冷蔵冷凍車とは?冷蔵冷凍車の種類やおすすめ車種を紹介|トラック用語集
冷蔵冷凍車は、トラックの荷台部分に冷却機能が搭載され、マイナス温度まで温度調整できるトラックです。生鮮食品や冷凍食品などを長距離運搬するときに使用されています。今回は、冷蔵冷凍車の構造の特徴や、種類、おすすめの車種を紹介します。
冷凍車とは
冷凍車とは、トラックの荷室に冷凍機が装備されているトラックのことです。
荷物を冷凍したまま運搬でき、任意の温度に調節できます。食品を長距離運搬する際に用いられます。
ステンレス素材で殺菌作用のある床や、冷気が逃げるのを防ぐためカーテンを装備しているケースがほとんどです。
車体には3つの種類があり、マイナス30度まで冷却できる車体とマイナス5度まで冷却できる車体が存在します。
構造と特徴
冷凍車の形状はバンもしくはウィングです。
荷台の構造は、次のとおりです。
荷室の外側 | 荷室の内側 | 荷室に搭載されているもの |
断熱仕様 | 保温性を高めるためにアルミ製のパネルや、 強度の高いFRPパネルが使用される |
車載冷凍機 |
車載冷凍機によって荷台をマイナス温度まで冷やすことができます。また高い断熱保温仕様により、マイナス温度が保たれる仕組みです。
保冷車との違い
保冷車はあくまで「保冷(荷室の温度を保つこと)」を目的としたトラックです。
保冷車に冷凍機能は装備されていません。蓄冷式冷凍車にも近いですが、荷室に氷やドライアイスを入れることによって荷室の温度を保ち輸送をします。
時間が経つと荷室内の温度が少しずつ上がってしまうため、許容温度範囲の広い生菓子や乳製品、惣菜などの食品の運搬に使用されます。
冷蔵冷凍車のメリット
冷蔵冷凍車のメリットは、温度を管理しながら運搬できることです。
食材を扱うスーパーやコンビニ、飲食店などに生鮮食品やアイスクリームなどの冷凍菓子を運べます。食品だけでなく、冷やしながら運ぶ必要がある化学薬品などの配送も可能です。
さらに、冷蔵冷凍車は冷蔵品と冷凍品を同時に運搬できることもメリットです。冷凍車と冷蔵車を2台用意する必要がありません。
1台での運搬は、大幅な経費削減につながるでしょう。
もちろん、冷却を切って使用することも可能です。アルミバントラックとして、冷蔵冷凍の必要がない荷物も運搬できます。
汎用性の高さは、冷蔵冷凍車の最大の魅力でしょう。
冷凍車の種類
冷蔵冷凍車には、次の3種類があります。
・機械式冷凍車
・液体窒素式冷凍車
・蓄冷式冷凍車
冷蔵冷凍車のおすすめメーカーと車種も合わせて解説します。
車体の種類と用途
冷凍車の車体の種類は3つです。用途別に紹介します。
機械式冷凍車
一般的なエアコンと同じく、冷凍機のコンプレッサーを動かし生み出された冷気を荷室に送り室温を下げる仕組みの冷凍車です。冷凍車の中では、もっとも広く用いられているタイプの冷凍車です。
エアコンと同じ仕組みなので室外環境や目的に応じて、1度刻みで荷室温度の調整ができます。また、より長時間、冷却能力を維持するためにトラック運転のエンジンとは別に、冷凍室用のエンジンが搭載されている車体も存在します。このように、冷凍車としての汎用性の高さが機械式冷凍車のメリットです。
液体窒素式冷凍車
液体窒素式冷凍車は、液体窒素を用いて荷室を冷やすタイプの冷凍車です。液体窒素を用いることで時間をかけずに一気にマイナス40度まで荷室の温度を下げることができます。短時間で一気に冷やす必要がある積み荷の場合、適しています。鮮度を高く保つ必要のある魚介類や肉類を運搬する際によく用いられます。
ただし、冷却までのスピードが早いメリットの反面、常に液体窒素が補充されている必要があるため、輸送にかかるメンテナンスコストが大きいのがデメリットです。液体窒素自体が高価なため、コスト面にもデメリットがあります。
蓄冷式冷凍車
蓄冷式冷凍車は、荷室に凍結させておいた冷却板を入れることによって室温を下げるタイプの冷凍車です。3タイプの冷凍車の中では、もっともアナログな仕組みの冷凍車です。
蓄冷式冷凍車のメリットは、車体のエンジンのON/OFFに関わらず荷室を冷やすことができる点です。一方で、機械式冷凍車のように一定の室温を保つことが難しい点はデメリットです。あまり低い温度が求められないお弁当などを輸送する際に適しています。
おすすめのメーカーと車種
冷凍車はお求めのサイズやメーカー別にいくつもの車種が販売されています。各メーカー別に強みなどの特徴は異なります。
ここでは、大型・増トン・中型・小型のサイズ別に主要メーカーが製造・販売する冷凍車をご紹介します。
大型冷凍車(10トントラック)
大型冷凍車は最大積載量が6.5トン以上の冷凍車です。大量の食品などを一気に運ぶ際に適しています。大型冷凍車の人気メーカーは次の2つです。
三菱ふそうの「スーパーグレート」
日野自動車の「プロフィア」
<三菱ふそう「スーパーグレート」>
(引用元:三菱ふそう)
車体寸法 | 荷台寸法 | 最大積載量 |
全長11.98m、全幅2.49m、全高3.69m | 長さ9.39m、幅2.34m、高さ2.27m | 12.5トン |
三菱ふそうの冷凍車「スーパーグレート」は、荷台を老舗・冷凍車メーカーの「矢野特殊自動車」が作り組み合わせた車です。
「スーパーグレート」は、これまでより大幅な軽量化と燃費向上を達成した2タイプのエンジンを搭載。車体全体を軽量化しつつも、排出ガスシステムの最適化で燃費も向上させており、長距離を走るトラックドライバーにうれしい冷凍車です。
冷凍車の荷台は、両サイド観音扉・キーストン床・2段ラッシングレールとなっています。安全面もアクセルやブレーキ・ステアリングの運転を補助する「アクティブ・ドライブ・アシスト2」や「エマージェンシー・ストップ・アシスト」などを実装しており、不慮の事故を未然に防止します。
(参考元:三菱ふそう)
<日野自動車「プロフィア」>
(引用元:日野自動車)
車体寸法 | 荷台寸法 | 最大積載量 |
全長12.0m、全幅2.49m、全高3.63m | 長さ9.40m、幅2.27m、高さ2.30m | 12.5トン |
日野自動車の「プロフィア」は、前作の「スーパードルフィンプロフィア」が2003年にフルモデルチェンジしました。燃費性能は、最高出力279kW・最大トルク1,765N-mを誇る9Lエンジンを搭載。ダウンサイジングにより、パワーと燃費を高次元で両立しています。
2006年には、大型トラックとして世界初の追突被害軽減ブレーキシステムを採用。日野プロフィアは国が定めている「セーフティ・サポートカー」の基準を満たしている安全性の高いトラックです。
また、上質な質感の座席シート(高機能シート)は、長距離の運転で疲れがちなトラックドライバーの身体をサポートします。フロアトンネル部分をフラット化しているので、車内の移動性も快適です。
( 参考元:日野自動車)
増トン冷凍車(6トン・8トントラック)
続いては、増トン冷凍車のご紹介です。増トン冷凍車は、最大積載量が6〜8トンになるよう改良されたトラックのことです。増トン車のなかでも人気のあるいすゞ自動車「フォワード」を紹介します。
<いすゞ自動車「フォワード」>
(引用元:いすゞ自動車)
車体寸法 | 荷台寸法 | 最大積載量 |
全長9.13m、全幅2.41m、全高3.33m | 長さ6.80m、幅2.30m、高さ2.06m | 5.5トン |
いすゞ自動車が製造・販売する「フォワード」は1970年に初代が販売され、約50年の歴史をもつ冷凍車です。冷凍機能を持つ荷台は「日本フルハーフ」が手がけています。
「フォワード」の燃費はクラストップの8.1km/ℓであり、燃料コストの削減を実現します。これは、高過給化を追求して全回転域で高効率なターボ効果を発揮する4HK1エンジンを搭載しているためです。
また、国内最高峰となる新しいハイルーフを実装し、大容量収納スペースの利用ができます。その収納容量は約176ℓです。もちろん、トラック運転の安全をサポートする機能も充実しています。中型トラックで唯一となる「交差点警報機能」や「プリクラッシュブレーキ」「ふらつき警報」や「先行車発進お知らせ機能」などが実装されています。
(参考元:いすゞ自動車)
中型冷凍車(4トントラック)
続いては、中型冷凍車のご紹介です。ここでは最大積載量が4トンの日野自動車の「レンジャー」を取り上げます。
<日野自動車「レンジャー」>
(引用元:日野自動車)
車体寸法 | 荷台寸法 | 最大積載量 |
全長7.89m、全幅2.36m、全高3.16m | 長さ5.77m、幅2.16m、高さ1.99m | 3.15トン |
日野自動車の「レンジャー」は、「風のレンジャー」「ライジングレンジャー」などの愛称がある中型トラックです。冷凍機能の荷台は「トランテックス」」が手がけています。
「レンジャー」のエンジンはA05Cエンジンと呼ばれ、最高出力は191kW・最大トルクは882N-mと高性能を実現しています(A05C-TC)。
大型冷凍車の「プロフィア」と同様に、業界をリードするハイクオリティな中型トラックです。
安全性能では、前側方から接近する移動物を監視して出会い頭での注意を喚起する「サイトアラウンドモニターシステム」。ドライバーの異常を検知し車両を停止する「ドライバー異常時対応システム(EDSS)」。その他、「PCS」や「スキャニングクルーズII」可変配光型LEDヘッドランプ」などを搭載しています。
( 参考元:日野自動車)
小型冷凍車(2トントラック)
最後に、小型冷凍車のご紹介です。ここでは最大積載量が2トンの、いすゞ自動車の「エルフ」を紹介します。
<いすゞ自動車「エルフ」>
<いすゞ自動車「エルフ」>
(引用元:いすゞ自動車)
車体寸法 | 荷台寸法 | 最大積載量 |
全長6.46m、全幅2.20m、全高2.97m | 長さ4.44m、幅1.98m、高さ1.80m | 3.85トン |
いすゞ自動車が製造・販売している「エルフ」は、小型トラックとして国内の人気が高い車種です。荷台の冷凍機能は、専門メーカーの「ジャパンコールド」が手がけています。
いすゞ自動車がおこなった調査によると、「エルフ」は、2001年〜2020年の2〜3トントラックの中で、販売台数が20年連続No.1でした。増トントラックの「フォワード」の特徴と同じく、高い燃費性能や安全性能を実装しています。
(参考元:いすゞ自動車)
冷凍車の運転に必要な免許
では、冷凍車を運転するには何か特別な免許が必要なのでしょうか。今後、冷凍車を運転する機会がある方はしっかり抑えておきましょう。
冷凍車は、その冷凍車のサイズによって必要となる運転免許が異なります。そのため、自分が運転する可能性がある冷凍車が、「軽・小型トラック」「中型トラック」「大型トラック」のどれに当てはまるかを事前に確認しておいてください。
なお、「軽・小型トラック」の場合は普通免許(第一種運転免許)で運転ができます。それぞれのトラックの車体サイズや最大積載量を以下にまとめてみました。
軽・小型トラック | 中型トラック | 大型トラック | |
全長 | 4.7m | 12m以下 | 12m以下 |
全幅 | 1.7m | 2.5m以下 | 2.5m以下 |
全高 | 2m以下 | 3.8m以下 | 3.8m以下 |
最大積載量 | 3トン以内 | 6.5トン以内 | 6.5トン以上 |
車両総重量 | 5トン以内 | 5トン以上、11トン未満 | 11トン以上 |
まとめ
記事では、冷蔵冷凍車の特徴や種類・メーカー別の人気車種をご紹介しました。冷凍車が必要となる会社や業種は絞られるかと思いますが、自社にあった車種を選び、負担の少ないドライバー体験を得られるよう、車種選びは慎重におこないましょう。
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- 冷凍車とは、トラックの荷室に冷凍機が装備されているトラックのこと
- 冷凍車には、「機械式冷凍車」「液体窒素式冷凍車」「蓄冷式冷凍車」がある
- 新車の購入に負担を感じる方には、中古の冷凍車の購入がおすすめ