フォークリフトの種類とは?それぞれの特徴や構造を解説|運転に必要な免許・資格・取得方法・費用について
フォークリフトは、物流や倉庫業界だけでなく、建設業や小売業などで、人では届かない高さに置かれた荷物や、重たい荷物を出し入れする際に活躍する乗りものです。作業効率を向上させる道具として利用され、安全性を確保するための機能が備わっています。フォークリフトの操作には、免許が必要であり、操作できる人の確保も課題のひとつです。重量物を扱うため、免許取得には、特定の技術と知識を身につけなくてはなりません。そこで本記事では、フォークリフトの免許取得方法やかかる費用と時間、さらにフォークリフトの種類や特徴を解説します。
フォークリフトとは?
フォークリフトは、重量物や大量の荷物を効率的に取り扱うことできます。物流や倉庫業界をはじめ、さまざまな産業で幅広く活用され、作業効率の向上や安全性の確保に貢献しています。
フォークリフトの特徴
フォークリフトの特徴は、狭いスペースや複雑な環境でもスムーズに操作ができることです。短い回転半径や精密な操作により、狭い通路や倉庫内での作業効率があがります。また、さまざまな作業に対応するための機能が搭載されています。
例えば、フォークを前後に伸縮させたり、傾けたりなどです。これにより、荷物の積み下ろしや棚へのアクセスを容易におこなえます。
ほかにも、フォークリフトは、安全装置が充実しているのも特徴です。例えば、安定性を確保するカウンターバランス機構やブレーキシステム、バックミラーなどが装備されています。
環境への配慮もあり、一部のフォークリフトは電気式やハイブリッド式です。排出ガスや騒音を削減しながら利用できます。
フォークリフトの種類を画像付きで紹介
主要なフォークリフトの種類を画像付きで紹介します。それぞれの機能、構造、特徴を詳しく解説するため、参考にしてください。
作業効率アップを実現する道具
フォークリフトは、狭いスペースや複雑な環境でもスムーズに操作ができます。短い回転半径や精密な操作により、狭い通路や倉庫内での作業効率があがります。また、さまざまな作業に対応するための機能が搭載されています。例えば、フォークを前後に伸縮させたり、傾けたりして、荷物の積み下ろしや棚へのアクセスを容易におこなうことができます。
安全性確保のための機能が備わっている
フォークリフトは、安全性を重視しており、安全装置が充実しています。例えば、安定性を確保するカウンターバランス機構やブレーキシステム、バックミラーなどが装備されています。加えて、環境への配慮が重要視されています。一部のフォークリフトは電気式やハイブリッド式であり、排出ガスや騒音を削減でき、安心して利用可能です。
フォークリフトの種類
一言でフォークリフトといっても種類がいくつかあります。それぞれに特徴があり、使われるシーンも違います。
それでは、どのようなフォークリフトがあるのか見ていきましょう。
カウンターバランス型フォークリフト
(引用元:コマツ)
カウンターバランス型フォークリフトは、一般的なフォークリフトの形態であり、直進や旋回が容易です。主に屋内での使用に適しており、床からの貨物の持ち上げに使用されます。
リーチトラック型フォークリフト
(引用元:トヨタ)
リーチフォークリフトは、運転手が立った状態で運転するフォークリフトです。車体を停めた状態でフォークを前後に動かします。また前後のタイヤの距離が近く、タイヤも90度近く回転するため、小回りが効きます。狭い倉庫内で大活躍する種類です。
ただし車体が小さく重心が高いため、安定性がやや落ちます。重たい荷物にはあまり向いていません。
サイドローラーフォークリフト
(引用元:ニチユニ三菱フォークリフト)
サイドローラーフォークリフトは、フォークが車両の側面に備えられたタイプです。車体を正面に向けずに、進行方向のまま側面から荷物を積んだり下ろしたりすることができます。特に長尺の荷物も、横向きでなく、進行方向に向くため走行しやすいです。
ウォーキーフォークリフト
(引用元:トヨタL&F)
ウォーキーフォークリフトは、運転者が歩いて操作するタイプの小型フォークリフトです。主に狭いスペースや店舗内での移動や積み下ろし作業に使用されます。
オーダーピッキングトラック
(引用元:三菱ロジネクスト)
オーダーピッキングトラックは、荷役部分に運転台が付いていて、作業車が一緒に上下できる小型フォークリフトです。高い棚への荷物の積み下ろしを手作業でおこなう場合に用いられます。
マルチディレクショナルフォークリフト
(引用元:Toyota Material Handling )
マルチディレクショナルフォークリフトは、前後左右どの方向にも進行できるフォークリフトです。他のフォークリフトは、方向転換する際、旋回しなくてはなりません。
マルチディレクショナルフォークリフトならば、旋回の必要がないため、特に狭い場所での作業に適します。
その他のフォークリフトの種類
主要な種類以外にもフォークリフトにはさまざまな種類があります。その他のフォークリフトを下表にまとめました。
名称 | 特徴 |
パレットスタッキングトラック | ・車体に全方に走行可能なリーチレグが装着されている ・リーチレグの真上にフォークが搭載される ・リーチレグにより安定性が確保される |
ストラドルフォークリフト | ・車体前方に張り出したリーチレグが装備される ・リーチレグの間に2本のフォークが降りるタイプ |
プラットフォームスタッキングトラック | ・車体に走行可能なアウトリガーが装着されている ・プラットフォームがアウトリガーの上に伸びているタイプ |
ラフテレーンフォークリフト | ・不整地での作業用に作られたフォークリフト ・大型のタイヤが装備され、凹凸の道でも走行可能 |
カウンターバランスコンテナハンドラー | ・不整地での作業用に作られたフォークリフト ・大型のタイヤが装備され、凹凸の道でも走行可能 |
三方向スタッキングトラック | ・進行方向だけでなく、車体の両側に荷物を積めるタイプのフォークリフト |
ラテラルスタッキングトラック | ・進行方向だけでなく、車体の両側もしくは片側に荷物を積めるタイプのフォークリフト ・三方向スタッキングトラックと比較してスリムなタイプが多い |
フォークリフトの運転に必要な免許・資格
運送業や物流施設でフォークリフトを使用する際に免許は必須です。さらに、公道を含む作業環境でフォークリフトを使用するためにも免許保持が労働安全衛生法によって義務付けられています。
それぞれで必要な免許・資格は、次のとおりです。
施設内でフォークリフトを使用するときに必要な免許 | 条件 | 公道走行時に必要な免許 | 条件 |
最大荷重が1t未満 | フォークリフト運転特別教育修了証 | 小型特殊自動車免許あるいは普通自動車免許 (小型特殊自動車に該当するフォークリフト) |
全長4.7m以下 全幅1.7m以下 全高2.8m以下 最高速度15km/hを超えないもの |
最大荷重が1t以上 | フォークリフト運転技能講習修了証 | 大型特殊自動車免許 (大型特殊自動車に該当するフォークリフト) |
全長4.7m以上 全幅1.7m以上 全高2.8m以上 最高速度15km/hを超えるもの |
資格取得は法的要件を満たすだけではなく、さまざまな状況での適切な操作方法や安全管理、急な事態への対応など実務に必要な知識や技術を学ぶためにも重要です。
また、事故のリスクを減らし、作業環境での障害や負傷の予防にも資格取得が推奨されています。
中古トラックやフォークリフトの購入を検討する際には、安全かつ適切に機材を使用できるよう、必要な免許や資格の有無を事前に確認しましょう。
フォークリフトの免許を取得方法・受験条件
「フォークリフト運転特別教育修了証」と「フォークリフト運転技能講習修了証」はそれぞれ取得方法が異なるのも特徴です。
フォークリフト運転特別教育修了は、所定の教育機関や企業でフォークリフトの特別教育を受けます。
一方、フォークリフト運転技能講習修了証の場合、運転技能講習を受ける場所は、専門の教習所です。講習を修了し、試験に合格すると運転技能講習修了証を取得できます。
それぞれの取得方法を詳しく解説するため、参考にしてください。
フォークリフトの免許を取得するには、免許の種類によって異なります。
また平成29年3月10日に、労働安全衛生規則法が改正されました。これにより、免許試験・技能講習の申請書や修了証、帳簿等への本籍地の記載は現状不要です。
フォークリフト運転特別教育修了証の場合
・受講資格は18歳以上
・各事業所で実施される
・講習を受けて修了すれば取得可能
フォークリフト運転技能講習修了証の場合
・労働安全衛生法管轄の国家資格
・年齢制限はないが、運転が認められるのは18歳以上
・都道府県労働局長登録教習機関で実施
・学科試験および実技試験に合格後、修了証が交付
・各都道府県の登録機関は厚生労働省のホームページに記載されている
実技試験の受験内容
実技試験では、実際のフォークリフトを操作し、安全かつ正確にさまざまな動作をおこなう能力が求められます。例えば、直進・旋回・積み下ろしなどの操作や、安全運転に関する知識の実践が含まれます。
特に、最大の評価ポイントは、安全に荷物を運べるかどうかです。実技試験は、100点満点からの減点方式(70点以上で合格)です。「シートベルトのし忘れ」「バレットへのフォークの差し込み不足」「フォークの先で荷物をついてしまう」などは即失格なので注意してください。
学科試験の受験内容
学科試験では、フォークリフトに関する法律や安全規定、操作技術などの知識が問われます。教習所での講義や教材を通して学習し、試験に臨む必要があります。
合格基準は、各科目の得点が配点の40%以上であり、全科目の得点を60%以上取得できていることです。試験の方式はマークシートであり、問題文の4つの選択肢から正しいものを選びます。
各教科 | 点数 | 設問数 |
フォークリフトの荷役に関する装置の構造および取扱いの方法に関する知識 | 30点 | 10問 |
フォークリフトの運転に必要な力学に関する知識 | 20点 | 10問 |
法および規則中のフォークリフトについての規制に関する知識 | 20点 | 10問 |
(引用元:前橋労働基準協会)
フォークリフトの免許に対する取得日数と講習時間
フォークリフトを運転するには免許が必要であり、安全かつ適切な運転技術の習得が求められます。そのため、講習から取得までに日数がかかります。
それでは、フォークリフト運転特別教育修了証とフォークリフト運転技能講習修了証をそれぞれ取得するための日数と講習時間を見ていきましょう。
1. 取得までかかる日数
フォークリフト運転特別教育修了証を取得するためには、講習を12時間(平均日数 2日)受けることが必須条件です。
一方、フォークリフト運転技能講習修了証を取得するためには、保有している免許や資格などによって違います。
必要な講習時間 | 現在保有している資格および業務経験 |
11時間 | ・大型特殊免許(カタピラ限定を除く)所有者 ・普通、準中型、中型、大型、大型特殊(限定あり)免許を有し、小型フォークリフト特別教育修了後、最大荷重が1t未満のフォークリフトの業務経験が3ヵ月以上ある方 (特別教育修了証のコピー貼付、事業主経験証明必要、特自検点検表添付) |
15時間 | ・小型フォークリフト特別教育修了後、最大荷重が1t未満のフォークリフトの業務経験が6ヵ月以上ある方(特別教育修了証のコピー貼付、事業主経験証明必要、特自検点検表添付) |
31時間 | ・普通、準中型、中型、大型、大型特殊(限定あり)免許所有者 |
35時間 | ・上記のいずれにも該当しない方 |
(引用元:コマツ教習所)
2. 講習時間
各都道府県により違いはありますが、多くの講習機関で普通自動車免許を有する人向けの31時間コースのみを実施しているところが多いです。
具体例として、前橋労働基準協会における31時間コースの講習科目と講習時間を紹介します。
日程 | 講習科目 | 講習時間 |
1日目 | 荷役に関する装置の構造および取扱いの方法に関する知識 | 7時間~11時間 |
運転に必要な力学に関する知識 | ||
関係法令 | ||
修了試験 | ||
2日目 | 実技 | 8時間 |
走行操作・荷役操作 | ||
走行および荷役の操作方法説明 | ||
安全の確認方法等 | ||
走行(前進・後進)方法 | ||
走行(クランク等)方法 | ||
3日目 | 実技 | 8時間 |
走行操作・荷役操作 | ||
走行(前進・後進)方法 | ||
走行(クランク等)方法 | ||
荷役の操作方法 | ||
荷積みパレットの積み下ろし方法 | ||
4日目 | 実技 | 8時間 |
走行操作・荷役操作 | ||
総合走行方法 | ||
実技試験 | 1時間 |
(引用元:前橋労働基準協会)
フォークリフトの免許に関する取得費用
フォークリフトの免許を取得したいと考えていても、取得費用が気になる方も多いはずです。フォークリフトの免許取得には、講習や試験の費用、免許手数料などがかかる場合があります。免許取得を考えている方や、業務上フォークリフトを扱う予定の方にとって、費用面を把握しておくことが重要です。
フォークリフト運転特別教育修了証取得にかかる費用
フォークリフト運転特別教育修了証を取得するための費用は受講料、テキスト代、保険料など合わせて、15,000円〜20,000円が相場です。
(参照元:マジオワークライセンススクール)
フォークリフト運転技能講習修了証取得にかかる費用
フォークリフト運転技能修了証の取得にかかる費用は、取得の際にかかる時間によって異なります。
一般的な受講にかかる費用は以下のとおりです。
コース | 日程 | 講習料金 | 教本代 | 総額 |
35時間コース | 5日間 | 37,400円 | 2,200円 | 39,600円 |
31時間コース | 4日間 | 32,000円 | 2,200円 | 35,200円 |
15時間コース | 3日間 | 16,500円 | 2,200円 | 18,700円 |
11時間コース | 2日間 | 14,300円 | 2,200円 | 16,500円 |
(参照元:JCフォークリフト教育センター)
フォークリフトの免許取得は費用補助がある
一般的に、フォークリフトの免許取得費用は個人が自己負担する場合が多いです。しかし、一定条件を満たせば個人だけでなく企業でも以下のような支援策がおこなわれることがあります。
教育訓練給付制度
雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とする雇用保険の給付制度です。
在職者の方は、雇用保険の被保険者として雇用されていた期間が3年以上あること、離職中の方は離職の翌日から受講開始日までが1年以内であり、かつ雇用されていた期間が3年以上であることが条件となります。
該当者が一般教育訓練の対象講座を修了した場合、支払った講習費用(教育訓練経費)の20%に相当する額(上限10万円)が、ハローワークより支給されます。
人材開発支援助成金「建設労働者技能実習コース(経費助成、賃金助成)」
建設労働者の雇用の改善、技能の向上を目的とし、技能講習や特別教育などを受講させた中小建設事業主や中小建設事業主団体などに対し、経費や賃金の一部が助成される制度です。
対象となる事業主は、以下のとおりです。
・資本金額もしくは出資総額が3億円以下、または従業員数300人以下
・雇用保険料率が「建設の事業」の適用を受ける建設事業主
・雇用管理責任者を選任していること
・雇用する建設労働者(雇用保険被保険者)に、有給で受講させる場合
(所定労働時間外や休日に受講させた場合は、労働基準法に定める割増賃金を支払う、または振替休日を与える等する場合)
(参照元:コマツ教習所)
フォークリフトがよく使われる業界
フォークリフトがよく使われる業界は、次のとおりです。
・物流、倉庫業界
・製造業
・小売業
・建設業
・食品業界
・農業
・自動車産業
物流や倉庫だけでなく、自動車や食品などの製造工場でも使用されています。主に、出荷する製品をトラックに積載する時に用いられます。
重たい荷物を運搬できるため、建築現場や農業でも使用されているのが特徴です。
まとめ
フォークリフトは、物流や倉庫業界で重要な役割を果たす機械です。フォークリフトを運転するには、免許取得が必要であり、費用や時間はかかるものの、取得価値があります。
免許を取得する際には、安全意識を高め、運転に対する責任を理解したうえで、適切な教習所や機関を選択して、制度や助成金を活用していきましょう。
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- フォークリフトの免許には「フォークリフト運転特別教育修了証」と「フォークリフト運転技能講習修了証」がある
- 免許や資格などによって違いがあるが、取得まで数日から数週間程度の期間がかかる
- 免許の取得費用に関して、個人や企業に助成金や補助制度が存在する
- フォークリフトの免許取得は、職場でのスキル向上やキャリアアップにつながることが期待される