荷物の積み下ろしの作業性を劇的に向上させる!ウイングボディとは?
荷室の側面を大きく開いた状態で、荷物の積み下ろしをおこなう風景を見たことがある方は多いのではないでしょうか?このような形状のトラックは、ウイング車と呼ばれ、アルミパネルで囲われた荷台部分の側面が鳥の羽のように跳ね上がる機構を装備しています。
箱車と呼ばれるアルミバンやパネルバンは荷台の後部扉からしか荷物を積み下ろしすることができませんがウイング車は後部だけでなく左右側面からも荷物の積み下ろしが可能です。
ウイング車の最大の特徴は、荷物の積み下ろしが効率的に行えることです。
左右の側面を上部に開閉することができますので、フォークリフトを使って大量の荷物を一気に積み下ろしすることが可能です。
トラックはさまざまなボディタイプがある
トラックは小型クラス・中型クラス・大型クラスの各車両区分のものが製造され、輸送業務にマッチした多種多様な特殊装置や架装が搭載されています。
代表的なものは、次のようなものが挙げられます。
・荷台が露出した構造の平ボディ
・平ボディに車載クレーンを搭載したクレーン付きトラック
・牽引車両のトラクターと被牽引車両のトレーラーを連結する牽引貨物自動車
・荷台部分に荷室を搭載し高い輸送品質を実現する箱車
同じ年式やモデルのトラックでも、搭載する特殊装置や架装によって特性が大きく異なります。
<詳しくはこちらで解説しています>
搭載装置や架装で多彩なニーズに応えるトラック!業種別のおすすめボディタイプとは?
高い輸送品質を実現する箱
荷台部分に密閉構造の荷室を搭載した箱車は、輸送中に風雨の影響を受けない点や施錠すれば盗難リスクを低下できる防犯性能の高さが評価されています。高い輸送品質を実現できるので、現在多くの運送事業者が導入をおこなう人気の高いボディタイプです。
箱車には、開口部が限定的でより密閉性の高いパネルバンと荷室側面を大きく開口できるウイングボディがあります。パネルバンはアルミ製パネルを使用するケースが多いことからアルミバンとも呼ばれます。
ウイングボディには派生車種が存在する
荷主企業や運送事業者からウイングボディに対するニーズは非常に高く、ウイングボディをベース車両に使用した次のような派生車種が開発・製造され販売されています。
・氷点下30~40度の定温輸送ができる低温冷凍車
・氷点下5度前後の定温輸送ができる中温冷凍車
一般的なウイングボディの荷室はアルミ製パネルで製造された外壁とべニア製の内壁、木製の床で構成されていますが、天井・側壁・床の各部に断熱処理を施し冷却装置を搭載したのが冷凍・冷蔵車です。
保冷車同様、フォークリフトでパレットの積み下しをおこないます。荷役作業を向上させたい場合に、ウイングボディをベース車両とした冷凍・冷蔵車が使用されます。
ウイングボディはクレーンでの荷役作業が苦手
ウイングを開放することで出現する開口部は側面に限定されるため、クレーンを使用する荷役作業は苦手で適していないといえます。
ウイングボディの開放システムには2つのタイプが存在しますが、いずれのタイプも開放した側壁が天井部に残されます。そのため、クレーンでの荷役作業には天井部分が最大135度まで開口し、さらに大きな開口部を出現させるターンオーバーやオーバーウイングと呼ばれるタイプのみが対応できます。
ターンオーバーやオーバーウイング以外のウイングボディは、フォークリフトでの荷役作業に適したボディタイプだととらえるべきでしょう。
荷室側面を大きく開口することで、フォークリフトが荷室に直接アクセスが可能となり、パレット上に積載した貨物をパレットごと積み下ろしできます。
荷室の種類と素材
トラックの荷室は下記の3つの種類に大別することができます。
・荷台をアオリで囲んだ「平ボディ」
・荷室をゴム引きシートで囲った「幌車」
・強固な素材で密閉性の高い荷室を形成する「箱車」
この中でウイングボディの構造を持つのは箱車です。箱車にはアルミニウムや炭素繊維強化プラスチック、ゴム引きシートなどが箱車の素材として使用されますが、一般的にはアルミニウムを用いたアルミバンが普及しています。
箱車にとって荷室素材は重要なポイント
荷室を搭載する箱車は風雨の影響を受けない高い輸送品質を実現する
荷台を露出した構造の平ボディは最も原始的なデザインのトラックですが、荷台部分が解放されていることから荷役作用の作業性が高く、積み荷の形にとらわれることなく貨物の積載が行えるためトラックの代表的な存在に位置付けられています。
しかし、荷台が露出していることで輸送中に積み荷が風雨の影響を受けやすいことや、荷崩れによる積み荷の落下や盗難による積み荷の紛失リスクなどが存在し、輸送品質の向上が困難であるもの事実で、高い輸送品質を実現させるボディタイプのニーズが高まっています。
荷台部分に密閉構造の荷室を搭載した箱車は、輸送中に風雨の影響を受けない点や施錠すれば盗難リスクを低下できる防犯性能の高さが評価され、高い輸送品質を実現できるボディタイプとして現在多くの運送事業者が導入を行う人気の高いボディタイプです。
箱車はアルミバンとウイングボディに大別できる
荷台部分に荷室を搭載するボディタイプは「箱車」の通称で呼ばれますが、箱車は開口部が限定的でより密閉性の高いパネルバンと荷室側面を大きく開口できるウイングボディの2つに大別でき、パネルバンはアルミ製パネルを使用するケースが多いことからアルミバンとも呼ばれます。
荷室にウイングボディを採用する理由とは?
箱車は荷台を囲い荷室にすることで積み荷の汚れや破損、飛散などを防止できるメリットがありますが開口部が荷室後部のみの場合、荷物の積み下ろしの作業性が低下します。またフォークリフトを利用したパレット積みも後部からしか行えないため、側面が大きく開くウイングボディが採用されるケースが多いと考えられます。
積み荷の種類やトラックの使用用途でウイングボディの採用が検討されますが、近距離や比較的少量の荷物を取り扱う用途が多い小型トラックには、ウイングボディが採用されるケースが少ない傾向にあります。
高い輸送品質と荷役性を両立させたウイングボディには派生車種が存在する
ウイングと呼ばれる荷室側壁を解放すれば荷室左右の側面を完全に開口することが可能で荷役作業効率の向上が行えるうえ、荷室側壁を閉鎖すればアルミバン同様に密閉構造の荷室を出現させられるウィングボディは高い輸送品質と荷役性を両立させたボディタイプだと言えます。
荷主企業や運送事業者から非常に強く求められる高い輸送品質と荷役性の両立を実現したウイングボディに対するニーズは非常に高く、ウイングボディをベース車両に使用した次のような派生車種が開発・製造され販売されています。
ウイングボディの荷室に断熱処理を施し冷却装置を搭載した冷凍・冷蔵車
一般的なウイングボディの荷室はアルミ製パネルで製造された外壁とべニア製の内壁、木製の床で構成されていますが、天井・側壁・床の各部に断熱処理を施し外気温の影響を受け難くしたウイングボディに冷却装置を搭載したのが冷凍・冷蔵車です。
・氷点下30~40度の定温輸送ができる低温冷凍車
・氷点下5度前後の定温輸送ができる中温冷凍車
の2つのタイプが存在し、冷蔵車は冷凍車の冷却装置の温度を高く設定して使用するものです。
保冷車同様フォークリフトでパレットの積み下しを行い荷役作業を向上させたい場合にウイングボディをベース車両とした冷凍・冷蔵車が使用されます。
荷室側面を開放するウイングボディでもクレーンでの荷役作業は苦手
荷室や開閉装置の重量の影響で最大積載量が減少するのは貨物自動車の輸送能力の低下を意味するので、ウイングボディを製造する架装メーカーは少しでも軽量なウイングボディの研究をおこなっています。
ウイングボディの荷室の外壁にはアルミ製パネルが使用されるのが一般的ですが、軽量化と強度の確保を両立するために、箱車の外壁に用いられる多くのアルミパネルはコルゲート加工が施され波打ったアルミパネルが使用されています。
車両重量の大きい箱車は最大積載量が減少する
同年式・同モデルのトラックでも搭載する特殊装置や架装の影響で最大積載量が異なります。最もシンプルな構造の平ボディと荷室を積載した箱車を比較すると、平ボディのほうがより多くの貨物を積載することができます。
箱車は、荷室重量分だけ車両重量が大きいため、最大積載量が減少します。
トラックの最大積載量の算出方法は以下のとおりです。
「車両総重量-(車両重量+(乗車定員数×55キログラム))」
ウイングボディ2つの種類の特徴や用途
ウイングボディは、天井と側面が一体型になった「天井側面一体型」と側面だけが稼働する「天井固定型」の2つの種類に分けられます。それぞれの特徴や用途を詳しく見ていきましょう。
【天井側面一体型】ウイングボディ
天井側面一体型のウイングボディは開口面積が大きく、一般的に普及しているウイングボディです。天井と側面が90度開くタイプはフォークリフトを使用した荷物の積み下ろしを効率的におこなえます。また「オーバーウイング」と呼ばれるタイプは、クレーンを利用した積み下ろしに対応できるように、天井と側面が約135度の開口ができる構造となっています。天井とともに側面が開口する構造のため、架装重量が重くなる点と天井の低い場所では開口できない点が天井側面一体型の弱点だといえるでしょう。
自動車部品や家電製品などのパレット搬送に使用されるほか、多くの用途に広く使用されています。
【天井固定型】ウイングボディ
天井固定型ウイングは、側面のみが稼働して開口する種類のウイングボディです。天井部分は固定されているため、天井が低い場所でも開口できます。開口時には荷室の天井に加えて開口した側面が屋根となるため、雨や雪の影響を受けずに作業することが可能です。しかし側面開口時に開口部上部に側面が存在するため、フォークリフトなどの作業が困難になるのが弱点だといえます。
ウィングボディの操作方法
ウィングの開閉の動力は手動・油圧・電動モーターなどのタイプが存在しますが、天井側面一体型・天井固定型の両タイプとも操作手順は共通しているといえるでしょう。
■ウィングボディの一般的な操作方法は次のとおりです。
①キャビン内のウィングボディ操作ボタンを起動させる
②操作するウィング面のアオリに付けられたウィングボディのフックを解除する
③荷室後方に付けられたウィングボディ操作リモコンの開閉ボタンで操作する
ウィングボディ開閉時には、操作するウィングボディ面のフック解除を忘れないようにしましょう。また、開閉操作するトラック上空に障害物がないことを確認する必要もあります。
人気メーカー別ウイング車
ウイングボディは架装メーカーが製造・取付けをおこなう上物の部分を指すため、ベース車両となるトラックによって走行性能は異なります。
現在国内には架装メーカーは10社以上存在し、メーカーごとに異なるウイングボディが製造されています。
ウイングボディの人気メーカーと代表モデルを紹介します。
日野自動車
中型トラックシリーズ「レンジャー」と大型トラックシリーズ「プロフィア」に、ウイングボディのカタログモデルVQシリーズが用意されています。
レンジャーは、車両総重量8トンクラスから20トンクラスの6×4低床車まで、幅広いバリエーションがあります。日本国外では、500シリーズとして販売。
プロフィアは、車両総重量20〜25トンの車両にウイングボディが用意されています。日本国外では、700シリーズの名で販売。
(引用元:Wikipedia)
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いすゞ自動車
中型トラック「フォワード」、大型トラック「ギガ」にウイングボディが用意されています。
フォワードは、最大積載量2.65〜5.5トンの豊富なラインナップ。Fカーゴの名称で展開され、標準仕様・融雪剤対策仕様・テールゲート仕様・床下ゲート仕様があります。
ギガは、車両総重量16.0〜25トンの7車両区分で展開。Gカーゴ・Gカーゴ省エネパッケージ・スーパーGカーゴ(マキシルーフ有り・無し)の4つのウイングボディがあります。
(引用元:Wikipedia)
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三菱ふそう
中型トラックシリーズ「ファイター」、大型トラックシリーズ「スーパーグレート」のD WINGにウイングボディが用意されています。
ファイターは、標準仕様・軽量仕様・幌仕様の3つの基本仕様、バックアイカメラ・LED車幅灯・200L燃料タンクなどを加えたLIMITEDパックなどがあります。
スーパーグレードは、低燃費を追求したLIMITED WING ECO PLUSと PRACTICAL・TOUGH・ LIFTの3つのパックが選べるLIMITED WINGの2つのラインナップ。
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日産UD
中型トラックシリーズ「コンドル」、大型トラックシリーズ「クオン」にウイングボディが用意されています。
コンドルは、車両総重量7.5~11.0トンクラスのMK・LKモデルにアルミウイングボディがあります。
クオンは、標準仕様かシャーシの軽量化をおこなった高積載仕様かを選ぶことができます。
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<詳しくはこちらで解説しています。>
作業効率化を実現するウイングボディ!おすすめメーカーと代表モデルは?
中古トラック販売店での購入がおすすめ
新車で購入する場合は、車両価格が高額になってしまうことや納車まで時間がかかることがデメリットだといえます。しかし、中古トラック販売店を利用すれば低コスト・短納期でウイングボディ導入をおこなうことが可能です。
また、運送事業者に高い輸送品質の実現が強く求められるようになり、ウイングボディに対するニーズが高まり続けることにより、中古トラック市場へ流入するウイングボディの台数が増加しています。
中古トラック販売店で理想的な中古ウイングボディを購入し輸送品質向上を実現することで、運送事業でさらに多くの収益を獲得してみてはいかがでしょうか?
まとめ
荷室側壁を開放することで荷室側面の全面開口がおこなえるウイングボディは、輸送品質を大きく向上させただけではなく、高い荷役作業性も実現しています。
荷主企業にも運送事業者にも魅力的なボディタイプといえるでしょう。次の3つのポイントに注意しながら、理想的な中古ウイングボディを導入するのがおすすめです。
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- ウイングボディの派生車種には保冷車や冷凍冷蔵車が存在する
- オーバーウイングはクレーンの荷役が可能なウイングボディ
- ウイングボディは中古トラック販売店で効率的に購入できるか