トラックのブレーキパッドは乗用車とは違うの?交換目安や工賃、メンテナンス方法などもご紹介!
ブレーキはタイヤの内側に取り付けられており、回転しているディスクローターやドラムと呼ばれる部品を止めることで、タイヤをロックしています。ブレーキを使用するたびに消耗する部品がブレーキパッドであり、定期的に交換しなければブレーキが効かなくなり、結果事故につながってしまうのです。今回は、トラックのブレーキパッドの交換目安確認方法や、工賃、メンテナンス方法、乗用車との違いなどに付いて分かりやすくご紹介していきます。
ブレーキパッドとは?
ブレーキパッドとは、車のブレーキに使用されている部品です。
ブレーキはディスクやドラムと呼ばれ、ブレーキフルードと呼ばれるオイルの油圧によって作動しています。
ディスクブレーキではディスクローター、ドラムブレーキではドラム部分がタイヤと共に回転しており、これらの部分にブレーキパッドを押し付けることによって摩擦を発生させ、タイヤを止めているのです。
しかし、ブレーキパッドはいつまでも使用できるものではありません。
ブレーキを何度も使用すれば、鉄に押し付けているブレーキパッドは徐々にすり減っていきます。
ブレーキパッドがすり減って無くなってしまえば、ブレーキの効きが悪くなるだけでなく、トラブルの原因にもなります。
つまりブレーキパッドは、定期的に交換しなければならない消耗部品なのです。
ブレーキパッドはトラックと乗用車で同じなの?
ブレーキパッドは乗用車でもトラックでも基本的には同じです。
乗用車と違う点としては、取り付け個数や大きさではないでしょうか。
通常、フロントにはディスクブレーキが使用されており、片方のディスクブレーキにはブレーキパッドが2枚使用されています。
つまりディスクブレーキに使用されているブレーキパッドは通常、4枚ということです。
ディスクブレーキに関しては後述しますが、乗用車に対し大型のトラックの場合、ディスク自体の大きさも乗用車に使用されているものより一回りも二回りも大きいです。
また、トラックによってはディスクブレーキ自体も片方に2つ付いているタイプも存在し、ブレーキパッドの数量も乗用車の2倍になります。
ブレーキの仕組みに関しては、重量の重いトラックの場合、油圧+エアーでの動力を使用するなど乗用車との違いはありますが、ブレーキパッド自体の違いはそれほどないといえるでしょう。
トラックに使用されているブレーキの種類
トラックに使用されているブレーキの種類は2つです。
ディスクブレーキ
ディスクブレーキは、フロント側のタイヤに多く使用されているブレーキです。
ディスクローターと呼ばれる円盤状の金属を、裏側と表側に取り付けられたブレーキパッドで挟み込み、車を停車させます。
ディスクブレーキのメリットは、放熱性の高さです。
ブレーキがむき出しの状態となっているため、熱を持った場合でも送風などでスムーズに熱を逃がしてくれます。
1セットのディスクブレーキでは、ブレーキパッドが4枚使用されています。
ドラムブレーキ
ドラムブレーキは、ドラムと呼ばれる丸い円柱型のドラムがタイヤの内側に取り付けられています。
ドラムを開けると、ライニングやシューと呼ばれる部品が取り付けられており、この部品がディスクブレーキでのブレーキパッドの役割を担っています。
ライニングはドラムの周囲を内側から囲むように作られており、ブレーキを踏むことでライニングが広がり、ドラムを固定する作りとなっておりメリットは、ディスクに比べコスト面が安いという点です。
通常、リアに使用されることの多いドラムブレーキですが、大型トラックなどでは前後共にドラム式を採用している車両も存在し、ライニングはディスクブレーキ同様、左右4枚が使用されています。
トラックで使用されているブレーキパッドの交換目安は?
ではブレーキパッドの交換目安はどうやって判断すればいいのでしょうか。
目安としては大きく2種類が考えられます。
インジケーターによる目安
ブレーキパッドのインジケーターとは、ブレーキパッドが減ってきたことを運転者に伝える役割を持つ装置です。
よくブレーキを踏んだ際、「キーキー」という音が出ている車を見たことがあると思います。
これはインジケーターが鳴っており、ブレーキパッドが残り少ないですよ、と警告しているからなのです。
ブレーキ鳴き全ての原因がインジケーターではありませんが、ブレーキパッドを交換する目安として知っておくとよいでしょう。
パッド残量での目安
最も確実な方法が、ブレーキパッドの残量を見て交換するという方法です。
整備士として働く中で、ブレーキパッドの交換を勧める際は必ず、ブレーキパッドの残量を見ます。
ブレーキパッドの残量目安は以下のとおりです。
・ディスクブレーキ・・・3㎜以下
・ドラムブレーキ・・・1㎜以下
これよりも少なければ、走行中にブレーキパッドが無くなってしまう危険性が出てきます。
乗用車の理想としてはこのような残量となりますが、運送業で使用されているまたは、年間の走行距離が多い場合はこの限りではありません。
軽トラックや小型トラックであれば、一般的な乗用車と同じ残量で交換することもありますが、走行距離の多い中型、大型トラックの場合は違います。
毎年、車検ごとに交換したり年間走行距離を考え、半分ほどになれば交換なども珍しくありません。
ブレーキが効かなくなれば事故を起こす可能性は高く、早め早めの交換が大切です。
乗用車では約3年ほどで交換するブレーキパッドですが、仕事などで使用されることの多いトラックでは、3ヶ月に1度行われる法定点検でパッドの残量を確認し、走行距離に見合ったサイクルでの交換がベストではないでしょうか。
トラックに使用される一般的な新品のブレーキパッドは
・ディスク・・・10~14㎜
・ドラム・・・5~10㎜
です。
自分でブレーキパッドの残量を確認できれば一番いいのですが、ドラムブレーキなどはタイヤを外さなければ確認することができず、整備経験の無い一般のドライバーでは難しいといえるでしょう。
そのため、無理に自分で確認しようとせず定期的に点検を行い、整備担当者としっかりと話し合い交換を決めることが大切なのです。
ブレーキパッドの交換工賃はいくら?
ブレーキパッドの交換費用は、2万~4万円程度だと考えておけばよいでしょう。
この値段は前輪だけ、もしくは後輪だけの値段であり、前後全てのブレーキパッドを交換しようと思った場合、2倍の金額となります。
ブレーキパッドを前後同時に交換する頻度は少ないです。
理由としては、フロントのブレーキパッドの方が減りやすいためであり、フロントのみ交換やリアのみ交換という形で行います。
また、ブレーキパッドの交換工賃は、トラックの大きさによってや作業を行う整備工場でも工賃が変わるのです。
運送用に使用されているトラックであれば、走行距離が多く、車検ごとにブレーキパッドを交換するといったことも十分あり得ます。
乗用車に比べ部品代が高くなってしまうトラックですが、ブレーキパッドは事故に直結するためこまめに交換する必要があるのです。
ブレーキパッドを交換しないとどうなるの?
ブレーキパッドを交換しないと、ディスクローターやドラム部分を削ってしまいブレーキ本体の交換が必要になってきます。
ブレーキパッドは「摩擦材」や「摩擦調整剤」「補強材」などを混ぜ合わせ作られています。
パッドを支える部分は鉄であり、ブレーキパッドが無くなることによって鉄部分がドラムやディスクローターに直接あたり、傷を付けてしまうのです。
ブレーキパッドが全くない状態で走り続けると、ブレーキが効きづらくなるほか、異音の原因となったり、鉄の部分がディスクなどに焼け付いてしまう可能性もあります。
結果、ブレーキ本体のみならずディスクローターの交換も必要になってくるため、修理費用は高額となることでしょう。
ブレーキは安全に車を走行させるうえで必要不可欠な部品です。
交換工賃が高いからと交換を先延ばしにせず、ブレーキパッドが少ないなと感じた場合、すぐに交換し安全に走行することが最も大切なことではないでしょうか。
ブレーキパッドの交換は自分でもできるの?
ブレーキパッドの交換は自分でも行うことはできます。
しかしトラックとなれば、ジャッキアップするのも大変ですしタイヤを外すなどの作業が必要となります。
また、車に詳しくない方がブレーキなどの安全性を左右する装置を分解するということは、きちんとした知識を持っていなければ事故の原因にもなりかねません。
ブレーキは整備士でも2級以上所有者か、その資格所有者が作業後確認しなければ触ることができない箇所です。
交換方法は外して交換するだけの作業ですが、締め付けなければいけないボルトの締め付けを忘れたり、かけなければならならないスプリングをかけ忘れていれば、それだけで大変危険な状態となります。
また、交換作業も決して簡単だとはいえません。
自分で交換することはできますし、自分で交換できれば工賃を浮かすことができますが、車の安全性能にかかわる部分なので、整備経験のない方はプロの整備士に任せた方がよいでしょう。
ブレーキパッドのメンテナンスはとても大切!
ブレーキパッドのメンテナンスはとても大切です。
車検などではブレーキの残量を確認することはもちろんのこと、
・鳴き止め
・ブレーキダストの清掃
・正常に動くかどうかの確認
・ブレーキフルードの漏れを確認
などさまざまな点検やメンテナンスを行っています。
また、法定点検時にもブレーキ周辺のメンテナンスを行い、常に安全に走行できる環境を整えているのです。
しかし、このメンテナンスは整備士でなければ難しいのではないでしょうか。
日常的に行えるメンテナンスではなく、整備工場やディーラーなどに持ち込みメンテナンスを行う場合が一般的だといえるでしょう。
もしこれらのメンテナンスを定期的に行っていなければ、ブレーキパッドの極端な摩耗や引きずり、錆付などの原因となってしまいます。
車の足回りは最も汚れやすい部分であり、キレイな状態を維持するためには、こまめなメンテナンスが必要不可欠です。
トラックを運転している従業員の安全を確保するためにも、行きつけの整備工場へ持ち込み、こまめにメンテナンスをお願いしましょう。
まとめ
トラックのブレーキパッドは、トラックを安全に走行させるうえでとても重要な部品となります。
車を整備するうえで、「分解整備」というジャンルがあるのですが、これはエンジンオイル交換などのメンテナンスは該当しません。
該当する整備は、エンジンの載せ替えやタイヤ交換など走行するうえで重要なパーツを触る場合のみです。
そしてブレーキも走行するうえでとても大切なパーツなので、ブレーキパッドの交換も分解整備に該当し、2級以上の整備士免許保有もしくはそれらの方が確認することで、3級整備士でも作業することができます。
つまり、ブレーキパッドの交換はそれほど慎重な作業が求められるということです。
気づいたときにはブレーキパッドが全くなかったという事態にならないためにも、定期的な点検は必ず受けるようにしましょう。
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- ブレーキパッドの構造は乗用車でもトラックでも同じ
- ブレーキパッドの交換目安は、走行距離、インジケーター、パッド残量で決まる
- ブレーキパッドの交換工賃は約2万~4万円程度(前後どちらか)
- ブレーキパッドのメンテナンスは事故を起こさないためにとても重要