土砂禁深ダンプの特徴とは?サイズや中古で購入するの際のポイント
荷台に高いアオリを搭載し、一見大量の土砂を運送できそうに見えるダンプを目にすることがありますが、背が高い荷台タイプのダンプは「土砂禁ダンプ」と呼ばれる深ダンプです。
中古トラック市場でも取り扱われるため中古トラック販売店で、短納期・低コストで購入することも可能な土砂禁ダンプと呼ばれる深ダンプの特徴や積載容量と積み荷の重量の関係、中古車両購入時のチェックポイントなどと共に紹介します。
ダンプ方式やアオリの高さでダンプは分類される
世界中で活躍するダンプには10種類以上のタイプが存在しますが、国内で最も目にする機会があるのは車両後方に積み荷を降ろすリアダンプと呼ばれるタイプのダンプです。リアダンプ以外にも車両の左右に積み荷を降ろせるサイドダンプや左右と後方に積み荷を降ろせる三転ダンプなどが存在します。
また荷台を囲むように搭載されるアオリはダンプを分類するのに重要なパーツで、背の高いアオリを搭載したダンプが今回紹介する土砂禁ダンプと呼ばれる深ダンプです。
アオリはダンプの積載容積に大きく影響する
ダンプの荷台に積載する積載物の重量は荷台の積載容量と積み荷の比重で決まります。ダンプは大量の土砂を力強く運送するイメージがありますが、土砂などの積載物の比重は意外と高く荷台に満載すると非常に大きな重量になってしまいます。ダンプに積載される積み荷の比重の目安は次のとおりです。
- 乾燥状態の土の比重:1.3
- 普通状態の土の比重:1.6
- 飽水状態の土の比重:1.8
- 乾燥状態の砂の比重:1.7
- 飽水状態の砂の比重:2.0
- 乾燥状態の砂利の比重:1.7
- 飽水状態の砂利の比重:2.1
- 乾燥状態の砂交じりの砂利の比重:2.0
- 飽水状態の砂交じりの砂利の比重:2.3
荷台に積み込んだ状態の容積に上記比重を乗算すれば積み荷のおおよその重量が算出できますが、土砂類は比重が高いため思ったよりも重量が出るものです。次項では実際に積載容積に比重を乗算した例をあげながら積載容積と重量の関係を解説します。
ダンプの積載容積と最大積載量の関係
ダンプの積載重量は荷台の積載容積に積み荷の比重を乗算することで算出できます。荷台全長3,400mm・全幅2,060mmの中型ダンプに普通状態で比重1.6の土を積載した場合、積載物の高さが30cm(300mm)で2.1トンの重量となります。
上記最大積載量3.5トンの中型ダンプで普通の状態で比重1.6の土を積載できるのは約312mmまでで、仮に500mmの高さまで積載すると積載重量が約5.6トンとなり約2.1トンの過積載となります。
土砂などの比重の高い積み荷は見た目よりも重量があるため、上記条件で5cm(50mm)変わるだけで560kg(0.56トン)の違いが出てしまいます。
高いアオリが特徴的な深ダンプとは?
使用後の空きペットボトルや発泡スチロールなど、比重化が低く嵩張る割に重量が軽い積み荷を大量に積載するために一般的なダンプより遥かに高い荷台のアオリを搭載したのが深ダンプです。
アオリを高くすることで同じ荷台面積のダンプよりも多くの積載容積を実現しているため、土砂などの比重の高い積み荷の積載が禁止され、土砂禁ダンプと呼ばれています。
深ダンプが土砂積載禁止の理由は?
深ダンプに土砂などの比重が高い積み荷の積載が禁止されているのはアオリの高さが高い深ダンプは一般的なダンプより積載容積が多いことが理由となります。積載容積が多い深ダンプに通常のダンプ同様に土砂などの比重の高い積み荷を積載すると過積載となるため事故防止を目的として土砂などの積載が禁止されています。
土砂以外にも積載禁止物がある
深ダンプは土砂禁ダンプと呼ばれていますが、土砂だけではなく比重の高い積み荷一般の積載が禁止されています。土砂禁ダンプに積載できない積み荷には土砂以外に次に挙げるものが該当します。
- 鉱さい
- コンクリート類
- 瓦礫
- 陶器やガラス
- 汚泥
ダンプ規制法に違反した場合の処置
ダンプ規制法によって土砂の積載を禁止されている土砂禁ダンプに土砂を積載した場合、土砂の積載が可能となるように構造変更手続きを行うよう車両整備命令が下されます。車両整備命令に従わない場合はダンプ規制法違反として3万円以下の罰金が科せられます。
一 第四条の規定に違反して、表示をせず、又は虚偽の表示をした者
二 第九条第一項の規定による命令に違反した者
三 第九条第三項の規定に違反した者
金額的には大きなものではありませんが、交通違反の際に科せられる反則金と違いダンプ規制法違反で科せられるのは罰金となり、罰金刑は前科として取り扱われる重い処分と言えます。
深ダンプの特徴とは?
深ダンプの基本構造は一般的なダンプと同じですが、車両後部の荷台に通常のダンプより高さのあるアオリが搭載されているため積載容積が大きくなっているのが特徴です。既述のとおり深ダンプは積載容積が大きなことから、土砂など比重の高い積み荷を積載すると過積載となるため、積載物に制限がかけられ土砂禁ダンプと呼ばれています。
深ダンプの形状
深ダンプは名称のとおり一般的なダンプのものより荷台のアオリが高く作られているダンプで、一見コンテナ搭載車両のように見える形状をしています。また荷降ろしの作業効率を上げるため荷台部分に傾斜を付けているタイプも存在します。
深ダンプに積載可能な積み荷
一般的なダンプに搭載される土砂の積載を禁止されている土砂禁ダンプの深ダンプですが、土砂禁ダンプに積載可能な積み荷は次に挙げるような比重が軽く嵩張る割に重量が軽い積み荷となります。
- 空のペットボトル
- 空の発泡スチロール類
- 材木を粉砕したウッドチップ
- 牧草などの飼料
アオリが1枚でないタイプも
貨物自動車の荷台に搭載されるアオリは1枚モノが一般的ですが、深ダンプの荷台を囲むアオリの中には2段折りで積載物の量によって高さを調節できるタイプも存在します。
土砂の積載が禁止されている深ダンプが活躍するフィールドは?
土砂など比重の高い積み荷の積載が禁止され土砂禁ダンプと呼ばれる深ダンプは採石場や建設土木現場など一般的なダンプの活躍するフィールドでの活用ができません。使用後の空きペットボトルや空の発泡スチロールなどを取り扱う廃棄物収集運送業務、木材を粉砕したウッドチップの運送業務、飼料となる牧草の運送業務などに活用されます。
中古深ダンプ購入時のチェックポイントは?
ダンプでありながら土砂など比重の高い積み荷の積載が禁止された特殊車両深ダンプは、車両価格や納期が長くかかるなどの問題で新車導入のハードルは決して低くありません。新車同様の車両からリーズナブルな低年式車両を取り揃え、即納にも対応できる中古トラック販売店から中古深ダンプを購入すれば、導入コストや納期の問題を解決できます。
しかし、中古車両であるだけに中古トラック販売店利用の際には車両確認をしっかり行う必要がありますので、中古深ダンプの購入前のチェックポイントを紹介します。
ベース車両のチェックポイント
深ダンプの主要機能は積み荷を積載する荷台部分ではあるものの、ダンプ機能を搭載するベース車両も重要なチェックポイントとなります。深ダンプのベース車両にはトラックメーカーが製造販売している一般的なモデルが用いられますので、通常の中古トラック購入時の車両チェック同様の確認を行いますが、深ダンプの場合特に車検証の登録内容の確認は重要ポイントとなります。
車検証の登録内容の確認!
構造上土砂など比重の高い積み荷の積載ができない土砂禁ダンプは、車検証内の備考欄、その他検査事項の横に「積載物は土砂以外のものとする」と土砂禁ダンプ登録が明記されていますので、車検証の記載内容確認は必ず行うことをおすすめします。
荷台部分のチェックポイント
土砂禁ダンプの主要機能である荷台部分の確認も、中古車両購入時には必ずチェックすべき重要ポイントだと言えます。荷台部分の確認は次に挙げる点を特に注意してチェックして下さい。
荷台寸法とアオリの高さで積載容量をチェック!
購入予定車両の荷台部分の全長・全福・全高を確認し積載容積を割り出します。積載容積の大きな深ダンプは積み荷の選択を誤ると簡単に過積載の状態に陥りますので、積載容積を掴んでおき積載物の比重と高さでおおよその重さを判断する必要もあります。
深ダンプへの土砂の積載は過積載の原因となるので絶対禁止!
一般的なダンプと比べるとアオリが深い深ダンプは積載容積が大きいため、運送効率を上げるため土砂禁ダンプに土砂を積載するケースは後を絶ちませんが、土砂禁ダンプの荷台積載容積を利用して土砂を積み込むと確実に過積載となります。
過積載は重大事故の原因となりかねませんし、車両にかかる負担が大きすぎるため車両の寿命を縮めてしまうので、深ダンプに積載する積み荷は空きペットボトルや発泡スチロールなど指定通り比重の軽いものとして下さい。
まとめ
1度に大量の積み荷を運送できる深ダンプに対するニーズは年々増加傾向にあり、中古トラック市場でも深ダンプが活発に取引されています。導入コストや納車期間を考えると効果の高い中古トラック販売店での中古深ダンプ購入ですが、購入の際には次の3点を考慮しておくべきでしょう。
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- 深ダンプは土砂など比重の高い積み荷の積載が禁止されている
- ダンプ使用時には荷台の積載容量と積み荷の比重に注意
- 実車確認の際には車検証の記載内容を要チェック