日野デュトロとは?モデルごとの特徴や価格などを紹介します!
(引用元:日野自動車)
日野デュトロは、トラック部門でのフルラインアップ化の強化のため、1999年5月に発売開始された小型トラックです。トヨタと共同開発し、自社生産されました。小型トラック市場への参入は後発となったものの、順調に販売台数を伸ばし人気小型トラックに上り詰めた日野デュトロ。今回は日野デュトロのモデルごとの特徴や価格、人気の秘密に迫ります。
日野デュトロのモデルチェンジの歴史
かつて日野自動車は積載量1トンの小型トラック「ブリスカ」を自社生産していましたが、1967年に 販売権をトヨタ自動車へ移譲し、中型・大型トラックの生産に専念する道を選びました。
そのあと、日野デュトロの前身モデルであるレンジャー2、レンジャー3を発売。レンジャー2とレンジャー3は、ダイハツ・デルタトラックからOEM供給を受け、日野自動車の人気シリーズである日野レンジャーの小型車として登場しました。
<日野レンジャーについては、こちらで詳しく解説しています。>
日野自動車の人気シリーズ「レンジャー」の特徴や人気の秘密を大紹介!
前身モデルのレンジャー2、レンジャー3(1978年~1999年)
(引用元:Wikipedia)
レンジャー2は、1978年に発売された積載量2トンの小型トラックです。また、レンジャー3は、1980年に積載量3トンの小型トラックとして発売されました。
1984年と1995年にフルモデルチェンジがおこなわれ、2度目のフルモデルチェンジの際に、ダイナ / トヨエースのOEM供給に変更されました。レンジャー2とレンジャー3の最終モデルは、トヨエースと共通のフロントグリルを搭載した外観となっています。
1999年に日野デュトロの自社生産を開始し、レンジャー2、レンジャー3の販売を終了しました。
初代日野デュトロ(1999年~2011年)
(引用元:Wikipedia)
市場ニーズの高い積載量2トンの小型トラックとして、トヨタ自動車と共同開発されたのが初代日野デュトロです。
トヨタが販売するダイナ/トヨエースは積載量1トンのモデルも存在しましたが、日野デュトロは積載量2トンモデルのみ。運転席エアバッグを標準装備して、発売されました。
2003年には積載量2トントラック初のハイブリッド車として、日野のHIMRシステム(ディーゼル電気ハイブリッドシステム)をベースとしたパラレルハイブリッド方式のデュトロ・ハイブリッドを投入。
2006年には2度目のマイナーチェンジがおこなわれ、新長期排出ガス規制値比NOx・PM10 %の低減、およびHINOブランド意匠のグリルに変更されました。
また、4,000ccのN04Cエンジンが搭載されたり、2WDフロント独立懸架車のサスペンションスプリングをトーションバーからコイルに変更しました。
さらに、初代日野デュトロは6速ATが搭載され、トルクコンバーター式ステップATを装備する2トンクラスの小型トラックのなかでは、最多段数となったのです。
2代目日野デュトロ(2011年~現在)
(引用元:Wikipedia)
初代日野デュトロの発売から12年振りにフルモデルチェンジがおこなわれ、2代目日野デュトロが発売されました。キャッチコピーは、「ヒノノニトン」。
エンジンは高圧コモンレール式燃料噴射システムやDPR(排出ガス浄化装置)を大幅に刷新し、燃費向上や排出ガスのクリーン化を推し進めた5種類のディーゼルエンジンが採用されました。
またガソリンエンジンとLPGエンジンが採用されたり、専用ディーゼルエンジンと組み合わせたハイブリット車が発売されました。
さらに2016年に、2トンクラスでは初採用となるプリクラッシュセーフティ(歩行者検知機能付衝突被害軽減ブレーキ)とレーンディパーチャーアラートを標準キャブの車両総重量5トン未満の一部車型に標準装備。
2017年には、プリクラッシュセーフティとレーンディパーチャーアラート(車線逸脱防止支援システム)をLPG車と消防車を除く全車に拡大して標準装備し、安全機能の充実を図っています。
現行モデル2代目日野デュトロの特徴
(引用元:日野自動車)
2022年現在では、2代目日野デュトロが現行モデルとなっています。宅配便の小口配達など、日常生活に近い距離で活用される機会が多い小型トラックです。
燃費や走行性能
2代目日野デュトロはディーゼル車や、ガソリン車、LPG車、専用ディーゼルエンジンと組み合わせたハイブリット車があります。
特に、「日野デュトロ ハイブリッド」ワイドキャブ車の燃費は13.2km/Lで、平成27年燃費基準+15%を達成しています。
2トンクラスと1.5トンクラスのエンジン性能は下記のとおりです。
ディーゼルエンジン&DPR-Ⅱ | ハイブリッド専用ディーゼルエンジン | ディーゼルエンジン&DPR+尿素SCRシステム | ||||||
最高出力 | 最大トルク | 最高出力 | 最大トルク | 最高出力 | 最大トルク | |||
N04C-WD | 110kW/2,380r.p.m. | 440N•m(44.9kgf•m) /1,300-2,380r.p.m |
N04C-WE モーターアシストあり |
110kW/2,380r.p.m | 470N•m(47.9kgf•m) /1,000-1,200r.p.m |
1GD-FTV | 106kW/3,400r.p.m | 300N•m(30.6kgf•m) /1,200-3,200r.p.m |
N04C-VU | 132kW/2,700r.p.m. | 470N•m(47.9kgf•m) /1,400-2,600r.p.m |
N04C-WE | 110kW/2,380r.p.m | 440N•m(44.9kgf•m) /1,300-2,380r.p.m |
(引用元:日野自動車 日野デュトロ)
2トンクラスは燃料節約に配慮したノーマルモードと、力強い走りをもたらすパワーモードの2つの走行モードが選べます。
また、2トンクラスは5速MT(4WD車)、6速MT(2WD車)、1.5トンクラスは5速MTが設定されており、燃費性能に優れ、発進や加速もスムーズです。
ちなみに、市街地走行に配慮し4.4mの最小回転半径を実現しています。トランスポーターとしての能力が一層高くなったといえるでしょう。
安全性能
積載量2トンクラスのトラックは市街地走行の機会が多く、歩行者との距離が近いことからより一層の安全性能を求められます。
経済産業省・国土交通省や自動車関係団体では、高齢者を含めすべてのドライバーによる交通事故の発生防止や被害軽減対策の一環として、自動ブレーキなどの安全技術を活用した一定の運転機能を備えた車を「安全運転サポート車(サポカー)」と呼び普及に取り組んでいます。
日野デュトロもサポカーの認定を受けています。
2代目日野デュトロは、距離認識に強いミリ波レーダーと形状認識に強い画像センサーで先行車両や歩行者を検知することが可能です。
衝突の可能性が高くなったと判断すると、警報ブザーとディスプレイ表示でドライバーに警告をおこない、自動ブレーキが発動し衝突を回避します。
また車線からのはみ出しや横転、スリップやスピンなどを抑制するため、警報音、エンジン出力制御、ブレーキングにより、ドライバーの危険回避操作をサポートするVSC(車両安定制御システム)を搭載。
さらに、ブレーキとアクセルが同時に踏まれるとブレーキを優先作動させるブレーキオーバーライドシステムや、積載状態に応じて前後輪への制動力配分をおこなうEBD(電子制動力配分制御)機能付ABSなどの安全機能が数多く標準装備されています。
ラインアップとキャブ&ボディバリエーション
魅力的な先進機能が数多く搭載された日野デュトロは、カーゴ、ダンプ・ミキサー、バンをラインアップ。バンには、アルミバンやウイングバン、冷凍・保冷車も用意されています。
キャブのタイプは、一般的な集配業務をはじめ幅広い用途で活躍するシングルキャブと作業員の移動と積荷の搬送が同時におこなえるダブルキャブがあります。
また、ボディバリエーションは下記表のとおりです。
キャブの幅 | ||
4ナンバー | 1ナンバー | 1ナンバー |
標準幅キャブ 標準ルーフ |
標準幅キャブ ハイルーフ |
ワイドキャブ |
1,695mm | 1,695mm | 1,995mm |
(引用元:日野自動車 日野デュトロ)
床面地上高(カーゴ) | ||
標準キャブ | 標準キャブ ワイドキャブ |
標準キャブ ワイドキャブ |
超低床 | 全低床 | 高床 |
745~785mm | 790~955mm | 925~1,105mm |
(引用元:日野自動車 日野デュトロ)
ボデーの長さ(シングルキャブ カーゴ) | ||||
標準長 | セミロング | ロング | 超ロング | 超々ロング |
標準キャブ | 標準キャブ ワイドキャブ |
標準キャブ ワイドキャブ |
ワイドキャブ | ワイドキャブ |
3,110~3,115mm | 3,445~3,570mm | 4,355mm | 5,000mm | 5,500mm |
(引用元:日野自動車 日野デュトロ)
さらに、グレードは標準仕様の「スタンダード」、上級仕様の「ハイグレード」、コストパフォーマンスを追求した「ベーシック」から選べます。
日野デュトロの価格
日野デュトロの価格の目安は下記のとおりです。
車名 仕様・型式 |
仕様 | エンジン トランスミッション |
東京地区 希望小売価格(税込) |
日野デュトロ ハイブリッド 2SG-XKU710M-TQVMX |
ワイドキャブ ロングボデー 全低床 |
N04C-WE 110kW(150PS) Pro Shift Ⅵ (6速 AMT) |
6,220,280円 |
日野デュトロ 2RG-XZC605M-TQTMX |
標準幅キャブ 標準長ボデー 全低床 |
N04C-WD 110kW(150PS) 6速AT |
5,056,480円 |
(引用元:日野自動車)
日野デュトロは中古トラック市場でも人気
日野デュトロは中古トラック市場でも人気です。
人気の理由は下記の4点が挙げられます。
②メンテナンスを受けやすい
③最新のテクノロジーが投入されている
④小回りが効く
日野デュトロのルーツとなった日野レンジャーは、日野自動車は世界一過酷なレースと言われているダカール・ラリーのカミオン(トラック)部門に1991年から連続参戦する日本で唯一のトラックです。
レースで得られた経験は日野の市販モデルにフィードバックされ、高い耐久性が生まれています。
また、メンテナンス拠点が各地に広く分布しているので、困ったときにサポートを受けやすいです。
中古トラック市場での日野デュトロの選び方
積載量2トンクラスの小型トラック市場のなかで確固たる地位を築いた日野デュトロは、中古トラック市場にも多くの車両が流入しており、中古トラック販売店で取り扱われる台数は多くなっています。
しかし、初代日野デュトロと2代目日野デュトロのどちらを選べばいいのでしょうか。
結論を言うと、初代日野デュトロモデルよりも2代目日野デュトロのボリュームゾーンが高額となっているため、価格優先であれば初代日野デュトロ、新しい機能を求める場合は2代目日野デュトロを選ぶべきでしょう。
まとめ
日野デュトロは、小型トラック市場への参入は後発となったものの順調に販売台数を伸ばし人気小型トラックに上り詰めました。
-
- 日野デュトロは、日野レンジャーからの派生モデル。
- 現行モデルは、2代目日野デュトロとなっている。(2022年時点)
- 日野デュトロは、環境に配慮した低燃費システムや高い安全機能が投入されている。