小型キャブオーバートラックの代名詞「いすゞエルフ」の特徴や人気の秘密を大紹介!
1959年にリリースされた初代エルフから2006年リリースの6代目エルフまで5度のフルモデルチェンジを行い、6代目エルフもマイナーチェンジを繰り返しながら2019年でリリース後13年を迎えるロングセラーモデルとなりました。
1975年に小型トラック(2トンクラス)のトップシェアに君臨して以降、国内の小型キャブオーバートラックの代名詞と言っても過言ではないほど高支持を受け、中古トラック市場でも人気車種として売れ続けるいすゞエルフの特徴や人気の理由を紐解きながら紹介します。
小型キャブオーバートラックの代名詞「いすゞエルフ」を知ろう!
いすゞ自動車が製造・販売するトラックとして知られるエルフは、1959年の初代から2006年から販売されている現行モデル6代目エルフまで60年近くも多くのトラックドライバーから高い支持を受け続けています。
現行車両の6代目エルフは運送業務に用いられる一般的なトラック以外にも多機能型消防車両・高規格救急車両などにも採用され、官民を問わず幅広いフィールドで活躍するトラックとして広く普及していると言えるでしょう。
日本の物流と共に成長してきた「いすゞエルフ」の歴史
初代エルフ(1959年~1968年)
1,500ccガソリンエンジンを搭載したマル目2灯でデビューし、後に他社に先駆け2,000ccディーゼルエンジンを投入したことで人気を得たモデルです。最終モデルはマル目4灯に変更されたもののキャブドアは独特な前開きを継承し続けました。
2代目エルフ(1968年~1975年)
モデル中期にダブルキャブ仕様や積載重量3.5トンの中長距離輸送向けモデル、市内搬送向けの1.5トンモデルを投入するなど、市場のニーズに応えるようにトラックの細分化を積極的に行いました。
3代目エルフ(1975年~1984年)
テレビCMに人気俳優や漫画キャラクターを採用し「寅さんエルフ」「ドカベンエルフ」と呼ばれ親しまれたのが3代目いすゞエルフです。2度にわたる排出ガス規制強化にも対応しクリーンなディーゼルエンジントラックとして人気を博しました。
4代目エルフ(1984年~1993年)
ディーゼルエンジンの直噴化やコラムシフトからフロアシフトへの変更、4WD車追加、OKウインドー(助手席セーフティウインドウ)標準装備化など技術革新が大きく見られたのが4代目いすゞエルフです。
5代目エルフ(1993年~2006年)
ステッキ式サイドブレーキがハンドブレーキに変更され、セミオートマチックトランスミッションのスムーサーEの標準設定や機械式オートマチックトランスミッションのスムーサーE オートシフトのオプション設定などが行われ、ハイブリッドディーゼル車両も登場するなどいすゞの技術力が投入されたモデルだと言えます。
6代目エルフ(2006年~現在)
2006年のリリース後3度のマイナーチェンジを行いながら、現在も販売されているのが6代目となる現行エルフです。年々厳しくなる排ガス規制をクリアしハイブリット車の投入を行うなど環境に配慮し、プリクラッシュブレーキ・車間距離警報・車線逸脱警報(LDWS)・先行車発進お知らせ機能・電子式車両姿勢制御システム(IESC)などの安全性能も高めるなどクリーンで安全なトラックとして支持されています。
現行モデル6代目エルフの特徴
(引用元:いすゞ自動車)
かつてはガソリンやLPG・CNG(天然ガス)に対応するエンジンと3機種以上のディーゼルエンジンが採用されていましたが、6代目エルフからはディーゼル2機種とCNG、ハイブリッドのみとなりました。2007年からマツダ・日産自動車・日産ディーゼル(現:UDトラックス)にOEM供給を行っていましたが、2012年に日産自動車、2014年にUDトラックス向けの生産を終了しています。
高次元の燃費や走行性能が魅力のいすゞエルフ
現行のいすゞエルフに搭載されているエンジンはDOHC3,000ccのハイパフォーマンスディーゼル4JZ1型で、TCSとTCHの2機種に分けられますが、共に平成27年度燃費基準を達成しています。それぞれのエンジン出力は次の通りです。
・TCS:110KW(150PS)/2,800rpm、375N.m(38.2kgf.m)/1,280~2,800rpm
・TCH:129KW(150PS)/2,860rpm、430N.m(43.8kgf.m)/1,450~2,860rpm
世界で最も厳しいと言われる最新の排ガス規制(平成28年度規制)に対応しながら、燃費の良さも両立していることから重量税や取得税が75%減税されるエコカー減税対象車両となっています。
またAT限定免許に対応したシ-ケンシャルマニュアルトランスミッションSmoother-Ex(スムーサーEx)は状況に応じて自動変速と手動変速を自在に切り替えることができ、トラックに必要不可欠なエンジンブレーキやクリープを利用した微速走行を実現しています。
ECOスイッチで切り替えられる省燃費自動変速装置は、動力を効率的に伝達するロックアップ制御で力強い走りと優れた燃費を両立させます。もちろん高い信頼性と耐久性を備えたマニュアルトランスミッションも全車設定されているため好みのトランスミッションを選択できます。
高い安全性能を確保したいすゞエルフ
6代目いすゞエルフは制動時の車両安定性を保つABS、滑りやすい路面でも安定した発進や加速を実現するASR、ブレーキペダルから足を離しても制動力を保ち坂道発進や運転疲労軽減に効果があるHSAなどを標準装備しています。
またSRSエアバッグとプリテンショナー付シートベルト、正面から強い衝撃を受けると移動・変形して衝撃を吸収する衝撃吸収ステアリングシャフト&ホイール、衝突時の衝撃を吸収しひざを外側へ逃がす構造ニーボルスターなどでキャビン内の搭乗員保護を行います。
さらにダッシュボード中央に設置したステレオカメラで前方の車両・歩行者・障害物等との距離や相対速度を検知し、衝突の危険性を判断すると警報や緊急ブレーキを作動させ、衝突被害を軽減、または衝突回避をサポートするプリクラッシュブレーキを搭載しています。
前方に障害物がある状態で必要以上にアクセルを踏み込むと一時的にエンジンの出力をカットする誤発進抑制機能、渋滞や信号待ちで前の車が発車したことに気付かない場合は警報音とマルチインフォメーションディスプレイの表示で発車を促す先行車発進お知らせ機能は街中での安全性を高めます。
時速60km以上での走行時にウィンカーを操作せずに車線を外れた場合に警報音とマルチインフォメーションディスプレイで警告を行う車線逸脱警報(LDWS)、操作状況や車両挙動をセンサーで検知し横滑りや不安定な車両姿勢が生じると警報と共にエンジン及びブレーキの制御を行ない横転事故防止を行う電子式車両姿勢制御システム「IESC」は高速道路走行をサポートします。
いすゞエルフのラインナップとグレード
小型キャブオーバートラックの代名詞とも言える「いすゞエルフ」ですが、小型トラックの枠組みに囚われない豊富なラインナップを3つのグレードで展開しています。
キャブ形状は標準キャブ(キャブ幅1,695mm)・ハイキャブ(キャブ幅1,770mm)・ワイドキャブ(キャブ幅1,995mm)の3つが用意され、それぞれ標準ボディ・セミロングボディ・ロングボディが設定されています。最大積載量4トン・4.6トンの中型トラックは超々ロングボディが該当します。
各ボディタイプ(シングルキャブ)の荷台の長さは次の通りです。
ボディタイプ | 標準キャブ | ハイキャブ | ワイドキャブ |
標準 | 3,120mm | 3,115mm | 3,505mm |
セミロング | 3,540mm | 3,540mm | 設定なし |
ロング | 4,355mm | 4,355~4,360mm | 4,350~4,360mm |
超々ロング | 設定なし | 設定なし | 5,000~5,010mm |
また荷台地上高も低床タイプの「フラットロー」、全低床タイプの「フルフラットロー」、高床タイプの「高床」の3つが用意され使用用途に適したタイプを選択でき、上級グレード「SEカスタム」・中級グレード「SG」・普及グレード「ST」を選べます。
いすゞエルフが中古トラック市場で人気を集める訳とは?
豊富なラインナップとグレードを設定している「いすゞエルフ」は使用用途にあった1台を選ぶことができます。業務によっておすすめのエルフは以下のように異なります。
・建築業:平ボディ(フルフラットローの標準キャブ・ワイドキャブ)
・設備工事業:平ボディ(ルフラットローのハイキャブフ・ダブルキャブ)
・土木建築業:平ボディ(標準キャブのダンプ・キャブバックのクレーン車)
・製造業:平ボディ(フルフラットローの標準キャブ・テールゲート車)
・卸売業:ハイキャブのドライバン・冷蔵バン
また車両に対して細かなニーズが生じる運送や配達などの物流業にもいすゞエルフは対応できることから広く高い支持を得ていると言えるでしょう。このような理由から新車購入よりも短期間での納車や予算に合わせた車両選定が行える中古トラックの中でもいすゞエルフが支持されています。
国内の中古トラック市場で流通するいすゞエルフとは?
いすゞエルフは人気の高い小型トラックであることから、中古トラック市場へ流入する車両台数も非常に多く、中古トラック販売店でも数多くいすゞエルフが取り扱われています。しかし排ガス規制などの関係で4代目以降のいすゞエルフが数多く取り扱われる傾向にあります。
中古トラック販売店で取り扱われている台数(タマ数)の多さで比較すると6代目・5代目・4代目の順となり、ボリュームゾーンは現行型の6代目エルフとなります。いすゞエルフはモデルサイクルが長く、現行モデルの6代目もリリースから13年目を迎えていることからいすゞエルフの中古車トラックを購入するのであれば現行モデルの6代目で検討するのが現実的ではないでしょうか。
中古トラック市場でも高い支持を得るいすゞエルフのまとめ
小型トラックを代表すると言っても過言ではない、いすゞエルフを中古トラック販売店で購入する際には次に挙げる3つのポイントを再確認しながら車両を選んでみてください。
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- 6代目いすゞエルフは高次元の燃費や走行性能、安全性能を実現
- 豊富なラインナップとグレードで利用者のニーズに応えているのが魅力
- タマ数が多いいすゞエルフだが現行6代目モデルがおすすめ