過積載のダンプは危険!?各ダンプの最大積載量や寸法・細かな免許区分
荷降ろしの作業効率の高いダンプカーは、土木・建築業界には不可欠な貨物自動車として広く普及しています。しかし、積み荷の比重の高いものが多く、過積載のリスクが高い傾向があります。過積載を避けるためには、ダンプカーの車両区分ごとの最大積載量や荷台寸法をしっかりと認識しておく必要があります。ダンプカーの最大積載量や荷台寸法などを車両区分ごとにご紹介します。
作業効率に大きく影響するダンプカーの積載量とは?
ひと口にダンプカーといっても、代表的なダンプカーだけでもリアダンプ・サイドダンプ・三転ダンプ・ローダーダンプ・重ダンプなどがあげられ、全体で10種類以上が存在します。
鉱山などで使用され一般道・高速道路を走行できない重ダンプは11トンを超えるような圧倒的な積載量をもちます。一方で、公道を走行する一般的なダンプカーは車両区分に沿った最大積載量が設定されているため超過を注意しなければなりません。最大積載量を超過することを「過超過」といいます。
ダンプカーは小型・中型・大型の3つに大別される
ダンプカーは荷台が持ち上がる構造の平ボディのトラックですので、他のトラック同様、小型・中型・大型の車両区分に分類されます。各車両区分の最大積載量は、以下のとおりです。
車両区分 | 全 長 | 全 幅 | 全 高 | 最大積載量 | 車両総重量 |
小型ダンプ | 4.7m以内 | 1.7m以内 | 2.0m以内 | 3.0t未満 | 5.0t未満 |
中型ダンプ | 12.0m以内 | 2.5m以内 | 3.8m以内 | 6.5t未満 | 11.0t未満 |
増トンダンプ | 6.0m前後 | 2.3m前後 | 3.0m前後 | 7.5t前後 | 13.0t前後 |
大型ダンプ | 12.0m以内 | 2.5m以内 | 3.8m以内 | 6.5t以上 | 11.0t以上 |
車両区分別のダンプカーの積載量や荷台寸法は?
ダンプカーは荷台が持ち上がる特殊な構造の車両ですが、道路交通法では平ボディのトラック同様に扱われます。積載量や荷台寸法は、各車両区分ごとの平ボディのトラックに準じると考えましょう。
ダンプカーの積載量と荷台寸法の概況
ダンプカーの最大積載量は前章の表内で確認できるとおり、小型(3.0トン以内)・中型(6.5トン以内)・大型(6.5トン以上)と積載上限が定められていますが、実際にはメーカーやモデルによって積載量が異なります。
ダンプカーの荷台寸法は、過積載を防ぐために積み荷の比重を意識して認識しておく必要があります。仮に長さ1m・幅1m・アオリ高さ0.5mの荷台を用いる場合、積載容積は0.5立米(りゅうべ)となり、比重1の積み荷をアオリの高さまで積み込むとすると積載量は500kg(0.5トン)となります。
これを例えば「乾燥した砂」で考えると、積み荷との比重は1:9のため、積み荷が500kgの場合は合計の積載量は950kg(0.95トン)となります。
このように荷台寸法を掴んでおくことで積載容量が算出できるので、積み荷の比重を乗算すればおおよその積載重量が割り出せます。なお、荷台寸法も最大積載量と同じく、細かくはメーカーやモデルによって差があります。
小型ダンプカーの積載量と荷台寸法
ダンプカーのなかではミニサイズに該当するのが小型ダンプです。一般的には2~3トンの積載量が設定されています。
小型ダンプカーとしてニーズが高い『いすゞエルフ2トンダンプ』は、型式TKG-NJR85ANで最大積載量2.0トン・荷台寸法は長さ3.05m・幅1.59m・アオリ高さ0.33m、『三菱キャンターダンプ』は型式FBA30B24S00で最大積載量2.0トン・荷台寸法は長さ3.1m・幅1.6m・高さ0.32mとなっています。
弊社が運営する『トラック流通センター』が取り扱っている中古の小型ダンプカーを3点ご紹介します。以下3点以外にも多くの中古の小型ダンプカーを取り扱っておりますので、ぜひ検索機能で調べられてみてください。
三菱キャンター・PDG-FE70B
形状 | メーカー | 年式 | 最大積載量 | 荷台寸法(mm) | 排気量 | 走行 |
平ボディ | 三菱 | 平成19年 | 2トン | 長さ:3,100/幅:1,600/アオリ高さ:370 | 3,000cc | 3.7万km |
いすゞ エルフ・TPG-NJR85AD
形状 | メーカー | 年式 | 最大積載量 | 荷台寸法(mm) | 排気量 | 走行 |
ダンプ | いすゞ | 平成30年 | 2トン | 長さ:3,048/幅:1,588/アオリ高さ:318 | 3,000cc | 3.7万km |
日野デュトロ・2RG-XZC600T
形状 | メーカー | 年式 | 最大積載量 | 荷台寸法(mm) | 排気量 | 走行 |
ダンプ | 日野 | 令和3年 | 2トン | 長さ:3,050/幅:1,600/アオリ高さ:280 | 4,000cc | 0.1万km |
中型ダンプカーの積載量と荷台寸法
最大積載量は6.5トンですが一般的には「4トンダンプ」と呼ばれるのが中型ダンプです。積載量4~5トン程度のダンプも「4トンダンプ」と呼ばれ4トンの定義は明確ではありません。
しかし、中型ダンプカーのなかには最大積載量4トン・車両総重量8トン以上の増トンダンプが存在し、これらは4トンではなく「6トン車」「8トン車」と呼ばれることもありますが、通常「増トン」と呼ばれます。
中型ダンプカーとして人気の高い『三菱ファイターダンプ』は、型式FK-GVW8tで最大積載量3.5トン・荷台寸法は長さ3.4m・幅2.06m・アオリ高さ0.34m、『日野レンジャーダンプ』は型式FC-FC9JCAAで最大積載量3.5トン・荷台寸法は長さ3.4m・幅2.06m・アオリ高さ0.34mとなっています。
弊社が運営する『トラック流通センター』が取り扱っている中古の中型ダンプカーを3点ご紹介します。以下3点以外にも多くの中古の中型ダンプカーを取り扱っておりますので、ぜひ検索機能で調べられてみてください。
三菱ファイター・2PG-FK72N
形状 | メーカー | 年式 | 最大積載量 | 荷台寸法(mm) | 排気量 | 走行 |
ダンプ | 三菱 | 令和3年 | 3.75トン | 長さ:3,400/幅:2,060/アオリ高さ:330 | 3,900cc | 0.1万km |
いすゞ フォワード・TKG-FRR90S1
形状 | メーカー | 年式 | 最大積載量 | 荷台寸法(mm) | 排気量 | 走行 |
ダンプ | いすゞ | 平成25年 | 3.7トン | 長さ:3,38/幅:2,050/アオリ高さ:360 | 5,190cc | 6.6万km |
日野レンジャー・BDG-FC7JCWA
形状 | メーカー | 年式 | 最大積載量 | 荷台寸法(mm) | 排気量 | 走行 |
ダンプ | 日野 | 平成19年 | 3.7トン | 長さ:3,400/幅:2,050/アオリ高さ:1,180 | 6,400cc | 15.8万km |
大型ダンプカーの積載量と荷台寸法
大型ダンプは最大積載量6.5トン以上のものを指しますが、一般的には「10トンダンプ」と呼ばれます。また、4トンダンプ同様に積載量9~11トンのダンプも「10トンダンプ」と呼ばれています。
大型ダンプカーとして人気の高い『いすゞギガダンプ』はGカーゴシリーズの日本フルハーフで最大積載量14.1トン・荷台寸法は長さ9.675m・幅2.41m・アオリ高さ2.5m、『三菱ふそう スーパーグレートダンプ』は型式FV70G-JXD2XVで最大積載量9.3トン・荷台寸法は長さ5.3m・幅2.2m・アオリ高さ0.49mとなっています。
弊社が運営する『トラック流通センター』が取り扱っている中古の大型ダンプカーを3点ご紹介します。以下3点以外にも多くの中古の大型ダンプカーを取り扱っているので、ぜひ検索機能で調べられてみてください。
三菱スーパーグレート・2KG-FV70HX
形状 | メーカー | 年式 | 最大積載量 | 荷台寸法(mm) | 排気量 | 走行 |
ダンプ | 三菱 | 令和3年 | 9.1トン | 長さ:5,100/幅:2,200/アオリ高さ:500 | 10,670cc | 0.1万km |
いすゞギガダンプ・QKG-CYZ77AM
形状 | メーカー | 年式 | 最大積載量 | 荷台寸法(mm) | 排気量 | 走行 |
ダンプ | いすゞ | 平成25年 | 9.4トン | 長さ:6,200/幅:2,200/アオリ高さ:450 | 9,830cc | 48.2万km |
日野プロフィア・QKG-FR1EXBA
形状 | メーカー | 年式 | 最大積載量 | 荷台寸法(mm) | 排気量 | 走行 |
ダンプ | 日野 | 平成24年 | 12.4トン | 長さ:7,600/幅:2,200/アオリ高さ:750 | 12,910cc | 78.2万km |
運転できるダンプカーは保有免許の免許区分で異なる!
作業車両の代名詞といっても過言ではないダンプカーだけに、ダンプカーの運転には「特別な資格や免許が必要なのではないか?」と感じる人もいらっしゃるかもしれません。しかし、先述したとおり、ダンプカーは道路交通法で貨物自動車に区分されるため、自動車運転免許で運転可能です。
ただし、現在の運転免許証は免許区分で運転可能な車両区分が細かく規定されています。自分の保有する運転免許が、ダンプカーの免許区分を満たしているか必ず事前に確認するようにしてください。
免許区分は法改正で細分化され複雑に
2007年・2017年の2度にわたり道路交通法が改正され、国内の自動車運転免許の細分化が推し進められました。現在国内には普通免許・準中型免許(5トン限定)・準中型免許・中型免許(8トン限定)・中型免許・大型免許の6つの免許区分が存在します。
6つの免許区分のなかで5トンと8トンの限定免許区分は法改正前に普通免許を取得している人たちの救済措置として設置されているもので、新たに取得することができない免許区分です。
6つの免許区分保有者が運転できるダンプカーは、次の表内のとおりです。
免許区分 | 車両総重量 | 最大積載量 |
普通免許 | 3.5トン未満 | 2.0トン未満 |
準中型免許(5トン限定) | 5.0トン未満 | 3.0トン未満 |
準中型免許 | 7.5トン未満 | 4.5トン未満 |
中型免許(8トン限定) | 8.0トン未満 | 5.0トン未満 |
中型免許 | 11.0トン未満 | 6.5トン未満 |
大型免許 | 11.0トン以上 | 6.5トン以上 |
小型ダンプカーの運転に必要となる免許区分は?
通称2トンダンプと呼ばれる小型ダンプカーは普通免許で運転できそうですが、車両総重量が3.5トン以上の小型ダンプカーは準中型免許でなければ運転できません。よって仕事現場では、基本的に「準中型免許以上の免許」が必要となると考えるべきでしょう。
中型ダンプカーの運転に必要となる免許区分は?
通称4トンダンプと呼ばれる中型ダンプカーは積載量3.5トンの車両が主流であるため、普通免許では運転できません。準中型免許以上の免許が必要となることを抑えておきましょう。
また、中型ダンプカーにカテゴライズされる増トン車を運転する場合には、大型免許が必要となります。
大型ダンプカーの運転に必要となる免許区分は?
10トンダンプと呼ばれる大型ダンプカーは6.5トン以上の積載量があるため、運転には大型免許が必要となります。
また、先述した中型増トンダンプも中型車に分類されますが、運転に大型免許が必要となります。
絶対にしてはいけない過積載!ダンプカー積載量の目安とは?
運送業界が過当競争に巻き込まれ、近年過積載による事故の発生件数が増加していると報告されています。過積載に対する罰則の強化とともに警察による幹線道路や高速入り口などでの検問も頻繁におこなわれ、過積載撲滅を目指した動きが活性化しています。
過積載のダンプカーを運転しているドライバーに対しては「違反点数」と「罰則金」が科せられ、ドライバーが所属する運送会社に対しては運行管理者資格者証の返納命令が下され、資格取消となります。
また過積載となることを知りながら積み込みを容認した荷主に対しても、管轄警察署長から再発防止命令が下され、悪質だと判断された場合は「罰金刑」や「懲役刑」が科せられるケースも存在します。
超過重量の比率と罰則内容をまとめたものが以下の表です。過積載への量刑は最大積載量に対する超過重量の比率によって異なります。
また、大型ダンプで10割以上の過積載をおこなった場合は「6ヵ月以下の懲役」が科せられたり、悪質な過積載だと判断されれば即時告発の対象として「罰金額が100万円以下」に跳ね上がります。
超過重量が最大積載量の5割未満の場合 | 超過重量が最大積載量の5割〜10割の場合 | 超過重量が最大積載量の10割以上の場合 | 大型ダンプで超過重量が最大積載量の10割以上の場合 |
反則点数1点 | 違反点数3点 | 違反点数6点 | 6ヶ月以下の懲役 |
反則金30,000円 | 反則金40,000円 | 10万円以下の罰金 | 罰金額が100万円以下 |
【注意】積載物によって重さが大きく異なります!
不用意な過積載を回避するためには、ダンプカーの荷台寸法から積載容積を算出し、積み込めば何トンになるかをドライバー自身が正しく認識しておく必要があります。また、同じ現場からの搬送でも土砂などは水分を含むと驚くほど重くなりますから、積み荷の比重の意識が重要です。
まとめ
荷降ろしの作業効率が高く、土木・建築の現場でのニーズが高いダンプカーは、貨物自動車にカテゴライズされ車両区分ごとに厳格に最大積載量が設定されています。
ダンプカーの運転に特別な資格や免許は必要ありませんが、車両区分によって必要となる運転免許区分が異なるので注意が必要です。
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- ダンプカーは小型・中型・大型の3つの車両区分に分類される
- 小型・中型ダンプは準中型以上、大型ダンプは大型の免許保有が必要
- ダンプカーの荷台寸法から積載容量を算出すれば積載重量が掴める
- 過積載は絶対にダメ!事故原因となるばかりか想定外の出費リスクも