トレーラーヘッドとは?種類や必要な免許などを解説!
トレーラーは牽引車両と被牽引車両で構成されます。しかし、港などで被牽引車両だけの姿を目にすることはあっても走行中のトレーラーは既に牽引車両と連結されているため、一般的に牽引車両は存在感が薄いのではないでしょうか?
そこで今回は、トレーラーが走行するのに必要不可欠な存在の牽引車両トラクターヘッドに注目し、その種類や構造など掘り下げながら紹介します。
トレーラーを牽引するトレーラーヘッド「トラクターヘッド」とは?
トレーラーは被牽引車両を指します。トレーラー自体は自走することができないため走行には牽引車両が必要となり、トレーラーを牽引するのがトラクターヘッドです。
トレーラーヘッドとも呼ばれますが、被牽引の意味を持つTrailer(トレ-ラー)に対し牽引の意味を持つのがTractor(トラクター)ですから、トレーラーヘッドよりもトラクターヘッドと呼ぶ方が正しいと考えられますが、トラクタとも呼ばれています。
意外と知られていないトラクターヘッドやトレーラーの構造とは?
自走機能を持たないトレーラーは、トラクターヘッドと連結し牽引されて初めて走行が可能となる種類の車両です。被牽引車のトレーラーは後輪だけ装着するセミトレーラーと前後に車輪が装着されたフルトレーラーの2種類に大別できます。
車両を連結し走行するトレーラーは普通のトラックよりブレーキが強化されていて、トラクターヘッドとトレーラー全てのタイヤに作動するフットブレーキ、トレーラーのみに作動するトレーラーブレーキ、補助ブレーキの排気ブレーキなど複数のブレーキ機構を備えています。
国内では一般的な存在!セミトレーラー
国内で目にするトレーラーの多くがセミトレーラーと呼ばれる種類で、前輪はなく後輪のみ装着されトレーラー前部がトラクターヘッドに乗る形で接続され走行します。トラクターヘッドを切り離す際には前部の補助足がトレーラーの前部を支えます。
後輪が1軸の場合は大型車、2軸以上になると特大車になるため、空荷の状態や積み荷の重量が軽い場合は自動的に車軸を持ち上げ後輪1軸で走行できるリフトアクスル機能を搭載するセミトレーラーも数多く存在します。
自走機能を持たない被牽引車貨物車両フルトレーラー
国内では珍しい種類のトレーラーで前後に車輪が装着された種類のトレーラーがフルトレーラーで、フルトラクターの後部に連結し牽引します。
フルトレーラーには最低でも2車軸が装着され、ドリー式とセンターアクスル式の2種類が存在しますが、運送業務に使用されるフルトレーラーはドリー式のものが多いと言えます。
トレーラーのけん引車両がトラクターヘッド
牽引車両であるトラクターヘッドには荷物を積載できないセミトラクターと通常の大型トラックでトレーラーを牽引するフルトラクターの2種類があります。牽引に使用する大型トラックはセミトラクター同様、ブレーキランプや方向指示器などの保安部品やブレーキをトレーラーと連動できる仕様であることが求められます。
連結を解いたセミトラクターは連結器がむき出しとなりますが、この連結部にはトラクターヘッドの駆動力とセミトレーラーの荷重が集中するため大きな力が加わりますので、セミトラクターの最も重要なパーツだと言えるでしょう。
トラクターヘッドの牽引能力は第5車輪荷重で表される!
セミトラクターの最も重要なパーツである連結部分はカプラーとキングピンで構成され第5車輪と呼ばれます。
第5車輪にはトラクターヘッドの駆動力とトレーラーの荷重が集中し、非常に大きな力がかかることは既にふれましたが、第5車輪の強度がトラクターヘッドの牽引力を表します。
車輪は実在しない?第5車輪荷重とは?
第5車輪と聞くとどの車軸に装着されている車輪のことかと考えてしまいますが、第5車輪とは原始的なトレーラーである馬車に用いられる「Fifth wheel coupling(フィフス・ホイール・カップリング)」を訳したものです。
実際に車輪として存在するものではなく、トラクターヘッドとトレーラーを接続するカプラーとキングピンのことを指しています。
第5車輪荷重が表しているのはカプラーとキングピンの引っ張り強度!
トラクターヘッドの車検証には最大積載量が「最大積載量 ○○kg(△△kg)」で表記されていますが○○kgは牽引できる最大重量、△△kgはトレーラーに貨物を積んだ状態で第5車輪にかかる重量を表しています。
つまり第5車輪荷重はカプラーとキングピンの引っ張り強度を表しているものと考えられます。
牽引貨物車両とは?トラクタとトレーラー第五輪荷重などを大解説
トラクターヘッドの種類やサイズ別の最大積載量とは?
牽引専用トラクターヘッドがセミトラクターとフルトラクターに分類されることは既に紹介しましたが、重量のあるトレーラーを牽引し走行するトラクターヘッドには一般的なトラックよりも高出力が求められる点は同じです。
トラクターヘッドが牽引するトレーラーも種類によって可能な積載量が変わってきますのでサイズ別の最大積載量を確認してみましょう。
トレーラーの大きさや最大積載量、牽引するトレーラーヘッドの大きさは?
セミトレーラーは連結時最大18m、フルトレーラーは最大25mに定められていますが、16.5メートルのセミトレーラーが一般的です。
従来フルトレーラーの連結に対しては最大21mまでに規制されていましたが、国土交通省は2019年にダブル連結トラックに対して従来の21mから25mへの規制緩和を行ったため、2019年からフルトレーラーは25mまでの連結が可能となりました。
運送業務に使用されるセミトレーラーの最大積載量は1軸で約16トン、全長12mの2軸で約20トン、3軸で約22トンですが鋼材や材木などの単体物ではない積み荷のバラ積みに対してはバラ積み緩和が適用され、車軸数を増やせば車両総重量36トンまで許可されます。
車両総重量36トンであれば最大25~28トンまで積載が可能となります。また単体の積み荷の場合単体物許可を取れば走行ルートが限定されますが、軸重10トンの規制がなくなり最大積載重量の上限がなくなります。
しかし、トラクターヘッドの最大牽引能力(第5車輪荷重)を超えたものは許可されませんので注意して下さい。また運送業務に用いられるトレーラーは大型のものが多く、市販されているトラクターヘッドは大型のみだと言えます。
トラクターヘッドの種類や運転に必要となる免許とは?
運送業務に用いられるトレーラーヘッドは大型のものですので、運転するためには大型自動車運転免許が必要となります。またトレーラーを牽引するためには牽引免許が必要となりますので、トレーラーを牽引する運送業務に従事するドライバーは大型免許・牽引免許の2つの免許が必要となります。
トラクターヘッドの運転は小型特殊免許で行える?
牽引車両はトラクターヘッドと呼ばれますので、運転するトラクターヘッドが最高速度15km/h未満・高さ2m未満・幅1.7m未満・長さ4.7mの小型のものであれば普通免許に付帯する小型特殊免許でも公道で運転できます。
また車体総重量750kg未満のトレーラーであれば牽引するのに牽引免許も必要ありません。しかし、これらのトラクターヘッドやトレーラーを運送業務で使用するのは現実的ではないため、道路交通法上では可能であるということだけ覚えておけばいいでしょう。
実際に運送業務で使用されているのは大型のトラクターヘッドとトレーラーですので、大型免許・牽引免許の取得は必須です。
トラクターヘッドだけであれば大型免許のみで運転できる!
トレーラーを使用した運送業務に従事するためには大型免許と牽引免許の取得が必須だと紹介しましたが、トラクターヘッドの回送業務などに従事するのであれば牽引免許は必要ありません。
トラクターヘッドはトレーラーと解結すれば牽引することなくトラクターヘッドだけで走行できますので、運転するのに大型免許は必要ですが牽引免許は不要となります。
トレーラーを使用する運送業務には大型免許と牽引免許の取得が必要!
牽引車両と被牽引車両がトラクターヘッドとトレーラーである以上、小型のトラクターヘッドとトレーラーも存在します。道路交通法は全ての車両に対応する必要があるため、トレーラーベッドの運転は小型特殊免許があれば、また車両総重量750キロ未満のトレーラーは牽引免許不要となっていますが、個人使用に対応するもので運送業務への活用は非現実的です。
既に紹介したとおり運送業務に用いられるトレーラーは大型のものが一般的で、トレーラーヘッドも大型です。トラクターヘッド単体での運航業務は稀ですのでトレーラーを使用する運送業務には大型免許と牽引免許の取得が必要だと言えます。
トラクタやクレーン付きは運転免許だけでは運転できない!運転に必要な免許とは?
まとめ
現在国内で運送業務に用いられるトレーラーの多くが後輪だけ装着し連結時最大18mとなるセミトレーラーと呼ばれる種類で、トラクターヘッドを切り離す際には補助足を使用して自立します。
トラクターヘッドは牽引車両であるため道路交通法上では普通免許に付帯する小型特殊免許から運転できる小型ものもから存在しますが、現実的に運送業務に使用できるのは大型免許だと言えるでしょう。
トラクターヘッドの運転の際に注意すべきポイントは次の通りです。
-
- 運送業務に従事するトラクターヘッドの運転は大型と牽引免許が必要
- バラ積み緩和や単体物許可で最大牽引能力内で増量が可能
- トレーラーヘッドの最大牽引能力は第5車輪荷重で示される