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大型トラックの「プシュー」というブレーキ音は異常?普通車にはないブレーキの仕組みや種類などもご紹介!

大型トラックのブレーキ音
大型トラックやバスが停車するときに「プシュー」という音を聞いたことがある方は多いと思います。
乗用車などのような小さな車ではしないこの音、いったい何の音なのだろうかと疑問に思う方も多いことでしょう。
この音は大型車のサイドブレーキにあたる装置である、「ホイールパーキングブレーキ」が発している音であり異常ではないのです。トラックのブレーキシステムは乗用車とは少し違います。そこで今回は、大型トラックのブレーキ音をはじめ異音などもご紹介していきます。

大型トラックから発生する「プシュー」というブレーキ音は異常なの?

ホイールパーキングブレーキ
大型トラックから発せられる「プシュー」という音は異常ではありません。
この音は空気を排出している音であり、音がするということはしっかりと作動しているということです。エアーサスペンションの車などでも同じような音がしますが、どちらもエアーつまり空気を使用したシステムなので、このような独特な音がしていると理解しておけばいいでしょう。

ホイールパーキングブレーキが「プシュー」というブレーキ音を発生させている

大型トラックが停車した際に発生する、「プシュー」という音は「ホイールパーキングブレーキ」という装置から発生しています。この装置は乗用車でいう、サイドブレーキにあたる装置でありトラックやバスが停車した際、勝手に動き出すことを防ぐために使用されています。

通常、普通車や軽自動車、小型のトラックなどではワイヤー式のサイドブレーキを採用している車が多くありますよね。
センターコンソール付近にあったり、ブレーキペダルの横についていたりするはずです。
そしてサイドブレーキ作動時は「カチカチ」という音がして、何かを引っ張っていることが分かります。
普通車などで採用されているサイドブレーキの仕組みは、サイドワイヤーを引っ張ることでブレーキ装置を作動させています。

しかし大型トラックでは、サイドワイヤ-方式を採用しておらず、代わりに圧縮したエアーによってブレーキをかけているのです。
そのため大型車が停車する際、プシューという独特な音が発生しています。

「プシュー」というブレーキ音は空気を抜く音!

ではプシューという音はいったい何の音なのでしょうか。
これは空気を抜いている音となります。空気を抜くことでブレーキを作動させ、サイドブレーキ(ホイールパーキングブレーキ)をかけます。そしてブレーキを解除する際、空気を入れているのです。

プシューという音が大きいのは、大型トラックのブレーキ自体が大きく、その装置を作動するためたくさんの空気を必要としているからだといえるでしょう。

なぜ大型トラックには特殊なブレーキ音のする装置が採用されているの?

ホイールパキングブレーキの操作方法
ではなぜ大型トラックと乗用車では、採用しているブレーキの装置が違うのでしょうか。大型トラックも乗用車と同じブレーキシステムを作用すれば、装置の種類も統一でき、特殊な知識も必要ないのにと考える方もいるかもしれません。
それぞれ採用しているブレーキが違う理由は大きさにあります。

では具体的になぜ違うのかをご説明していきましょう。

大型トラックは制御不能になっただけで大事故になる恐れも

軽自動車のサイドブレーキがかかっておらず、勝手に転がりだしても、人の力で止めることは可能です。しかし大型、特に10t超えのトラックの場合、少しでも動き出せば人の力ではどうすることもできません。大型の車は最悪、転がっただけでも凶器になり得るのです。

乗用車は通常、油圧式のブレーキシステムとなっており、「ブレーキフルード」というオイルでブレーキを作動させています。
しかし大型のトラックでは、油圧ではなくエアー式を採用しており、エアー式の方が制動力が大きいという特徴があるのです。
その他にも大型トラックやバスなど、大きな車にしか採用されていない「リターダーブレーキ」や「排気ブレーキ」なども存在しています。

つまり、乗用車と同じブレーキシステムでは大型車を制御することができません。そのためエアー式を採用し、その他にもさまざまなブレーキシステムを搭載することでトラックの制御を行っているという背景があるのです。

フェイルセーフ機構によって安全を確保している

そして大型トラックのブレーキには、フェイルセーフ機能を採用しています。フェイルセーフとは、装置やシステムが誤作動したり故障した場合、その装置が凶器にならないよう安全に停止させる設計やシステムのことを指します。

例えば家の電気には必ずブレーカーがついていますよね。
通常、大きな電流が流れてしまった際、ブレーカーが落ち電気を使用できなくなります。
これは大きすぎる電流が流れることで、家電製品が壊れるのを防いだり配線からの発火などを防いでいるのです。

つまりブレーカーは、電化製品や家を守る安全装置であるということが分かると思います。
トラックでも同じであり、転がっただけでも大きな事故を引き起こす可能性のあるトラックが暴走しないように、フェイルセーフ機構が採用されているのです。
大型トラックに採用されているフェイルセーフ機構は、ホイールパーキングブレーキと関係があります。

先ほど、大型トラックのブレーキから発するプシュー音は空気を抜く音だとお伝えしました。
ここで少し疑問に思うことがあるのではないでしょうか。
通常、空気を入れて作動するイメージが強いのに、なぜ空気を抜くことでブレーキを作動させているのかという点。

この理由は、空気を入れなければブレーキが作動しないのであれば、空気を溜めるコンプレッサーやエアータンクの破損でブレーキが使用できなくなります。
つまりブレーキ装置やその周辺の故障で、何十トンもある鉄の塊を制御できなくなってしまうのです。

そこで、通常とは逆の使用方法に変えることで、もし壊れてしまってもブレーキが作動し続けるという仕組みにしています。
大型トラックやバスなどは、ブレーキが効いている状態が正常であり、エンジンを始動することでブレーキを解除した状態を維持し続けているのです。

事故につながる恐れのあるブレーキのトラブルとは?

大型トラックのブレーキ
大型であればあるほど、ブレーキの安全性が問われます。ブレーキの故障は、日ごろのメンテナンスだけでなくブレーキの使用方法によっても引き起こされる場合があり、ブレーキが故障するとても危険です。
ではブレーキのトラブルで事故につながる恐れのあるものをご紹介します。

ペーパーロック現象

ペーパーロック現象とは、ブレーキフルードに泡ができブレーキの効きが極端に下がってしまう状態のことを指します。大型トラックであれば、エアー式を採用していますが、中型や小型のトラックは油圧式を採用しているため、ブレーキの過剰な使用や急激なブレーキングでペーパーロック現象が発生する可能性があるのです。

気泡ができるとなぜブレーキの効きが悪くなるかというと、泡ができることで圧力が逃げていくためです。
気泡がなければ、オイルにかかった圧力は均等に伝えられ、ブレーキパッドやライニングに伝わります。
しかしその間に気泡が入ることで、気泡に圧力が逃げ本来オイルにかかるはずだった圧力を奪ってしまうのです。
すると末端にあるブレーキパッドの押しが弱くなり、制動力が下がります。
このようにトラックではフットブレーキのかけすぎでもトラブルが発生し、危険な状態になってしまうということを覚えておきましょう。

フェード現象

次にフェード現象です。
フェード現象とは、ブレーキをかけすぎて、ブレーキパッドやライニングなどの素材が壊れてしまう状態を指します。

詳しく話すと摩擦材が高温となり壊れることで、ガス化します。
そのガスが潤滑剤として機能してしまうことで、ローターとパッドの摩擦が減りブレーキの効きが悪くなってしまうのです。
ドラム式のブレーキは、周りを鉄で囲んであり熱が逃げづらい状況となっています。
そのためこの現象が起こりやすいブレーキだといえるでしょう。

大型トラックから「キーキー」や「ゴゴゴ」などの異音がすると危険!

大型トラックから「キーキー」「ゴゴゴ」という異音は危険
プシューというブレーキ音についてはご説明した通りですが、ブレーキの異音では「キーキー」や「ゴゴゴ」という音が発生することもあります。
これらの音はブレーキの異常を示しており、放置しておくと事故の原因となる可能性もあり危険です。
ブレーキ音は異常でないものもありますが、事故が起こる危険性のある音もあるため、異音を知り危険を察知する必要があります。

トラックのブレーキ周りで発生しやすい異音とは

ではプシュー音以外で、ブレーキから発生する危険な異音について軽くご紹介してきます。

「ゴゴゴー」/「ガリガリ」

ブレーキ周りから「ゴゴゴー」や「ガリガリ」という音がしている場合、ブレーキパッドやライニングが無くなり、ローターなどを傷つけている可能性があります。
ブレーキを踏んだ際に発生する異音であり、放置しておくとパッドの裏面がむき出しになりディスクローターなどを削ってしまいます。
当然ブレーキもかかりづらくなりますし、修理金額も高額になるためパッドの残量は定期的に確認することが大切です。

「キーキー」

ブレーキパッドから発生する「キーキー」音は聞いたことがある方も多いと思います。
この音はブレーキパッドに取り付けてあるインジケーターが鳴っている可能性が高く、パッドの残量が減っていますよと警告しているのです。この音が発生した場合、一度ブレーキパッドの残量を確認しましょう。

「ゴロゴロ」

ブレーキ周りから発生する「ゴロゴロ」音は、ブレーキではなくホイールを取り付ける場所に位置する、ハブベアリングの異音であると予測できます。
ベアリングなのでタイヤが回転する際に発生する異音であり、年式の古いトラックなどで発生することが多くあります。
放置しておくと異音がだんだん大きくなり、タイヤがガタつきハンドル操作に影響が出てくるため危険です。
発生した場合はすみやかに整備工場で修理を受けましょう。

まとめ

フェイルセーフ機構は安全策
大型トラックではプシューというブレーキ音が発生しますが、異常ではありません。
空気を抜く際に発生するこの音は、正常にブレーキが効いている証拠です。
しかしブレーキ音の中には危険な物もあるため注意しましょう。大型トラックのブレーキシステムは乗用車とは違った構造になっています。

  • 大型トラックから発するプシューというブレーキ音はブレーキが作動している音
  • ゴゴゴやキーキーなどの音は異音であり放置するのは危険
  • 大型トラックのブレーキ装置はエアー式を採用している

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