運転免許といっても免許の種類は多く、どの免許を取得しているのかによって運転できる車が違ってきます。なかでも、大型トレーラーを運転するためには、牽引免許の取得が必須で、高度な運転技術と車に対する詳しい知識などが必要です。そのため、普通免許では運転できません。牽引免許を取得すれば、仕事の幅も広がり安定した収入が得られます。今回は、大型トレーラーを運転するために必要な免許や安全に運転するためのポイントを抑えて、仕事に活かすための方法について解説していきます。

トレーラーとは貨物車部分のことで運搬に必要不可欠！

トレーラーとは、荷物を積む貨物車部分のことです。トレーラーを牽引する車はトラクタ、またはヘッドと呼ばれます。トレーラーとトラクタは別物ですが、一般的にトレーラーといえばトレーラーとトラクタがセットになった運搬車を指します。

運搬車といえばトラックというイメージがあります。しかし、トラックと同じくらい生活の物流を担う車がトレーラーなのです。トレーラーは、サイズによって中型や大型などに分類されていて、サイズにより必要となる免許も違ってきます。

今からでも取得できる大型トレーラーの運転免許とは？

運転免許は、以下の3つの区分に分けられています。

・車を運転するための免許：第一種運転免許
・バスやタクシーなど旅客業などに必要な免許：第二種運転免許
・第一種免許を取得する際、練習で公道を走行するために必要な免許：仮運転免許

一般的に必要となる免許が第一種免許であり、業種により必要となるものが第二種免許です。第一種免許の種類には、自動車の他に特殊自動車や自動二輪車などを運転するための免許がありますが、ここからは自動車免許の種類について見ていきます。
以下が、免許の種類と運転ができる車種の一覧です。

（引用元：転職Hacks）

大型トレーラーを運転するためには牽引（けん引）免許が必要です。牽引免許を取得するためにはいくつかの条件があります。本来、牽引免許は付随的な免許であり、普通・準中型・中型・大型などの免許を取得していなければなりません。それに加えて、運転に支障が出るような障害がないことや年齢が18歳以上などの条件があります。

入社する前に普通免許を取得していれば、すぐにでも牽引免許を取得することが可能です。ただし、大型トレーラーのように、車の大きさによっては大型免許がなければ取得できません。

大型トレーラーのサイズと大型トラックとの違い

トレーラーには、フルトレーラーとセミトレーラーがあります。セミトレーラーは、日本でもっとも使用されている牽引車で、トラクターと呼ばれるエンジン部分にトレーラーを連結しなければ荷物の運搬ができません。それに対してフルトレーラーは、重量をトレーラー自体で支えることができます。そのため、トラクター単体でも運搬が可能です。

また大型トレーラーは、大型トラックの1つというイメージがあります。しかし、大型トレーラーが牽引車に対して、大型トラックは貨物自動車となるので車両の仕組みそのものが違います。

それでは、大型トレーラーと大型トラックのサイズや寸法を比較していきます。

（引用元：ドラEVER）

全幅や全高は同じですが、全長は大型トレーラーのほうが、4.5メートル〜6メートルほど大型トラックに比べると長くなります。そのため、大型免許を取得して仕事に活かしている人でも、大型トレーラーを運転するためには牽引免許を取得するだけでなく、洗練された運転技術や知識を身につけることが必要です。

大型トレーラー事故事例

大型トレーラーは、全長が長いもので18メートルもあります。それゆえ、左折をする際に目視での安全確認が難しく、何箇所にも取り付けられたミラーを頼りに歩行者や自転車などに細心の注意を払わなくてはなりません。しかし、さまざまな場所で、大型トレーラーが関連する事故のニュースが絶えず報道されています。細心の注意を払っていても、悲惨な事故が全国で発生しているのが現状です。

次に最近発生した大型トレーラーの事故について挙げていきます。

・2021.12.10（愛知県）

国道41号線で、大型トレーラーが軽乗用車に追突。24台が絡む玉突き事故となりました。この事故で12人が怪我をして、このうち1人が重傷です。

・2021.12.16（徳島県）

午前７時半頃、信号のある交差点で、近所に住む小学生の女子が横断歩道を渡ろうとした際、左折してきた大型トレーラーにはねられました。女子は頭を強く打っていて、現場で死亡が確認されました。

・2021.12.17（岡山県）

倉敷市福田町浦田の市道で、オートバイと脇道から市道に合流しようとした大型トレーラーが衝突しました。この事故で、オートバイを運転していた倉敷市新田の会社員の男性が死亡しました。

上記のような痛ましい事故が全国各地で起こっています。スピードが出ていなくても、大型トレーラーの大きさや運転技術の未熟さ、注意力の低下などが大きな事故につながるのです。

大型トレーラー特有の現象を把握して事故を防ごう

大型トレーラーは、特殊な車両なので大型トラックにはない現象が起こります。これらの現象を防止することが事故を未然に防ぐことにつながります。

ジャックナイフ現象

ジャックナイフ現象とは、トラクター部分とトレーラー部分がくの字に曲がってしまう現象のことです。凍結した道路や過重積載が原因で起こります。

トレーラースイング現象

トレーラースイング現象は、トレーラーのブレーキにロックがかかることで、ゴルフのスイングのようにトレーラーが左右に振られてしまう状態をいいます。悪路や悪天候での走行で起こりやすい現象です。

プラウアウト現象

プラウドアウト現象は、トレーラーが制御不能となる大変危険な現象です。大型トレーラーは、急ブレーキを踏むと、トラクターヘッドのブレーキがロックされます。これによりハンドル操作が制御不能に陥るのです。

以上のような現象は、ほとんどが運転技術の未熟さや大型トレーラーへの知識の乏しさが原因となります。大事故を引き起こさないためにも、こまめな車両点検や運転技術の向上に努めましょう。

大型トレーラーの運転のコツ

トレーラーは大型トラックのように積み降ろしの作業がなく、運転技術を活かして働けることから大型トレーラー運転手に転向する人もいます。次は、大型トレーラーを運転するコツについて見ていきましょう。

直進走行時はトレーラー寸法を把握しておく

一般的に接触事故の少ない直進走行ですが、大型トレーラーの場合、連結部分の幅や高さ、長さに気を遣わなくてはなりません。長い時間運転していると、つい連結部分の寸法を忘れてしまい、交差点や踏切で立ち往生することもあるのです。大事故を起こさないために、大型トレーラーの寸法をしっかり把握して直進走行をしましょう。

左折時は目視とサイドミラーのダブルチェック

大型トレーラーで、細心の注意を払う必要があるのが左折での巻き込み事故です。日本は、右ハンドルの車が主流です。大型トレーラーのハンドルも右ハンドルであり、運転手は右側から左方確認をおこないます。車高が高く車幅も広い大型トレーラーは、左方確認を目視でするには限界があり、サイドミラーが頼りです。ちなみに、サイドミラーは3ヶ所に取り付けられています。

交差点などで左折する際は、目視とサイドミラーのダブルチェックをしてから前方に深く進入してから旋回するのが安全な左折のコツとなります。

右折時は目視での確認を丁寧におこなう

右折時は、左折時に比べると目視での確認ができることから過信した判断をしやすくなります。特に、交差点やカーブでの右折時には、前方の車の流れを把握して対向車の進路妨害をしないように右折をしましょう。また、状況に応じて大回りをするのが必要なときもあります。

ちなみに、大型トレーラーはブレーキを強く踏むと、トラクターの前輪にロックがかかるようになっています。運転や操縦ができなくなる恐れもあるため、急ブレーキをかけるような運転は控えましょう。

後退（バック）時はトレーラーの前輪を操作する

車の運転で最も難しいとされるのが後退をするときです。特に大型トレーラーの場合、ハンドル操作をしても連結部が折れ曲がって、まっすぐ後退できないことがあります。トレーラーを軸と考えて、トレーラーの前輪を操作すればスムーズに後退することが可能です。

まとめ

今回は、大型トレーラーの特徴や運転するために必要な免許、安全運転のポイントについて解説してきました。

大型トレーラーは、車幅や車高こそ大型トラックに似ていますが、全長は長いものになれば20メートル近くになります。そのため、牽引免許の取得が必須で、高度な運転技術と車に対する知識が求められるのです。牽引免許を取得したあとでも、運転するハードルが高い車といえます。しかし、大型トラックに比べると高収入でドライバーにとって魅力的な仕事です。

大型トレーラーの免許の取得やドライバーへの転向を思案している人は、仕組みを理解したうえでスキルアップを目指しましょう。

• 大型トレーラーは牽引免許の取得が必須
• 大型トレーラーの仕組みをよく理解する
• 大型トレーラーゆえに起こる現象をしっかり把握する
• 大型トレーラーの運転のコツをつかむ