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タンクローリーとは?必要な運転免許や専門資格・積み荷によって異なる安全対策を解説

燃料ローリー車に代表されるタンク車の特徴や容量・運転に必要な資格や免許を大紹介!
荷台部分にタンクを搭載し、液体や気体の運送に用いられる特殊車両がタンクローリーです。ひと口にタンクローリーといっても、積載物の違いによって「危険物タンクローリー」「非危険物タンクローリー」「高圧ガスローリー」に分けられます。記事では、仕事でタンクローリーを運転する機会のある方に向けて、車両区分別に異なる運転免許や専門資格、安全対策などの概要をまとめました。

タンクローリー(タンク車)とは

ローリー車とも呼ばれるタンク車は、通常のトラックの荷台部分に鋼板製やステンレス製・アルミ合金製などの円筒状のタンクを搭載した車両のことです。飲料水や液状の食材・危険物である液体燃料・高圧の液化ガス燃料・化学薬品・セメントやガソリンなど液状の積み荷の運送に用いられます。

積み荷の特性から混載されることはなく、食品用車両は食品のみ、燃料用車両は燃料のみの運送に用いられ、積み荷の特性や関係法令にしたがってタンク部分の素材が異なります。

タンクローリーのタンク部分は楕円形です。これは、車体の重心を低くしてバランスを取りやすくするためです。基本的には種類が変わってもタンク部分は楕円形ですが、高圧ガスのタンク部分は車体正面から見ると真円形をしています。これは内部からの圧力を均等に外側にかけるためです。

タンクローリー(タンク車)の運転や積み荷の取り扱いに必要な免許や資格

タンク車の運転や積み荷の取り扱いに必要な免許や資格とは?
タンクローリーは積み荷の種類によって道路交通法以外の規制を受けるため、特に危険物や高圧ガスなどの運送に用いられるタンクローリーの運転には積み荷に合わせた資格の取得が必要となります。

タンクローリー(タンク車)の運転には車両区分の運転免許が必要

タンクローリーはさまざまな車両区分のものが存在するため、タンクローリーの運転はベース車両の車両区分の運転資格を満たす免許区分が求められます。

現在国内の免許区分は、道路交通法改正前の免許取得者に対する救済措置として存在する2つの限定区分と普通免許・準中型免許・中型免許・大型免許の6つの免許区分が存在します。

各免許区分の運転資格は次のようになっています。

免許区分 車両総重量 最大積載量 乗車定員
普通免許 3.5トン未満 2.0トン未満 10人以下
準中型免許(5トン限定) 5.0トン未満 3.0トン未満 10人以下
準中型免許 7.5トン未満 4.5トン未満 10人以下
中型免許(8トン限定) 8.0トン未満 5.0トン未満 10人以下
中型免許 11.0トン未満 6.5トン未満 29人以下
大型免許 11.0トン以上  6.5トン以上 30人以上

また、上記以外の牽引式のタンクローリーの場合は牽引免許の取得が運転条件に加わるので、単車以外を運転する際は、牽引免許の取得を含めたタンクローリーの車両区分の運転資格を満たす免許区分の取得がタンクローリー運転の最初の条件です。

燃料輸送業務に使用されるタンクローリーの多くは大型車をベースとしているものが一般的なため、通常、タンクローリー運転業務には大型免許の取得が必要だと考えるべきでしょう。

タンクローリー(タンク車)の種類と必要資格・免許

タンクローリーは「危険物タンクローリー」「非危険物タンクローリー」「高圧ガスローリー」の3種類に分けられます。それぞれのタンクローリーを運転する際には、種類別に必要資格や免許が異なります。

種類 積載物 必要資格や免許
危険物タンクローリー ・石油類
・酸化性固体
・劇薬類 など
・「危険物取扱者」が乗務するとともに、「危険物取扱免状」の携帯が必要
・硝酸や過酸化水素水などの毒物を運搬する場合
は「毒物劇物取扱責任者」の資格が必要
非危険物タンクローリー ・セメント
・食品
・飲料  など
・非危険物タンクローリーに限った必要資格や運転条件は特になし
高圧ガスローリー
・可燃性ガス など ・高圧ガス移動監視者講習の受講が必要
・または、高圧ガス製造保安責任者の資格が必要

タンクローリー(タンク車)の積載量は積載物で異なる

荷台部分に搭載するタンクの容量がタンクローリーの積載量になりますが、積載物が消防法で定める危険物となる液体燃料の運送に使用される燃料ローリーの積載量は、消防法で最大30,000リットルまでに制限され、燃料を積み込む荷室容量は4,000リットル以下に制限されています。

大型の燃料ローリー車は大型タンクの中を4,000リットル以下ごとに仕切って作られており、車両後部の積載内容と積載量の表示板で各タンクの積載物と積載量を確認できます。

燃料ローリー以外のタンク車の容量は次のとおりです。

・高圧ガスローリー:18,000リットル未満
・毒性ガス(アンモニアを除く):8,000リットル未満
・飲料水など危険物以外:積載量の規制なし

タンクローリー(タンク車)が活躍するフィールドは?

タンクローリーの活躍するフィールドは積み荷の種類によって異なりますが、日常生活に密着したものから、被災地などで活躍する給水車まで実に幅広いフィールドで活用されています。

ここでは、日常生活に密着したフィールドで活躍するタンク車を積み荷の種類ごとに紹介します。

最もポピュラーなタンクローリー・液体燃料タンクローリー

タンク車が活躍するフィールドは?
公道を走行する姿や、ガソリンスタンドで荷下ろしをしている姿を目にする機会があるのは液体燃料を積んだ燃料ローリー車です。燃料ローリー車は燃料メーカーの貯蔵所から各ガソリンスタンドへの燃料供給業務や貯蔵所間の燃料の移送などに用いられています。

燃料ガスなどの高圧ガスの運搬を行う高圧ガスタンクローリー

燃料ガスなどの高圧ガスの運搬を行う高圧ガスタンクローリー
都市ガスの普及で燃料ガスの運送をおこなう高圧ガスローリーに対するニーズは低下傾向にありますが、工場などの事業所で使用するガスの運送ニーズは高まりを見せているため、高圧ガスローリーも目にする機会が多いタンク車です。

飲料水などの運搬を行う飲料タンクローリー

飲料水などの運搬を行う飲料タンクローリー
さまざまな飲料水が消費される現在、食品工場に液体原料を輸送する飲料タンクローリーも目にする機会が多いタンク車の1つです。飲料タンク車は、衛生面の問題からステンレスタンクを搭載しているケースが多く、磨き上げられた美しいタンクが特徴です。

燃料運搬車両タンクローリー車は消防法の規制を受ける危険物施設

燃料運搬車両タンクローリー車は消防法の規制を受ける危険物施設
すでに紹介したとおり、消防法の危険物に指定される燃料を積載するタンクローリーは消防法によってさまざまな規制を受けています。一般的にはタンクローリーや燃料ローリー車と呼ばれますが、正式には「移動タンク貯槽所」という危険物施設に該当します。

燃料タンクローリー車は危険物施設!

消防法では、一定規模の危険物施設に対して設置から完成後の運営まで厳しい規制が敷かれており、消防法で定める基準を満たすことができない危険物施設に対しては使用停止命令が下されるなど安全を第一とした設備の運営管理が求められます。

危険物施設の1つに分類される移動タンク貯蔵所タンク車にも、一般的な危険物施設同様に厳しい基準が求められるため、燃料ローリー車は一般のトラックよりも設備基準や運行に厳しい制限を受けるといえます。

燃料タンクローリー車は車検以外にも消防法の検査に合格する必要がある

一般のトラックは道路運送車両法に定められる車検に合格することが求められますが、移動タンク貯蔵所であるタンクローリーは危険物施設として消防法が定める消防検査にも合格する必要があります。

危険物である液体燃料を貯蔵し取り扱うタンクは3.2mm以上の鋼板を使用して製造され、完成後に水を張った状態で漏れや滲み、タンクの変形がないことを確認する「水張検査」に合格する必要があります。

水張検査に合格したタンクには消防から水張検査済証の書類と銘板が発行されるので、タンク本体に水張検査済証の銘板を取付けます。

積み荷によって異なるタンク車の安全対策

積み荷によって異なるタンク車の安全対策
消防法の危険物に該当する液体燃料を積載する燃料ローリーは車検以外にも消防法で定める消防検査に合格する必要があることは前項で紹介しましたが、消防検査以外にも高圧ガスの運送を行うタンク車には高圧ガス保安法や毒物及び劇物取締法の規制を受けさまざまな安全対策が講じられています。

横転防止や静電気防止対策が取られるタンクローリー

タンク1室の容量が2,000リットルを超える燃料ローリー車はタンク内部の液体燃料が波打つことでタンクローリーがバランスを崩し横転しないようにタンク内に防波板の取付けが義務付けられています。

また、引火性のある積み荷を取り扱うタンクローリーには、「ローリーアース」と呼ばれる静電気対策が搭載され、積み荷の取扱い時にはローリーアースを使用した静電気防止対策をおこなうことが義務付けられています。

積み荷の積み下ろし方法にも安全対策が講じられる

引火性のある積み荷の取扱いには安全対策としてローリーアースでの静電気対策が義務付けられるうえに、危険物である液体燃料の荷下ろしは、荷下ろし配管内部で静電気が発生しないよう落差圧による荷下ろししか許可されていません。

加圧すれば荷下ろし効率がよくなりますが、同時に燃料を荷下ろしする配管内部の燃料と配管の接触面で静電気が発生する可能性があるので荷下ろしの際の加圧は許可されていません。

一目で積載物が判るように標識の設置が義務付けられているタンクローリー

危険物施設である燃料ローリー車は危険物積載車両であることや積み荷の内容、積載量を車両後部の掲示板に掲示することが義務付けられています。これは、高圧ガスタンク車も同様で高圧ガスの標識と積載物、積載量の表示は高圧タンク車でもおこなわれています。

まとめ

タンクローリーにはさまざまなタイプのものが存在しますが、積載物によって異なる法律で運行が規制されています。

タンクローリーの運転には車両区分の運転条件を満たす免許区分の保有が第1条件となり、次に積み荷の種類ごとに次の3つの資格の中から適当な資格取得が求められます。

  • 消防法で定める危険物を積載するタンクローリー:危険物取扱者
  • 化学薬品類を積載するタンク車:毒物劇物取扱責任者
  • ガスタンク車:高ガスの移動看視者講習修了者か製造保安責任者

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