海コンドライバーを徹底解説!給料や年収|仕事内容・必要な免許・資格
日本では、たくさんの資源や食料品などを外国から仕入れており、配送を支える海コンドライバーはなくてはならない職業です。多数の求人が出ていることから、転職を検討している方も多いでしょう。今回は、海コンドライバーの仕事内容や給料、対人関係、メリット・デメリットまで徹底解説していきます。
まずは、基礎知識として「海コン(海上コンテナ)」の概要や特徴をチェックしていきましょう。
海コン(海上コンテナ)とは
「海コン(カイコン)」とは、「海上コンテナ」の略称です。海上コンテナは、輸入品・輸出品を運ぶための大型の容器のことを指します。
また、海コンはどのような荷物を運ぶかに合わせてさまざまな種類があります。
一番普及しているのは、一般貨物輸送に使われる「ドライコンテナ」です。
代表的な海コン6種類をまとめてみました。
海コンの種類 | |
ドライコンテナ | 最も普及しているコンテナ。一般貨物輸送に使用。 |
冷凍コンテナ | 主に肉・魚類・果実などの生鮮食品を冷凍もしくは冷蔵にて輸送。 |
タンクコンテナ | 主に油や化学薬品などの液体貨物を運搬する。 |
オープントップコンテナ | 上部が開口できる構造のコンテナ。通常のコンテナでは収まらない高さの貨物などを運搬できる。 |
フラットラックコンテナ | 上部・両側面・扉部分がないコンテナ。大型・重量のある貨物の運搬が可能。 |
フラットベッドコンテナ | 床面だけのコンテナ。大型・重量のある貨物の運搬が可能。 |
なお、寸法や強度、外形などは国際的な規格として定められています。
そして、海コンを運ぶ専用トレーラーを運転する人を「海コンドライバー」や「海コン運転手」と呼びます。
海コンドライバーの仕事内容と1日の流れ
海コンドライバーとは、具体的にどのような仕事なのでしょうか?仕事内容と1日の流れをご紹介します。
仕事内容
海コンドライバーは、船で運ばれてきた貨物を専用トレーラーに積み、指定された配送先まで運ぶのが主な仕事です。
一般的な物流ドライバーにありがちな、荷物を積んだり降ろしたりなどの作業はありません。海コンは人が運べる重量ではないので、基本的にクレーンで移動させる必要があるからです。
ほかのドライバーの仕事と比べると、「重労働がほぼない」のが特徴としてあげられます。体力的にきつい作業はありませんが、一方でクレーンでの積み下ろしは時間がかかるため、待機時間が長いデメリットがあります。
1日の流れ
海コンドライバーの1日の流れを簡単にまとめてみました。
1.出勤・点呼 2.トレーラーの点検をして埠頭(港湾)へ出発 3.到着後、貨物の積み下ろしを待つ 4.ガントリークレーンでトレーラーに積み込み 5.配送先へ運ぶ 6.荷主・配送先が貨物の積み下ろしをおこなう 7.埠頭へ海コンを返却 |
以上が基本的な流れとなります。
ご覧のとおり、トレーラーの運転以外の作業はほとんどないことがわかりますね。貨物の積み下ろしは荷主、もしくは荷役会社が担当するので、体力を消耗する作業はほぼありません。
海コンドライバーの給料
就職先を決める上で、最も重視したいポイントの1つが給料です。
結論からいうと、海コンドライバーの給料は月給で30万円~60万円程度となっています。手取りでいうと25万円~50万円くらいです。
もちろん会社によって異なりますが、月給で30万円を切ることはあまりありません。また、会社によって固定給制と歩合給制が異なるため、それぞれのメリット・デメリットを踏まえて検討が必要です。
固定給制と歩合給制の特徴は下記のとおりです。
固定給制 | 歩合給制 |
・毎月決められた給料をもらう ・仕事が少なくても安定した給料がもらえる ・歩合給制と比べると給料は少な目 |
・がんばった分だけ給料がもらえる ・固定給制よりも稼ぎやすい ・仕事量と給料が比例しているため安定性には欠ける ・最低保障給を導入している会社もある |
職場の雰囲気・対人関係
給料に続いて、職場の雰囲気や対人関係も職場を決める上で大切なポイントです。
海コンドライバーは基本的に1人でトレーラーを運転するので、1日中だれかと共に仕事をすることはありません。
しかし、無線で指示を受けたり、会社や現場で人と関わる機会は毎日あります。
海コンドライバーは大切な荷物を運んでいることや、ミスがあれば重大な事故につながることもあり、厳しい指導を受けることもあるようです。
また、拘束時間が長かったり、早出・残業などで疲れてピリピリしている人もいるかもしれません。
慣れないうちは大変なこともありますが、仕事を覚えて1人で運転するようになればそこまで影響はないように思います。
どうしても合わない会社に入ってしまったときは、経験を積んで転職してしまうのも手です。需要が高い業界なので、比較的簡単に転職しやすいのも海コンドライバーならではのメリットですね。
海コンドライバーのメリット
先述したように、海コンドライバーは「経験があれば転職しやすい」というメリットがあります。
ほかにはどのようなメリットがあるのでしょうか?ここからは、海コンドライバーのメリットを詳しく見ていきましょう。
1.肉体労働がほぼない
海コンドライバーの業務には、肉体労働がほぼありません。荷物の積み下ろしを海コンドライバーがおこなうことはないので、体力的な面では楽な仕事です。
重労働によって体を傷めることがないのも大きなメリットですね。
現役海コンドライバーさんのブログやYoutubeチャンネル、Twitterをチェックしてみると、仕事に関しては「楽」と言っている方が多い印象です。
2.固定給制・歩合給制が選べる
会社によって固定給制・歩合給制のどちらを導入しているか異なるため、自分に合った給与形態を選択できます。
例えば、「景気が悪くなっても安定した給料がほしい」方は固定給制、「バリバリ働いてたくさん給料をもらいたい」方は歩合給制、このように働き方に合った条件を選んでみましょう。
3.人手不足で需要が高い
海コンドライバーのみならず、ドライバー業界は慢性的に人手不足の状態です。そのため、経験者はもちろん、未経験の方でも就職先を見つけやすいメリットがあります。
海コンドライバーになるには大型免許やけん引免許が必須ですが、会社によっては免許取得支援制度を導入しているところもあります。はじめて海コンドライバーに挑戦する方は、サポートが充実している会社を選ぶと安心ですね。
4.将来的にも働きやすい
日本は石油などの鉱物性燃料や電子部品、食料品、衣料品など、あらゆるものを輸入品に頼っている貿易大国です。輸出入品を運ぶ海コンドライバーはなくてはならない職業であり、将来的にもなくなることはないでしょう。
重労働がなく年齢を重ねても働きやすいことや、転職先を見つけやすいことなども長く働ける理由としてあげられます。
関東1都7県のトラック協会が実施した調査によると、2019年度の海上コンテナセミトレーラ運転者の平均年齢は49.9歳。年代別の構成比をみると、50代は36.0%、60代は13.1%、70代は2.7%となっています。高齢の方も現役で活躍していることがわかりますね。
調べによると、2019年度の海上コンテナセミトレーラ運転者の平均年齢は49.9歳。道路貨物運送業の平均年齢は大型が48.6歳、中小型が46.6歳であることから、高齢化による人手不足が課題となっている業界内でも深刻な状況といえる。 年代別の構成比を見ると、60代が13.1%で前年度から0.4ポイントの増加、70代が2.7%で0.4ポイントの増加となっ。 (引用元:LogisticsToday) |
また、海コンドライバーの求人は「年齢不問」や年齢制限を記載していない募集も多く見受けられます。主に40代、50代が活躍している業界なので、経験があれば年齢を重ねてからも転職できる可能性は高いです。
海コンドライバーのデメリット
海コンドライバーには給与水準や需要の高さなど様々なメリットがあります。ただ、海コンドライバーにも様々なデメリットもあります。ここからは、海コンドライバーならではのデメリットをいくつか解説します。
1.拘束時間が長い
荷物の積み下ろしをしない代わりに、作業が完了するまでは待ち時間が発生します。そのため、拘束時間が長くなりやすいデメリットがあります。体力的には楽でも、待ち時間・拘束時間の長さがつらいと感じる方もいます。決まった時間に規則正しく働きたい方には厳しいでしょう。
待機時間は、会社や状況によってバラバラですが、数時間単位でかかると想定しておきましょう。Twitterでは「2時間待ち」「3時間待ち」とのつぶやきが見つかりました。
また、勤務時間は会社や現場によって異なりますが、大体12時間程度が目安となっています。拘束時間が長いのは大変ですが、終業は16時~20時頃と比較的早めなことが多いです。
待機中は、トレーラーのなかで仮眠を取ったり、スマホで動画を見る・ゲームをするなど自由に過ごせます。資格勉強をしている方もいるので、長い待ち時間を有効に使える方法があればキャリアに活かせるかもしれませんね。
2.トレーラーの運転が難しい
トレーラーの運転は、大型トラックの運転よりもさらに高い技術が求められると言われています。別の業界で運転手をしていた方や、ベテランの運転手でも「難しい」と感じるようです。
トレーラーの運転が難しいとされる主な理由は、海コンの大きさです。。海コンのサイズは20フィートと40フィートの2種類があり、大きさが違うと運転の感覚も異なります。車体が長い分バックは特に神経を使いますし、死角の多い左折も難易度が高いです。
もちろん、最初は指導してもらいながらの業務になりますが、たくさん経験を積んで運転に慣れるまでは苦労するかもしれません。
3.景気の影響を受けやすい
海コンドライバーの給料は、いい意味でも悪い意味でも景気の影響を受けやすいです。景気が良いときは稼ぎやすくなりますが、不景気のときは大きく下がってしまうリスクがあります。
実際、バブル期は月給50万円以上、多い人で100万円稼いでいたと言われています。現在は月給30万円~60万円程度なので、比較してみるとかなり下がっていることがわかりますね。
歩合給制は景気が悪化したときにガクッと手取りが減ってしまう可能性が高いので、最低保障給がある会社だと安心です。
未経験で転職可能?海コンドライバーの求人状況
海コンドライバーは、現在なり手が不足しているため、需要が高い状況です。少し検索しただけでもたくさんの求人が出てくるので、希望する条件に合った会社も比較的見つけやすいでしょう。
経験者は優遇されるが初心者でも挑戦しやすい
海コンドライバーに限った話しではありませんが、やはり経験者は優遇されやすい傾向にあります。トレーラーの運転に慣れている方は即戦力になるので、入社時点で給料が高いなど良い条件で転職できるチャンスがあります。
初心者の方の海コン転職で、大変だったこととしては「最初にたくさんの業界用語を覚えなくていけない」「早出が多かったり拘束時間が長い」などの意見が見受けられました。業界用語を覚えなければ無線で飛ばされる指示が理解できないので、最初は苦労する方が多いようです。
ただ、ほかのドライバー職から転職した方も多いですし、なかにはトレーラーの運転経験がなくても現在海コンドライバーとして活躍している方もいます。未経験OKの求人もあるので、初心者でも比較的挑戦しやすい業界です。
大型免許やけん引免許があると転職は有利になる
必ず必要ではありませんが、海コン運転手になるには、「大型免許」と「けん引免許」があると転職を有利に進めることができます。
大型免許とは、トラックなどの車両総重量や最大積載量が大きい車を運転するときに必要な免許のことです。海上コンテナのサイズは、小さいもので20フィート(長さおよそ6メートル)、大きなものは倍の40フィートあります。
また、けん引免許とは、総重量が750キロを超える他の車両をけん引する際に必要な免許です。大型のコンテナを積載して運転する際には、けん引免許も必要になるため、免許の有無で扱えるコンテナが変わってきます。
小さい海コンであれば「大型免許」と「けん引免許」は不要です。しかし、より多くの案件をこなせることで給与を上げやすかったり、即戦力採用をしている企業にも採用してもらうことができます。
また、企業によっては免許取得に手当がでる企業もありますので、免許を所有していない場合には、企業選びのポイントの一つにしてみてください。
まとめ
今回は、海コンの基礎知識から海コンドライバーの仕事をご紹介しました。
はじめての方は、運転技術を身に付けたり、業界用語を覚えたりと最初は大変かと思います。経験を積めば立派な海コンドライバーとして活躍できるので、まずはあなたに合った求人を探してみてくださいね。
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- 「海コン」は輸入品・輸出品を運ぶためのコンテナのこと
- 海コンの配送に特化しているのが海コンドライバーの特徴、積み下ろし作業は不要
- 海コンドライバーの給料は大体月給で30万円~60万円程度、会社によって固定給制・歩合給制が異なる
- 人手不足により未経験でも転職しやすい、将来的にも長く働ける