エンジンのオーバーホールとは?費用・タイミング・メリットを紹介
トラックを長く使用していると「エンジンの調子が悪いな」と感じることがあるかもしれません。
エンジンを復活させる方法の一つにオーバーホールがあります。エンジンオーバーホールならエンジンを分解・洗浄・修理して新車同然の状態まで戻せます。
この記事では、エンジンオーバーホールの基礎知識と効果、費用、適切なタイミングの見分け方などを詳しく解説します。エンジンの不調に悩んでいるときは、参考にしてください。
オーバーホールとは?
オーバーホールとは、エンジンをバラバラに分解・点検して洗浄した部品を再度組み立てるメンテナンスのことです。劣化が見られた部品は、修理をしたり新しいものに取り替えたりします。
また、オーバーホールにかかる工程は、次のとおりです。
- エンジンを車から外す
- エンジンをパーツレベルになるまで分解する
- 部品の洗浄
- 部品の修理、交換
- パーツの組み立ててエンジンを元の状態に戻す
- 車にエンジンを設置する
このとおり、エンジンのオーバーホールは、手間のかかるメンテナンスです。
オーバーホールで得られる効果
オーバーホールで得られる効果は、次のとおりです。
・エンジンの本来の機能を取り戻せる
・エンジンの調子が良くなり快適な運転が叶う
オーバーホールをおこなうことでエンジンを新車同様の状態まで戻せます。経年劣化によるエンジンの不調が改善し、快適に運転できるのが魅力です。
この効果により、トラックだけでなく旧車を愛用するオーナーもオーバーホールを実施する傾向があります。
オーバーホールのメリット・デメリット
エンジンのオーバーホールのメリットとデメリットを解説します。
オーバーホールのメリット
①新車の頃に近い状態のエンジンを取り戻せる
③破損や故障に気づける |
オーバーホールのデメリット
①高額な費用がかかる
③逆効果になることもある |
オーバーホールの費用
エンジンのオーバーホールにかかる費用は、「工賃」と「部品代」で構成されています。
工賃には、エンジンの分解から洗浄、再組み立てと設置が含まれます。工数のかかる作業となるため、一般的なメンテナンスより費用が高くなります。
部品代は、劣化が見られ交換が必要な部品にかかる費用です。ガスケットは、必須で交換するケースがほとんどです。業者とエンジンの型式によって費用は異なりますが、相場価格を下表にまとめました。
工賃 | 部品代(直列4気筒エンジンの場合) |
10万円〜 | ・ガスケットの交換のみ:30万円〜 ・ピストンやクランクなども交換する場合:50万円〜 |
車種と状態によっては、約200万円もかかることがあります。そのため、費用を抑えたいときは、安い中古エンジンを購入して載せ替えるという選択肢もあります。中古エンジンは、オークションサイトで、安くて10万円で購入可能です。ただし状態は使ってみないとわからないため、載せ替えてすぐに不調があらわれる場合もあります。
出品者の信頼性や商品の状態を見極めたうえで購入を検討してください。
オーバーホールをするタイミング
エンジンがどのような状態の場合にオーバーホールが必要なのでしょうか?
以下の4つの症状のうち一つでも心当たりがあれば、オーバーホールを検討してみてください。
①オイルの減りが早くなった
1万キロ走行した場合、オイルが1リットル減少するのは正常範囲ですが、11,000キロしか走行していないのに1リットルも減る場合は要注意です。
定期的にオイル交換していればあまり起きない現象ですが、オイル交換を怠ってしまうと潤滑不足により摩耗を起こります。結果、エンジンオイルが燃焼室に入り込んでしまい、気化して車外に排出されてしまうためオイルの減りが早くなってしまいます。
ほかにも、エンジンルームからエンジンオイルが漏れている症状が見られる場合もオーバーホールした方が良いタイミングです。
②マフラーから白煙が出る
アクセルをふかした際に、白煙が出る場合も要注意です。水蒸気のようにすぐに消えることはなく、異臭をともなうのが特徴です。その理由として「オイル上がり」や「オイル下がり」が考えられます。
「オイル上がり」とは、摩耗によりシリンダーとピストンの間に隙間ができ、そこに上がってきてしまったオイルがガソリンと一緒に燃えてしまう現象のことです。一方「オイル下がり」は、バルブステムシールの劣化や損傷によってシリンダーヘッドを循環しているエンジンオイルが下にさがり、燃焼室に入り込んでしまう現象のことを言います。
③異音がする
走行中に「キンキン」「カンカン」などの音がする場合も注意が必要です。この異音は「ノッキング」と呼ばれ、金属音とともに振動をともなうパターンが多く、エンジン内の異常燃焼により発生します。
燃焼室の汚れやエンジンの温度不足、積荷の重量によるエンジンへの負荷などが異常燃焼の引き金となり、ノッキングの発生につながります。
④走行距離が20万キロを超えたとき
エンジンの寿命は、30〜50万キロと言われています。そのため走行距離で判断したい場合には、20万キロを超えたときが目安です。ただし20万キロを超えていても、エンジンに不具合が見られないなら、無理にオーバーホールする必要はありません。
20万キロを超えていて、「明らかに燃費が落ちている」といった違和感があるときにご検討ください。
オーバーホール以外の選択肢は?載せ替えや買い替えがおすすめのケース
ここまで、エンジンオーバーホールについて説明してきましたが、オーバーホールをおこなう以外にも方法があるので、紹介していきます。
エンジンを載せ替える
載せ替えはオーバーホールと違って、パーツ単位ではなくエンジンごと交換する方法になります。
交換が必要になりそうなパーツの数が多い場合は、載せ替えでエンジンごと変えてしまったほうが手間が少なくすむかもしれません。
しかし、載せ替えも高度な技術が必要かつ高額になることに変わりはありません。
むしろ、トラックの搭載パーツのなかでも高額なパーツのエンジンの載せ替えとなると、中古エンジンでも100万円前後、新しいエンジンの場合は数百万円が必要となるケースもあります。
買い替える
もう一つの選択肢として、トラックの買い替えが挙げられます。新たなトラックに乗り換えることで、経年劣化をはじめとする問題が一気に解決するのがメリットです。トラックの状態によっては買い替えてしまったほうがよい場合もあります。予算や時間に余裕があれば新車を探すのも手ですが、中古トラック販売店であれば予算に合わせて短期間でトラック買い替えの実現が可能です。
オーバーホールに関するよくある質問
オーバーホールに関するよくある質問をまとめました。
オーバーホールは自分でできる?
オーバーホールには専門知識が必要で、膨大な時間もかかるため、自分でおこなうことはおすすめしません。
一般的には、豊富な知識を持つプロの整備士に依頼します。会社や店舗によりますが、正規のディーラーに依頼できる場合もあります。
しかし、近年オーバーホールに対応できる整備士は、減少傾向で費用が高いのが現状です。また、車のサイズやエンジンの状態にもよりますが、交換する必要のある部品も高額なものが多く、小型トラックでも50万円以上のコストがかかってしまうこともあります。
コストを安く抑えようと、安い業者へ依頼したり、自分でやってしまうと状態が悪化することがあるので、経験豊富な整備士への依頼を推奨します。
オーバーホールの目安は何年に1回ですか?
オーバーホールは、エンジンに不具合がないときは実施する必要がないので、何年に1回という目安はありません。
無理にオーバーホールする必要はありませんが、定期点検は必須でおこなってください。
事業用のトラックの場合、3ヶ月に1度点検しましょう。
リビルトエンジンとオーバーホールの違いは?
リビエトエンジンとオーバーホールの意味の違いは、次のとおりです。
オーバーホール:エンジンを分解・洗浄・修理・再構築し、性能・見た目ともに新品に近い状態にすること
エンジンを載せ替えで中古品を探す場合は、「リビエトエンジン」というキーワードで探すと状態が良いものを見つけられます。
まとめ
ここまでエンジントラブルの解決策としてオーバーホールをはじめ、載せ替えや買い替えについても触れてきました。オーバーホールは、エンジンを分解して再構築するため、見た目も性能も新車に近づけられます。ただし、一般的なメンテナンスと比較して費用がかかるため、必要性は見極めましょう。オーバーホールした方が良い症状が見られる時に検討してみてください。
また、費用を抑えたい場合には、オーバーホール以外の方法も視野に入れることを推奨します。
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- オーバーホールとは、エンジンをパーツレベルまで分解して、洗浄・修理・交換・再構築するメンテナンス
- エンジンが新車に近い状態になるが、費用と工期がかかる
- 費用相場は、50〜200万円かかることが多い
- 費用を抑えたいときにはオーバーホールを施した安価な中古エンジンを購入し載せ替える選択肢もある