イモビライザーは盗難対策に重要?セキュリティーの仕組みや搭載車の確認方法、紛失時の対応などを解説
車やトラックにまつわる犯罪には、車上荒らしや盗難、車両へのイタズラなどがあります。車やトラックを所有している方は、何かしらセキュリティ対策をしているのではないでしょうか。特に痛手となる車両盗難対策の一つとなるのが、イモビライザー機能を搭載することです。
イモビライザー機能を使ってセキュリティ対策をしたいと考えている方の中には、
「イモビライザーの役割や仕組みはどうなっている?」
「イモビライザーの注意点は何かある?」
「そもそも自分の車やトラックにイモビライザー機能が搭載されている?」
などの疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
今回は、イモビライザーの概要や搭載車確認方法、イモビライザー搭載車の鍵を紛失した時の対応などについて解説します。
イモビライザーとは?役割と仕組みを解説
まずは、イモビライザーの役割や仕組みについて詳しく解説します。
イモビイライザーは役割は盗難防止
イモビライザーとは、車の鍵についている盗難防止機能のことです。
イモビライザーが搭載されていれば、車の鍵と車体のIDが一致することで初めてエンジンがかかります。仮に物理的な鍵を使ってドアが開けられたとしても、IDが照合されなければ、エンジンがかかりません。IDは複雑に暗号化されて解読が困難なため、搭載されていない鍵と比べると、セキュリティの面で安心です。
海外では、イモビライザーの搭載が義務化されている国があるほどイモビライザーの普及率が高くなっています。日本国内ではイモビライザーの搭載が義務化されてはいないものの、標準装備されている車の鍵が増えています。
イモビイライザーの仕組み
(引用元:カギセキュリティ カギプロ金沢防犯)
イモビライザー機能が搭載されている鍵は、キーヘッド部分にICチップ(トランスポンダ)が埋め込まれており、固有のIDが割り当てられています。鍵の解錠時は、物理的な照合とあわせて、鍵のIDと車体のIDが照合されて初めてエンジンがかかる仕組みです。
イモビライザーキーの中には、不正な操作を探知すると警報音を鳴らすアラーム機能がついているものもあります。
車の鍵のタイプを確認しよう
車の鍵には、様々なタイプがあります。今回は、主な3つのタイプを解説します。鍵を紛失した際は鍵タイプが重要になるため、この機会にそれぞれの違いを押さえておきましょう。
リモコンキー
リモコンキーは、遠隔でドアの解錠や施錠が可能となるキータイプです。赤外線や電波を使う鍵で、ワイヤレスキーとも呼ばれています。エンジンを始動する際には、鍵穴に鍵を挿す必要があります。
スマートキー
スマートキーは、車体に近づくだけでドアが解錠でき、車体から離れると施錠できます。リモコンキーは、鍵の開錠、施錠時にボタンを押して操作する必要がありますが、スマートキーは、衣服やバッグに入れた状態で操作せずとも解錠や施錠が可能です。エンジンもリモコンキーのように物理キーを使わずとも始動できます。
また、ほとんどのスマートキーにはイモビライザー機能が搭載されています。
イモビライザーキー
イモビライザーキーは、キーヘッドに固有のIDが内蔵されていて、車体のIDと一致すればエンジンが始動する仕組みのキータイプです。
イモビライザー機能は防犯装置の役割で、ドアの開閉のためのリモコンキーと組み合わせて使う必要があります。
キータイプの確認は鍵の紛失時に重要
キータイプやイモビライザー機能の有無によって紛失時の対応が変わるため、万が一に備えて自分の車やトラックのキータイプを事前に把握しておかなければなりません。キータイプやイモビライザー機能の有無が分からない状態では、業者側としても問い合わせの段階で、正しい見積や作業時間を出せなくなってしまいます。
キータイプを把握していないと、例えば、イモビライザーが搭載されているにもかかわらず、鍵の紛失時にイモビライザー機能のない合鍵を作ってしまうといったケースもあるでしょう。その場合は、鍵と車体のIDが一致せずにエンジンが始動しなくなります。
また、基本的にはディーラーや鍵業者であれば、鍵の作成や取り寄せが可能です。ただし、中にはイモビライザーキーの取り扱いが限られている鍵業者や、取り扱い自体が不可な鍵業者もあります。車の鍵を紛失した際の時間のロスを防ぐためにも事前にイモビライザーキー対応の可否は確認しておきましょう。
イモビライザーが搭載されているかの確認方法
イモビライザー機能が自分の車やトラックに搭載されているかどうか分からない方も多いのではないでしょうか。ここでは、イモビライザー機能の有無を確認する方法を3つ紹介します。
インジケーターランプの表示
イモビライザーの有無を判別するための最も簡単な確認方法が、インジケーターランプです。
イモビライザー搭載車であれば、鍵のマークや車と鍵のマーク、車から電波が出ているマークなどが表示されています。(マークはメーカーや車種によって異なります)
鍵穴から鍵を抜いた際は、それらのマークの下に赤丸のランプが点滅するのもチェックポイントです。
インジケータランプの表示には、エンジンがかかっていない駐車時に、ランプの点滅によってイモビライザー搭載だということを示し、盗難を防止する効果が期待できます。
ステッカーを確認
車体にイモビライザーステッカーが貼られている場合があります。インジケーターランプと同様、車と鍵のイラストや、車から電波が出ているデザインのステッカーが貼られていることが一般的です。
周囲にイモビライザーが搭載されていることを示し、盗難防止効果を高めるため、車の窓ガラスに貼られていることが多くあります。
キーヘッドを分解して確認
車体ではなく、車の鍵だけからイモビライザーが搭載されているかを確認する方法もあります。鍵からイモビライザーの有無を確認するためには、鍵を分解しなければなりません。イモビライザー機能が搭載されている鍵には、キーヘッド部分に、イモビチップ収納スペースがあり、中にイモビチップが内蔵されています。
ただし、分解をすると鍵を破損させてしまう危険性があり、あまりおすすめできる方法ではありません。鍵業者の中には、イモビチップの有無を判別する「トランスポンダ判別機」で瞬時に確認できる場合もあります。
イモビライザー機能の後付けはできる?
イモビライザー機能が搭載されていない車やトラックでも、後付けは可能です。純正品のイモビライザーキーの場合にはイモビライザー機能の解除方法が知られている可能性もありますが、後付けの場合は、搭載しているイモビライザータイプが把握されにくいため、より防犯性を高められるともされています。
ただし、後付けの場合は費用が高額となる場合もあります。防犯装置のため、搭載にかかる費用はピンキリで、鍵業者に依頼した場合20万円ほどかかる場合もあります。高度な防犯装置を必要としない場合は、数万円で取り付けが可能となるケースもあるでしょう。
また、自分で取り付けのできるイモビライザーキットも販売されていますが、車の装備に慣れていない方には難しい作業です。
イモビライザーキーの合い鍵を作るには
イモビライザーキーを紛失した場合に備えて合鍵を作っておけると安心です。イモビライザーキーの合鍵を作る方法を2つ紹介します。
ディーラーでの作成が安心
イモビライザーキーは、セキュリティに大きく関わるもののため、自分の所有している車やトラックと同じメーカーのディーラーでの作成が安心です。鍵内部のプログラミングが上手くいっていないと、イモビライザー機能の誤作動につながります。
ちなみに、合鍵を作る際には基本的にメインキーやキーナンバープレート、車両情報(車検証)などが必要となります。
イモビライザー対応可能な鍵業者
イモビライザーキーの対応が可能な鍵業者でも合鍵の作成が可能です。ただし、一般的な鍵業者では対応が困難なため、対応の可否を事前に確認しておく必要があります。
イモビライザー対応の合鍵作成専門業者の中には、即日対応可能なケースもあります。緊急で必要な場合には、利用を検討してみても良いかもしれません。
イモビライザーが搭載されているトラックを紹介
トラックの購入を検討されている方に向けて、イモビライザー機能が搭載されているトラックのメーカーや車種を紹介します。
いすゞ
いすゞのトラックは国内シェア率ナンバー1です。いすゞのトラックでは、2007年以降の小型トラック「エルフ」と、中・大型トラック「フォワード」にイモビライザー機能が標準装備されました(天然ガス車を除く)。
日野
日野はトヨタの連結子会社で、主にバスやトラックなどの商用車の製造や販売をしています。日野のトラックでは、小型トラック「デュトロ」、中・大型トラック「レンジャー」、大型トラック「プロフィア」などにリモコンキー型のイモビライザー機能が標準装備されています。
三菱ふそう
三菱ふそうは、安定した走行感や長距離運転にも耐えられる駆動力に定評のあるトラックメーカーです。
小型トラック「キャンター」、中・大型トラック「ファイター」、大型トラック「スーパーグレート」にイモビライザーを装備しています。また、「キャンター」と「ファイター」は、イモビライザーキータイプ、「スーパーグレート」はスマートキータイプです。
イモビライザーキーを紛失した際の対応方法
イモビライザーキーを紛失した場合、何者かに車やトラックを使用されるなど、さらなるトラブルに巻き込まれる可能性があります。鍵を紛失した場合でも落ち着いて対応できるよう、事前に対応方法を確認しておきましょう。
遺失届を提出する
イモビライザーの紛失に気がついた時点で警察に遺失届を提出しておけると安心です。紛失後は車の鍵を探していきますが、その間に何者かに悪用されては困ります。手元にスペアキーがあった場合でも、メインキーの紛失はトラブルにつながりかねないため、遺失届を提出しましょう。
また、鍵が見つかった場合には警察から連絡が受け取れるため、効率的に紛失した鍵を探すのにも効果的です。遺失届を出す際には、鍵の特徴やキーナンバーなども伝え、すぐに警察が持ち主を特定できるようにしておくと良いでしょう。
ちなみに紛失した鍵は、鍵が意外な場所から見つかるケースが多くあります。車の中が開けられる状態であれば、車のシートの下やダッシュボードの中、シートの隙間など、普段確認しない場所もしっかりと探しましょう。
また、鍵の紛失を防ぐために音がでたり、GPS機能がついていたりするスマートタグを鍵につけておくのもおすすめです。
完全に紛失した場合はディーラーに連絡
鍵を紛失した際は、車のドアを開ける対応をしたり、新しい鍵を作成したりする必要があるため、ディーラーに連絡しましょう。ただし、新しいイモビラーキーの作成などは即日の対応が難しい場合もあります。
また、加入している自動車保険によっては、ロードサービスの中に紛失時の開錠や鍵の作成が含まれている場合もあります。緊急時には、ロードサービスの利用を検討してみてください。
イモビライザーの注意点
今回は主に、イモビライザーキーの紛失について解説しましたが、イモビライザー機能にまつわるトラブルはその他にもあります。イモビライザーキーを使用する際に注意しておきたい点を3つ紹介します。
イモビライザーを搭載すれば100%盗難防止できるわけではない
イモビライザーを搭載していても、車の盗難被害に遭うケースもあります。現在、イモビライザー機能を無効にする手口がいくつかあります。
例えば、イモビカッターと呼ばれる装置もそのうちの一つです。イモビカッターを使って車体のIDを初期化し、新しいIDに書き換え、別の鍵でエンジン始動を可能にしてしまうという手口です。他にも、リレーアタックというものがあります。スマートキーから出る信号を悪用し、エンジンを始動するものです。
いくらイモビライザーを搭載していても以上のような犯罪に遭う確率はゼロにはできません。レベルの高い防犯対策をするためには、別の策も講じる必要があります。車にハンドルロックや警報器を装着したり、駐車スペースにセンサーライトや防犯カメラを設置したりするなどの対策を検討してみましょう。
誤作動することがある
イモビライザー機能が誤作動すると、エンジンがかからなくなったり、バッテリーが上がったりといったトラブルにつながることがあります。セキュリティーアラームが搭載されているイモビライザーの場合には、平常時にもかかわらず警報がなってしまう可能性もあります。
イモビライザーが誤作動した場合は、イモビライザー機能の解除や再設定が必要なため、ディーラーにみてもらいましょう。
電池切れ
イモビライザーが機能せず、「故障だと思ったら電池が切れていた」というケースも少なくありません。イモビライザー機能が使えないと、エンジンが始動できないことにもつながります。
イモビライザーキーは、常に電波を出しているため、思っているよりも電池を消耗しています。中には、電池が少なくなると警告灯が表示される車種もありますが、一定期間が経ったら電池交換する習慣が付けられると安心です。
まとめ
今回は、車やトラック盗難防止のためのセキュリティシステム、イモビライザーについて解説しました。鍵の紛失や、イモビライザーの注意点に気をつけ、イモビライザー機能を効果的に使いましょう。
また、最近のトラックにはイモビライザー機能が標準装備されている車種も多くあります。中古車販売のトラック流通センターでは、イモビライザー機能が搭載された中古トラックを豊富に取り揃えています。ご購入を検討している方はお気軽にお問い合わせください。
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- イモビライザーは盗難防止機能
- イモビライザーキーの場合、車両と鍵の両方のIDが照合されない限りエンジンが始動しない
- 万が一鍵を紛失した場合に備え、自分が所有するキータイプは確認しておく
- イモビライザー機能が搭載されているかは、インジケーターランプやステッカーなどから確認できる
- 鍵を紛失した場合には、遺失届を出し、ディーラーで合鍵の作成や車のドアを開ける対応などをする必要がある
- イモビライザー機能だけで100%の盗難防止はできないため、他の防犯対策も必要となる