【徹底解説】深ダンプ(土砂禁ダンプ)とは何?特徴・サイズ・種類・購入する際の注意ポイント
荷台に高いアオリを搭載し、一見大量の土砂を運送できそうに見えるダンプを目にすることがありますが、背が高い荷台タイプのダンプは「土砂禁ダンプ」と呼ばれる深ダンプです。
中古トラック市場でも取り扱われるため中古トラック販売店で、短納期・低コストで購入することも可能です。本記事では土砂禁ダンプと呼ばれる深ダンプの特徴や種類、注意点について解説していきます。また中古深ダンプ購入時のチェックポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
深ダンプ(土砂禁ダンプ)とは?
深ダンプとは、一般的なダンプより遥かに高い荷台のアオリを搭載したトラックです。使用後の空きペットボトルや発泡スチロールなど、軽い割にかさばる積み荷を大量に積載するためにアオリを高くし、同じ荷台面積のダンプよりも多くの積載容積を実現しています。そのため、土砂やコンクリートなど重量がある積み荷の積載が禁止されており、別名「土砂禁ダンプ」とも呼ばれています。
深ダンプの形状
深ダンプは名称のとおり一般的なダンプのものより荷台のアオリが高く作られているダンプで、一見コンテナ搭載車両のように見える形状をしています。また荷降ろしの作業効率を上げるため荷台部分に傾斜を付けているタイプも存在します。
アオリが1枚でないタイプも
貨物自動車の荷台に搭載されるアオリは、1枚モノが一般的です。しかし深ダンプの荷台を囲むアオリの中には、2段折りで積載物の量によって高さを調節できるタイプも存在します。
深ダンプが土砂積載禁止の理由は?
深ダンプに土砂などの重量がある積み荷の積載が禁止されているのは、アオリが高い深ダンプは一般的なダンプより積載容積が多いことが挙げられます。積載容積が多い深ダンプに、土砂などの重量がある積み荷を積載すると、過積載となってしまいます。過積載による事故防止を目的として、土砂などの積載が禁止されているのです。
アオリはダンプの積載容積に大きく影響する
ダンプの荷台に積載する積載物の重量は、荷台の積載容量と積み荷の比重で決まります。ダンプは大量の土砂を力強く運送するイメージがありますが、土砂などの積載物の比重は高く、荷台に満載すると非常に大きな重量になってしまいます。
ダンプに積載される積み荷の比重の目安は次のとおりです。
普通状態の土の比重:1.6
飽水状態の土の比重:1.8
乾燥状態の砂の比重:1.7
飽水状態の砂の比重:2.0
乾燥状態の砂利の比重:1.7
飽水状態の砂利の比重:2.1
乾燥状態の砂交じりの砂利の比重:2.0
飽水状態の砂交じりの砂利の比重:2.3
荷台に積み込んだ状態の容積に上記比重を乗算すれば、積み荷のおおよその重量が算出できます。土砂類は比重が高いため重量が出るものです。
ダンプの積載容積と最大積載量の関係
ダンプの積載重量は、荷台の積載容積に積み荷の比重を乗算することで算出できます。
荷台全長3,400mm・全幅2,060mmの中型ダンプに普通状態で比重1.6の土を積載した場合、積載物の高さが30cm(300mm)で2.1トンの重量となります。
最大積載量3.5トンの中型ダンプで、通常の状態で比重1.6の土を積載できるのは約312mmまでです。仮に500mmの高さまで積載すると積載重量が約5.6トンとなり約2.1トンの過積載となります。
土砂などの比重の高い積み荷は重量があるため、上記の場合だと5cm変わるだけで560kgの違いが出てしまいます。
ダンプの分類方法
国内で最も目にする機会が多いダンプは、車両後方に積み荷を降ろすリアダンプと呼ばれるタイプです。リアダンプ以外にも車両の左右に積み荷を降ろせるサイドダンプや左右と後方に積み荷を降ろせる三転ダンプなどが存在します。
また荷台を囲むように搭載されるアオリはダンプを分類するのに重要なパーツで、背の高いアオリを搭載したダンプが今回紹介する土砂禁ダンプと呼ばれる深ダンプです。
深ダンプの種類
深ダンプには以下の3つに大別されます。
2.チップダンプ
3.清掃ダンプ
それぞれの深ダンプの特徴について紹介していきます。
1.ファームダンプ
ファームダンプは、農場や牧場で使用される専用の深ダンプで、主に農作物や家畜の飼料、肥料、さらには糞尿の運搬に利用されます。特徴的なのは、アオリ部分の密閉性が高く設計されており、積載物の漏れを防ぐだけでなく、汚れや臭いが外に広がりにくい点です。また、農場や牧場で頻繁に使用されるため、耐久性や清掃のしやすさも求められます。これにより、車両の内部が汚れても簡単に清掃でき、錆びにくいステンレス素材が使用されることが一般的です。
特に糞尿を運搬する際には、アオリの鉄部分が腐食するのを防ぐために、ステンレス加工が施されることがあります。さらに、車両のサイドや底面には傾斜をつけて船底型にすることで、積み荷が詰まることなく、へばりつきにくくなります。これにより、効率的に作業を進められるようになり、農業作業における負担を軽減しています。ファームダンプは、特に北海道などで多く見られ、農作業や除雪作業にも重宝されるダンプです。
2.チップダンプ
チップダンプは、主にウッドチップや木片などの軽量な積み荷を運搬するための深ダンプです。基本的な仕様は通常の深ダンプと大きな違いはありませんが、ウッドチップやチップは風で飛び散りやすいため、特別な工夫が施されています。例えば、風による飛散を防ぐために、開閉式の天蓋やシートが取り付けられており、これにより積み荷が外部の影響を受けにくくなります。
また、チップダンプは肥料などの運搬にも利用されることがありますが、積み荷が軽いため風に敏感で、運転中の安定性が重要です。これに対応するため、シートやネットで荷物を覆い、風で飛ばされないように保護することが一般的です。荷降ろしは、ダンプ機能を使って荷台を傾ける方法や、トラックダンパーという装置を使って荷台全体を傾ける方法があり、効率的に作業が進められます。
このように、チップダンプはウッドチップやチップの運搬に特化したダンプであり、積み荷を守るための工夫がなされており、風や雨から荷物を守りながら効率的な輸送を可能にしています。
3.清掃ダンプ
清掃ダンプは、ゴミや落ち葉などの廃棄物を効率的に運搬するために設計された深ダンプトラックです。基本的な仕様は通常の深ダンプと大きくは変わりませんが、特に清掃作業に適した仕様が特徴的です。リヤのアオリが観音開き式になっているタイプが多く、これによりスイッチひとつで荷物を簡単に降ろすことができます。この機能は、現場での作業効率を大幅に向上させ、特に清掃作業が頻繁におこなわれる場所で重宝されています。
また、軽ダンプとしても扱われることがあり、カタログや一覧にもラインアップされています。清掃ダンプは、落ち葉や草木、ペットボトルなどのかさばるゴミの移送に適しており、そのための強力なダンプ機能を備えています。積み込みにはユンボなどの重機が必要な場合もありますが、運搬や荷降ろしの面では非常に便利です。
中古の清掃ダンプも市場に出回っており、在庫の状況や仕様を確認しながら選ぶことができます。
深ダンプに必要な免許
深ダンプは特殊車両ではないので、通常の免許があれば運転可能です。
免許によって下記のサイズの深ダンプが運転可能です。
免許の種類 | 車両総重量 | 最大積載量 |
普通免許 | 5t未満 | 3t未満 |
中型免許 | 11t未満 | 6.5t未満 |
大型免許 | 11t以上 | 6.5t以上 |
土砂禁の深ダンプが活躍するフィールドは?
土砂など比重の高い積み荷の積載が禁止され土砂禁ダンプと呼ばれる深ダンプは、採石場や建設土木現場など一般的なダンプの活躍するフィールドでの活用ができません。使用後の空きペットボトルや空の発泡スチロールなどを取り扱う「廃棄物収集運送業務」、木材を粉砕した「ウッドチップの運送業務」、飼料となる「牧草の運送業務」などに活用されます。
深ダンプの注意点
深ダンプには土砂などは禁止と伝えましたが、土砂以外にも積載が禁止されているものがあります。
ここでは深ダンプの注意点として、制裁可能な積み荷と積載禁止の積み荷、深ダンプに土砂を積載した際の罰則について解説していきます。
深ダンプに積載可能な積み荷
土砂の積載を禁止されている土砂禁ダンプの深ダンプですが、土砂禁ダンプに積載可能な積み荷は次に挙げるような比重が軽く嵩張る割に重量が軽い積み荷となります。
空のペットボトル | 空の発泡スチロール類 | 材木を粉砕したウッドチップ |
牧草などの飼料 | 段ボール | 一般廃棄物 |
深ダンプに積載禁止の積み荷
深ダンプは土砂禁ダンプと呼ばれていますが、土砂だけではなく比重の高い積み荷一般の積載が禁止されています。土砂禁ダンプに積載できない積み荷には土砂以外に次に挙げるものが該当します。
鉱さい | コンクリート類 | 瓦礫 |
陶器 | 汚泥 | レンガ |
ガラス | モルタル | 石材 |
深ダンプに土砂を積載した際の罰則
一般的なダンプと比べるとアオリが深い深ダンプは積載容積が大きいため、運送効率を上げるため土砂禁ダンプに土砂を積載するケースは後を絶ちません。
しかし深ダンプは、ダンプ規制法によって土砂の積載を禁止されています。もし土砂禁ダンプに土砂を積載した場合、土砂の積載が可能となるように構造変更手続きを行うよう車両整備命令が下されます。車両整備命令に従わない場合はダンプ規制法違反として3万円以下の罰金が科せられます。
第二十条 次の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
一 第四条の規定に違反して、表示をせず、又は虚偽の表示をした者
二 第九条第一項の規定による命令に違反した者
三 第九条第三項の規定に違反した者
(引用元:土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法)
金額的には大きなものではありませんが、交通違反の際に科せられる反則金と違いダンプ規制法違反で科せられるのは罰金です。罰金刑は前科として取り扱われる重い処分と言えます。
中古の深ダンプ購入時の注意ポイント
特殊車両でもある深ダンプは、車両価格や納期が長くかかるなどの問題で新車導入のハードルは決して低くありません。そのため、新車同様の車両からリーズナブルな低年式車両などもあり、即納にも対応できる中古トラック販売店から中古深ダンプを購入すれば、導入コストや納期の問題を解決できます。
しかし、中古トラック販売店利用の際には車両確認をしっかりおこなう必要がありますので、中古深ダンプの購入前のチェックポイントを紹介します。
ベース車両のチェック
深ダンプの主要機能は、積み荷を積載する荷台部分ではあるものの、ダンプ機能を搭載するベース車両も重要なチェックポイントです。深ダンプのベース車両にはトラックメーカーが製造販売している一般的なモデルが用いられますので、通常の中古トラック購入時の車両チェック同様の確認をおこないましょう。
中古トラックを購入する際にチェックするポイントは下記で詳しく説明しています。
>中古トラックの現車確認で必ずチェックするべきポイント
車検証の登録内容のチェック
構造上土砂など比重の高い積み荷の積載ができない土砂禁ダンプは、車検証の備考欄、その他検査事項の横に「積載物は土砂以外のものとする」と明記されています。
記載がない場合は、陸運局に車両を持ち込み、「構造変更手続き」をおこなう必要があります。この手続きをすることで、車検証に記載されている積載量が変更されることもあるため、十分に注意しましょう。
荷台部分のチェック
土砂禁ダンプの主要機能である荷台部分の確認も、中古車両購入時には必ずチェックすべきポイントです。特に荷台寸法とアオリの高さで積載容量をチェックしましょう。
積載容積の大きな深ダンプは、積み荷の選択を誤ると簡単に過積載になります。積載容積を掴んでおき、積載物の比重と高さでおおよその重さを判断してください。
中古の深ダンプを購入するならトラック流通センターへ
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まとめ
深ダンプ(土砂禁ダンプ)は、特定の用途に特化したダンプトラックで、軽量かつかさばる積み荷を効率的に運ぶのに適しています。1度に大量の積み荷を運送できる深ダンプに対するニーズは年々増加傾向にあり、中古トラック市場でも深ダンプが活発に取引されています。
使用目的に応じて、適切に深ダンプを活用していきましょう。
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- 深ダンプの特徴は、通常のダンプよりも高いアオリを搭載し、軽くてかさばる積み荷(空ペットボトル、発泡スチロールなど)の運搬に適している
- 深ダンプでは、アオリが高いため積載容積が大きく、比重の高い土砂を積むと過積載になり事故を引き起こす可能性があるため禁止されている
- 深ダンプは、用途によって「ファームダンプ」「チップダンプ」「清掃ダンプ」の3種類に分類される
- 土砂を積載した場合は構造変更命令が下され、従わない場合はダンプ規制法違反として3万円以下の罰金が科され、前科がつく
- 深ダンプは、中古トラック市場でも取り扱われており、短納期・低コストで購入可能。車両購入時には仕様や状態を確認することが重要