シンプルな構造が生み出す高い汎用性!中古トラック市場で人気の高い平ボディのメーカーは?
数多く存在するトラックのボディタイプの中で最も登録台数が多いのは平ボディで、小型クラスから大型クラスまで全ての車両区分で広く採用され中古トラック市場でも常に非常に多くの車両が取り扱われています。最もポピュラーなボディタイプの平ボディの構造や特徴、中古車両購入時のチェックポイントなどを紹介します。
平ボディとは?トラックは荷台形状で様々なボディタイプに分類される
運送業務を中心に幅広いフィールドで活躍するトラックですが、ひと口にトラックと言っても実際には多種多様で荷台部分の形状や架装でトラックはさまざまなボディタイプに分類されます。
荷台部分をアルミ製の箱で囲った荷室を搭載するアルミバン、荷室側面が翼を広げた鳥のように開放できるウィングボディ、クレーンを搭載したクレーン付きなど実にさまざまなボディタイプが存在します。
多種多様なボディタイプの中で荷台が露出した構造で高い汎用性を持つのが、平ボディと呼ばれるボディタイプのトラックです。
平ボディは最もオーソドックスなボディタイプ
平ボディはトラックのルーツである馬車のデザインを継承している最もオーソドックスなデザインですが、開放された荷台が生みだす高い汎用性に対するニーズが広く存在し、平ボディはデザイン変更の可能性が存在しない完成されたデザインだと言えるでしょう。
シンプルな構造の平ボディも車両区分や荷台高さで分類される!
シンプルイズベストを体現化したような平ボディトラックですが、実は平ボディトラックはシンプルながらも車両区分や荷台の高さなどで分類することができます。基本デザインや構造が同じでありながら細分化される平ボディトラックの秘密を紐解きながら紹介します。
小型から大型まで平ボディは全ての車両区分に用意されている
高い汎用性を持つ平ボディは小型クラスから大型クラスまで、全ての車両区分のトラックに存在するボディタイプです。車両区分が異なると最大積載量や荷台の広さが異なります。
荷台の広さはメーカー・モデルによって異なりますが、トラック選びのポイントの1つでもあるので各車両区分の平ボディの荷台の広さの目安を荷台長・荷台幅・アオリ高さの順に紹介します。
車両区分 | 荷台長 | 荷台幅 | アオリ高さ |
大型平ボディ | 9,000mm前後 | 2,400mm前後 | 450mm前後 |
中型平ボディ | 6,200mm前後 | 2,130mm前後 | 400mm前後 |
小型平ボディ | 3,150mm前後 | 1,800mm前後 | 220mm前後 |
同じモデルでもボディバリエーションによって荷台の広さが異なりますので、次項から各車両区分のボディバリエーションごとの荷台の広さを紹介します。
小型トラックに分類される平ボディは?
小型クラスの平ボディトラックには、ショートと呼ばれる標準ボディ以外にロングボディやワイドロングボディなどのボディバリエーションが用意されているのが一般的です。メーカーやモデルでサイズ詳細は異なりますが、目安となる荷台の広さを荷台長・荷台幅・アオリ高さの順に紹介すると次のとおりになります。
ボディタイプ | 荷台長 | 荷台幅 | アオリ高さ |
標準ボディ | 3,100mm前後 | 1,600mm前後 | 380mm前後 |
ロングボディ | 4,300mm前後 | 1,700mm前後 | 380mm前後 |
ワイドロングボディ | 4,300mm前後 | 2,000mm前後 | 380mm前後 |
中型トラックに分類される平ボディは?
中型クラスの平ボディトラックは各車両区分の中で最もボディバリエーションが豊富に用意されています。ボディバリエーションによっては大型クラスに匹敵するほど広い荷台をもつものも存在しますが、目安となる荷台の広さを荷台長・荷台幅・アオリ高さの順に紹介すると次のとおりになります。
ボディタイプ | 荷台長 | 荷台幅 | アオリ高さ |
標準ボディ | 6,200mm前後 | 2,130mm前後 | 400mm前後 |
ロングボディ | 7,200mm前後 | 2,130mm前後 | 400mm前後 |
スーパーロングボディ | 8,200mm前後 | 2,130mm前後 | 400mm前後 |
ワイドボディ | 6,200mm前後 | 2,340mm前後 | 400mm前後 |
ショートボディ | 4,350mm前後 | 2,040mm前後 | 400mm前後 |
大型トラックに分類される平ボディは?
大型トラックは,規格を最大活用する形で製造されているため小型クラスや中型クラスのようなボディバリエーションが存在しません。各車両区分の項で既述した荷台長9,000mm前後・荷台幅2,400mm前後・アオリ高さ450mm前後が大型クラスの平ボディトラックの荷台広さの目安となります。
平ボディには3タイプの荷台の高さが用意されている
車両区分やボディバリエーションで、平ボディトラックの荷台の広さが異なることは既に紹介しました。車両区分やボディバリエーションで分類されるのはイメージしやすいですが、実は平ボディトラックは地上から荷台までの高さでも次に挙げる3つに分類されます。
高床タイプ
荷台の地上高が最も高いタイプで手作業での荷物の積み下ろし作業効率は悪いものの、前後に大きなサイズのタイヤを装着し路面からの突き上げ感や振動が少ないため、積み荷やドライバーへの負担が小さく長距離の運送業務に適したタイプだと言えるでしょう。
低床タイプ
荷台の地上高が最も低いタイプで手作業での荷物の積み下ろし作業効率は良いものの、前輪よりも後輪が小さく路面からの突き上げに対する振動吸収性が高くないため積み下ろしの回数が多い近距離の運送業務に適しタイプだと言えるでしょう。
全低床タイプ
前後に小型タイヤを装着し全体的に車高を下げているため高床より低く低床よりも高い荷台を持ち、荷物の積み下ろし作業効率と振動吸収性を両立させたタイプです。積み荷やドライバーへの負担が軽減されるため近距離から中距離の運送業務に活用されています。
中古トラック市場で平ボディの人気が高い理由とは?
既に紹介したとおり平ボディはトラックの中で最も登録台数が多く、中古トラック市場でも活発に取引されるボディタイプです。平ボディの人気が高い理由として次項から紹介する理由が考えられます。
平ボディは高い汎用性が魅力!
平ボディは荷台が慮出し荷台上部が開放されている構造から、積み荷の大きさや形を選ばない特徴があります。また荷台が開放されていることで生じる荷物の積み下ろしの作業性の良さが大きな魅力としてあらゆるフィールドで用いられています。
荷台が露出し開放されている平ボディの構造は、他のボディタイプでは再現できない高い汎用性を実現することが、中古トラック市場での高い人気の理由だと考えられます。
シンプルな平ボディは車両価格がリーズナブル!
トラックには多種多様なボディタイプが存在することは既にふれましたが、架装を搭載する車両は中古トラック市場でも一般的に高値で取り扱われる傾向にあります。しかし,
シンプルなデザインと構造が特徴の平ボディは車両価格に架装費用が加算されないため、リーズナブルな価格で取引されている点が中古トラック市場で人気の理由だと言えるでしょう。
中古平ボディ購入時のチェックポイントとは?
中古トラック市場では平ボディのトラックは他のボディタイプよりもリーズナブルに取引されていると紹介しましたが、元来トラックの車両価格は高価であるため中古車両購入の際には購入希望車両をしっかりとチェックしておくべきだと言えるでしょう。
中古平ボディ購入時のチェックポイントには次に挙げるものがあります。
使用用途で異なる最適な平ボディの車両区分や荷台高さ
平ボディのトラックはさまざまな車両区分で用意され、大型クラス以外はボディバリエーションも豊富であるため使用用途に最適なものを選ぶ必要があります。また荷台の高さの違いを見落としがちですが、積み下ろし作業効率や居住性に大きく影響するため注目すべき点だと言えます。
シンプルな平ボディはアオリの状態に注意!
シンプルな構造の平ボディの中で荷台を囲むアオリは唯一の搭載機能だと言えます。アオリは素材によって重さが大きく異なるため、アオリの素材には注目すべきだと言えます。またアオリは経年劣化する消耗部品の1つですので、現車確認の際にはアオリの操作をしてコンディションを確認することをおすすめします。
中古トラック市場で人気の平ボディトラックメーカーやモデルは?
オーソドックスなデザインと構造で高い汎用性を持つ平ボディのトラックは、新車登録台数が非常に多く中古トラック市場への流入数も安定している人気のボディタイプです。取り扱い台数が多い平ボディの中でも特に人気のメーカーやモデルを紹介します。
日野自動車
日本を代表する商用車両専門メーカー日野自動車は小型クラス~大型クラスまで全ての車両区分のトラックを製造販売していますが、中古トラック市場で活発に取引されているのは小型クラスと中型クラスだと言えます。
デュトロ
日野自動車の小型クラスのトラックとしてトヨタと共同開発が行われ、1999年に発表されたのが日野・デュトロです。小型クラスながら日野自動車の安全機能が/惜しげもなく投入されている点や小回りが利くことなどから小型平ボディトラックの中でも高い人気を得ているモデルです。
レンジャー
車両総重量8~20トンクラスの中型トラック、レンジャーは55年間製造販売され続ける日野自動車を代表するロングセラーモデルと言っても過言ではないでしょう。中型平ボディトラックの中でも流通台数が多い人気モデルだと言えます。
いすゞ自動車
2002年に国内の乗用車部門から撤退し、商用車両専門メーカーとなったのがいすゞ自動車です。ルーツは1916年に設立された東京石川島造船所(現IHI)で歴史ある自動車メーカーです。
エルフ
1959年から60年間にわたり製造販売され続けるロングセラーモデルのエルフは、「ディーゼルのいすゞ」の異名を持ついすゞ自動車のディーゼルエンジン・テクノロジーが惜しげもなく投入された人気の小型平ボディモデルだと言えます。
フォワード
いすゞの中型トラックとして1970年の発売から高い人気を保ち続けているのが、フォワードです。数ある中型平ボディの中でもフォワードの人気は高め安定の傾向にあると言えます。
三菱ふそう
1917年設立の三菱合資会社にルーツを持ち2003年三菱自動車工業からトラック・バス部門と産業用エンジン部門の一部が独立したのが、三菱ふそうトラック・バス株式会社です。三菱自動車工業から独立したことで商用車両専門メーカーとなりました。
キャンター
1963年の発売から7度のフルモデルチェンジを加えながら、50年以上のロングセラーモデルとして高い支持を得続けているのが小型クラストラックのキャンターです。環境に優しい低燃費が人気の三菱製エンジンは小型平ボディ市場でも高評価を得ています。
ファイター
1984年発表と比較的後発のイメージがあるファイターですが、1959年に発売された中型トラックTシリーズをルーツとするモデルとして三菱の歴史を継承するモデルだと言えます。中型平ボディ市場の中でも流通台数が多く、活発に取引される人気モデルです。
まとめ
シンプルで有りながら意外と奥の深い平ボディを紹介しました。ひと口に平ボディのトラックと言っても車両区分やボディバリエーション、荷台の高さなどで分類されます。
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- 平ボディの価格は他のボディタイプよりもリーズナブル
- 車両区分やボディバリエーションで荷台の広さや地上高が異なる
- 作業性に影響を与えるアオリの素材やコンディションは要確認