Tシリーズ・FKシリーズの後を継ぐ戦士「三菱ファイター」の特徴や人気の秘密を大紹介!
三菱ふそうは小型から大型まで全ての車両区分で評価の高いトラックメーカーですが、中でも代表的な人気モデルとして中型クラスの三菱ファイターが挙げられます。
三菱ファイターは新車登録台数の多いモデルですが同時に中古トラック市場に流入する台数も非常に多く、中古トラック販売店で三菱ファイターの取扱いのない店舗がない程、中古トラック市場でも人気の高いモデルです。新車・中古車市場を問わず高く評価される三菱ファイターの特徴や人気の秘密に迫ります。
歴代中型トラックの後を継いだ「三菱ファイター」を知ろう!
三菱ファイターの起源を遡ると今から約60年前の1959年に三菱日本重工から発売された、中型トラックのTシリーズに辿り着きます。Tシリーズは1959~1976年半ばまでの約17年間生産され1976年に後継モデルのFKシリーズが登場し1984年まで三菱自動車で生産されていました。
1984年に行われたフルモデルチェンジでFKシリーズの生産が終了し、後継車種として生産が開始されたのが現在も販売されているファイターシリーズです。三菱ファイターは2002年まで三菱自動車工業で生産されていましたが、2003年からは三菱自動車工業から独立した三菱ふそうトラック・バス株式会社で生産されています。
オールラウンドプレイヤーとして愛され続ける「三菱ファイター」の歴史
初代三菱ファイター(1984年~1992年)
1984年のモデルチェンジで小型トラックの三菱キャンターと大型トラックのザ・グレートのデザイン統一が図られFKシリーズに代わって生産が始まったファイターですが、型式名は従来のFK・FMを引き継いでいます。
1987年に230馬力のインタークーラーターボエンジンの投入、1990年は平成元年排出ガス規制適合車への変更、翌1991年には210馬力NAエンジンの追加とコーナリングランプの標準装備化などを含めた3度のマイナーチェンジが行われました。
初代ファイターは3度のマイナーチェンジを行い約8年間生産されますが、1992年半ばのフルモデルチェンジで2代目ファイターにバトンを渡します。
2代目三菱ファイター(1992年~現在)
ファイターシリーズとなってから初のフルモデルチェンジで発表されたのが、現行モデルである2代目三菱ファイターです。丸みを帯びたデザインに一新された外観とプロジェクタータイプの異形4灯のヘッドライトが2代目ファイターと大きく異なる点だと言えます。
フルモデルチェンジが行われた1992年から7年後の1999年に初のマイナーチェンジ。その際、外装と内装の変更が行われ、外観はスーパーグレートをイメージさせるデザインに一新されました。
搭載エンジンにSOHC24バルブの6M60・6M61が投入され平成10年排出ガス規制に適合、エアバッグの標準装備も行われます。その後5速ATやCNGエンジンの追加を行いながら6年間生産が続き、2005年に2度目となるマイナーチェンジが行われます。
外装と内装のデザインは質感の高いものに変更され、車両総重量11トン以上のモデルにウェッジ式フルエアブレーキがクラス唯一標準装備されるなど、安全性能の向上も行われます。
その後は2010年に車両総重量8トンクラスに6気筒220馬力エンジンの追加、2011年に6気筒240馬力・270馬力のエンジンの追加、2018年にインタークーラーターボ付ディーゼルエンジン4V20型直列4気筒OHV16バルブの追加などが行われています。
排出ガス規制も厳格化が進むたびに適合し、三菱ファイターは環境に配慮した中型トラックへと進化をつづけています。
現行モデル2代目三菱ファイターの特徴
ファイターとしては2代目となる現行モデルですが、完成度の高さを考えると三菱が約60年間積み上げてきた中型トラック製造の経験と技術を余すことなく投入しているモデルであることが伺えます。
都市部や高速道路、現場での作業など三菱ファイターは、フィールドを選ぶことなく活躍できる車両として非常にバランスの取れた中型トラックに仕上がっています。力強さと経済性、環境への配慮を実現した走行性能・ドライバーはもちろん周辺車両や歩行者に対する安全性能・あらゆるニーズに耐用できる充実したラインナップを紹介します。
2代目三菱ファイターの燃費や走行性能
2代目三菱ファイターの車両総重量7.5トン・8.0トン車には直4インタークーラーターボの4V20、車両総重量8.0~20.0トンクラスには直6インタークーラーターボの6M60 が搭載されます。
2代目三菱ファイターに搭載されるエンジン4機種のスペックは次のとおりです。
・4V20:125KW(170PS)/2,500rpm、520N.m(53kgf.m)/1,500rpm
・6M60 (T4):162KW(220PS)/2,070rpm、745N.m(76kgf.m)/950~2,070rpm
・6M60 (T1):177KW(240PS)/2,500rpm、745N.m(76kgf.m)/1,400rpm
・6M60 (T2) :199KW(270PS)/2,500rpm、785N.m(80kgf.m)/1,100~2,400rpm
2018年から投入された新開発エンジン4V20は6気筒モデルよりも220kgのダウンサイジングが行われ、全体で約300kgの軽量化に成功しています。軽量化に伴い>重量車燃費基準+5%レベル達成の低燃費を実現し環境に優しい経済走行を可能としています。
排気量は6気筒モデルより約3.5L小さな3.9Lクラスですが、高度なエンジンチューニングによって他社の5Lクラスに見劣りしないトルク感とドライブフィーリングの実現に成功しています。
動力性能が重視される中長距離や高速道路走行などには既存機種6M60、中型トラックの積載量は欲しいものの7.5Lエンジンはオーバースペックだと感じれば4V20という細かなニーズに対応できるラインナップが揃ったと言えるでしょう。
2代目三菱ファイターの安全性能
丸みを帯びた外観デザインの2代目三菱ファイターですが、キャブの剛性は非常に高く優れた乗り心地の実現と共に万一の衝突時にはキャブ変形を抑え、乗員の生存空間確保が行える作りになっています。
また追突事故発生時にトラック下部への滑り込みが生じると深刻な事態を招くことから、フロント部には、衝突被害を軽減し車両前部への滑り込みを防止するFUP・車両後部には突入を防止するRUP(ECE規格適合品)を標準装備しています。
夜間走行の事故防止にはしっかりとした視界の確保が重要となるため自然光に近い発色でハロゲンライトの約2倍の照度を持つディスチャージヘッドライトをカーゴ系ロアヘッドライト搭載車に標準採用し、夜間運行の安全性を高めています。
フェールセーフ(誤操作回避)対策として、アクセルとブレーキを同時に踏んだ状態ではブレーキを優先させる制御システム「ブレーキオーバーライドシステム」が採用>されています。
さらに、高い制動力とブレーキライニングの寿命延長に貢献する電磁式リターダー、前方車両や歩行者をカメラで検知し衝突の危険を知らせる衝突防止補助システム、瞳を監視し居眠りを防止する居眠り防止装置などの安全装置も用意されています。
2代目三菱ファイターのグレードとラインナップ
2代目三菱ファイターは搭載エンジンによって4V20系と6M60系に分類できますが、双方カーゴ・ウィングバン・ダンプ・クレーンがラインナップされ、標準グレードのDXと高級グレードのSUPER PACKAGEが用意されています。
4V20系は車両総重量7.5トンと8.0トンの2種類、6M60系は車両総重量8.0・11.0・14.5・20.0トンの4種類が設定され、キャブタイプはショートキャブとフルキャブ・標準幅と広幅4つの組み合わせが可能です。
新たに投入された4V20系の荷台寸法は次の通りです。
■GVW7.5トン
幅 | 荷台全長(内寸) | 荷台全幅(内寸) |
ショートキャブ標準幅 | 4,010~6,700mm | 2,120~2.140mm |
ショートキャブ広幅 | 5,300~6,700mm | 2,350~2,370mm |
フルキャブ標準幅 | 3,660~6,210mm | 2,120~2,140mm |
フルキャブ広幅 | 5,750~6,210mm | 2,350~2,370mm |
■GVW8.0トン
幅 | 荷台全長(内寸) | 荷台全幅(内寸) |
ショートキャブ標準幅 | 4,010~6,700mm | 2,120~2.140mm |
ショートキャブ広幅 | 5,300~6,700mm | 2,350~2,370mm |
フルキャブ標準幅 | 3,660~6,210mm | 2,120~2,140mm |
フルキャブ広幅 | 5,750~6,210mm | 2,350~2,370mm |
三菱ファイターが中古車市場で人気を集める理由
三菱ファイターは新車・中古トラック市場を問わず高く支持される人気モデルだと言えますが、人気の秘密はTシリーズ・FKシリーズ・ファイターシリーズと約60年間、三菱が生産し続けてきた中型トラックに対する信用の高さではないかと考えられます。
また積極的にマイナーチェンジを行うことで時代のニーズに対応し続けている点も、三菱ファイターが多くのドライバーから支持される理由だと言えるでしょう。2017年に行われた道路交通法改正で誕生した準中型免許に対応するために新型エンジン4V20を投入し、準中型免許でも運転可能な車両総雨量7.5トン未満の中型トラックをいち早くリリースした点などにも三菱がドライバーニーズに対応するメーカーであることが伺えます。
高品質な中型トラックを約60年間リリースし続ける三菱の信用の高さが三菱ファイターの人気を支えていると言えるでしょう。
国内の中古車市場で流通する三菱ファイター
2代目三菱ファイターが発売されて30年近くが経過しているため、現在中古トラック市場で取扱われているのは2代目三菱ファイターが大部分を占めます。フルモデルチェンジ直後から順調に販売台数を伸ばしていることから、中古車市場に流入する台数も高い水準で安定しており、価格やコンディションの面でも中古トラック販売店で購入する価値の高いモデルだと言えます。
準中型免許に対応する2018年に投入されたモデルは、発売から時間が経過していないことから中古トラック市場への流入数は多くありませんが、納車に時間がかからない中古トラックは購入対象として検討する価値が高いのではないでしょうか。
まとめ
Tシリーズ・FKシリーズを経て誕生した三菱の中型トラックファイターシリーズは、三菱の中型トラック製造技術の粋を凝らして製造されているモデルだと言えるでしょう。現行モデル2代目ファイターのなかでも準中型免許で運転可能な4V20型エンジン搭載車は注目すべき存在だと言えます。
4V20型エンジン搭載車は2018年秋に投入されたばかりなので、中古トラック市場への流入数は少ないことから中古トラック販売店で見かけた場合は購入を検討する価値のあるトラックだと言えるでしょう。
人気の高い中型トラック「三菱ファイター」の人気を支えているのは次の3つのポイントだと言えます。
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- 中型トラックの製造を60年続けている三菱の技術力の高さ
- 積極的なマイナーチェンジで市場ニーズに応える柔軟性
- 準中型免許対応車の購入は納車期間の短い中古トラックがお薦め