【最新情報】トラックで人気の架装パワーゲートとは?特別教育の義務化の詳細|種類・特徴・注意点・費用
本記事では、架装パワーゲートの種類や特徴、特別教育の義務化について徹底解説します。また、導入費用や実際の運用方法についても詳しくご紹介するので、トラックにパワーゲートを導入予定の方や、業務効率化を考えている方はぜひ参考にしてください。
トラック架装で人気のあるパワーゲートとは?
パワーゲートは、トラック荷台の後部に取り付けられた荷物の積み降ろしを効率化する装置です。
この装置は、電動または油圧式の力で荷台に設置されたプラットフォームを上下させる仕組みで、人力では困難な重量物や大量の荷物の積み降ろしをスムーズにおこなえます。操作は簡単で、スイッチ操作やリモコンを使って昇降をコントロール可能です。
パワーゲートは、平ボディやアルミバン、冷凍車などさまざまなトラックに取り付け可能で、運行効率を向上させるだけでなく、ドライバーの負担軽減にも役立つため、多くの現場で重宝されています。
パワーゲートは極東開発工業の商標?国内には7社の架装メーカーが存在する!
トラックの人気架装として知られるパワーゲートですが、パワーゲートの名称はパワーゲートを製造・販売する極東開発工業の商標です。正式名称は「テールゲートリフター」と呼びますが、極東開発が国内で最初に昇降装置を製造し普及したため、「パワーゲート」が一般的にも広く使われています。
国内には極東開発以外にも車載昇降装置を取り扱う架装メーカーが6社存在し、各社が下記の名称で車載昇降装置の製造・販売をおこなっています。
・新明和工業:マルチゲート
・日本フルハーフ:フルゲートリフター
・ケーテー自動車工業:バーチカルゲート
・日本リフト:リフトゲート・テールリフト
・日本トレクス:トレクスゲート
・北村製作所:ペットリフト・オートレベルリフト・スライドフォルダーリフトなど
現在では極東開発を含めた7社がパワーゲートを製造していますが、新明和工業と極東開発はOEM供給をおこない国内シェアを独占しています。
パワーゲート4種類とそれぞれの特徴
パワーゲートには、パワーゲートの構造やリフトの格納方法の違いにより、大きく分けて4つの種類があります。
・アーム式パワーゲート
・垂直式パワーゲート
・跳ね上げ式パワーゲート
・格納式パワーゲート
それぞれのパワーゲートの特徴について解説していきます。
アーム式パワーゲート
(参照元:極東開発)
アーム式パワーゲートはカンチレバー式とも呼ばれる昇降方式で、車両後部に取り付けた巨大なアームが弧を描きながら上下します。荷台を離れたプラットフォームは水平を保ちながら降下しますが、アームが接地すると車両後方に向かってゆっくりと下り勾配となりスロープ状で停止するため荷台を用いた荷役の作業性が向上します。
垂直式パワーゲート
(参照元:極東開発)
垂直式パワーゲートは、トラックの荷台に取り付けたガイドレールに沿ってプラットフォームが垂直に上下運動します。ガイドレールの設定次第では荷台よりも高い場所に荷物を持ち上げることも可能です。
跳ね上げ式パワーゲート
(参照元:極東開発)
跳ね上げ式パワーゲートは、トラックの後部扉をプラットホームとして利用できるタイプのパワーゲートです。使用時には荷台の高さに合わせて昇降し、未使用時には後部扉に跳ね上げて格納できます。
プラットホームが大きいため、カゴ台車や自動販売機などの大型荷物の積み降ろしに適しています。電動や手動で操作でき、スムーズな作業が可能です。このタイプは積載量が多い現場や効率を重視する場面で特に活躍します。
格納式パワーゲート
(参照元:極東開発)
格納式パワーゲートは、荷台の下にリフトを収納できる仕様のパワーゲートです。未使用時にはリフトが邪魔にならないため、周囲での作業や車両後部扉の開閉がスムーズにおこなえるメリットがあります。
観音式バンやウイング車、福祉車両にも装着可能で、汎用性が高い点が特徴です。プラットフォームの面積や昇降能力が高く、大型荷物や冷凍食品輸送にも適しており、中型・大型トラックに幅広く利用されています。コンパクトかつ実用性の高い設計が魅力です。
【令和6年法改正あり】特別教育の義務化とは?
令和6年2月から、労働災害防止の一環として、貨物自動車に設置されたテールゲートリフターを操作する業務に対する特別教育が義務化されました。テールゲートリフターは、重量物の積み下ろしを効率化する装置ですが、誤操作や不適切な使用による墜落、転倒、荷物の崩壊といった労働災害が発生しています。
この改正では、こうしたリスクを軽減するために、テールゲートリフター操作の業務を労働安全衛生法第59条に基づく特別教育の対象に指定しました。そのため、事業者は労働者の安全対策のため、必要な知識や技能を習得させる教育を実施する必要があります。
特別教育の対象
以下の条件に該当する業務をおこなう労働者が対象となります。
・貨物自動車に設置されたテールゲートリフターを使用して荷物の積み下ろしをおこなう作業
・テールゲートリフターの昇降板操作、キャスターストッパーの操作、昇降板の展開・格納の操作を伴う業務
なお、点検作業や介護用車両の車椅子装置に関する業務は対象外です。
受講要件
受講にあたって学歴や実務経験は問われず、満18歳以上であれば誰でも受講可能です。
また、令和6年1月31日までに6か月以上の実務経験がある場合、短縮コース(4.5時間)の受講が認められます。
教育内容
特別教育は学科と実技の両方で構成されており、以下の内容を学びます。
科目(時間) | 内容 | |
学科 (計4時間) |
テールゲートリフターに関する知識 (1.5時間) |
種類、構造、取扱い方法、点検方法など |
テールゲートリフターによる作業に関する知識 (2時間) |
荷の特性や保護具の使用、災害防止策など | |
関係法令 (0.5時間) |
労働安全衛生法および関連規則 | |
実技 (計2時間) |
テールゲートリフターの操作方法 (2時間) |
テールゲートリフターを安全に操作する方法など |
費用
特別教育の受講費用は施設や地域によりますが、一般的には5,000円~10,000円程度とされています。企業が主催する場合は、事業者が全額負担するケースが多いです。
注意点
事業者は、対象労働者に特別教育を受講させない場合、法令違反となり罰則の対象となる可能性があります。また、教育修了後は修了証が発行され、業務に従事するためにはこれを保持する必要があります。特別教育は労働者の安全を守るための重要な制度であるため、早めの準備と実施が求められます。
今回の法改正を受け、テールゲートリフターを利用する現場では、安全性の向上が一層期待されます。事業者は、労働災害のリスクを減らすためにも、教育の徹底を図りましょう。
中古トラックの購入後に新たなパワーゲートの取り付けは可能なのか?
パワーゲートはトラックメーカーではなく、パワーゲートを製造する架装メーカーによって取り付けられるため、所有するパワーゲート非搭載車やパワーゲートが架装されていない中古トラックを購入した場合でも後付けすることは可能です。
しかしパワーゲートは装置本体の重量が重くトラックの基本性能に影響を及ぼすものが一般的であるため、後付けでパワーゲートを搭載する場合は所定の手続きや検査を受ける必要があります。
トラックに大幅な変更を施す場合は構造変更手続きと車検が必要
パワーゲートは本体重量が重く、昇降能力が大きくなるほど本体重量が増加します。後付けでパワーゲートを搭載したトラックは、搭載後に陸運支局で構造変更手続きをおこない、構造変更車検を通過する必要があります。
パワーゲート取付けは最大積載量の変更が必要となるのが一般的
既述通り、後付けでパワーゲートを搭載すると陸運支局で構造変更手続きをおこなう必要がありますが、構造変更手続きの内容にはトラックの最大積載量の変更も含まれます。
トラックの最大積載量は車両総重量から車両重量と乗車定員×55kgを差し引いた重量で算出されるため、パワーゲートを搭載するとパワーゲートの重量分が最大積載量から差し引かれます。
中古トラックにパワーゲートを取付ける際の取付け費用目安額は?
所有するトラックや購入した中古トラックにパワーゲートが搭載されておらず、後付けでパワーゲートを搭載する際にどうしても気になるのが「パワーゲートの後付け費用」ではないでしょうか?
パワーゲートを後付けする際にはパワーゲート本体費用・取付工賃・構造変更手続き、構造変更車検費用などが発生しますが、その中で最も高額なのがパワーゲート本体費用です。
パワーゲートは高額パーツ!取り付け費用は決して安いものではない
パワーゲートは、重量のある積み荷を軽々と持ち上げ、荷役作業の効率を格段に向上させることができる非常に魅力的な架装であると共に、非常に高額なパーツであるのも事実です。
一般的にアーム式のパワーゲートで100万円以上、垂直式のパワーゲートで50万円以上の費用がかかります。数多く存在するトラックの車両オプションのなかでも、パワーゲートは高額な部類に入る装置であると言えるでしょう。
パワーゲートにもリビルド品は存在する!予算に合わせたゲート選びも可能
パワーゲートには中古品やリンク品、リビルト品も存在します。しかし、パワーゲートのリビルト品のニーズが高いため、取付け工賃込みの価格は新品とあまり変わらないことも多くあります。
新品のパワーゲートと比較すればリサイクルパーツはお買い得ではあるものの、実際に中古品のパワーゲートを後付けしても、お得感は少ないかもしれません。
中古トラック販売店にはパワーゲート搭載車両も数多く存在する
人気の高い架装であるパワーゲート搭載トラックは非常に多く、パワーゲートが普及率の高い装置であることから中古トラック市場には多くのパワーゲート搭載車両が流入しています。
お得にパワーゲート搭載トラックを手に入れたいという方は中古のパワーゲート搭載トラックを購入するというのも一つの手です。
パワーゲート搭載の中古トラックはこちら
パワーゲート付き中古トラックを購入する際に注意するポイント
パワーゲートの昇降能力やプラットフォーム寸法は、購入前に必ず確認すべき重要な要素です。特に、垂直式やアーム式は400kg~800kg、跳ね上げ式や格納式は1000kg~2000kgの昇降能力があります。
また、プラットフォームのサイズは、積み下ろしする荷物の大きさに合うかどうかを事前にチェックしましょう。用途に合わない場合、作業効率が低下する可能性があるため慎重に選定してください。
一般的な中古トラックの購入するポイントは下記の記事で詳しく解説しています。
<あわせてよみたい>
上手な中古トラック購入方法とは?ボディタイプ別のチェックポイントを大紹介!
中古トラックへのパワーゲート取付けは搭載車両との比較が重要
パワーゲートが高額な架装であることから、中古トラック市場でもパワーゲート搭載車両は車両価格にパワーゲートの価格が加算されています。そのため、非搭載車両と比べると同年式・同モデルのトラックでもパワーゲート搭載車は高額となることがほとんどです。
しかし非搭載車を購入し、後で後付けでパワーゲートを搭載する手間や費用を考えると、初めからパワーゲートを搭載する車両を選択したほうが効率的で安上がりになります。
パワーゲート付き中古トラックの購入は、【トラック流通センターへ】
トラック流通センターでは、パワーゲート付きの中古トラックを多数取り扱っています。
もし希望の中古トラックが見つからない場合も、当社独自の中古トラックネットワークから、市場に出回っていない在庫からも提案可能です。
まとめ
パワーゲートは、トラックの荷役作業を効率化し、作業者の負担を軽減する便利な架装装置です。令和6年2月からは労働安全衛生法に基づく特別教育の義務化が開始され、安全性向上への取り組みが進められています。
中古トラック市場ではパワーゲート搭載車の選択肢も多く、後付けも可能ですが、構造変更手続きや費用面を考慮した選定が重要です。ぜひこの記事を参考にして、用途に適した装置や車両を選び、効率的かつ安全な運用の参考にしてください。
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- パワーゲートは、トラック荷台の後部に取り付けられた積み降ろしを効率化する装置。電動または油圧式で、重い荷物を簡単に積み降ろしでき、作業の効率と安全性を向上させる
- パワーゲートはリヤゲート式、アーム式など複数の種類があり、用途や作業条件に合わせた最適な選定が可能
- パワーゲートは、極東開発工業が商標を持ち、他にも新明和工業や日本フルハーフなど、7社の架装メーカーがパワーゲートを製造・販売している
- 労働安全衛生法の特別教育義務化により、安全性を確保しながら利用できる環境が整っている
- パワーゲート付き車両は中古車市場でも需要が高く、用途に合った車両を比較的安価に購入することが可能