ダンプナンバーとは?種類や対象車両、申請から罰則まで解説
道路や工事現場などで活躍するダンプや大型トラック。これらの車体側面や後方に数字と文字が書かれているのを目にしたことはありませんか?この文字はは、遠くから見てもわかるほど大きく表記されています。一見、ナンバープレートにも思えますが、ナンバープレートとは明らかに違う数字や文字のため、何を意味するのか気になっている人も多いのではないでしょうか。
このプレートに記載されている文字や番号は、ダンプや大型トラックを使って仕事をするうえでとても重要で、かつ運搬業にとってなくてはならないのです。この記事では、ダンプナンバーとは一体なにを意味するものなのか?その種類や対象車、申請の方法から罰則など詳しく解説していきます。
ダンプナンバーとは、ダンプ表示番号のこと
ダンプナンバーの正式名称は「ダンプ表示番号」といいます。公道を走る車に必ず付いているナンバープレートと混同されることがありますが、これとはまったくの別物です。
ダンプナンバーは「土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法」で表示が義務付けられています。
この法律は、ダンプ法やダンプ規制法とも呼ばれていますが、全てのダンプにダンプナンバーの表示が義務付けられているのではありません。あくまで土砂を運ぶダンプや大型トラックなどに限ってのものとなります。
ダンプナンバーがついた車両が運搬を担う土砂は全11種類
これら土砂を運搬するためには、目的に応じたダンプナンバーが必要となります。
ダンプナンバーがついた車両が運搬を担う土砂は下記のとおりです。
・土
・砂利(砂、玉石を含む)
・砕石
・砂利または砕石をアスファルトやセメントにより安定処理した物
・鉱さい
・廃鉱および石炭がら
・コンクリート
・煉瓦
・モルタル
・しっくいその他これらに類する物の屑
・砂利状または砕石状の石灰石やけい砂
土砂といっても細かく分類するとこれだけの数にのぼります。
荷台にかかれている地名や数字の意味、表示方法
土砂を運ぶために欠かせないダンプナンバーですが、記載された漢字や数字にはそれぞれ意味があります。
表示方法は一律で「千葉 営 123」「神戸 他 1234」という順番になっています。千葉や神戸などの地名は、登録している陸運局の地名である頭の2文字「千葉」は「千葉」ですが「なにわ」は「なに」という表記なっています。
また○で囲まれた「営」や「販」という文字は業種を表していて、それぞれの意味は下記のとおりです。
・営:運送業
・販:砂利販売業
・採:砂利採取業
・建:建設業
・砕:砕石業
・石:採石業
・他:産業廃棄物・生コン製造業など
このように、細かく業種別に分けることで、何をどのような目的で運搬しているのか一目でわかるようになっています。そして、最後の数字は陸運局へ申請した際、発行される番号です。
対象となる車両
ダンプナンバーをつける車は、すべてのダンプやトラックではなく、一定の基準が設けられています。この基準に準ずる運搬車は、必ずトラックナンバーをつけなければなりません。
それでは、対象となる車両の条件を挙げていきます。
・最大積載量が5000kg超の車両
・車両総重量が8000kg超の車両
この条件が合っているダンプやトラックには、ダンプナンバーが必要です。これらは車検証に記載されているため、自分が登録しようとしている車の積載量や総重量を、カタログや車検証から確認することができます。
白ナンバーと緑ナンバーの違いは自家用と営業用
ダンプやトラックには、ナンバープレートの色が白と緑に分かれていることがありますが、この色の違いを把握しておかなければ違反行為となる恐れがあります。
この2種類の色にはどのような違いがあるのでしょうか?
これから2つの違いを説明します。
緑ナンバーと白ナンバーの違い
緑ナンバーと白ナンバーは事業用車と自家用車という点の他にも、下記のような違いがあります。
運搬する物 | 税金
もしくは2年自家用の場合) |
||
緑ナンバー | 白ナンバー | 緑ナンバー | 白ナンバー |
他人の物(有償) | 自分(自社)の物(無償) | 自動車税: 9,000円〜29,500円(年間) 10,400円〜41,600円(年間) |
自動車税: 11,500円〜40,500円(年間) 13,200円〜65,600円(年間) |
緑ナンバーの重要性とは?
緑ナンバーのついた車は一般的に事業用自動車と呼ばれます。緑ナンバーは、法律で「一般貨物自動車運送事業」といい、貨物自動車運送事業法第2条では下記のように定められているのです。
・「一般貨物自動車運送事業」とは、他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して貨物を運送する事業であって、特定貨物自動車運送事業以外のものをいう
簡単にいえば、他人や他物を運んで収益が発生する仕事をするため必要なナンバープレートということです。緑ナンバーに対して、白ナンバーは他物や他人を運んで収益を得る行為は法律で禁じられています。
結論として、白ナンバーのダンプやトラックで許可されるのは、自社の物を運ぶことのみであり、土砂やコンクリートを自己所有にするために運搬するのであれば、白ナンバーの車でも大丈夫ということになります。
産業廃棄物収集運搬業との兼ね合いは?
ダンプやトラックを使って運ぶ物に産業廃棄物があります。産業廃棄物を運ぶ仕事をするためには、産業廃棄物収集運搬業の申請が必須です。この申請をおこなえば産業廃棄物の運搬ができるようになります。
産業廃棄物とは、事業で出た燃え殻や汚泥、廃油など政令で定める廃棄物のことです。
「産業廃棄物=ゴミ」と、認識している人もなかにはいますが、産業廃棄物は適正な業者が法律に基づき運搬、処理をしなければなりません。収益が発生する場合は、産業廃棄物や家庭のゴミであっても緑ナンバーの付けられたトラックやダンプでの運搬が必須です。
申請方法・流れ・メリット・罰則
ダンプナンバーや緑ナンバーを取得せずに収益を得ることは法律違反となります。前述にもあるように土やコンクリートなどの土砂から産業廃棄物まで事業をおこなうためには、それぞれのナンバーを取得しなければなりません。
それでは、ダンプナンバーの申請方法や手続きの流れをはじめ、申請するメリットや申請していない状態で事業をおこなった場合の罰則について見ていきます。
申請方法と手続きの流れ
はじめに登録前に陸運局の企画輸送・監査部門で下記書類の確認のうえ、表示番号の指定を受けます。その際、必要となる書類は下記のとおりです。
・土砂等大型自動車使用届出書(甲)(押印省略可)
・土砂等大型自動車使用届出書(乙)(押印省略可
・土砂等大型自動車使用廃止届出書(押印省略可)
(他の事業者から車両を譲り受け、すでに表示番号が付いている場合のみ提出します。 県外へ転出する場合、廃止届出は登録をおこなう陸運支局での提出が可能です。)
・自動車検査証
・自重計技術基準適合証
・経営する事業を証明する書類
経営する事業形態により証明する書類は違います。
それぞれの必要書類はこちらになりますのでご確認ください。
業種 | ダンプナンバー表示文字 | 申請に必要な書類 |
運送業 | 営 | なし (増車の場合、貨物自動車運送事業法に基づき増車届出が必要) |
砂利販売業 | 販 | 砂利の山元もしくは買い主との売買契約書、 仮契約書の写し、商工会議所、市 町村などによる事業内容証明書や納税証明書 |
砂利採取業 | 採 | 砂利採取法による登録の写し |
建設業 | 建 | |
砕石業 | 砕 | 大気汚染防止法による粉じん発生施設の設置などの届出書の写し、 砕石の設備に係る登記簿謄本 |
採石業 | 石 | 採石法による登録の写し |
その他(産業廃棄物・生コン製造業など) | 他 | 産業廃棄物処理法による許可証の写し、
|
これらの書類をすべて揃えてもよりの陸運局へ提出します。書類不備がなければ表示番号の指定を受けることが可能となります。
表示番号を受けたあと、ステッカーを作成します。ステッカーのサイズは、字の高さ200mm、文字と数字の幅150mm、記号の幅200mm、文字と記号の太さ15mm、数字の太さ30mmと細かく決められています。自分でペンキなどを使って文字を記載しますが、外注で作成してもらうことも可能です。
ダンプナンバーと緑ナンバーの両方をつけたときのメリット
ダンプナンバーは、土砂を有償で運搬する場合に必要です。また、緑ナンバーを申請すれば営業用をして車を使うことができます。事業を展開するうえで、どちらも必須のナンバーです。
それでは、ダンプナンバーと緑ナンバーの両方をつけるとどのようなメリットがあるのか挙げていきます。
社会的信用が得られる
収益が発生するのであれば、ダンプや大型トラックにダンプナンバーを付けることが義務となっています。なかには、ダンプナンバーがついていれば緑ナンバーは不要と考える人もいます。しかし、緑ナンバーがついていない車両で相手先への信用は得られません。それどころか白ナンバーで仕事をして収益を得れば、刑罰に科せられるのです。
福利厚生が充実する
緑ナンバーを取得するためには「社会保険や労働保険への加入」が必須となります。社会保険や労働保険に加入することで福利厚生は充実するため、従業員にとって安心して働ける環境が保障され、人材確保にも有効的です。
融資を受けやすくなる
緑ナンバーを取得するためには、いくつかの条件と手間のかかる手続きが必要です。緑ナンバーを取得すれば、事業者の信用度は上がります。結果、金融機関からの信用も上がり融資を受けやすくなるなるのです。
白ナンバーが利益を得るとどのような刑罰に科せられる?
白ナンバーの車両で仕事をして利益を得ることは法律違反です。仮に、白ナンバーで仕事をおこなった場合、貨物自動車運送事業法違反となります。
・3年以下の懲役または300万円以下の罰金
上記のような重罰が科せられますが、悪質とみなされると罰金ではなく懲役刑に科せられる恐れもあります。懲役刑に科せられだ場合、懲役終了後5年経過しなければ、緑ナンバーの新規許可申請をおこなうことはできません。
まとめ
今回は、ダンプナンバーの概要や種類、対象車両から申請について解説してきました。
ダンプナンバーは仕事で土砂や産業廃棄物を運搬するために必須です。ダンプナンバーを取得するためには、最寄りの陸運局で申請をしなければなりません。また、ダンプナンバーを申請したからといって白ナンバーで仕事をするのは法律違反となり、刑罰に科せられます。
ダンプや大型トラックを使って運搬業を展開する場合には、ダンプナンバーと緑ナンバーの申請をおこないましょう。
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- ダンプナンバーの正式名称はダンプ表示番号
- ダンプナンバーは土砂を運搬するために必要
- ダンプナンバーの対象は最大積載量が5000kg超の車両または車両総重量が8000kg超の車両
- ダンプナンバーの申請は最寄りの陸運局でおこなう
- 事業としてダンプや大型トラックを使用する場合はダンプナンバーと緑ナンバーの申請も