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生コン運送に欠かせないミキサー車!特徴や積載量、運転に必要な資格や免許とは?

生コン運送に欠かせないミキサー車!特徴や積載量、運転に必要な資格や免許とは?
現代建築に欠かすことのできない代表的な建築資材の1つにコンクリートが挙げられますが、大規模な建築現場では現場でコンクリートを練りあげずに工場から運ばれたコンクリートを使用して工事を進めます。コンクリートはドロドロの状態で出荷されることや時間の経過と共に凝固することから、コンクリート運送には一般的なトラックではなくミキサー車が用いられるため、ミキサー車は目にする機会も多い身近な存在の作業車両だと言えるでしょう。
ミキサー車の特徴や積載量、運転資格やミキサー車の活躍するフィールドなどミキサー車の秘密を紹介します。

工場から現場へ生コンの搬送を行うミキサー車

工場から現場へ生コンの搬送を行うミキサー車
セメントに砂や砂利、水を混ぜて作られるコンクリートはドロドロの状態で出荷され、時間の経過と共に固まるためトラックでは運ぶことが非常に困難です。一般的なトラックで運送できないコンクリート運送用車両として荷台部分にミキシングドラムを搭載したミキサー車が開発されました。

日本の経済成長の中で開発されたミキサー車

国内でコンクリートが建築資材として本格的に利用され始めたのは戦後の経済成長期だと言えます。今から70年ほど昔の1949年に国内で最初の生コン工場が設立され、生コン輸送に対するニーズは経済成長と共に急激に高まりました。

当初はダンプに積載するという非常に荒っぽい方法で生コン輸送を行っていましたが、1952年にミキサー車が考案され生コンの運送方法が見直され、さまざまな改良が加えられながら現在のミキサー車へと進化してきました。

生コンを固めずに搬送するミキサー車の構造とは?

生コンを固めずに搬送するミキサー車の構造とは?
ミキサー車の形状は非常に特徴的で、特に車両後方で回転するミキシングドラムの存在には目を引かれます。このミキシングドラムがミキサー車の主要機能であり、生コン運送を実現させたノウハウが詰め込まれた機能だと言えます。

荷台のミキシングドラムが生コン搬送のポイント

ミキサー車のミキシングドラム内には、ミキシングブレードと呼ばれる螺旋状の板が取り付けられており、ミキシングドラムが回転することで積載された生コンが撹拌される構造になっています。

ミキサー車は走行中や荷下ろし前はミキシングドラムを車両後方から見ると半時計回りに回転させながら、積載した生コンを撹拌していますが、荷下ろし時にはミキシングドラムを逆転させて積み荷の生コンを排出します。

ミキシングドラム内で撹拌されることで、生コンを凝固や分離させることなく運送できるのがミキサー車の特徴で、生コン搬送のポイントとなっています。

搬送する生コンの量に合わせてさまざまな車両区分のミキサー車が存在する

搬送する生コンの量に合わせてさまざまな車両区分のミキサー車が存在する
必要となる生コンの量は現場によって異なるので、効率的な生コン搬送を行うためには現場の使用量に合わせた生コン搬送を行う必要があり小型クラスから大型クラスまでさまざまな車両区分のミキサー車が存在します。

小型から大型まで存在するミキサー車の車両寸法の目安

特殊な形状の特殊車両ミキサー車には、一般的なトラックが通行可能な道路でも通行できないケースがあるため、車両寸法データと共にハンドルを目一杯に切った状態で旋回する際に要する寸法を記載した旋回軌跡図が存在します。

旋回軌跡図はベース車両のメーカーやモデルによって異なりますが、車両寸法の目安は次に挙げる通りです。

最大積載量 全長 全幅 全高
2~3トン 5,100mm前後 1,800mm前後 2,700mm前後
4トン 5,850mm前後 2,160mm前後 3,035mm前後
5~6トン 6,400mm前後 2,240mm前後 3,200mm前後
7~8トン 6,400mm前後 2,300mm前後 3,300mm前後
10トン 7,900mm前後 2,490mm前後 3,700mm前後
11トン 9,100mm前後 2,490mm前後 3,770mm前後

車両区分別の回転ドラムの積載容積の目安

ミキサー車に積載する生コンはセメント・砂・砂利・水などを混ぜて作られるため、非常に比重の高い積み荷だと言えます。比重が高いことから最大積載量に対する積載可能容積が思いのほか多くありません。

また、コンクリート工場で作られる生コンは現場によって原材料の比率が異なるので、1㎥当たりの重量が同じではなく、現場ごとに1㎥あたりの重量が異なるのも注意が必要です。

最大積載量別に区分されたミキサー車の積載容積は次の通りです。

  • 2~3トン車:約0.8~1.3㎥
  • 4トン車:約1.6㎥
  • 5~6トン車:約2.1~2.4㎥
  • 7~8トン車:約2.8~.2㎥
  • 10トン車:約4.0~4.4㎥
  • 11トン車:5.0㎥前後

ミキサー車が活躍するフィールドは?

ミキサー車が活躍するフィールドは?
現代建築に欠かすことのできないコンクリートは「あらゆる建築物にも使用されている」と言っても過言ではありません。生コンの搬送に使用されるミキサー車はコンクリートのニーズがある場所に必ずと言って良いほどの確率で登場する作業車両だと言えます。

建築現場には欠かせないミキサー車

少量のコンクリートを使用する場合は、コンクリートの原材料であるセメント・砂・砂利などを用意して現場でコンクリートを練るケースもありますが、多くの土木・建築現場ではコンクリート工場からミキサー車で生コンを運び打設します。

大量のコンクリートを使用する現場では作業効率向上のため、コンクリート工場からミキサー車で生コンを搬送し打設しますので、ミキサー車は一般住宅やビルや工場などの建築現場などで活躍しています。

またダムなどの超大型構造物などの現場では現場内にセメント工場を設置しますが、現場内の生コン輸送にはやはりミキサー車が活用されるので,ミキサー車はコンクリートを使用するあらゆるフィールドで活躍する作業車両だと言えるでしょう。

ミキサー車が運んだ生コンを現場に供給するのはポンプ車

コンクリート工場から何十台ものミキサー車で搬送されたコンクリートは、建築現場内で荷下ろしされます。しかしコンクリートを打設する場所に必ずしもミキサー車が接近できる訳でもないため、場合によってはコンクリート打設現場から離れた場所にミキサー車が荷下ろしをする場合もあります。

かつては荷下ろししたコンクリートを小型車両へ積み替えて運んだり、人力で移動するなどの原始的な作業が行われましたが、現在はポンプ車が現場内に生コンを運ぶ役割を果たしています。

ミキサー車はポンプ車の吸引口(生コン投入口)に荷下ろしを行い、現場まではポンプで生コンを圧送し打設作業を行います。ミキサー車の侵入ができない高層階などでのコンクリート工事の場合も同様にポンプ車が活躍し、ミキサー車とポンプ車は建築現場では一心同体の働きをしています。

ミキサー車の運転や操作に必要な資格や免許は?

ミキサー車の運転や操作に必要な資格や免許は?
さまざまな車両区分のミキサー車が存在することは既に紹介しました。ミキサー車の運転には各車両区分の運転資格が求められますので、運転するミキサー車の車両区分がどれであるかはドライバーにとって非常に重要だと言えます。

またミキサー車が8ナンバー登録の特殊車両であることから、運転やミキシングドラムの操作などに特別な資格や免許が必要なのではないかと考える方もいるのではないでしょうか?

ミキサー車の運転やミキシングドラムの操作に必要な資格や免許について紹介します。

車両区分でミキサー車の運転資格は異なる

既述のとおり、ミキサー車は最大積載量2~3トンの小型クラスから11トンの大型クラスまでさまざまな車両区部のものが存在します。現在国内の運転免許区分は普通・準中型・中型・大型の4つに加え、道路交通法改正前に免許取得を行った方の救済措置として5トン限定・8トン限定の合計6つの免許区分が存在します。

各免許区分の運転資格は次のとおりです。

免許区分 車両総重量 最大積載量 乗車定員
普通免許 3.5トン未満 2.0トン未満 10人以下
準中型免許(5トン限定) 5.0トン未満 3.0トン未満 10人以下
準中型免許 7.5トン未満 4.5トン未満 10人以下
中型免許(8トン限定) 8.0トン未満 5.0トン未満 10人以下
中型免許 11.0トン未満 6.5トン未満 29人以下
大型免許 11.0トン以上 6.5トン以上 30人以上

コンクリートは容積で表現されるため具体的な積載重量を知ることが困難ですが、各車両区分と保有免許の運転資格で許可された最大積載量は重量で区分されるため、ミキサー車の運転時は積載容積ではなく、積載重量を意識する必要があります。

また既述のとおり現場のリクエストによってコンクリートに投入するセメント・砂・砂利・水の比率が異なるため、同じコンクリート工場で製造されたコンクリートでも現場によって出荷するコンクリートの比重が異なりますので、生コン積載時には確認しておく必要があります。

ミキサー車の操作には特別な資格が求められない

生コンの搬送を行うミキサー車の運転はミキサー車の車両区分に求められる運転資格が必要となりますが、ミキシングドラムの操作に関しては特に必要となる資格や免許は存在しません。

ミキサー車のオペレーターは車両区分の運転資格を満たす免許を保有していれば、ミキサー車を運転しミキシングドラムの操作を行うことができます。ミキシングドラムは逆転させると積載する生コンを輩出してしまうので、ミキサー車運転の際はミキシングドラムの回転方向にはくれぐれも注意しながら運転してください。

まとめ

ミキサー車に積載する生コンはセメント・砂・砂利・水で作られるため比重が高く、思いのほか重量のある積み荷だと言えます。ミキサー車の運手には特別な資格や免許は必要ありませんが、ミキサー車の運転時には次のポイントに注意して安全な運行を心がけて下さい。

  • 生コンは㎥単位で表現されるが道交法では積載重量を規制している
  • 現場ごとに1㎥の重量が異なり同じ工場の生コンでも重さが違う
  • 車両後方から見て反時計回りで生コンの撹拌、逆転すると排出する

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