風景を楽しむことができますが、同時に自然環境が大きく姿を変えることからトラックの走行環境も1年のなかで大きく変化すると言えるでしょう。
人によって季節の好き好きは存在しますがトラックを走行させるのに最も過酷な環境となるのが積雪や凍結が発生する冬であると考える方は多いのではないでしょうか?雪道走行時のトラックに降りかかるリスクと雪道の安全走行のポイントを紹介します。
雪道ではトラックの安全走行が困難となる
真っ白な雪原やきらめく樹氷が美しくスキーやスノーボードなどのウィンタースポーツを楽しむことができる冬の到来を楽しみにしている方も数多く存在しますが、一方で冬はトラックを運行させるのには難しい季節でもあります。
摩擦係数が低下する雪道や凍結路はトラックのコントロールが困難となることはイメージしやすいですが、雪道や凍結路の走行以外にも冬は安全なトラック運行に支障をきたす現象が数多く発生>します。
冬場にはトラック始動時から危険が潜んでいる
冬は日常風景が一夜にして雪景色に姿を変えることが珍しくありませんが、雪の存在はトラック始動に決してプラスには働きません。低温状態ではエンジン始動が困難となりますし、温度低下でバッテリー出力が低下しいつも通り簡単にセルモーターでエンジン始動できなくなるリスクも存在します。
キャビンや荷室につもった雪は思わぬアクシデントを引き起こす
トラックに降り積もった雪は走行中に落下すると周辺車両に迷惑をかけますし、制動時にキャビンや荷室の雪が滑り落ちで視界をふさぐリスクも生じますので、トラックのキャビンや荷室に降り積もった雪は始動前に雪下ろしをしておく必要があります。
キャビン内で行う動作確認は重要
雪道走行中はウォッシャー液とワイパーでフロントガラスの視界を確保する機会が多くなりますが、駐車中に温度が低下しすぎるとウォッシャー液が凍結し視界確保が困難となることもありますので、始動前の動作確認が重要となります。
またトラックに乗り込む際に靴底の雪を落とさないと車内を濡らしてしまいますし、靴底に付着した雪でペダル操作を誤るリスクも存在しますので、雪道ではトラックに乗り込む前に靴底の雪を綺麗に落とすことをおすすめします。
雪道走行時のトラックに降りかかる危険性とは?
トラックの駆動力・制動力・操舵性能はタイヤがグリップすることで路面に伝えられ機能しますが、摩擦係数が低下する雪道ではこれらの性能が低下しトラックのコントロールが難しくなり次に挙げる症状の発生率が高まります。
摩耗タイヤは危険!トラックのタイヤ交換時期の見極め方と摩耗タイヤが危険な理由とは?
スピンやスリップ
トラック発車の駆動力はタイヤが路面にグリップしトランクションを得ることで生じますし、コーナリング時の操舵性能もタイヤが路面にグリップすることで機能しますが、摩擦係数が低い雪道ではタイヤが路面にグリップすることが難しく、スピンやスリップの発生率が高くなります。
操舵不能
既述のとおり操舵性能は路面にタイヤがグリップして正常機能しますが、タイヤが路面にグリップし難い雪道では操舵性能が低下しハンドルを操作してもトラックが走行中に生じる慣性の法則に従い操舵不能となるリスクが高くなります。
制動不能
路面にタイヤがグリップすることで正常機能するのは駆動力や操舵性能だけではなく、トラックを減速・停車させるために必要な制動力もタイヤがグリップすることで正常機能します。摩擦係数の低い雪道ではトラックが止まり難くなるリスクが高まります。
スタック
トラックの発車時には強い駆動力が必要となりますが、駆動力が正常機能し難くなる雪道ではタイヤが空転してトランクションを得られず、トラックが身動きできなくなるスタックの発生リスクが高くなります。
トラックの雪道走行の難易度を高める路面コンディション
路面にタイヤがグリップして生じる駆動力・制動力・操舵性能によってトラックを安全に走行させることが可能となりますが、冬場の雪道は摩擦係数が低くタイヤがグリップし難くなることがトラックの走行難易度を高めます。
トラック走行の危険性を高める雪道は路面コンディションで3つに分類できる
ひと口に雪道と言っても雪道の路面コンディションはさまざまなタイプに分類できますが、タイヤがグリップし難い雪道の路面コンディションは次の3つに大別できます。
凍結路面
透明や黒く見えるケースが一般的で冷え込みが厳しい深夜や早朝、日陰に発生しやすく非常に滑りやすい路面コンディションでアイスバーンとも呼ばれます。
圧雪凍結路面
交通量の多い雪道などに発生しやすく、車両によって踏み固められ路面が磨かれていると光沢があるように見えます。凍結路面のように滑りやすい路面コンディションです。
シャーベット状の路面
水分の多い雪道で白いシャーベットのように見え、固まっていないことや水分の多さで滑りやすい路面コンディションです。
トラックの雪道走行の危険性が高くなる環境や条件には要注意
雪質・外気温・交通量などの影響を受け、路面コンディションが刻一刻と変化するのも雪道の特徴で、同じ場所でも時間によって路面コンディションが異なるのが珍しくないことがトラックでの雪道走行の難易度を上げています。
雪道走行を行うトラックの大敵「スリップ」が発生しやすい環境や条件とは
トラックの雪道走行でドライバーを最も苦しめるのが危険なスリップだと言えるでしょう。トラックの雪道走行の難易度を上げるスリップが起こりやすい路面コンディションが発生する環境や条件を紹介します。
路面の下に大きな空間がある橋梁は凍結しやすい
国内には多くの陸橋や河川にかかる橋梁が存在しますが、路面の下が空間になっている橋は路面温度が外気温によって左右されやすく凍結しやすいポイントでもあります。
トンネルの出入り口の凍結にも要注意
山を貫くトンネルは山間部に存在することやトンネルの出入り口は1日中日当たりが悪い傾向にあることなどからトンネルの出入り口も路面が凍結しやすいポイントだと言えます。
交通量が多い場所は意外な危険が潜む
交通量が多い場所は一見安全そうに見えますが圧雪凍結路面が発生しやすいという側面もあります。また交通量が多いことで、スリップによる追突事故リスクも高まります。
早朝・深夜は危険度が上昇する
路面凍結が発生しやすい環境は外気温が下がる深夜から早朝にかけてだと言えるでしょう。この時間帯はひと風吹いただけで路面が凍結することも珍しくないので注意が必要です。
トラックの安全な雪道走行実現には雪道用の装備と運転技術が必要
雪道でトラックを安全に走行させるためには雪道走行に適した装備と雪道走行用の運転技術の習得が重要なポイントとなります。雪道走行用の装備と運転技術習得のどちらかが欠けていても、トラックの安全な雪道走行の実現は難しくなりますので双方の準備を怠らないよう注意して下さい。
充実した装備なしで雪道の安全な走行は難しい
積雪や凍結ポイントが連続する雪道走行時は雪道走行に適した装備を準備することを忘れるわけにはいきません。雪道走行に適した装備は摩擦係数の低い雪道でタイヤをグリップさせるための装備と言っても過言ではないでしょう。
駆動・制動を行うタイヤは雪道走行のポイント
トラックの駆動力・制動力・操舵性能を路面に伝えるタイヤは安全な走行の要となる非常に重要なパーツだと言えるものですが、雪道ではノーマルタイヤではタイヤ性能が機能しなくなるため雪道用のスタッドレスタイヤの装着が必要です。
オーソドックスでもチェーンは必須アイテム
積雪のないエリアではノーマルタイヤでの走行が効果的なため、冬場でもスタッドレスタイヤを装着しないケースがありますが、ノーマルタイヤで雪道を走行することになった場合はチェーンの準備が必要です。
チェーンにはオーソドックスな金属製のほか非金属製や布製のものが存在し、金属製チェーンにはラダー型・亀甲型などの種類が存在します。チェーンの装着は駆動輪に行いトラックの場合は後輪、ダブルタイヤの外側のタイヤに装着します。
雪道走行に求められる運転技術とは
道路コンディションが通常とは全く異なる雪道では雪道走行に適した運転技術が存在しますが、雪道走行に適した運転技術は通常の道路を安全に運転する際に求められる運転技術の延長線上にあるものだと言えます。
雪道走行時に急の付く操作は命取りに
通常の道路でも安全にトラックを運転するためには急の付く運転は控えるべきですが、雪道を走行する際には急の付く運転はスリップの発生に繋がるため厳禁です。慎重過ぎる運転といっても良いほど慎重な運転が雪道走行には求められます。
余裕のある運転がトラックの安全な雪道走行を実現する
既述した急の付かない慎重な運転は余裕がなければ実現させることができません。雪道では思わぬ渋滞などのトラブルが通常時よりも多く発生しますので、余裕のある運行スケジュールを立て、余裕のある運転を心がける必要があります。
まとめ
トラックで雪道走行を行う場合はトラックスタッドレスタイヤの装着やチェーンの用意など十分な準備を行う必要がありますが、重要なのは余裕を持ち慎重な運転で雪道走行に除くことだと言えるでしょう。
雪道走行中のトラックをスリップさせる危険な路面コンディションには次の3つのタイプが存在するので、該当する路面に差し掛かった際には十分注意して下さい。
-
- 透明や黒く見える凍結路面(アイスバーン)
- 交通量の多い場所に発生する圧雪縮凍結路面
- 白く見えるシャーベット状の路面