中古車の減価償却計算方法とは?減価償却に関する落とし穴や節税方法も解説!
車を購入する際、減価償却のことを考えると新車と中古車のどちらを選ぶと得になるか迷ってしまいますよね。実際、減価償却の費用は新車と中古車で異なります。この記事を参考に、ご自身の状況と照らし合わせて新車と中古車どちらを購入するかの判断の参考にしてください。
減価償却とは?
減価償却とは、固定資産を購入する際に支払った金額を確定申告時、経費として何年かに分けて計上する仕組みのことです。対象となるものは、耐用年数が1年以上で購入金額が10万円以上のものです。中古車はもちろん、他には建物やパソコンなどの機械が挙げられます。
上記に該当するものは、購入した年に全額経費計上ができないため、減価償却をして何年かに分けた計上が必要です。
中古車を減価償却する際の計算方法は3種類
中古車を減価償却する際、計算方法は3種類あります。
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それぞれの計算方法を解説します。
①定額法
定額法とは、中古車購入費を耐用年数で均等に割ることで、基本的に、個人事業主が減価償却をする際に使用される計算方法です。
中古車購入費の中には、自動車税や自賠責保険料なども含まれます。
定額法の減価償却費計算方法は以下になります。
【車の取得価額×定額法償却率】
定額法の償却率は、国で定められており、耐用年数によって以下の表のように定額償却率が変動します。
耐用年数 | 定額償却率 |
2年 | 0.5000 |
3年 | 0.334 |
4年 | 0.250 |
5年 | 0.200 |
6年 | 0.167 |
(出典元:国税庁のホームページ「減価償却資産の償却率表」)
例えば、1年落ちの中古車を170万円で購入した場合、耐用年数は5年なので、上記の計算式に当てはめて計算すると以下になります。
170万円×0.2=34万円
つまり1年間の減価償却費は、34万円です。
②定率法
定率法とは、一定の償却率にしたがって減価償却をおこなうことで、基本的に、法人が減価償却をする際に使用する計算方法です。
定率法の場合、減価償却の累計額をもとに毎年減価償却費用が変わるため、初年度が一番高額となり、年々減っていくのが特徴です。
定率法の減価償却費計算方法は以下になります。
【未償却残高(取得価額-減価償却累計額)× 定率法償却率】
定率法の償却率は、国税庁で定められており、以下の表を参考に算出してください。
耐用年数 | 定率法償却率 |
2年 | 1.000 |
3年 | 0.667 |
4年 | 0.500 |
5年 | 0.400 |
6年 | 0.333 |
(出典元:国税庁のホームページ 「減価償却資産の償却率等表」)
定額法と同じく、1年落ちの中古車を170万円で購入した場合を考えてみましょう。
上記の計算式にあてはめて計算します。
1年目:170万円×0.4=68万円
2年目:(170万円−68万円)×0.4=40万8000円
3年目:(170万円−68万円−40万8000円)×0.4=24万4800円
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定率法では、初年度に減価償却費を多く計上でき、節税効果が高いことがわかります。
③リース期間定額法
リース期間定額法とは、資産のリースを利用した場合の減価償却費の計算方法です。カーリースや社用車のリースの減価償却も該当し、リース資産の償却限度額を定めて減価償却します。
リース期間定額法の減価償却費計算方法は以下になります。
【リース資産の購入代金/全リース期間の月数 × (事業年度の)リース期間月数】
例えば、購入代金が350万円でリース期間9年のカーリース、事業年度でのリース期間の月数が12ヵ月の場合、以下の計算になります。
350万円/108ヵ月×12ヵ月=38万8889円
つまり毎年38万8889円が減価償却可能です。
しかし、リース期間が1年以内であったり、中古車リースなどでリース料の総額が300万円以下の場合は、その事業年度の経費として一括で計上できます。
耐用年数とは
耐用年数とは、減価償却資産を使用できる想定期間のことを指します。
つまり、耐用年数によって1年に計上できる減価償却費用が決まっています。
耐用年数は固定資産の価値を基準とし、資産の種類や構造などによって所得税法や法人税法のなかで細かく定められています。
車の場合、普通車や軽自動車、新車や中古車などによって耐用年数が変わるため、車を購入する際に確認しておく必要があります。
新車の耐用年数
新車の耐用年数は、法律で定められており、普通自動車が6年、軽自動車が4年です。
トラックの場合はさらに細かく区分がされており、それぞれの耐用年数は以下の表のとおりです。
【自家用トラック】
種類 | 耐用年数 |
自家用トラック | 5年 |
自家用トラック(ダンプ式) | 4年 |
【業務用トラック】
種類 | 耐用年数 |
業務用トラック | 4年 |
貨物自動車 | 5年 |
貨物自動車(ダンプ式) | 4年 |
業務用トラック (最大積載量2トン未満)の小貨物自動車 |
3年 |
業務用トラックその他の小型自動車 (排気量3L以上) |
3年 |
業務用トラック (排気量3L以上の大型乗用車) |
5年 |
被牽引車 | 4年 |
中古車の耐用年数
中古車の耐用年数は、経過年数を考慮して算出されるため、新車と比べると短くなり、毎年の減価償却費を多く計上できるため、節税効果が高いのが特徴です。
中古車の場合は、使用環境や劣化状況には関係なく経過年数をもとに決まった計算式に当てはめて耐用年数を計算します。
なお、10万円未満の中古車の場合は1年で減価償却が可能です。
また、中古車の場合は、経過年数が新車購入時の耐用年数を過ぎている場合と過ぎていない場合で計算方法が異なるので、それぞれ詳しく解説します。
耐用年数を過ぎていない中古車
耐用年数を過ぎていない中古車の計算式は下記になります。
【(耐用年数-経過年数)+(経過年数×20%)=中古車の耐用年数】
例えば、3年落ちの中古普通車の場合(法定年数:6年)
(6年-3年) + (3年×0.2)=3.6年
端数は切り捨てなので、耐用年数は3年です。
耐用年数を過ぎている中古車
耐用年数を過ぎている中古車の場合の計算式は下記です。
【耐用年数×0.2】
例えば、7年落ちの中古普通車の場合(法定年数:6年)
6年×0.2=1.2年
2年未満の場合は2年として扱われるので、耐用年数は2年です。
節税対策には新車ではなく中古車購入がおすすめ
減価償却の年数を短くして、毎年の減価償却費を多く節税するためには、中古車がおすすめです。中古車のなかでも経過年数が3年10ヵ月のものは、耐用年数が2年となります。そのため比較的コンディションのよい中古車の購入が可能です。
さらに、定率法を使って減価償却をする場合は、耐用年数が2年の償却率は1.000となるため、1年で減価償却ができます。
減価償却に関する5つの注意点
中古車の減価償却に関する注意点は5つあります。
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それぞれの注意点を詳しくみていきます。
中古車の購入タイミングに注意
中古車の購入タイミングは、事業年度の最初の月がおすすめです。減価償却は月単位で計算されるため、事業年度の最初の月に購入すると減価償却費を最大限計上でき、節税効果が高くなります。
利用状況によっては減価償却額の減額につながる
社用車をプライベートでも使用する場合、経費として認められる割合が減る可能性があります。例えば、利用頻度が社用とプライベート用で半分のときは、減価償却費も半分となるので注意しましょう。
中古車の場合、修理費用に要注意
中古車を購入した場合、修理費用が高額だと新車の耐用年数で減価償却費が算出されてしまうため注意が必要です。
修理の費用が中古車の車両価格の50%以上に達した場合、新車と同じ耐用年数に当てはめられてしまうので、修繕費用は極力抑えましょう。
定額法や定率法に変更すると3年間変更できない
基本的に個人事業主は定額法で算出し、法人は定率法で算出しますが、税務署に変更届を出すことも可能です。ただし、法人も個人事業主も定額法や定率法に変更したあと3年間は変更できませんので注意してください。
中小企業や個人事業主の方は注目!減価償却特例の内容
減価償却特例は、購入した資産が30万円未満の場合、全額を経費として計上が可能となる制度です。減価償却特例では、仮に事業年度末に購入したときでも全額経費に計上できます。
中小企業の方や個人事業主の方で30万円以下の中古車を購入する場合には、大きな節税となるのでぜひ確認してみてください。
もし税理士さんに経理をお願いしている方は、税理士さんと相談しながら中古車の購入を検討するとよいでしょう。
まとめ
中古車を購入した際の減価償却の解説をしてきました。減価償却をする際は、耐用年数が重要となるため、購入をするときから耐用年数を気にかけるとよいです。
また、新車と中古車では耐用年数に違いがあり、経過年数が考慮される中古車のほうが減価償却の期間を短くできる点で節税効果が高いことを説明しました。
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- 耐用年数は新車と中古車で異なる。新車の耐用年数は決まっているが、中古車の耐用年数は経過年数と合わせて算出する必要がある
- 中古車を減価償却する際は事業年度の最初の月に購入すると節税効果が高い
- 中古車でも修繕費が高額だと新車と同じ耐用年数があてはめられる
- 社用車をプライベートでも使用している場合、減価償却の割合が減ってしまう可能性がある