トラックのアオリ大図鑑!種類やメンテナンスから費用まで徹底解説!
トラックの荷台部分を平ボディにすると、「アオリ」と呼ばれる枠組みが組まれていますよね。実は平ボディのトラックはさまざまな荷物を積み込めることで人気があり、昔から形状はあまり変わっていないのです。しかし、使い方を間違えたり年数を重ねていくとあちこちに異常が出てきます。また、よかれと思ってやったメンテナンスが裏目に出て、逆にアオリの寿命を縮めてしまうこともあるのです。今回はそんな人気が高い平ボディを支えるアオリの種類や特徴などについて徹底解説していきます。
アオリの種類と特徴
ひと口に「アオリ」といってもその種類はさまざまです。
材質や見た目の形によって適した役割や名称が変わってきます。
アオリには大きく4種類が存在し、それぞれに得意不得意や注意点があります。
ではどんな特徴があるのでしょうか。
材質ごとにわけてご紹介しましょう。
鋼製アオリ
ディーラーでオプションを設定しないまま平ボディトラックを発注した場合、手に入るのが鋼製アオリです。
標準装備のもので、非常に重たく、開閉には慣れるまで一苦労する人もいるでしょう。
ただ、その頑丈さから鉄製品のような硬くて重いものを運ぶのに適しています。
ダンプトラックの枠組み部分にも採用されているほど頑丈な鋼製アオリですが、弱点もあります。
それは、ほかのアオリよりもサビやすいことです。
小さな傷であってもそこから水が侵入することでサビてしまいます。
そのためもし傷がついたら、傷隠しなどで塗装を施すといいでしょう。
また防錆スプレーもある程度の効果が見込めるので、こまめに吹き付けることをオススメします。
アルミ製アオリ
アオリの中で、一番の人気を誇っているのがアルミ製アオリです。
新車購入時の車両形状でも、「アルミブロック」という名前で、別枠が設けられています。
鋼製アオリよりも傷がつきやすいものの、簡単にはサビないため場所を問わず広く利用できます。
また、材質がアルミなので非常に軽く、女性でも簡単に開閉できます。
見た目のかっこよさも人気のポイントのひとつ。
ただし、衝撃には比較的弱いため、重い積載物はあまり向いていません。
ステンレス製アオリ
アルミ製アオリとよく似たものに、ステンレス製アオリがあります。
性能はアルミ製アオリとほぼ同等で、メリット・デメリットともに共通している部分が多くあります。
大きな違いとしては、サビに対する耐性が高いことです。
ステンレス製アオリは鋼製、アルミ製よりもサビにくい材質なのは、キッチンのシンクにも使われていることから分かるでしょう。
海沿いなどの潮風に当たる地域では大活躍するステンレス製アオリですが、その反面、傷には一番弱いため、タッチアップなどで傷を埋めるなどの対策は必須です。
木製アオリ
あまり目にしませんが、木製のアオリを搭載した平ボディトラックもあります。
金属製に比べ弱いイメージを持つ木製アオリですが、ほかの材質に比べて柔軟性があるため、壊れやすいデリケートな荷物を運ぶ際には一番適しています。
また、木製は金属系アオリに比べて摩擦が高いという特徴があります。
これにより、金属製品を載せていても滑りにくく、安定して荷物を運ぶことが可能なのです。
もちろん、木製なのでサビることはありません。
アオリは載せ替えができる!
実はアオリ部分はまるごと載せ替えることが可能です。
これは、新車購入時だけではなく、中古車で購入した場合も同様です。
ただし、作業は板金扱いのため、載せ替えるには板金屋さんに依頼しなければなりません。
アオリを載せ替えるメリットは、
・最大積載量を変えられる
・劣化が激しいアオリを新品にできる
・軽い素材を使用すれば車両総重量を増やさず積載量を増やすことができる
こういった点が挙げられます。
最大積載量は、枠組みの「長さX高さX横幅」この計算方式で算出されることが法律で決まっています。
そのため、背の高いアオリ板を使えば、最大積載量を増やすことが可能なのです。
また、最初についていたアオリよりも軽い素材を使えば、車両総重量を増やさずに積載量だけの変更も可能です。
劣化が激しい場合は、新品のアオリに変えることで強度を維持できます。
ただし、アオリの形状を変更し最大積載量が変わる場合、「構造変更検査」を受けなければならないため注意しましょう。
アオリの異常と対処法
非常に便利で、どんなシーンでも活躍してくれるアオリですが、実は消耗品扱いとなります。
なぜ消耗品なのかというと開閉動作が基本であることと、中に物を載せているためにぶつかったりするからです。
また、経年劣化やメンテナンス不足などの理由で、アオリもどこかしら不調が出てくるようになります。
とはいえ、異常といってもその内容や原因、対処法はさまざまです。
そこで、アオリの代表的な異常と原因、対処法についてご紹介します。
アオリにサビが出る
木製アオリ以外に発生する異常としてサビが挙げられます。
サビは荷物の積み下ろしや、載せた荷物と擦れて傷ができることで発生しやすくなります。
一般的にサビにくいとされるアルミやステンレスであっても例外ではありません。
金属製のアオリを選択した時点で、サビとは付き合っていかないといけないことを覚えておきましょう。
対処法としては
・傷をタッチアップで隠す
・防錆スプレーを吹きかける
などがあります。
このとき、サビた部分をやすりで削っておくと侵食を防ぐ効果が上がるためオススメです。
アオリが閉まらない
無理な荷締めや重量物の積み下ろしの際に、アオリがゆがんでしまい閉まりにくくなってしまうことがあります。
荷締めは荷物がずれないようにするために必要なのですが、いかに金属であっても無理な力が加わると曲がってしまいます。
木製アオリであれば、最悪の場合折れてしまうため注意しましょう。
つまり
・荷物がずれない程度の力加減で荷締めする
・重量物の積み下ろしではアオリに接触しない
このような取り扱いを行うとアオリの寿命を延ばすことができます。
また、別の原因として、アオリを固定するハンドルとその受けがゆがんでいたり、丁番が劣化していたりしても同様の症状が出ます。
アオリが閉まらないとなると、材質が木製でも基本は板金修理です。
いくつかの板金屋さんで見積もりを取り修理を行いましょう。
アオリが重たい、きしむ
アオリが重たく感じたり、きしんだりする場合は丁番の劣化が原因です。
丁番は、一般的なドアをイメージしてもらえばわかると思いますが、ドアの開閉に必要なアイテムです。
このアイテムがサビていたり、何らかの理由で曲がっていたりすると重たく感じたり、きしむといった症状が出てきます。
応急処置として、潤滑スプレーを吹きかけて数回開閉しておけば症状がマシになることもあります。
しかし、あくまで応急処置でしかないため、明らかに重たい、きしむ音が強い場合は交換をオススメします。
もしそのまま放置して使い続けると、最悪の場合アオリが落下して大きな事故につながるため十分な注意が必要です。
こちらも板金修理なので、一度見積もりを出してもらうといいでしょう。
アオリは日ごろのメンテナスが重要
アオリは日ごろのメンテナンスで長く、快適に使用することができます。
材質や形状によってメンテナンス内容が異なる部分もありますが、基本的には同じことも多いです。
すぐにできるものとしては、カバーをかけることです。
荷物を覆うようなもので構いません。
カバーは常時広げておくと、ある程度の雨を防ぐことができます。
また、大きな傷を隠したり、防錆スプレーを塗ったり、潤滑スプレーを丁番に吹き付けたりと効果が期待できるものはたくさんあります。
これらの処置をしておくことで、アオリを載せ替えるような大きな工事の回数を減らし、アオリの寿命を延ばすことができるのです。
日ごろからメンテナンスをしておけば、わずかな不調にも気がつきやすくなります。
大切な商売道具でもあるので、こまめにメンテナンスをするようにしましょう。
アオリの修理費用
アオリは消耗部品です。
そうそう交換することはないでしょうが、それを支える丁番やロックレバーは交換がいるでしょう。
どちらにせよアオリ部分の修理は、板金修理となります。
消耗部品の交換だけで済めば、金額はそう高くはなりません。
しかし、アオリそのものが曲がってしまっていたり、割れや折れが発生していたりすると、交換が必要になってくるのです。
交換はアオリ板と、場合によってはレバーや丁番もあわせて交換する場合がほとんどです。
どの程度直すかにもよりますが、比較的簡単な修理でも10万円を超えることもあるので、修理前の見積もりは必須といえるでしょう。
作業効率をあげるアイテム一覧
アオリは、材質にもよりますが基本的には重たいもので、開閉作業には一苦労します。
また、車体が10トントラックベースになっていれば、アオリ1枚当たりの大きさも大きくなり、枚数も増えます。
これを全部自分で開閉するとなると、かなりの重労働です。
しかし、アオリの開閉作業を補助する器具が最近では普及しており、女性でも簡単に作業ができるようになりました。
これにより、急なアオリの落下リスクが少なくなり、アオリの破損はもちろん、けがのリスクも減少しています。
ここでは、アオリの開閉作業を支えるアイテムを3つ紹介していきます。
セイコーラック
アオリの開閉補助装置として一番オーソドックスなものでセイコーラックが挙げられます。
ついていない車両はほとんど見ません。
ばねの力を利用して開閉を補助するため、女性でも簡単にアオリの開閉ができるようになる特徴があります。
SRU型とSRN型の2つがあり、大型車ならSRU型、中・小型車、低床ならSRN型がオススメです。
開閉補助の能力が違うため、車の大きさに合ったものを選びましょう。
また、セイコーラックは、アオリ板の大きさでも取り付けるサイズが変わってくるので注意が必要です。
値段は2万円前後で、トラック用品のお店などで購入することもできます。
アオリバランサー
セイコーラックと同じようなものに、アオリバランサーという補助器具もあります。
新車購入時でもついていることが増えたアイテムで、後付けももちろん可能です。
圧縮スプリングの力で開閉が楽にできるので、アオリを重たく感じた時につけるのもいいでしょう。
トラックのサイズに合わせてバリエーションもあるので、使用するトラックのサイズに合ったものを使ってください。
ただし、セイコーラックと違い寿命が短く、その耐用年数は10年と言われています。
不調が出始める時期を逆算すると、7~8年間隔での交換が最適でしょう。
スーパースケットマックス
主に大型トラックのアオリ下部についており、片手でアオリ開閉ができるようになるほど軽くしてくれるアイテムです。
もちろん1つではなく、1枚につき2~3個ついている場合の話です。
ボルト止めしているだけなので、取り付けの穴を加工できるのであれば誰でも取り付けできます。
この特徴は、セイコーラックとアオリバランサーでも同じことが言えます。
ただ、アオリを塗装していると、これらの部品が逆に目立ってしまうことも。
構造はどれもばねを使っているので、塗装しても問題ありません。
気になるようであれば、カラースプレーなどで同じ色に塗装してしまいましょう。
まとめ
トラックのアオリと種類や特徴、メンテナンス方法と補助器具についてお話ししました。
アオリが付いている平ボディトラックは、さまざまなシーンで活躍してくれるため、どんな事業でも活躍間違いなしです。
1事業に1台持っていて損はないでしょう。
しかし、車検などの法定点検では、点検項目から外れてしまっているので、日常のメンテナンスは自分ですることになります。
怠っていれば、思わぬ事故やけがにつながる可能性もあります。
載せ替えるにしても決して安いものではないので、日ごろからのメンテナンスの徹底が大切です。
アオリと長く付き合うためにも、こまめな確認や処置をして、事業の主力として活躍できるようにしましょう。
-
- アオリは一番人気の形状で、鋼・アルミ・ステンレス・木の3種類がある
- アオリは長年使用することでさまざまなトラブルが発生する
- アオリが壊れた場合の修理費用は車両によって幅が広く、簡単な修理でも10万円前後することも
- 補助器具を使用すれば開閉が楽
- アオリは載せ替えることができる