日野レンジャーを徹底解説!歴史や特徴|内装、寸法などについて紹介します
日野自動車は、商業車専門メーカーとしてトラックやバスの製造販売をおこなっています。大・中型トラックの販売シェアは、1973年度より49年連続 No.1。(日野自動車公式サイトより)そのなかでも、販売数トップシェアを誇るシリーズが日野レンジャーです。日野レンジャーは物流業務に活用される一方で、1991年以降、日本で唯一ダカール・ラリーのカミオン(トラック)部門に連続して参戦しています。今回は、日野レンジャーの歴史や特徴、内装、寸法などについて紹介します。
日野レンジャーの歴史
日野自動車は1964年に初代日野レンジャーを発売し、2022年現在、現行モデルは6代目日野レンジャーとなっています。日野レンジャーはモデルサイクルが長い傾向ですが、新型モデルをリリースしたあとに適切なタイミングでマイナーチェンジをおこなっています。そして、さらに完成度を高めていくことで、モデルサイクルが長くても国内最大の販売台数を保ち続けることができていると考えられます。
初代日野レンジャー(1964年~1984年)
初代日野レンジャーは1964年に発売されました。3.5トントラックでハイ・ロー共用点灯式の2灯ヘッドランプを採用したモデルです。そのあと、キャブドア後ろ開き、ヘッドランプ4灯、エンジン出力110psに変更などのマイナーチェンジをおこないました。マイナーチェンジ後の初代日野レンジャーは、2代目日野レンジャー登場後にも生産され続けました。
2代目日野レンジャー(1969年~1980年)
(引用元:Wikipedia)
2代目日野レンジャーは、新開発した120 psのエンジンを搭載して登場。1972年には145psのEH100型エンジン、1974年には155psのEH300型エンジン、1977年には165psのEH700型エンジンが投入されました。のちにEH700型が170psに強化され、2代目日野レンジャーは高出力化が図られたモデルだといえるでしょう。
3代目日野レンジャー(1980年~1989年)
3代目日野レンジャーは、従来モデルのKLシリーズを一新し、4L・4S・4Dシリーズとして1980年に発売されたモデルです。アジアなどの海外仕様車として1995年まで継続生産されるモデルとなりました。
1982年・1984年・1986年・1988年に4度のマイナーチェンジをおこない、1984年のマイナーチェンジではヘッドライトが丸型4灯から角型4灯に変更されました。また、助手席セーフティウインドウが標準装備されました。
4代目日野レンジャー(1989年~2001年)
(引用元:Wikipedia)
4代目日野レンジャーは、異型2灯のヘッドライトと平成元年排出ガス規制適合のH07Dエンジンを搭載し、1989年に発売されました。7トン積のFF、8トン積のFG、3軸低床のGK(6×4)、高床パートタイム4WDのFT、低床4トンフルタイム4WDのFXなど多くの車種が投入されラインナップが充実します。
また、カーゴ系全車にチューブレスラジアルタイヤを標準装備し、4トン積のFDにリヤエアサスペンション車を追加。さらに、オプションでABSや車間距離警報装置、代替フロンガス使用のエアコンが設定できるようになりました。
1995年~1999年の4年間、トヨタにOEM供給がおこなわれています。運転席エアバッグが標準装備されたり、ドアハンドルが金属製から樹脂製に変更されたのも4代目日野レンジャーです。
5代目日野レンジャー(2001年~2017年)
(引用元:Wikipedia)
5代目日野レンジャーは、2001年に発売されました。低公害車LEタイプ車や超低PM車が設定されたり、FC(ショートキャブ)にハイブリッド車が投入されました。また、エアサス車が拡大し、全車にエンジンイモビライザーとマルチインフォメーションシステムを標準装備したのも5代目日野レンジャーです。
中型トラッククラスとしては初めて、バンパー埋め込み型のロアヘッドライトを採用し、斬新なデザインとなりました。
6代目日野レンジャー(2017年~現在)
6代目日野レンジャーは、16年ものロングセラーとなった5代目を廃し、新開発の5.1リットル直列4気筒SOHC16バルブ直噴ディーゼルのA05C型エンジンが全車に搭載されたモデルです。 また、プリクラッシュセーフティや車線逸脱警報装置、VSC(車両安定制御装置)を搭載しています。
ドライバーモニターを採用し、車両情報を通信で日野に送るICTサービス機能を一部車両に標準装備(該当車以外はオプション設定)するなど、最先端技術が投入されています。
現行モデル6代目日野レンジャーの特徴
(引用元:日野自動車)
日野レンジャーは完成度の高いトラックであるため、49年もの間、国内の中型・大型トラック販売数トップシェアを守り続けることができていると考えられます。(2022年時点)
特に6代目日野レンジャーは、初代から50年以上培ってきた日野の技術を惜しげもなく投入したトラックテクノロジーの結晶であるといっても過言ではないでしょう。
車両寸法や荷台寸法
日野レンジャーの代表モデルとして、「レンジャー バン/カーゴ(標準キャブ)」を例に紹介します。
車両寸法や荷台寸法は下記のとおりです。
車両寸法(mm) | 全長 | 全幅 | 全高 |
8,665 | 2,230 | 2,405 |
荷台寸法(mm) | 長さ | 幅 | 高さ |
6,705 | 2,130 | 395 |
内装
日野レンジャーの内装をいくつか紹介します。
シート
(引用元:日野自動車)
日野レンジャーのシートは、商用車ではトップレベルの座り心地です。標準シートは腰や腿周辺のサポート性を向上させ、疲れにくく、安定した姿勢で座れる仕様になっています。
また、オプションで減衰力調整ができる高機能シートやPVCの実用シートも選ぶことも可能です。
ベットスペース
ちょっと休憩するときもしっかり休めるように、ベットスペースが用意されています。
足を伸ばせるため心地良く身体を休めることができ、仮眠の時間も快適です。
LED室内灯
室内灯には、デザイン性やスペース効率に優れ、フロア全体が均一に明るくなるLEDを採用しています。
LEDは省エネかつ長寿命のため、経費の削減にも貢献します。
燃費や走行性能
6代目日野レンジャーの直列4気筒SOHC16バルブ直噴ディーゼルを用いたA05C型エンジンは、2段過給ターボのTC(A5-3)、単段過給ターボのTD(A5-4)・TE(A5-5)・TF(A5-6)・TG(A5-7)の5タイプが用意され、車両区分で搭載エンジンが異なります。
各エンジンの出力は以下のとおりです。
TC(A5-3):191KW(260PS)/2,300rpm、882N.m(90kgf.m)/1,400rpm
TD(A5-4):177KW(240PS)/2,300rpm、833N.m(85kgf.m)/1,400rpm
TE(A5-5):177KW(240PS)/2,300rpm、794N.m(81kgf.m)/1,400rpm
TF(A5-6):155KW(210PS)/2,300rpm、706N.m(72kgf.m)/1,600rpm
TG(A5-7):140KW(190PS)/2,000rpm、706N.m(72kgf.m)/1,600rpm
※TC(A5-3)・TD(A5-4)・TE(A5-5)はDPR+尿素SCR、TF(A5-6)・TG(A5-7)はDPR-2を採用しています。
また、マニュアルトランスミッションには6MTや7MT、オートマチックトランスミッションには6ATを採用し、ワイドレンジ化をおこなうことで力強い走行性能と低燃費の両立を実現しています。
さらに、吸気構造にスタックダクトを採用することで、エンジン効率を向上させる低温の空気を吸気させ、燃費の向上を図っています。
安全性能
(引用元:日野自動車)
6代目日野レンジャーには、距離認識に強いミリ波レーダーと形状認識に強い画像センサーが装備されています。先行車両や歩行者を検知し、警報ブザーとディスプレイ表示によりドライバーに警告をおこない、衝突の可能性が高くなったと判断すると自動ブレーキが発動し、衝突を回避できます。
また、時速約60km以上で走行中の車両のふらつきを検知すると、警報で注意喚起をおこなう車両ふらつき警報や走行車線から車両がはみ出すと警報で注意喚起をおこなう車線逸脱警報も標準装備されています。
さらに、先行車両との距離を計測し、適切な車間距離を自動維持するスキャンニングクルーズや、わき見や目を閉じた状態が続くと警報で注意喚起をおこなうドライバーモニターも一部オプションで装備できます。
グレードとラインナップ
6代目日野レンジャーは、平ボディのカーゴ、パネルシリーズのVQプラス・VQウィングバン・VQクールバン・ダンプ・ミキサーなどのボディバリエーションがラインナップされています。
キャブタイプは標準ルーフ・標準バンパーの標準幅キャブ、標準ルーフ・ロングバンパーのワイドキャブ、ハイルーフ・ロングバンパーの標準幅キャブにショートキャブ・ベッド付きキャブ・ダブルキャブが用意されています。
荷台長も多くのバリエーションが用意されているので4トンショートキャブFCと4トンベッド付きFDを例に紹介します。
ホイールベース (リアボデー内寸長) |
ショート (標準幅) |
ショート (ワイド) |
ベッド付 (標準幅) |
ベッド付 (ワイド) |
4,355mm | ◯ | 設定なし | 設定なし | 設定なし |
4,605mm | 設定なし | 設定なし | ◯ | 設定なし |
5,005mm | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
5,305mm | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
5,755mm | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
6,205mm | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
7,205mm | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
8,500mm | 設定なし | ◯ | 設定なし | ◯ |
9,750mm | 設定なし | 設定なし | 設定なし | ◯ |
日野レンジャーは中古トラック市場でも人気を集める
日野レンジャーは、中古トラック市場でも人気です。
人気の理由は、高出力エンジンが搭載されていることや耐久性が高いこと以外にも、販売網や整備拠点が広く展開されている点やメンテナンス費用がリーズナブルな点が挙げられます。
中古トラック市場で販売されているモデルは、2001年~2017年に製造販売された5代目日野レンジャーが多く、それ以前のモデルを目にすることは多くないでしょう。
まとめ
日野レンジャーは、1964年発売の初代日野レンジャーから現行モデル6代目日野レンジャーまで高い支持を得続け、国内の中型トラックの市場を牽引し続けているといっても過言ではありません。
内容をまとめると下記のとおりです。
-
- 日野レンジャーは、販売数トップシェアを守り続けている
- 初代日野レンジャーは1964年に発売され、現行モデルは6代目日野レンジャー
- 中古トラック市場では、5代目日野レンジャーの割合が多くなっている