維持費のなかで大きなウェイトを占める税金!トラックの自動車諸税を徹底解説
トラックの維持費のなかで定期的に発生し納税義務が課せられる自動車税や重量税などの税金は運航スケジュールや事業運営の改善などで圧縮することができない固定費で、複数のトラックを保有する運送事業者にとって経済的負担が決して小さくない存在です。
2019年の税制改革で自動車諸税の大幅な見直しが行われましたが、複数の車両を保有する運送事業者にどのように作用しているかが不透明であるので、事業用トラックに着目し自動車税や重量税などトラックに課税される税金について紹介します。
事業用トラックの維持費用に大きく影響する税金の自動車諸税とは?
トラックは自家用登録した白ナンバーと事業用登録した緑ナンバーの2種類に分類され、一般化貨物自動車運送事業か特定貨物自動車運送事業の運送事業者として許可を得た法人が事業用に使用するトラックが緑ナンバーの事業登録車両となります。
トラックの維持にはトラックに課税されるさまざまな税金を納税する必要がありますが、自家用登録のトラックと事業用登録のトラックでは課税される税金の額が異なりますので、トラックの税金を一括りにすることはできません。
トラックに関係する3つの税金
すべてのトラックには自動車諸税と呼ばれる複数の税金が課されますが、既述のとおり税額はトラックの登録区分や車両区分などで異なります。現在トラックに課される税金には環境性能割(旧自動車取得税)・自動車税・自動車重量税の3つが存在しますのでトラックに課される3つの税金を紹介します。
環境性能割(旧自動車取得税)
2019年の税制改革で車両価格が50万円以上のトラック購入時に3%の税率で課税されていた自動車取得税が廃止され、新たに導入されたのが環境性能割です。環境性能割はすべてのトラック購入時に課税されますが、トラックの環境性能(燃費性能)に応じて0~3%の税率が段階的に課税される税金で地方税となります。
自動車税
2019年の生成改革の目玉として自動車取得税の廃止と共に掲げられたのが、自動車税の減税ですが小排気量の乗用車に適用される減税措置のためトラックは自動車税減税の対象外となり自動車税は減免されません。自動車税は毎年4月1日現在のトラックの所有者又は使用者(ローン返済中の車両が該当)に最大積載用に応じて課税される税金で、環境性能割同様地方税となります。
自動車重量税
トラックの車検の際に車検有効期限分の納税を行うのが一般敵的に重量税と呼ばれる自動車重量税で、道路の維持・整備費用を賄うための道路特定財源でしたが2010年に一般財源化された国税でトラックの車両総重量に応じて段階的に課税されます。
環境性能割とは?2019年の税制改革で大きく変貌した自動車諸税!
2019年の税制改革では消費税増税が行われ大きく注目されましたが、一般的な関心が消費税に集まり自動車諸税の改革については大きく報じられることがありませんでした。既述のとおり自動車諸税の改革の目玉として自動車取得税の廃止と自動車税の引き下げが掲げられましたが、廃止された自動車取得税の代わりに環境性能割が導入されたことで「税金の名目が置き換えられただけ」と感じる方も少なくないのではないでしょうか?
環境性能割は自動車取得税より課税対象が拡大された税金
自動車諸税の改革で廃止された自動車取得税は車両価格50万円以上のトラック購入時に一律3%が課税される税金でしたが、新たに導入された環境性能割はすべてのトラック購入が課税対象となります。
課税額は0~3%の税率で算出され環境性能(燃費性能)に優れるトラック購入に関しては低税率、環境性能に劣るトラック購入に対しては高税率が課されますので、低年式で低価格な車両は税率が高くなると言えます。
環境性能割はトラックの登録区分で税率が異なる
環境性能割の課税率が0~3%であることは既に紹介しましたが、自家用登録と事業用登録では課税率が次のように異なります。
・自家用登録:0~3%
・事業用登録:0~2%
国内物流の大部分はトラック輸送によって行われており、事業用登録のトラックは国内物流を支える重要な位置付けが行われていることから自家用登録のトラックより税率が抑えられています。
税制改革でトラックの自動車税と重量税は変化したのか?
自動車諸税の税制改革では自動車取得税の廃止と共に自動車税の引き下げが掲げられましたが、自動車重量税に対しては触れられることがありませんでした。税制改革によってトラックの維持費に大きく関係する自動車税と自動車重量税に変化が生じたのかが気になるところですので紹介します。
自動車税制改革の目玉「自動車税引き下げ」はトラックに適用されない
自動車取得税の廃止と共に自動車諸税の税制改革の目玉として掲げられた自動車税の引き下げですが、残念ながら自動車税の引き下げは小排気量の乗用車に適用される減税措置でありトラックは自動車税減税の対象外で自動車税の減免はありません。
トラックは従来通り最大積載量に応じて段階的に課税されますが、同じ最大積載量のトラックでも自家用登録と事業用登録では次に挙げるように課税額が異なります。
最大積載量 | 自家用登録 | 事業用登録 |
1トン未満 | 8,000円 | 6,500円 |
1~2トン未満 | 11,500円 | 9,000円 |
2~3トン未満 | 16,000円 | 12,000円 |
3~4トン未満 | 20,500円 | 15,000円 |
4~5トン未満 | 25,500円 | 18,500円 |
5~6トン未満 | 30,000円 | 22,000円 |
6~7トン未満 | 35,000円 | 25,000円 |
7~8トン未満 | 40,500円 | 29,500円 |
8トン以上 | 1トンごとに6,300円を40,500円に加算 | 1トンごとに4,700円を29,500円に加算 |
重量税のエコカー減税の適用期間は2020年度まで延長された
政府は排ガス基準をクリアしたトラックに対して自動車重量税の減税を行う「エコカー減税」を実施することで環境問題対策を推し進めており、エコカー減税が適用されると自動車重量税が減免されます。
エコカー減税は時限措置として施行されており環境性能の高いトラックに対するエコカー減税は2020年度まで適用期間が延長されました。尚、自動車重量税は新車登録から13年・18年が経過すると段階的に重加算されます。
自家用登録と事業用登録トラックの税金はどちらがお得なのか?
トラック購入時に課税される地方税の環境性能割(旧自動車取得税)や購入後のトラック維持費用のなかで大きなウェイトを占める、地方税の自動車税と国税である自動車重量税などトラックに課せられる税金は同じトラックでも登録区分で課税額が異なります。
トラックに課される税金は運行方法などで節約できない固定費であるため、自家用登録と事業用登録のどちらの登録区分がお得なのかが気になるところです。
自動車税・重量税ともに事業用トラックは税率が優遇されている
既にふれたとおり国内物流の大部分はトラック輸送によって行われており、トラック輸送は生活を支える物流インフラとして非常に重要な位置付けがされています。
物流インフラを支える事業用登録のトラックの運行が滞れば国民生活の維持が困難になりかねないため、事業用登録のトラックに課税する税金は自家用登録のトラックよりも減免されており、国民生活を支える運送事業者に対する優遇措置が取られています。
自賠責保険料は事業用トラックより自家用トラックが安い
自動車税と自動車重量税と共にトラックの維持費用の固定費として挙げられるのが自賠責保険ですが、自賠責保険に関しては事業用トラックより自家用トラックの方が保険料が安く設定されています。
運賃収入を得るための運送業務を行う事業用トラックは自家用トラックと比べると年間走行距離が大きくなる傾向にあることから、自家用トラックよりも事故遭遇リスクが高くなることに起因します。
事業用トラックの維持費用軽減にはエコカー減税対象車両が効果的!
最低5台以上のトラックを保有する必要がある一般化貨物自動車運送事業か特定貨物自動車運送事業の運送事業者をして許可を得た法人にとって、事業用登録のトラックが自家用トラックより税金面で優遇される制度は非常に有難いのではないでしょうか?
しかしより効果的に税金の優遇制度を活用できる環境性能に優れたトラックを購入し、エコカー減税をフル活用することで事業用登録のトラック維持費用をさらに効果的に抑えることが可能になります。
エコカー減税対象トラックの導入コストは決して小さくない
トラックに課される税金は環境性能の高いエコカーを購入することで節税することができますが、環境性能が高い新車のトラックは車両価格が高額であり現在所有するトラックからの乗り換えが困難であるのも事実です。
環境性能に優れたエコトラックの購入時は環境性能割(旧自動車取得税)による課税額を抑えられますが、車両価格が引き下がるわけではないため導入コストの経済的負担は小さくありません。
そこでおすすめしたいのが中古トラック販売店で環境性能に優れた高年式の中古トラックを導入し、自動車税や重量税などのトラックの税金を節税する方法です。
中古トラック販売店で取り扱われるエコカー減税対象車両の活用がお得!
中古トラックと言っても環境性能に優れた高年式のトラックは決して安くはありませんが、中古トラック販売店を利用すればディーラーで購入するよりもお得に導入することは可能です。
また環境性能に優れたトラックを使用することで、維持費用のなかで存在感のある燃料費の節約が大きく期待できます。燃料費とトラックに課税される税金を抑えることが可能となる環境性能に優れた高年式の中古トラックを中古トラック販売店でお得に購入してみてはいかがでしょうか?
まとめ
国内物流を支える事業用登録のトラックは自家用トラックよりも自動車税や自動車重量税などの税金が抑えられており、運送事業者の税負担を軽減する措置が取られています。しかし使用歴の長い環境性能に劣るトラックを使用しているとせっかくの減税措置を活用することができませんし、場合によっては重量税が重加算されることにもなりかねませんので、環境性能の高いトラックの導入は事業運営にプラスに働くと言えます。
事業用登録のトラックに課される税金には次に挙げる3つの特徴が存在するので、環境性能に優れたトラックの導入で上手に節税を行ってみてください。
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- 事業用トラック購入時の環境性能割の税率は0~2%
- 自動車税と重量税は自家用よりも事業用トラックが優遇される
- エコトラックは重量税のエコカー減税が適用される
- 事業用トラック購入時の環境性能割の税率は0~2%