バックホーの操縦に必要な資格や免許まとめ!ユンボや油圧ショベルとの違いも徹底解説!
工場現場などで活躍する重機の中に、「バックホー」と呼ばれるものがあります。他の呼び方では「ユンボ」や「油圧ショベル」と呼ばれる重機で、このほかにもさまざまな呼び名があります。では、このバックホーとはどんなもので、運転・操作するためにはどんな免許や資格が必要なのでしょうか。今回は、バックホーの特徴や呼び名の違い、運転免許と操縦資格について説明します。
バックホーの特徴とは?
バックホーとは、ショベル部分が操縦者の方向を向いている重機のことです。
土や砂利を引き寄せるようにショベルが動くバックホーは、地面より低い場所の物をすくいとる現場で活躍することが多い重機です。
そのため、採石場での土砂すくいや産業廃棄物の積み下ろしに活躍が期待されます。
また、アタッチメント管がついているバックホーであれば、ショベル部を取り外して別のアタッチメントに交換ができます。
別のアタッチメントに付け替えることで、さらに活躍の場が広がる、汎用性の高い重機でもあるのです。
ただし、アタッチメントの付け替えができるのは、油圧式であり、かつアタッチメント管があるバックホーのみ。
すべてのバックホーがアタッチメント交換できるわけではないので注意しましょう。
バックホーのアタッチメントはさまざま!
バックホーのアタッチメントは、ショベル部を付け替えられることだとお話ししましたが、アタッチメントにはどんなものがあるのでしょうか。
製造しているメーカーや、大きさにもよりますが、バックホーのアタッチメントにはいくつかの種類があります。
どんなアタッチメントでも使用できるわけではないですが、適切に使用すると作業効率の向上が期待できます。
そのためアタッチメントの付け替えができるバックホーは、さまざまな場所での活躍が期待できる重機だと言えるでしょう。
建設現場で便利なアタッチメント
まずは、建設現場で便利なアタッチメントを紹介していきます。
通称「フォーク」と呼ばれるアタッチメントであるグラップルは、家屋の解体や移動作業、選別作業ができるようになるものです。
爪で物を挟んで移動させるようにできるため、ショベルでは移動させられなかった長い大きなものでも運ぶことができます。
また、解体作業でさらに役に立つアタッチメントには
・ハンマー
・クラッシャー
・パクラー
と呼ばれるものがあります。
正しくはそれぞれ、ブレーカ、大割、小割といいますが、分かりやすいこれらの名称の方が広く普及しているという背景があるのです。
これらのアタッチメントは固いコンクリートの粉砕に役立つアイテムであり、ビルの解体などに使用されます。
このほか、粉ふるいのように網目がついたスケルトンバスケットや、穴をあけるためのオーガなど、さまざまなアタッチメントがラインナップされています。
農作業・畜産現場でも活躍できるアタッチメント
建設現場のイメージが強いバックホーですが、アタッチメント次第では農作業や畜産現場でも役立つ重機に変わりします。
農作業で活躍するアタッチメントは、刈払い用アタッチメントです。
別名「草刈りアタッチメント」といい、その名のとおり、草刈りのためのアタッチメントとなります。
一般的な草刈り機と違って平面以外の路面でも使用できる点が特徴の一つ。
油圧ショベルの動きで、あぜ道やのり面と呼ばれる人工的な傾斜のある地形での草刈りも自由にできます。
畜産現場では、ベールグリッパーという、ロールベールや牧草ロールなどをつかんで移動させるアタッチメントが活躍します。
ベールグリッパーは、普通のフォークでは難しい場面でもちょうど良い力加減で作業を行うことができるのです。
また、大きなロールを挟むことができるので、畜産現場では重宝することでしょう。
さらに、レーキという刈り取った雑草や木の型付けに役立つアタッチメントもあります。
バックホーとアタッチメントの組み合わせ次第で、工事現場だけでなくさまざまな場面で使用することができる重機、それがバックホーなのです。
アタッチメントの付け替えには十分な注意を!
非常に便利なものが多いバックホーのアタッチメントですが、交換するにはかなりの労力が必要です。
アタッチメントはそれぞれ機械が組み込まれているためそれなりに重たく、複数人で付け替え作業をするほうがいいでしょう。
時間の短縮にもつながりますし、何よりも事故を防ぐことができます。
メーカーにもよりますが、アタッチメントが交換できるバックホーには「アタッチメント交換用ロック」がついているものもあります。
このロックがついていれば、1人でもつけ外しがしやすいようになっています。
ただし、慣れないうちは会社の先輩や、ベテランの操縦士と一緒に交換をするようにしましょう。
バックホーとよく似た重機との違い
バックホーという呼び名になじみがない人もいるのではないでしょうか。
見た目だけで言えば、ユンボのようにも見えますし、パワーショベル、油圧ショベルにも見えます。
このように、バックホーとよく似た重機は知っているけど、何が違うのかわからない人は少なくありません。
そこで、バックホーと、それによく似た重機の違いについて説明していきます。
さまざまな名称があるが実は同じもの
非常にややこしい重機がたくさんあるように見えるバックホーですが、実はすべて同じ重機です。
つまり、名前が違うだけで重機そのものはまったく同じもの、ということになります。
ではなぜ呼び名が違うのかというと、シーンごとに定められた呼び方が違うからです。
以下は、シーンごとで違うバックホーの呼び名をまとめたものです。
繰り返しにはなりますが、一覧の名前はすべて同じ重機のことを指しています。
【バックホーの呼び名一覧】
呼び名 | シーン |
バックホー | 行政で使われることが多い |
ユンボ | 「レンタルのニッケン」の登録商標 |
パワーショベル | バケットが外向きの時 |
油圧ショベル | 建設業界の呼び名 |
ショベルカー | マスコミの呼び名 |
ドラグショベル | 官庁が文章で使う |
運転する免許と操縦する資格もすべて同じ
バックホーには多くの呼び名があり、またすべて同じ重機を指していることがわかりました。
当然、すべて同じ重機ですので、運転するための免許も操縦するための資格も同じです。
会社から「バックホーの資格取ってこい!」と言われても、「ユンボ運転できるようにしてきて!」と言われてもすべて同じ。
ただ呼び方が違うだけで、取得する運転免許も操縦資格も共通しています。
<ユンボの免許について詳しくこちらの記事で説明しています。>
ユンボの免許を取るために必要な費用や時間を解説!免許を取れる教習所もご紹介!
ただし、バックホーで公道を走る際には注意点もあるのです。
バックホーには
・クローラ式
・ホイール式
このの2種類があります。
しかし公道を走れるのはホイール式だけで、クローラ式はいわゆるキャタピラなので公道を走ることそのものが法律で禁止されています。
知らずにクローラ式で公道を走ると、道路交通法違反で罰を受けるので注意が必要です。
バックホーに必要な運転免許や操縦資格
バックホーの運転・操縦に必要な資格はどんなものなのでしょうか。
バックホーを運転し、現場で操縦するためには運転免許の他にも、アーム部を操作するための資格が必要になります。
では、どのような免許・資格が必要なのでしょうか。
詳しく見ていきましょう。
運転免許は自動車と同じ
バックホーで公道を走るために必要な免許は、自動車と同じです。
免許は、運転する自動車の車両総重量と最大積載量で分けられています。
以下に、自動車の運転免許と対応している自動車の大きさをまとめました。
【運転免許と運転可能な自動車の条件】
運転免許 | 条件 |
普通免許 | 車両総重量:3.5トン未満
最大積載量:2.0トン未満
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準中型免許 | 車両総重量:7.5トン未満
最大積載量:4.5トン未満
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中型免許 | 車両総重量:11.0トン未満
最大積載量:6.5トン未満
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大型免許 | 車両総重量:11.0トン以上
最大積載量:6.5トン以上
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ただし、バックホーの運転について、一つ注意しなければいけないことがあります。
それは、ホイール式のバックホーでなければ公道は走れないということです。
クローラ式のバックホーを移動させるには、重機回送用のトラックが必要になります。
また、バックホーは運転免許なしでも操縦資格を取りに行くことができます。
そのため運転免許を持っていない人でも操縦することが可能なのです。
しかし、運転免許を持っていなければ、当然、公道を走行することはできません。
稼働制限がかかり不便な場面もでてくるため、できれば運転免許を取って実践経験を積んでから資格を取りに行くことをオススメします。
また、運送会社などで3ヵ月以上、中型・大型のトラックを運転した経験が証明できると、次に紹介する操縦資格の講習期間が短くなります。
操縦資格はバックホーの大きさで違う
バックホーにも大きさがあり、3トンを境に必要な操縦資格が変わります。
この操縦資格を持たないままバックホーを操縦すると、厳しい罰則の対象となってしまいます。
罰則を受けて、自分も会社も被害を受けないためにも、必ず操縦資格は取りにいくようにしましょう。
バックホーの重量が3トン未満の小型である場合、受ける講習は「小型車両系建設機械の運転に係る特別講習」です。
対して、3トン以上のバックホーに関しては「車両系建設機械運転技能講習」を修了し、試験に合格する必要があります。
どちらも一般の教習所で講習を受けるわけではありません。
メーカーが持っている専用の教習所で、それぞれの講習を受ける必要があります。
ちなみに、どちらの資格も満18歳以上でなければ受けることはできません。
しかし条件は年齢制限のみなので、気軽に取得できる資格であるともいえます。
いきなり「車両系建設機械運転技能講習」を受けてもいいですし、「小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育」講習から受けてもOKです。
特に決めていないのであれば、ひとつですべてのバックホーが操縦できるようになる「車両系建設機械運転技能講習」を受けることをオススメします。
小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育
3トン未満の小型バックホーの操縦に必要な資格を取得する講習が、「小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育」講習です。
比較的小さなバックホーが操縦できるようになるので、造園や配管工事などの狭い場所で活躍します。
講習名 | 資格内容 | 費用 | 講習内容 |
小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育 | 3トン未満のバックホーの操縦 | 約2万円 | 学科7時間/実技6時間 |
受講に必要な費用は、修了証の写真代も含めて約2万円であり、講習時間は、学科と実技を合わせて2日間ほどです。
学科には試験があるものの、実技に試験はなく、講習の修了とともに操縦資格が与えられます。
ただ、学科試験の内容も、きちんと講習を受けていれば決して難しいものではありません。
緊張せずに、リラックスして講習に望みましょう。
また、「小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育」講習修了後3か月以内であれば、上の資格である「車両系建設機械運転技能講習」のいくつかの講習が免除されます。
ステップアップを考えているのであれば、3ヵ月以内に次の講習を申し込んでおきましょう。
車両系建設機械運転技能講習
3トン以上のバックホーの操縦をする場合は、「車両系建設機械運転技能講習」を受け、試験に合格する必要があります。
この資格を持っていると、すべての大きさのバックホーを操縦できるようになり、工事現場や産業廃棄物処理場でも活躍できるようになります。
講習名 | 資格内容 | 費用 | 講習内容 |
車両系建設機械運転技能講習 | 3トン以上のバックホーの操縦 | 約5万円 | 学科13時間/実技25時間 |
必要な費用は約5万円で、テキスト代や写真代もすべて含んでこの金額です。
講習では、免許や資格何も持っていなれば、学科が13時間、実技が25時間となります。
それぞれに試験が設けられており、両方合格して初めて修了証が交付されます。
学科試験の難易度はそれほどでもないですが、実技試験はかなり難しく、少しのミスで失格になることも。
天候にも左右されやすいのですが、落ち着いて丁寧に試験に臨むように意識しましょう。
また、「車両系建設機械運転技能講習」を修了し、別の資格と合わせると他の重機も操縦できるようになります。
具体的には、ブルドーザーやブレーカと言った重機です。
これらの操縦資格も狙うのであれば、ぜひ「車両系建設機械運転技能講習」にチャレンジしてみてはどうでしょうか。
まとめ
バックホーの呼び方やアタッチメント、運転・操縦に必要な免許や資格についてお話しました。
バックホーの操縦資格を持っていると、さまざまな現場で大活躍できること間違いありません。
さらにアタッチメントを付け替えることで、バックホーそのものの活躍の場が広がります。
キャリアアップのためでもいいですが、現場で活躍したいと思っている人はぜひバックホーの資格を取ってみてはどうでしょうか。
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- アタッチメント次第で、バックホーの活躍の場が広がる
- バックホーの呼び名はたくさんあるが、すべて同じ重機
- バックホーの運転と操縦はそれぞれ別の免許・資格が必要