中古トラックにパワーゲート取付けは可能?パワーゲートの種類と特徴、費用とは?
車両の荷台後方に搭載されるパワーゲートは数あるトラックの架装のなかでも人気の高い装置で、車両区分に関わらす非常に多くのトラックに搭載されています。中古トラック市場にも大量のパワーゲート搭載車が流入しており中古パワーゲート搭載車を探すことは決して難しくはありませんが、パワーゲート以外の条件が理想的であるなどの理由で非搭載車を購入するケースも存在します。
また現在所有するトラックにパワーゲートが搭載されておらず「後付けでパワーゲートを搭載できないものか?」と考えている方も少なくないようですので、人気の架装パワーゲートが後付けできるのかを紹介します。
荷物の積み下ろし作業効率を大幅に向上させるパワーゲートとは?
実際にトラックのハンドルを握る運転業務以外にもトラックドライバーには「荷役」と呼ばれる荷物の積み下ろし作業が求められ、荷役に費やす労働力はドライバーにとって決して小さなものではないと言えるでしょう。
トラックドライバーにとって憂鬱な荷役の肉体的負担を軽減すると共に、荷役作業の作業性を向上させ運行効率向上が図れるのが車載昇降装置であるパワーゲートです。パワーゲートは本体付属の操作盤やリモコン操作でプラットフォームを上下運動させることができる車載小型エレベータとも言える装置です。
パワーゲートは極東開発工業の商標?国内には9種類のゲートが存在する!
トラックの人気架装として知られるパワーゲートですが、パワーゲートの名称はパワーゲートを製造・販売する極東開発工業の商標で、極東開発が国内で最初に昇降装置を製造し普及したため、一般的に車載昇降装置がパワーゲートと呼ばれています。
国内には極東開発以外にも車載昇降装置を取り扱う架装メーカーが5社存在し、各社が次に挙げる名称で車載昇降装置の製造・販売を行っています。
・新明和工業:マルチゲート
・日本フルハーフ:フルゲートリフター
・ケーテー自動車工業:バーチカルゲート
・日本リフト:リフトゲート・テールリフト
・日本トレクス:トレクスゲート
上記5社6ブランドと極東開発のパワーゲートが国内でトラックに架装される車載総走行装置ですが、神明和工業と極東開発はOEM供給を行い国内シェアを独占している状態だと言えるため、本稿ではパワーゲートの名称を使用しながら解説します。
パワーゲートは格納方式と昇降方式で分類される
国内では6社が7ブランドのパワーゲートを製造・販売していますが、パワーゲートは格納昇降と昇降方式で分類されます。パワーゲートの格納方式にはプラットフォームを荷台や荷室の後部に跳ね上げて格納する跳ね上げ式と、荷台や荷室を支えるシャーシの下に格納する格納式が存在します。
跳ね上げ式はパワーゲートを展開しなければ車両後部へアクセスできなくなりますが、プラットフォーム自体を荷台や荷室の後部ドアとして使用するケースも存在します。また一部の工事車両などでは格納式を車両側面に取り付けられるケースも存在します。
国内で普及するパワーゲートの昇降方式は2つの種類に大別できる
パワーゲートの目玉機能は昇降機能ですが、プラットフォームを上下させる昇降方式にもアーム式と垂直式の2つの方式が存在しますので、それぞれの昇降方式を紹介します。
アーム式パワーゲート
参照元:極東開発
アーム式パワーゲートはカンチレバー式とも呼ばれる昇降方式で、車両後部に取り付けた巨大なアームが弧を描きながら上下します。荷台を離れたプラットフォームは水平を保ちながら降下しますがアームが接地すると車両後方に向かってゆっくりと下り勾配となりスロープ状で停止するため荷台を用いた荷役の作業性が向上します。
垂直式パワーゲート
参照元:極東開発
トラックの荷台に取り付けたガイドレールに沿ってプラットフォームが垂直に上下運動する昇降方式が垂直式パワーゲートで、ガイドレールの設定次第では荷台よりも高い場所に荷物を持ち上げることも可能です。
中古トラックの購入後に新たなパワーゲートの取り付けは可能なのか?
パワーゲートはトラックメーカーではなくパワーゲートを製造する架装メーカーによって取り付けられるため、所有するパワーゲート非搭載車やパワーゲートが架装されていない中古トラックを購入した場合でも後付けすることは可能です。
しかしパワーゲートは装置本体の重量が重くトラックの基本性能に影響を及ぼすものが一般的であるため、後付けでパワーゲートを搭載する場合は所定の手続きや検査を受ける必要があります。
トラックに大幅な変更を施す場合は構造変更手続きと車検が必要
パワーゲートは本体重量が重く、昇降能力が大きくなるほど本体重量が増加します。後付けでパワーゲートを搭載したトラックは搭載後に陸運支局で構造変更手続きを行い構造変更車検を通過する必要があります。
パワーゲート取付けは最大積載量の変更が必要となるのが一般的
既述のとおり後付けでパワーゲートを搭載すると陸運支局で構造変更手続きを行う必要がありますが、構造変更手続きの内容にはトラックの最大積載量の変更も含まれます。トラックの最大積載量は車両総重量から車両重量と乗車定員×55kgを差し引いた重量で算出されるため、パワーゲートを搭載するとパワーゲートの重量分が最大積載量から差し引かれます。
中古トラックにパワーゲートを取付ける際の取付け費用目安額は?
所有するトラックや購入した中古トラックにパワーゲートが搭載されておらず、後付けでパワーゲートを搭載する際にどうしても気になるのが「パワーゲートの後付けにいったいいくら必要なのか?」ではないでしょうか?
パワーゲートを後付けする際にはパワーゲート本体費用・取付工賃・構造変更手続き、構造変更車検費用などが発生しますが、最も高いウエイトを占めるのがパワーゲート本体費用だと言えます。
パワーゲートは高額パーツ!取り付け費用は決して安いものではない
重量のある積み荷を軽々と持ち上げ、荷役作業の効率を格段に向上させることができるパワーゲートは非常に魅力的な架装であると共に、非常に高額なパーツであるのも事実です。
一般的にアーム式100万円以上・垂直式50万円以上の経済的負担が発生すると言われており、数多く存在するトラックの車両オプションのなかでもパワーゲートは高額な部類に入る装置であると言えるでしょう。
パワーゲートにもリビルド品は存在する!予算に合わせたゲート選びも可能
パワーゲートにはリサイクルパーツである中古品やリンク品、リビルド品も存在しますが、パワーゲートに対するリビルド品のニーズが高いため、取付け工賃込みの価格は新品とあまり変わらない状況にあります。
新品のパワーゲートと比較すればリサイクルパーツはお買い得ではあるものの、パワーゲートの後付けの経済的負担は決して小さくないと言えるのも事実です。
中古トラック販売店にはパワーゲート搭載車両も数多く存在する
トラックドライバーの荷役作業の肉体的負担を大きく軽減し、作業効率を向上させるパワーゲートは非常に魅力的な架装であり、非搭載車両に後付けで搭載することも可能ではあるものの、後付けでパワーゲートを搭載するハードルは決して低くないと言えます。
しかし既にふれたとおり人気の高い架装であるパワーゲート搭載トラックは非常に多く、パワーゲートが普及率の高い装置であることから中古トラック市場には多くのパワーゲート搭載車両が流入しています。
中古トラックへのパワーゲート取付けは搭載車両との比較が重要
パワーゲートが高額な架装であることから、中古トラック市場でもパワーゲート搭載車両は車両価格にパワーゲートの価格が加算されるため、非搭載車両と比べると同年式・同モデルのトラックでもパワーゲート搭載車は高額となります。
しかし非搭載車を購入して後で後付けでパワーゲートを搭載する手間や費用を考えると、初めからパワーゲートを搭載する車両を選択したほうが結果的に効率的で安上がりになると考えられるのはないでしょうか?
選択肢の広い中古トラック販売店で効率的なパワーゲート車導入の実現を!
パワーゲート非搭載車両を購入し後付けで取り付ける方法は、既にパワーゲートを保有している場合などには確かに効果的であるケースも存在しますが、通常後付けは割高になる傾向が強いと言えます。
中古トラック販売店の豊富な在庫のなかからパワーゲートを搭載し、なおかつお買い得な中古トラックを探しだし購入することが最も効率的で、理想的なパワーゲート搭載車両の導入方法ではないでしょうか?
まとめ
荷役作業の劇的な効率化を実現できるパワーゲートですが、非搭載車両へ後付けで搭載することはあまり現実的ではないと言えます。新たなトラックの導入や乗り換えの際には中古トラック販売店を上手に活用することで効率的な車両導入を実現できますが、車両のチェックポイントにパワーゲートの搭載・非搭載を加えることをおすすめします。
またパワーゲートには次に挙げる特徴がありますので、チェックの際には3つの特徴をしっかり確認することもおすすめします。
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- プラットフォーム収納方式には跳ね上げ式と格納式があ
- アーム式はアーム設置後にプラットフォームがスロープ状となる
- 垂直式はガイドレール設定で荷台より高く積み荷を持ち上げられる