ドライバーの城!トラックの乗務スペース「キャブ」の種類や特徴などを大解説!
トラックドライバーにとってトラックの乗務スペースであるキャブは仕事の最前線基地であり、ホッと息をつけるプライベート空間でもあります。居住性が悪いキャブでは肉体的負担が増加し、仕事の疲れが溜まるばかりとなりトラックの安全な運行にも支障をきたしかねません。
トラックの運転や作業員などの乗車に応える実用性と共に、快適な居住性も求められるキャブはトラックのボディタイプ同様、さまざまなタイプが用意されているのでキャブの種類やそれぞれのキャブタイプの特徴を紹介します。
トラックドライバーが乗務するキャブとは?
一般的なトラックの構造はドライバーなどの乗務員の乗車するキャブと荷台、キャブと荷室で構成されるシンプルなもので、架装メーカーが製作する特殊車両でもキャブとシャーシはトラックメーカーが製造しています。
キャブの外装や内装、搭載する装備などは各トラックメーカーが持てる技術を注ぎ込みながら設計・制作するもので、メーカーごとの特徴が最も現れるのがキャブ部分だともいえるでしょう。
多種多様なキャブの形状や種類とは?
ドライバーなどの乗務員が乗車するキャブの開発には各トラックメーカーが力を注ぎ、現在トラックのキャブの居住性はかつてとは比較にならないほど向上しています。運送業務の多様化でトラックに対する現場からのニーズも多種多様なものへと変化し、現場のニーズに応えるべくトラックメーカーもさまざまなタイプのキャブを開発しています。
トラックのキャブは5つに分類される
外国映画に登場するトラックはボンネットを持つボンネット型のキャブが多い傾向にあります。かつて国内でもボンネット型のトラックが多く運行していましたが、現在はエンジンの上に乗車スペースが乗ったキャブオーバーのトラックが主流となっています。
国内で数多く運行するキャブオーバー型のトラックですが、同じキャブオーバーのトラックも、キャブ形状によって次に挙げる5つのタイプに分類されます。
- ショートキャブ
- フルキャブ
- ダブルキャブ
- ワイドキャブ
- ハイルーフキャブ
5種類に分類されるキャブオーバーのキャブの特徴やメリット・デメリット、活躍するフィールドを次項からタイプ別に紹介します。
ショートキャブの特徴とは?
ショートキャブは5つのキャブタイプの中で最もコンパクトなキャブタイプで、運転席と助手席の背後にキャブの後部壁が迫る居住空間が最も小さなキャブタイプです。標準キャブとも呼ばれ小型クラスから大型クラスまで、車両区分を問わず多くのトラックへの採用例が見られます。
ショートキャブのメリット・デメリット
各車両区分に設定されるトラックの全長の中で、キャビンの居住スペースを最小限にすることで荷台や荷室の長さを確保し最大限に活用できるのがショートキャブのメリットです。
フルキャブやダブルキャブよりも長い荷台や荷室を搭載することができ、キャブ部分を軽量化することで最大積載量を増やすことができます。しかし居住空間が狭いことから大柄なドライバーは窮屈に感じることもありますし、居住性に欠けるのがデメリットだと言えます。
ショートキャブのトラックが活躍するフィールドは?
各車両クラス最大級の積載量を実現する代わりにキャブの居住性が犠牲になっていると言えるショートキャブは近距離や中距離の業務に適したキャブタイプです。荷役性が高いことから宅配便の集配業務や近距離や中距離の引っ越し業務、運送業務などに使用されています。
フルキャブの特徴とは?
キャブ内の運転席と助手席の後部に寝台が設置されているのがフルキャブです。寝台の幅の分ショートキャブよりもキャブの全長が長くなっているキャブタイプで、中型クラスや大型クラスのトラックへの採用例が多い傾向にあります。
フルキャブのメリット・デメリット
運転席と助手席の後部に寝台スペースが設置されていることでキャブの居住空間にゆとりが発生し、ドライバーの肉体的負担が軽減されるのがフルキャブのメリットだと言えます。
寝台は睡眠スペースとして十分機能する広さが設定されているため、ドライバーが疲労回復を行いながらトラックを運行できるのも大きな魅力です。しかし寝台を設置することでキャブの全長が長くなり、大型化することでキャブの重量が増加することから同じモデルの場合、最大積載量はショートキャブに劣るのがデメリットだと言えます。
フルキャブのトラックが活躍するフィールドは?
寝台を設置したフルキャブは中型クラスや大型クラスのトラックに採用例が多く見られるため、中距離や長距離の業務に用いられるケースが多く見られます。キャブ後部の寝台で睡眠を取りながら運行する必要がある中距離や長距離の引越し業務や運送業務などに使用されています。
ダブルキャブの特徴とは?
一般的なトラックは横一列に並んだ運転席と助手席(場合によっては補助席)が装備されたシングルキャブのものが多い傾向にありますが、後部座席を設置し5人程度の乗車定員を実現しているのがダブルキャブで、小型クラスのトラックに採用例が見られます。
ダブルキャブのメリット・デメリット
前後のシートで5人程度の乗車定員を実現するダブルキャブのトラックは、荷物と共に作業員などの人間を運べるのがメリットだと言えます。またキャビンが大型化するため広い居住空間が確保され、乗車時間が長い場合でも乗員の肉体的負担が軽いのも魅力です。
しかしキャビンが大型化し、シングルキャブが2ドアであるのに対して4ドアとなるなどキャビンの装備が増加するダブルキャブは荷台や荷室の全長が短く最大積載量も小さくなってしまうのがデメリットだと言えます。
ダブルキャブのトラックが活躍するフィールドは?
ダブルキャブのトラックは一般的なトラックの2倍前後の乗車定員を持つことから、多くの作業員が必要となる建築現場への作業員移送や引っ越し業務のサポートカーとして用いられるケースが見られます。
ワイドキャブの特徴とは?
ワイドキャブはその名のとおりキャブの全幅が標準キャブよりも広くなっているキャブタイプです。キャブの全幅が広いということは荷台や荷室の幅も広くなることを意味するので各車両区分のトラックに広く採用されています。
ワイドキャブのメリット・デメリット
標準キャブよりも幅広に作られているワイドキャブのトラックは幅が広い分、荷台や荷室の幅も広くとれるため、積載容積が増加されることがメリットだと言えます。またキャビン内に余裕が生まれ、ドライバーなどの乗務員の肉体的負担が小さくなるのも魅力です。
しかしトラックの幅が広いということは小回りが利かなくなることを意味しますので、操作性が低下するのはワイドキャブのデメリットだと言えるでしょう。標準キャブに比べるとワイドキャブの車両価格が高価になるのもデメリットとして捉えられることがあります。
ワイドキャブのトラックが活躍するフィールドは?
広い荷台や荷室を実現しキャブ内の居住性も確保できる反面、小回りが苦手となり操作性に劣るワイドキャブは市街地での業務よりも中距離・長距離の引越し業務や運送業務に用いられるケースが多く見られます。
ハイルーフキャブの特徴とは?
他のキャブタイプよりもキャブ部分の屋根が高く作られているのがハイルーフキャブで、多くの場合キャブ上部に寝台が設置されており、各キャブタイプの中で居住スペースが最も大きいキャブタイプで大型クラスのトラックに採用されています。
ハイルーフキャブのメリット・デメリット
ハイルーフキャブは車内で立つことができるほどの高さを持つものもあり、他のキャブタイプとは比べ物にならないほど高い居住性を実現しているため、ドライバーの肉体的負担が小さいのがメリットです。
またキャブ上部に寝台を接地しているタイプは、広い就寝スペースを確保できることから十分に疲労回復が行えるのも魅力ですし、キャブの長さを短縮し荷台や荷室の長さを確保することができるのもメリットです。
しかし豪華と言っても良いほどの居住スペースの実現は価格に反映されるため、車両価格が高価になるのがハイルーフキャブのデメリットだと言えるでしょう。
ハイルーフキャブのトラックが活躍するフィールドは?
ハイルーフキャブが採用されるのは大型クラスのトラックとなるため、走行距離の長い長距離の運送業務に用いられるケースがほとんどです。車内で非常に多くの時間を過ごす長距離トラックのドライバーにとってハイルーフキャブのトラックはまさに「第二の我が家」と言った存在だと言えるのではないでしょうか?
まとめ
トラックの居住スペースであるキャブの種類は多種多様で使用用途によって最適なキャブタイプを選ぶことがトラックの車両選択のポイントだと言えるでしょう。トラックを選ぶ際には次に挙げる3点に注意しながら、ボディタイプと共にキャブタイプにも注目して実車確認を行うことをおすすめします。
トラックのキャブ形状は5種類に大別される
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- 積載量重視ならショートキャブやワイドキャブが有利
- 居住性重視ならフルキャブやハイルーフキャブがおすすめ
- ダブルキャブは乗車定員が多いが荷役性には劣る