ミキサー車の仕組みや構造とは?サイズ別最大積載量と価格を紹介
街でたまたま見かけたミキサー車。「グルグルと回転するミキサー車の仕組みはどうなっているんだろう」と気になったことがある方もいらっしゃるでしょう。そこでこの記事では、ミキサー車の仕組みや構造・用途などをまとめて解説。業務でミキサー車を購入する必要があり、概要を調べている方にお届けします。
ミキサー車とは
ミキサー車とは、生コンクリートの品質を維持しながら主に工事現場まで運搬するための貨物自動車です。正式名称は「レディミクスト車」であり、「トラック・ミキサー」と呼ばれることもあります。
生コンクリート(略称:生コン)は、セメント・水・砂・砂利などが混ぜ合わされたコンクリートであり、運搬時には固まっていないという特徴をもちます。日本工業規格(JIS)の「レディーミクストコンクリート」に基づき製造されています。
ミキサー車では生コンクリートが分離しないように、運搬時は常時ドラムが回転しています。これは、生コンクリートを構成する材料ごとに比重が異なるため、ドラムを回転させていないと重量のある材料が沈澱してしまうためです。工事現場や建設現場といった生コンクリートが必要となる地点まで、品質を劣化させずに運搬できるよう、このような仕組みが用いられています。
ミキサー車の歴史
ミキサー車が日本で初めて出荷されたのは1949年(昭和24年)のことです。当時は現在のような太鼓型のドラムではなく、半円形のドラムが採用されていました。
その後、国産のミキサー車は1952年(昭和27年)に磐城コンクリート工業と犬塚製作所の共同研究によって初めて製造。驚くべき点は、第一号のミキサー車は自動車関連メーカーが製造したのではなく、コンクリート会社が製造したという点です。
こうして作られたミキサー車は、日本の高度経済成長を支え、日本全国のインフラ建設やビル建設・住宅街建設の場面で用いられました。生コンクリートの品質を建設現場に運ぶまで保つことができるようになったからこそ、今日(こんにち)の日本の経済発展があるのです。
(参考元:ナマコンパーク「生コン車(ミキサー車)豆知識」)
(参考元:Nosweb.jp「道路作りに欠かせない「生コンを運ぶ国産ミキサー車」の第一号は1952年に登場! クルマとともに歴史の第一歩を歩み始めた物や事柄を追う」)
ミキサー車の運転に必要な免許
ミキサー車は一見すると特殊な免許が必要そうに思えますが、ミキサー車の運転に特別な免許は不要です。あくまで、運転するミキサー車の車両区分に合わせた運転免許のみあれば運転できます。
車両区分別に必要となる運転免許は、免許制度改正の前後で異なります。
以下は改正前(2017年3月11日以前)と改正後(2017年3月12日以降)の車両区分別の運転免許です。
車両区分 | 免許の種類 | 車両総重量 | 最大積載量 | 乗車定員 | 受験資格 |
改正前
|
普通免許 | 5.0トン未満 | 3.0トン未満 | 10人以下 | 18歳以上 |
中型免許 | 11.0トン未満 | 6.5トン未満 | 29人以下 | 20歳以上免許期間2年以上 | |
大型免許 | 11.0トン以上 | 6.5トン以上 | 30人以上 | 21歳以上免許期間3年以上 | |
改正後
|
普通免許 | 3.5トン未満 | 2.0トン未満 | 10人以下 | 18歳以上 |
準中型免許 | 7.5トン未満 | 4.5トン未満 | 10人以上 | 18歳以上 | |
中型免許 | 11.0トン未満 | 6.5トン未満 | 29人以下 | 20歳以上免許期間2年以上 | |
大型免許 | 11.0トン以上 | 6.5トン以上 | 30人以上 | 21歳以上免許期間3年以上 |
(参考元:イーデザイン損保「運転免許の区分と種類について。免許制度の変更によって変わった点は?」)
ミキサー車の用途
ミキサー車は多くの工事現場・建設現場へ生コンクリートを運搬する際に用いられます。極めて少量のコンクリートしか必要としない場合は、現場でコンクリートを練って作ることもありますが、それ以外のほとんどの工事現場で活躍しています。具体的には、一般住宅の建設やビル、工場の建設時などです。
また、ダムの建設といった大規模な工事現場でも、現場内に設置されたセメント工場から必要な箇所に生コンクリートを運搬する際に用いられます。
ミキサー車の仕組み・構造
続いて、ミキサー車の仕組みと各構造をご説明します。
ラム
ドラムはミキサー車のもっとも特徴的な点であり、生コンクリートが積載されている部位です。円筒状のかたちをしており、内部の螺旋型プレートが回転し続けることで生コンクリートの分離を防ぎます。
ドラムの回転は、ミキサー車のエンジンの後ろに搭載されているフライホイールから動力を取り出すことにより実現しています。動力がドラム内部の油圧ポンプを回すことで、根元にある減速機に伝わりドラムは回転しています。この回転方式は「ダイレクトドライブ式」と呼ばれます。
ドラム内の生コンクリートを下ろすときは時計回り(右回り)に回転し、積むときは半時計回り(左回り)に回転します。ドラム内の積載量は0.9m³から5.5m³ほどです。
ホッパ
ホッパとは、ミキサー車の後部上方に設置されている生コンクリートの投入口です。雨水や異物がドラム内に混入するのを防ぐため、カバーがかかる車種もあります。
フローガイド
フローガイドとは、ミキサー車後方にあるV型の生コンクリートの通り道です。
シュート
シュートは生コンクリートを下ろす際に、樋(とい)の役割を果たす部位です。左右への回転や上下動作が可能で、目的の場所に生コンクリートを下ろすことができます。
水タンク
水タンクは、生コンクリートを下ろしたあとのドラム・ホッパ・シュートを洗浄するための水が貯蔵されている部位です。小型車で約100リットル、大型車で約200リットルが貯蔵されています。
水ポンプ
水ポンプは、ホッパーノズルや洗浄ホースへ水を供給するためのポンプです。
汚水受け装置
汚水受け装置は、シュートやホッパなどを洗浄する際に出た汚水を貯蔵する容器です。
ドラムレバー
ドラムレバーは、ドラムの回転方向や回転速度を調整するためのレバーです。車両の後部左右やホッパ付近、運転席などに設置されています。ドラムレバーは、車両前方に向けて傾けると正転し、後方に傾けると逆回転します。また、レバーの傾きが小さいとドラムはゆっくり回転し、大きく傾けると速く回転します。
P.T.O機構
P.T.O機構は、ミキサー車のエンジンから動力を取り出して油圧ポンプに回転力を伝達させる装置です。ミキサー車の走行状態に関わらず、油圧ポンプを駆動または停止できるクラッチが装備されています。
油圧装置群
油圧装置群は、油圧ポンプ・バルブユニット・油圧モーター・作動油タンク・オイルフィルターなどで構成される一連の装置です。
フレーム
フレームは、ドラム・ホッパ・シュート・水タンク・油圧装置群を支えている部位です。
ミキサー車の車両サイズ別 最大積載量
ミキサー車に積まれる生コンクリートは、セメント・水・砂・砂利などが混ぜ合わされているため1㎥あたりの重量が大きい積載量です。そのため、トラックの荷台の各ミキサー装置群と合わせると積める生コンクリートの量はあまり多くありません。
生コンクリートは配合により重量は異なるため、厳密には幅がありますが、ミキサー車の最大積載量別の生コンクリートの積載量目安は以下のとおりとなります。
車両 最大積載量 | 生コンクリート積載量(目安) |
2〜3トン | 約0.8~1.3㎥ |
4トン | 約1.6㎥ |
5〜6トン | 約2.1~2.4㎥ |
7〜8トン | 約2.8~2.0㎥ |
10トン | 約4.0~4.4㎥ |
11トン | 5.0㎥前後 |
<こちらの記事で詳しく解説しています>
生コン運送に欠かせないミキサー車!特徴や積載量、運転に必要な資格や免許とは?
ミキサー車の最大積載量別 車両寸法
ミキサー車には、小型車から大型車までさまざまなサイズの車体が製造・販売されています。
以下に最大積載量別の車両寸法をまとめました。
最大積載量 | 全長 | 全幅 | 全高 |
2~3トン | 5,100mm前後 | 1,800mm前後 | 2,700mm前後 |
4トン | 5,850mm前後 | 2,160mm前後 | 3,035mm前後 |
5~6トン | 6,400mm前後 | 2,240mm前後 | 3,200mm前後 |
7~8トン | 6,400mm前後 | 2,300mm前後 | 3,300mm前後 |
10トン | 7,900mm前後 | 2,490mm前後 | 3,700mm前後 |
11トン | 9,100mm前後 | 2,490mm前後 | 3,770mm前後 |
ミキサー車の新車価格
ミキサー車の新車価格は車体のサイズによって価格差があります。メーカーによって若干の違いはありますが、新車の相場は最大積載量4トンの場合は600万円前後、10トンの場合は1,300万円ほどです。
ミキサー車の中古価格
「ミキサー車を購入しなければならないけれど、もう少し費用を抑えたい」という方には、中古車を購入されるのがおすすめです。ミキサー車を中古で購入した場合の目安価格は、最大積載量4トンの場合300〜400万円ほど、10トンの場合は600万円〜から購入できます。
中古でミキサー車を購入する際のチェックポイントや主要メーカー情報は、以下ページで詳しく解説しているのでよろしければ目をとおしてみてください。
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中古ミキサー車市場で人気のメーカーやモデル購入時のチェックポイントを大紹介!
まとめ
記事では、あまり知られていないミキサー車の仕組みや構造・ミキサー内の最大積載量などについて解説してきました。
ミキサー車はあらゆる工事現場や建設現場で活躍し、作業を円滑に進めるために役立っています。車両区分に合わせた免許さえ取得していれば運転できるので、比較的誰でも乗車の機会があるかもしれません。
ぜひ、ミキサー車を新調される際は、用途に合わせて新車か中古車を選ばれてみてください。
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- ミキサー車とは、生コンクリートの品質を維持しながら主に工事現場まで運搬するための貨物自動車
- ミキサー車は車両区分に合わせた運転免許のみあれば運転が可能
- 中古のミキサー車は最大積載量4トンの場合300〜400万円ほど、10トンの場合は600万円〜から購入可能