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トラックの荷台に関わるルールまとめ!はみ出しや人を載せるのは違反なのか?

トラックの荷台に関わるルールまとめ
トラックの荷台にはたくさんの種類があります。代表的なものを挙げるだけでも、平ボディにバン、ウイングとさまざまです。しかし、どのメーカーがどんな荷台形状を扱っているのかは、意外と知らない人も多いのではないでしょうか。また、荷台から荷物をはみ出してしまっている場合、どこまでが許される範囲なのか、許可がいるのかも知っておく必要があります。今回は、トラックの代表的な5つの形状と特徴、メーカーごとのラインナップ、トラックの荷台に関わるルーツについてお話します。

筆者・太田さん

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整備士として現場で働いている現役整備士ライターです。
所有資格は整備士3級。

現役で働いているという強みを活かし、読みやすく読者の疑問を解決できるような記事になるよう心がけています。

トラックの荷台部分の種類と特徴

トラックの荷台部分の種類と特徴
トラックの荷台部分には、特装車を除いても10種類以上のタイプがあります。
それぞれに特徴や、得手不得手、弱点があり、これから使いたい事業によって導入する荷台も変わってくるでしょう。

そこで、ここでは特によく使われるトラックの荷台の種類を、特徴とあわせてご紹介します。

平ボディ

平ボディについて
トラックの荷台で、一番古い歴史を持っているのが「平ボディ」と呼ばれるものです。
周囲を「アオリ」と呼ばれる、金属製の板で囲った、天井のない荷台をしています。
軽トラックの荷台部分をイメージしてもらえればわかるでしょう。

天井がないため、いろいろな荷物を載せることができ、汎用性が高いのが特徴です。
また、その特徴から、さまざまな業種で使われるトラックでもあるため、小型から大型まで、ほぼ全車種でラインナップされています。

優秀な平ボディですが、その反面、ついつい過積載になってしまいがちなのは要注意です。
加えて、天井がないため、悪天候で走る場合には幌やトラックシートが必要になります。

アルミバン

アルミバンについて
トラックのキャブの後ろに、アルミ製の箱がついているものを、「アルミバン」、もしくは「バン」と呼びます。
平ボディと違って、四方の壁と天井がついており、荷物の高さ制限があるものの、悪天候に強いメリットがあります。
運送会社で多く導入されているのはこのタイプなので、「トラック」と言われてすぐ思い出す形がアルミバンという人も少なくありません。

アルミバンには、普通の箱だけが載ったものと、冷蔵・冷凍機がついた保温機能のあるバンの2種類があります。
見た目は同じですが、冷蔵・冷凍機がついたアルミバンのほうが車両総重量は重いので注意しましょう。

また、箱部分の背がキャビンより高い場合もあります。
高さ制限のある道路や、地下へ入り込むことが多い場合には、箱の高さに注意が必要です。

ウイング

ウイングについて
アルミバンとよく似た形状で、箱の上部分が油圧シリンダで開閉するのが「ウイング」、または「ウイングバン」と呼ばれる荷台です。
アルミバンより背が高いため、大きめの荷物も積み込むことができます。
また、ウイングを開けば、フォークリフトでも手積みでも荷物を載せることができます。
荷物の積み下ろしが楽になるという点がウイングの最も大きな特徴です。

動力は電気と油圧で、最大で約90度開くことができます。
ウイングは、見た目に反して車両総重量がアルミバンと大差ありません。

その理由は、ウイング部分がアルミでできているからです。

しかし、ウイングが高く上がる分、開閉するためのスペースと高さが必要になります。
また、通常ウイングが開いているとエンジンがかからないようになっているので、その機能がきちんと機能しているかの確認は必須です。

ダンプ

ダンプについて
「ダンプ」といえば、大型の10トンベースのものをイメージする人も多いでしょうが、中型・小型のダンプもあります。
また、「3転ダンプ」と呼ばれる、後ろと左右にダンプを傾けることができる、少し変わったものも存在しているのです。

砂利や砂、産業廃棄物など、決まった形がないものや、嵩(かさ)のあるものの積載と排出を得意としています。
そのためか、ダンプは砂で汚れていることが多いのも特徴です。
ダンプの上げ下げは、ウイングと同じく油圧ですが、ウイングよりも大きいシリンダ1本で上げ下げをします。

活躍する現場にもよりますが、砂などが多い場所で使われるダンプは、シリンダに砂が噛み込んで油漏れを起こすことがあります。
もし、油漏れをそのままにしていると、ダンプの上げ下げができなくなったり、最悪の場合、ダンプの落下事故が起きたりするので注意が必要です。

クレーン

クレーン付きについて
「クレーン」といっても、トラックのクレーンとは、キャブの後ろに小型のクレーンがついたもののことです。
1台まるまるクレーンの機能を持ったものは「ラフタークレーン」といい、これとは別物になります。

トラックのサイズにもよりますが、吊り上げたものを荷台に載せて、そのまま運ぶことができます。
吊り上げ重量はクレーンのメーカーごとに異なりますが、トラックに装着するものであれば、約3トン吊が限界のものがほとんどです。

1台あると、荷積みから運搬まで幅広く活躍してくれるトラックですが、点検の際は要注意です。
クレーンには「年次点検」という、車で言うところの車検のような制度が義務付けられています。
そのため、ほかのトラックに比べてクレーンの点検費用の分、維持費が高くなってしまうのです。

荷台ごとのトラックのラインナップ

荷台ごとのトラックのラインナップ
日本には、現在4つのトラックメーカーがあります。
いずれも、小型から大型まで製造販売をしていますが、荷台のラインナップは各メーカー、各車両で少しずつ違うのです。
ここでは、各メーカーの車種ごとの荷台ラインナップと、各社の特徴についてお話します。

※この情報は各HPから引用した内容となっています。
メーカーによっては取り扱っていない種類のトラックもありますが、そのような場合、架装を行い不足しているラインナップを補っている場合もあるようです。
もしこの表にないのであれば、一度ディーラーへ問い合わせてみましょう。

日野のラインナップ

日本のトラック業界でシェア1位の日野自動車のトラックは、小さい順にデュトロ、レンジャー、プロフィアの3台です。
荷台のラインナップは次にあげるとおりです。

デュトロ(2トン) レンジャー(4トン) プロフィア(10トン)
カーゴ
アルミバン
ウイング
アルミブロック
強化木製平ボディ
クレーン
リフト付きバン
ダンプ
冷蔵・冷凍バン
ミキサー
セーフティローダー
カーゴ
アルミバン
ウイング
アルミブロック
強化木製平ボディ
ダンプ
冷蔵・冷凍バン
ミキサー
カーゴ
ウイング
トラクター
ダンプ
ミキサー

日野の大きな特徴として、高い耐久力と安定した走りがあります。2トントラックであるデュトロに力を入れていることがわかります。
最近では、リリー・フランキーさん出演のCMでも有名になってきました。

これのおかげで、どの車種でも幅広いラインナップができるようになっているのです。

いすゞラインナップ

国内シェア2位のいすゞ自動車も、幅広いラインナップでトラックを取り揃えています。
トラックは小さい順に、エルフ、フォワード、ギガの3車種。
昔、10トントラックのギガには「ギガマックス」という別の車種もありましたが、すでに製造を終了しているため、ここでは割愛します。

エルフ(2トン) フォワード(4トン) ギガ(10トン)
平ボディ
ダンプ
アルミバン
冷蔵・冷凍バン
ダブルキャブ
木製平ボディ
アルミブロック
クレーン
アルミバン
冷蔵・冷凍バン
ダンプ
セーフティローダー
平ボディ
アルミバン
トラクター
ダンプ
ミキサー

三菱ふそうラインナップバランスよく荷台のラインナップを構えています。
いすゞのトラックは、エンジン性能の良さから、さまざまな場面で活躍することが多いです。
特に小型であるエルフは、佐川急便をはじめとする、大手運送会社でもメインで導入されている実績を持っています。

三菱ふそうのトラックのラインナップは、キャンター、ファイター、スーパーグレートの3種類です。
ディーゼル・エンジン自動車整備士のテキストにも採用されるなど、その性能は高く評価されています。

キャンター(2トン) ファイター(4トン) スーパーグレート
(10トン)
カーゴ
平ボディ
アルミバン
ウイング
冷蔵・冷凍バン
ダンプ
セーフティローダー
カーゴ
アルミバン
ウイング
ダンプ
ミキサー
カーゴ
ダンプ
ミキサー
ウイング
トラクター

バスも強みとしている三菱ふそうは、どのトラックも力強く走ることができます。
ラインナップも全車種安定して数があり、目的と用途に合ったサイズのトラックと荷台形状の組み合わせを選びやすいのも特徴と言えるでしょう。

UDトラックスのラインナップ

UDトラックスのトラックのラインナップは、4トンのコンドル、10トンのクオンと、2トンのカゼットがあります。
しかし、カゼットだけは、三菱ふそうの2トントラック、キャンターのOEMで荷台ラインナップもほぼ同じなので、ここでは割愛します。

コンドル(4トン) クオン(10トン)
アルミバン
冷蔵・冷凍バン
クレーン
カーゴ
アルミブロック
ウイング
アルミバン
カーゴ
アルミブロック
タンクローリー
ダンプ
ミキサー
トラクター
除雪車

大型トラックに強みを持つUDトラックスは、10トントラックであるクオンを軸にラインナップが豊富です。
車体が重い反面、パワーがあるため、荷物の種類や量に左右されずに稼働しやすいのもUDトラックスの特徴なのです。

トラックの荷台に関する注意事項

トラックの荷台に関する注意事項
さまざまな種類のあるトラックの荷台ですが、注意しなければならないこともいくつかあります。
過積載や運転できる免許のことももちろんですが、荷台から物がはみ出ている状態は違法なのかどうかについて、今回は取り上げます。
意外なポイントかもしれませんが、違反した場合、罰則は避けられません。
しかし、場合によっては、例外や特例も存在するので、ぜひ覚えておきましょう。

積み込める物の大きさには制限がある

積み込める物の大きさには制限がある
積み込める荷物の大きさには制限があります。
これは、トラックの大きさとは関係なく、すべてのサイズ、すべての荷台形状で共通のルールです。

道路交通法によれば、そのルールとは、「荷物の長さは自動車全長の10%分、高さが地面から3.8m未満であること」とされています。
この大きさに違反した場合は、道路交通法違反となり、免許点数1点の加点、100万円以下の罰金に処せられます。

このルールで特に気をつけなければならないのが、平ボディとダンプの2つです。
この2つの荷台は天井がないため、積もうと思えばどれだけでも荷物を積むことができます。
しかし、3.8m未満と定められている高さを超えると、いかに青天井の平ボディとダンプでも罰則の対象となるのです。
ちなみに、この3.8mは車両の高さ制限の範囲でもあります。

1度違反をして罰則を受けたにもかかわらず、繰り返し荷台から積み荷がはみ出している場合、懲役刑もありえます。
大きなものを運ぶ際は、ゆとりを持った大きなトラックを使うなどの注意が必要です。

警察に届け出れば許可をもらえることも

ただし、積み荷が法律で定められた大きさを超えることが事前にわかっている場合、許可をもらえれば違反にはなりません。
許可をもらいに行く場所は、所轄の警察署です。

許可が下りると、「制限外積載申請」の許可証がもらえるので、それをトラックの運転席などに設置します。
それに加えて、はみ出す分の荷物には、赤色の布を取れないように取り付けなければなりません。
申請と規定サイズの赤い布があって初めて、制限以上の大きさの荷物を積んでいても公道を走れるようになるのです。

この時、許可証不携帯や目印となる赤い布がないといけません。
うっかり忘れてしまうと、許可を得ていても無許可と同じ扱いになってしまうので注意が必要です。

背の高い鉄板の溶接はNG

荷台に鉄板を溶接しているトラックがいくつかありますが、補強や修理目的であれば、これは違法ではありません。
アオリは金属製ですが、サビでの劣化や事故での破損など、壊れてしまった場合の修理としてはオーソドックスなやり方です。

しかし、平ボディやダンプのアオリの高さ以上の鉄板を溶接するのはNGです。
トラックを含む自動車には、「最大積載量」という、積載に関する制限があります。
積載量は、鉄板を溶接することで増やすことができますが、無許可であれば、違法改造車となってしまうのです。

また、鉄板溶接によって、車両総重量も少しではありますが変わることもあります。
これも、無許可のままでいると、車検に通らない違法改造車と判定されてしまいます。
もしどうしても鉄板を溶接して積載量を増やしたい場合は、必ず「構造変更検査」を受けて、車検証を新しくしておきましょう。

荷台に人を載せて公道は走れない

一昔前は、田舎道で軽トラックの荷台に人を載せて走っている風景をよく目にしました。
しかし、本来これは違法で、人が乗ることができるのは座席のみと法律で定められています。
古き良き時代、といえばそれまでですが、本当はだめです。

しかし、これには例外があります。
それは、積んでいる荷物を監視する人なら、必要最低限の人数のみ許可するというものです。
もちろん、長距離では危ないため禁止ですが、近距離であれば許可が下りる場合もあります。
申請は、荷物のはみ出しと同じく、所轄の警察署で事前にしておきましょう。

アルミバンやウイングなど、外から見えないトラックは、バレないから大丈夫だろうと思ってしまいます。
しかし荷台には、シートベルトやエアバッグなどの安全装置がないため、万が一荷崩れなどに巻き込まれる可能性があり危険です。
そのため、荷台は荷物だけを積むという基本的なルールはしっかりと守りましょう。

荷台に人を載せる場合の許可

例外についてもう少しお話をします。

所轄の警察署で、書類を出し、許可証をもらうところまでは同じです。
しかし、もらう書類が「荷台乗車許可申請」と種類が違う点だけ注意が必要です。
この申請が降りれば、荷台に人を載せたままトラックを走らせることができます。

多くの場合、積み荷の見守り役として乗車することは多いようです。
しかし、普通に考えて5人も10人も見守り役は必要ないはず。
道路交通法でも「必要最低限の人数」と書かれているため、人数はあいまいですが、1〜2人が一般的です。

また、荷台に乗るということは、その分落下や荷崩れによる事故に遭う可能性も高くなります。
可能であれば、ヘルメットの着用や、落下防止のベルトを装着するなど、荷台に乗る人の安全に最大限配慮しましょう。

まとめ

トラックの荷台形状とメーカーごとのラインナップ、荷台の荷物制限や人を載せる場合の注意点と許可についてお話しました。
トラックの荷台はいろいろなものが載せられます。
その反面、ルールをきちんと守っておかないと、罰則の対象になったり、思わぬ事故につながったりすることもあります。
十分に注意し、決められたとおりの対処を心がけるようにしましょう。

  • 荷台の種類は10種類以上あり、メーカー・車種ごとにラインナップが異なる
  • 荷台の大きさを超える荷物を運ぶときは許可がいり、目印をつけなければならない
  • 荷台に人を載せる場合も許可が必要で、昔の感覚ではいけない
  • どちらの場合も事故につながらないような配慮は絶対必要

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