トラックにボディタイプの種類が存在する理由とは?共通シャーシがポイント!
「同モデルに何故さまざまなボディタイプが存在するの?」と感じる方も少なくないようですが、ボディタイプが異なってもシャーシに搭載されるキャビン・エンジン・トランスミッションなどは共通しています。トラックの重要パーツであるシャーシについて掘り下げながら紹介します。
同じトラックのなかにさまざまなボディタイプが存在するトラック
トラックのステレオ・イメージとして荷台を露出した平ボディを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?しかしトラックは荷台部分に搭載する機能や架装する荷室などの形状でさまざまなボディタイプに分類されます。
目にする機会が多い主なボディタイプだけでも、次に挙げる8つのボディタイプのトラックが存在しさまざまなフィールドで活用されています。
・平ボディ
・ダンプ
・冷凍冷蔵車
・ローダー
・塵芥車
・ミキサー車
・高所作業車
・トレーラー
トラックの使用用途に合わせたボディタイプが存在する理由とは?
最も歴史あるオーソドックスなボディタイプは多くの方のイメージどおり平ボディで、荷台が露出した構造の平ボディは積み荷の形状にとらわれず積載できる汎用性の高さが評価されています。
しかし積み荷が風雨の影響を受けやすいことや荷崩れによる積み荷の落下や飛散リスクが存在するのも事実で、運送業務に対してより高い輸送品質が求められ始めると共に荷室を架装したアルミボディやウイングボディなどへのニーズが高まる傾向にあります。
また液体・粉体・粒体の積み荷の輸送に特化したボディタイプや積み荷部分に特殊機能を搭載した特殊車両なども存在し、トラックのボディタイプ・バリエーションを豊富にしていますが、特殊車両のベース車両には一般的なトラックが用いられています。
異なるボディタイプの共通部分はシャーシ!シャーシが車種を決定する?
一般的なトラックのボディタイプに平ボディやアルミバン、ウイングボディなどがラインナップされるのは理解できるものの「同モデルに特殊作業車が含まれるのはなぜ?」と疑問に思う方も居るのではないでしょうか?
実はオーソドックスな平ボディのトラックとダンプ・ミキサー車・塵芥車・高所作業車などの特殊作業車のシャーシが共通であることが、同モデルのなかに多くのボディタイプが存在する理由です。
車両サイズの大きなトラックの構造は大きく2つに大別できる
オーソドックスな平ボディから特殊機能を搭載した特殊作業車までトラックには実に多彩なボディタイプが用意されていますが、どのようなボディタイプのトラックでも構造はトラック本体であるシャーシ部分と架装部分の2つに大別できます。
シャーシ部分はキャビン・エンジン・トランスミッションなどが組み込まれる部分で、トラック本体とも言える非常に重要な部分です。架装部分は荷台に搭載する機能や荷台・荷室を指し、架装部分によってボディタイプが決定付けられます。シャーシがトラック本体であることからどのようなボディタイプでもシャーシが共通であれば同モデルとして扱われるため、1つのモデルにさまざまボディタイプが存在します。
トラックの背骨!車両を力強く支えるシャーシ
(引用元:プレス工業株式会社)
共用すれば同モデルのトラックとして扱われるシャーシはまさにトラックの本体部分だと言えますが、実はシャーシ自体は鋼板製の枠組みです。シャーシはフレームシャーシやフレームとも呼ばれ、モノコック・ラダーフレームなどの種類が存在しますが一般的にトラックにはラダーフレーム型のシャーシが用いられます。
ラダーフレーム型のシャーシはその名のとおり梯子のような形状で、基本構造は縦方向2本のサイドレールとサイドレールを繋ぐクロスメンバーで構成されます。鋼板製のサイドレールは応力に優れ、しなるような動きで荷重を分散しながらトラックを支えます。
トラックメーカーが製造するのはシャーシ部分!
既述のとおりトラックはシャーシ部分と架装部分の2つに大別され、シャーシ部分はトラック本体と呼ばれシャーシ部分の製造はトラックメーカーが行い、架装部分は架装メーカーが製造します。
トラックはトラックメーカーの工場で製造されるイメージを持つ方が少なくないのではないかと思いますが、実はトラックメーカーで作られたトラック本体はシャーシにキャビンを搭載した裸シャーシと呼ばれる状態で架装メーカーに運ばれ架装を施すことで完成します。
貨物自動車であるトラックのシャーシには非常に高い剛性が求められる!
トラックの全荷重を支えるシャーシはまさにトラックの背骨と言える重要なパーツであるため、非常に高い剛性が求められます。既述のとおり、シャーシの基本構造は非常にシンプルですが、シンプルでありながら高い剛性を併せもつのがトラックに搭載されるラダーフレーム型のシャーシだと言えます。
トラックの重要部分シャーシの構造や種類とは?
トラックに搭載されるラダーフレームの基本構造が縦方向2本のサイドレールとサイドレールを繋ぐクロスメンバーで構成されることは既に紹介したとおりです。しかし同じラダーフレーム型のシャーシでもトラックの場合はシャーシに取り付ける車軸の数や種類で2軸シャーシ・3軸シャーシ・MG付きシャーシの3つに分類されます。
2軸シャーシ
車軸が2つ取り付けられたシャーシで前後4ヶ所にタイヤが装着されるタイプのトラックのシャーシです。
3軸シャーシ
車軸が3つ取り付けられたシャーシで前後6ヶ所にタイヤが装着されるタイプのトラックのシャーシです。
MG付きシャーシ
Motor Generator(車載発電機)を搭載するタイプのシャーシで、大型冷凍・冷蔵車などのシャーシが該当します。
使用用途に応じた荷台部分の製造・搭載は架装メーカーが行う
既に紹介したとおりシャーシ部分と共にトラックを構成するのが荷台部分に搭載する特殊機能や荷室などの架装部分で、架装によってトラックのボディタイプが分類されます。架装メーカーは搭載機能や荷室などの架装を製造・取付けするメーカーで、例えば購入した中古トラックのボディタイプを変更したい場合など、架装メーカーに依頼すればトラックのボディタイプを変更することが可能です。
国内の主要架装メーカーとは?
トラックに搭載する特殊装置や荷室形状は実にさまざまで、それぞれの架装を行う架装メーカーが存在し、国内の代表的な架装メーカーは次のとおりです。
荷室製造
・日本フルハーフ
・北村製作所
・パブコ
車載クレーン製造
・古河ユニック
・タダノ
・加藤製作所
特殊装置製造
・アイチコーポレーション
・極東開発工業
・矢野特殊自動車
シャーシ状態で購入すれば使用用途にマッチした架装を搭載できる!
トラックは裸シャーシの状態でトラックメーカーの工場から出荷され、架装メーカーの工場でリクエストどおりの架装が施されることで完成するため受注生産品に近い工業製品だと言えます。
逆説的に捉えれば、裸シャーシの状態にした後で架装メーカーに持ち込めば、現在保有するトラックのボディタイプを変更することも可能だと言えますし、中古トラックを裸シャーシの状態で購入すればお得に理想的なトラックにビルドアップすることも可能です。
しかし、保有するトラックや購入した中古トラックを架装メーカーに持ち込んでビルドアップすることは、残念ながらあまり現実的ではないアイデアであると言えおすすめできないのが事実です。
シャーシ状トラックは購入可能だが架装搭載費用や制作時間が問題!
中古トラック販売店ではトラックの架装を取り払った裸シャーシの中古車両が取り扱われるケースもありますが、裸シャーシの状態でトラックを購入し架装メーカーでビルドアップするためには決して安くはない架装搭載費用と短くない制作時間が必要となります。
また架装搭載は軽微な変更で収まらないため、架装を搭載しビルドアップ完了後には陸運支局でトラックの構造変更手続きを行い構造変更車検を通過する必要があります。予算に合わせた中古車両が短納期で納車されるのが、中古トラック販売店を利用するメリットとして挙げられるため、中古トラックを裸シャーシで購入しビルドアップするのはせっかくの中古トラック販売店利用メリットを台無しにするのではないかと考えられます。
トラックは裸シャーシより完成車の中古トラックがおすすめ!
中古トラック販売店で裸シャーシ上の中古トラックを購入して理想的な架装を施し、オリジナルのトラックをビルドアップするのは確かにロマンあるアイデアはではあるものの決して現実的ではないと言えるでしょう。
中古トラック販売店は必要な特殊装置などを架装した中古トラックを予算に合わせて購入できるのが最大の魅力ですので、理想的なトラックに出会えるように積極的に中古トラック販売店に足を運んでみてはいかがでしょうか?
まとめ
トラックを構成するシャーシ部分と架装部分は製造メーカーも取付け工場も別であるため、裸シャーシ状のトラックを中古トラック販売店で購入し架装メーカーに持ち込みビルドアップすることはシステム的には可能ですが残念ながら現実的ではありません。
しかしトラック本体とも言える裸シャーシの特徴を掴んでおくことは、中古トラック選定時に役立つ有益情報だと考えられますので辻に挙げる3つの裸シャーシの特徴を掴んでおいてください。
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- トラックに用いられるのはラダーフレーム型シャー
- ラダーフレームはサイドレールとクロスメンバーで構成される
- 中古トラック購入は裸シャーシ状より完成車両がおすすめ