オイル漏れの修理方法総まとめ!対策や原因も解説
車のメンテナンスは欠かせないもですが、知らないうちにオイルが漏れるというトラブルが発生することもあるでしょう。車のメンテナンスはプロに任せっきりにしているなら、オイル漏れを見つけたときに「何をしたらよいのか分からない!」と悩んでしまいます。オイル漏れは修理をしないと、エンジンを痛めてしまう原因になってしまうことも。エンジンのトラブルを大きくしないためにも、オイル漏れの原因を理解して、適切な対策を実施しましょう。この記事では、オイル漏れを発見したあとすぐにできる応急処置から、原因別の修理費用の相場まで詳しくご紹介します。
オイル漏れの症状の種類は2種類
一口にオイル漏れと言っても、2種類に分けることができます。エンジンの内部でオイル漏れが起こる「内部漏れ」とエンジンの外側にオイルが漏れていく「外部漏れ」です。
漏れの程度によっても修理の方法や費用が異なりますが、内部漏れの方がエンジンを分解して修理する必要があるので、費用も高くなりがちです。もちろん外部漏れでも、交換する部品の位置によっては、作業工賃が高くなるケースもあります。
オイル漏れの種類による症状の違いを見てみましょう。どちらの場合も定期的に車をチェックしておくことで、オイル漏れのサインを早期発見できます。
内部漏れ
内部漏れとは、エンジンの内部でオイルが漏れてしまう現象です。外部からは確認しづらいですが、漏れ出たオイルがガソリンと一緒に燃焼するので、白煙が上がるなどの症状があります。
内部漏れは、さらに2種類に分けられます。「オイル下がり」と「オイル上がり」です。
それぞれの原因や対処方法は以下の通りです。
オイル下がり
原因:パッキンの劣化によりエンジンの上部からシリンダー内にオイルが漏れる
対処方法:シリンダーヘッドのオーバーホール・バルブシールなどの交換
オイル上がり
原因:エンジンの内部のシリンダーとリングの間からオイルが燃焼室に漏れる
対処方法:エンジンのオーバーホール
いずれの場合には、部品が劣化したことにより、オイルが燃焼してしまいます。年式が古い車の場合には、どうしてもこれらの症状が起きやすいです。
オイル下がりやオイル上がりは、マフラーからの白煙やオイルが異常に減るなどの症状があります。年式が古い車のマフラーから白煙が出ているのを見たことがあるかもしれません。マフラーからの白煙は、内部漏れが進んでいる証拠です。
外部漏れ
外部漏れは、エンジンオイルキャップやヘッドカバーパッキン(ガスケット)などが劣化と、オイルが外部に漏れてしまうことです。
オイルがにじむ程度であれば気が付きにくいかもしれませんが、症状が進んでしまうと車両の下にオイルが落ちてきます。
エンジンの上部だけでなく、エンジン周囲の部品を接続しているパッキンが劣化することでも外部漏れが引き起こされます。オイルが落ちていないときにも、エンジン周囲の確認が必要です。
ボンネットを開けて車を点検しているときに、エンジンルームにオイルがにじんでいるところがあるなら、外部漏れの可能性があります。エンジンオイルの引火点は230度ほどですので、漏れ出たオイルが高温の部品に付着すると火災のリスクがあるので、早期に修理しなければいけません。
オイル漏れの応急処置方法!
オイル漏れが分かったときに、すぐに修理するのが難しいかもしれません。後ほど解説しますが、オイル漏れの修理には安くても数万円~高い場合には数十万円の費用がかかるからです。
早い段階でオイル漏れに気が付いた場合にできる応急処置として、添加剤の使用や粘度の高いオイルに交換することがあります。
添加剤の使用
添加剤とは、オイルに入れる漏れ止め剤のことで、カー用品店で気軽に購入できます。数千円から1万円ほどで購入でき、軽度のオイル漏れであれば症状を抑えることが可能です。
軽度のオイル漏れであれば添加剤で症状を止めることができ、保安基準上問題がなければ車検も問題ありません。
粘度の高いオイルに交換
粘度が高いオイルに交換すると、オイル漏れの症状を止めることもできます。通常オイルには番号が記されており、オイルの硬さを示しています。
硬いオイルに交換すると、今までオイルが漏れていたところからも漏れにくくなり、症状が抑えられることもあるでしょう。
もちろんオイル漏れの程度によっては、粘度の高いオイルに交換しても同様の症状になることがあります。軽度のオイル漏れであれば、試してみる価値がある方法です。
オイル漏れの対策方法とは
オイル漏れを発見したのであれば、早期に対策しておきたいものです。しかし結論から言って、オイル漏れ対策となるのは、定期的なオイル交換。オイル漏れが発生する前に、定期的にオイル交換をして、エンジンにとってよい環境にしておくことが大切です。
定期的なオイル交換が前提になっていますが、以下の方法でオイル漏れ対策をしましょう。
・添加剤の使用
・粘度の高いオイル
・部品の交換
添加剤を使用する
添加剤を使用すると、エンジンオイル漏れの原因となっているパッキンを回復させることができ、一時的な対処が可能となります。
使い方は簡単で、オイルと混ぜて使うだけです。数千円から購入できますが、エンジンオイル漏れを止める目的のために購入するので、ある程度評判が良いものを購入することをおすすめします。
注意点として、オイル漏れの効果を得るまでに、ある程度の距離や時間が必要なことです。「添加剤を入れたので、瞬時にオイル漏れが止まる」わけではありません。シールやゴムの劣化を遅らせて、一時的に回復させるためには時間が必要だからです。
また効果の持続性の点では、「あくまでもシールの劣化を遅らせている」だけなので、根本的な解決ではないことも覚えておきましょう。シールが破損していたり、症状がひどくなると、部品の交換が必要です。
粘度の高いオイルに交換する
粘度の高いオイルに交換することもできます。硬めのオイルにと、これまでオイルが漏れていたところから漏れにくくなります。
例えば、「15W-30」とあれば、右側の数字が高温時の粘度です。高温でも粘度が硬いオイルを使用すると、エンジンをしっかりと保護してオイルが漏れにくくなる傾向があります。
粘度が高いオイルを利用したときも、根本的な解決ではないことを覚えておきましょう。シールや部品同士の隙間が埋まりやすくなったとしても、時間の経過と共にオイル漏れが再発することもあります。
別の注意点なのは、オイルと車の相性の問題です。エコカーなどは、粘度が低いオイルで低燃費を実現していることがあります。粘度が高いオイルに交換と、エンジンの性能を発揮しにくくなったり、燃費が悪くなったりします。
いずれにしても粘度が高いオイルに交換することも、オイル漏れが悪化するまでの一時的な対処方法です。
部品を交換する
上記の2つの方法を試してみても解決しなかったときには、部品を交換することができます。根本から解決する方法ですので、オイル漏れを気にすることなく車を運転できるようになります。
オイル漏れは、オイル下がりとオイル上がりなどの「内部漏れ」、また外部からも確認できる「外部漏れ」に分けられることを説明いたしました。
症状や交換が必要な部品によっても異なりますが、一時的な対処方法と比較して部品交換は費用が高くなります。その分、完全にオイル漏れを解決できるので、安心して運転できるでしょう。
程度別のオイル漏れ修理費用の相場
程度別にオイル漏れの修理費用の相場を見てみましょう。
前提となるのは、車種やエンジンによってもオイル漏れ修理の費用は異なるということです。軽自動車のように、エンジンが小さく部品も小さいものであれば、費用も安くなります。またトラックのように大きなエンジンの場合には、修理費用も高くなります。
一般的な乗用車の場合に、どの程度の修理費用となるか見てみましょう。
対処方法 | 費用相場 |
添加剤使用 | 数千円~ |
粘度の高いオイルに交換 | 数千円~ |
オイルシール交換 | 約1.5万円~ |
バルブシール交換 | 約5万円~ |
ピストンリング交換・オーバーホール | 約20万円~ |
上記は費用の目安に過ぎません。どのような整備をするのかは、依頼する工場によっても異なるからです。整備工場なら部品の交換、ディーラーではパーツの交換という違いもあります。
もちろん素人では正しい判断は難しいもです。費用で迷ったなら、いくつかの整備工場で見積もりをしてもらうとよいでしょう。
エンジンオイル漏れの原因はガスケットの劣化やピストンリングの破損
エンジンオイル漏れの修理が必要な理由を理解するためにも、なぜオイル漏れをするのか知っておきましょう。
既述した内容もありますが、さらに詳しくご紹介します。
ガスケットの劣化
エンジンオイルが外部漏れするのは、ほとんどガスケットの劣化によるものです。エンジンは様々な部品を組み合わせてできていますが、接続部分にはゴム製のガスケットやパッキンが用いられています。
ゴムは新品のときには伸縮性があるので、オイル漏れをしっかり抑えてくれますが、経年劣化によりゴムが硬くなると伸びが悪くなってオイルが漏れてしまいます。
一部の部分には金属製のガスケットもありますが、いずれにしても経年劣化してしまうものです。エンジン自体は金属でできているので問題なくても、ゴム製のものは早く劣化してしまいます。
よく見ておきたいのはドレンボルト。オイル交換の際のドレンボルトにもガスケットがあるので、定期的に交換しましょう。ガスケットを交換すると、オイル漏れを防止できるので早めに対処しておくとよいでしょう。
オイルパンの破損
オイルパンとは、エンジンオイルを溜めているエンジンの下部にあるもの。エンジンオイルを溜める蓋のような役目を果たしています。オイルパンが破損してしまうと、エンジンオイルが漏れ出てしまいます。
ガスケットの劣化に比べると、頻繁に発生するものではありませんが、オイルパンが破損しているなら正常に走行できないためレッカーで運ぶ必要があるでしょう。
縁石にぶつけてしまったり、大量のオイル漏れが発生しているのを確認したなら、オイルパンのチェックもしておきましょう。
ピストンリング・バルブシールの摩耗
エンジンの内部からオイル漏れが起こるもので、症状の確認がしにくい原因となります。ピストンリングやバルブシールが摩耗して起こるオイル漏れです。
これらはエンジンオイルが燃焼室に落ちていかないようにしている部品です。どちらも走行距離を重ねたり、オイル管理が悪いと摩耗が進んで内部漏れの原因となります。これらの症状を確認する方法は、オイルの量をチェックしたり、マフラーから白煙が出ていないかという点です。
定期的な点検のときに極端にオイルが少なくなったり、走行中にオイル警告灯が点灯するなら、オイルが燃焼室で燃えています。
軽度の症状のときであれば、ご紹介した硬いオイルや添加剤の使用で対処できますが、摩耗が進むと部品交換が必要です。
オイル漏れを確認する方法
オイル漏れの原因や対処方法をご紹介してきましたが、どのようにオイル漏れを確認できるでしょうか?
簡単にできるオイル漏れのチェック方法をご紹介します。
漏れた地面の位置を確認する
駐車場にオイルのような染みがあるなら、どの位置にあるか確認しましょう。基本的に地面に落ちるほどのオイル漏れであれば、早急に修理が必要です。
しかし落ちている位置によって、どの部位からオイルが漏れているか予想できます。エンジンルームの真下にオイルが漏れているなら、オイルパンやエンジンの周囲にあるガスケット部分から漏れていることでしょう。
ボンネットを開けて確認しても、漏れている原因までは目視できないかもしれません。しかしエンジン付近からオイルが漏れていることを確認できるなら、早急な対処が必要です。
エンジン付近ではないなら、ブレーキフルードやパワーステアリングフルードなどの別のオイルの可能性があります。また後輪付近からのオイル漏れであれば、ギアオイルの漏れの可能性もあるでしょう。
同じオイルといっても、エンジンオイル以外の場合もあるので、整備工場で確認してもらいましょう。
漏れた液の状態を確認する
漏れた液の状態でも、何が漏れているのか確認できます。つまり、地面に染みがあるからといって、絶対にオイルとは断言できないことです。
例えば、オイルが黒っぽいのであれば、エンジンオイルの可能性が高いです。しかし色付きの水ならクーラントという冷却水の可能性があります。
もし地面の染みもオイルっぽくなく、数時間で消えるのであれば、エアコンの排水の可能性もあるでしょう。マフラーの付近からなら、排出ガスからの水分の可能性もあります。
もしオイル上がりやオイル下がりが進行すると、マフラーからオイルが出ていることもあるので、位置だけでなく液の状態も確認しておくとよいでしょう。
オイル漏れを放置するとどうなる?
オイル漏れを放置しておくとどうなるでしょうか?結論からすると、エンジンの故障や焼き付きを引き起こします。
もちろんそのまま車検を受けたても、車検に通ることはありません。車検に通らないだけでなく、エンジンオイルが高温になる部品に付着すると、車両火災を引き起こす危険性もあります。
早急に交換が必要ではない部品であっても、漏れ出たオイルによって他の部品を痛めてしまうこともあるでしょう。
そもそもオイルが少なくなりすぎると、エンジンが故障したり、最悪の場合には焼き付きを引き起こします。エンジンのオーバーホールに数十万円の費用が必要となります。
オイル漏れを発見したのであれば、早急に整備工場に見てもらい、応急処置で済む程度なのか、部品交換が必要なのか判断してもらいましょう。
まとめ
エンジンオイルの漏れは定期的にチェックしていないなら早期発見できない車両のトラブルです。しかし放置しているなら、走行中に故障する危険があるだけでなく、修理費用も高額になることがあります。
オイル漏れを見つけたのであれば、応急処置として添加剤の利用で一時的にオイル漏れを抑制し、整備工場に修理費用の見積もりをしてもらいましょう。また日頃からできるオイル漏れ対策として、マメにオイル交換することをおすすめします。
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- オイル漏れには2種類ある
- 応急処置としては添加剤の利用がおすすめ
- エンジンの内部漏れなら工賃が高額
- オイル漏れ対策はマメなオイル交換