トラックの架装とは?平ボディやバン、ダンプ等の特徴を徹底解説
トラックのボディタイプを決定する架装とは?
トラックの架装とは、荷台部分に取り付けられる装備を指します。この装備は「ボディ」や「上物」とも呼ばれ、トラックの特徴を決定づける重要な要素です。平ボディ、アルミバン、ウイングボディ、ダンプなど、トラックにはさまざまな種類のボディタイプがありますが、これらの違いを生み出しているのが架装です。
同じメーカー・同じモデルのトラックでも、架装が異なることで用途や特徴が大きく変わります。そのため、トラックメーカーのカタログにはさまざまなボディタイプが紹介されていますが、実際に架装を施すのはトラックメーカーではありません。架装は「架装メーカー」や「ボディメーカー」と呼ばれる専門のメーカーによっておこなわれています。この仕組みにより、用途やニーズに応じた多彩なトラックが生み出されています。
トラックメーカーだけでは、トラックは完成しない
道路を走っているトラックは、トラックメーカーの工場で全て製造されているような印象を持つ方が多いのではないでしょうか?しかし、トラックメーカーでは、キャビン(エンジンやトランスミッション込み)とシャーシを製造しています。
その後、キャブ付き裸シャーシと呼ばれる状態で架装メーカーに引き継がれ、架装メーカーによってボディや上物と呼ばれる架装が施され、さまざまな種類のトラックが完成します。
そのため、トラックメーカーは、車両の基本性能を左右する重要な部分の製造をおこなっています。
トラックに架装を施す代表的なメーカー
トラックに施される架装にはさまざまな種類があるため、多くの架装メーカーが存在します。搭載車両が非常に多い一般的な架装でも、次に挙げるような多くの架装メーカーによって製造・搭載されています。
架装の種類 | 架装メーカー |
平ボディ | 山田車体工業・勝田製作所・美川ボディ |
バン(箱車) | 北村製作所・日本フルハーフ・パブコ・矢野特殊自動車 |
ダンプ | 極東開発工業・新明和工業・いすゞ車体 |
車載クレーン | 古河ユニック・タダノ・加藤製作所 |
トラック架装の種類
架装によって、トラックは下記の種類に大別されます。
1.平ボディ
2.バン(箱車)
3.トレーラー(牽引式貨物自動車)
4.ダンプ
5.ウイング
それぞれのトラックの特徴を解説していきます。
1.平ボディ
平ボディは、屋根のない平らな荷台を特徴とする架装の一つで、トラックの中でも最も基本的で汎用性の高いタイプです。荷台の構造は非常にシンプルで、荷台の左右と後方を「アオリ」と呼ばれる側板が囲んでいます。これにより、積載物が落ちるのを防ぎつつ、アオリを下ろすことで荷台がフリーな状態になるため、荷物の積み下ろしが容易です。特にフォークリフトやクレーンを使用した作業では、その使いやすさが際立ちます。
また、平ボディは軽トラックから大型トラックまで幅広いサイズで使用され、多様な用途に対応可能です。その汎用性の高さから、建設現場や農作業、物流業界など、さまざまな現場で活躍しています。一方で、荷台に屋根がないため、雨風や直射日光に弱いというデメリットもあります。このため、水濡れや熱に弱い荷物には適していません。しかし、形状や大きさに制約が少ないため、大型の建材や機械類など、特殊な荷物の運搬にも柔軟に対応できる点が大きな魅力です。
平ボディは、「シンプルイズベスト」を体現したトラック架装の代表格といえます。
2.バン(箱車)
バン(箱車)は、荷台部分がアルミ製の箱型になっている架装で、「アルミバン」とも呼ばれます。この構造により、雨風や直射日光から荷物をしっかりと保護できるため、引越しや精密機械、食品などの運搬に最適なタイプです。街中でも非常によく見かけるトラックの一つで、平ボディと並ぶ代表的な架装です。
バンには通常のアルミバンのほか、温度管理が可能な「冷蔵バン」や「冷凍バン」、保冷機能を備えた「保冷バン」なども存在します。これにより、温度変化に敏感な食品や医薬品、精密機器などの輸送にも対応可能です。また、バンの側面は広い面積を活用できるため、広告として社名やロゴを表示することで高い宣伝効果も期待できます。
一方で、箱型の特性上、荷台の高さ制限があり、大型の機械や重機などの積載には不向きな場合もあります。それでも、荷物を外部環境から保護し、安全に運搬できる点で、非常に高い実用性を誇る架装です。バンはその汎用性と多様性から、物流業界において欠かせない存在となっています。
3.トレーラー(牽引式貨物自動車)
トレーラーは、トラクターと呼ばれる牽引車に連結して運行する大型貨物自動車です。荷台部分に車輪を備えた被牽引車両で、自走する機能はありません。主に「フルトレーラー」と「セミトレーラー」の2種類があり、用途や積載物に応じて使い分けられます。
フルトレーラーは自ら重量を支える前輪と後輪を持つため、安定性が高く、大量の貨物を運搬する際に適しています。一方、セミトレーラーは後輪のみを備え、前方をトラクターに支えられて走行します。日本ではセミトレーラーが主流で、コンテナ運搬や重機輸送、タンク型の液体輸送など、多岐にわたる用途で使用されています。
トレーラー最大の利点は、荷台部分を切り離して効率的に荷物の積み下ろしをおこなえる点です。これにより、トラクターは滞在時間を短縮し、稼働率を向上させられます。さらに、輸送する貨物の種類に応じて、コンテナトレーラーやフラットトレーラー、バルクトレーラーなど、多様な形状が存在するのも特徴です。トレーラーは、大型貨物輸送に欠かせない存在として物流業界で重宝されています。
4.ダンプ
ダンプは、油圧ポンプを用いて荷台を傾け、積載物を一気に滑らせて荷下ろしができる機能があるトラックです。工事現場や土木作業で多く使用され、土砂や木材、産業廃棄物などの運搬に適しています。平ボディをベースとしながら、荷台の傾斜機能を備えることで、作業効率を大幅に向上させているのが特徴です。
ダンプにはさまざまな種類があります。代表的なリアダンプは荷台を後方に傾けて荷物を降ろす基本的な形状で、汎用性が高いタイプです。サイドダンプは左右に荷台を傾ける仕様で、狭い場所での作業に適しています。また、三転ダンプは後方と側方の両方で荷下ろしが可能で、作業現場での柔軟性が特徴です。他にも、超大型の重ダンプや、自動車や小型建機の運搬を可能にするローダーダンプなど、用途に応じた多彩なタイプがあります。
効率的な荷下ろしが可能な一方、油圧ポンプに必要な作動油の管理が求められる点がデメリットです。それでも、ダンプは作業現場で欠かせない存在として高い需要があります。
5.ウイング
ウイングは、箱型荷室の側面が翼のように大きく開く構造を持つ架装です。外観はバンと似ていますが、荷台の側面全体を開放できる点が特徴で、効率的な積み下ろしができます。ウイングを開き、下部のアオリを倒すことで、フォークリフトを使った作業がスムーズにおこなえるため、大型の荷物や多数の荷物を扱う現場で活躍します。
荷室が完全に密閉されるため、雨風や直射日光から荷物を守る機能も備えており、精密機器や食品、家具の輸送に適しています。これらのメリットはバンと共通していますが、ウイングは側面開放が可能なため、荷役の自由度が格段に高い点が大きな違いです。
一方、ウイング装置の重量が増えることで、平ボディやバンに比べて最大積載量が減少するという弱点もあります。しかし、このデメリットを上回る利便性から、多くの物流現場で選ばれている架装の一つです。
架装トラックには派生車種が存在する
架装トラックには、基本のボディタイプに特殊な機能を追加した下記のような派生車種も存在します。
1.平ボディに車載クレーンを搭載した「クレーン付きトラック」
2.バン(箱車)に断熱処理を施した「冷凍冷蔵車」
それぞれの架装トラックの派生車種の特徴を紹介します。
1.平ボディに車載クレーンを搭載した「クレーン付きトラック」
シンプルな構造で汎用性の高い平ボディには、車載クレーンを搭載したクレーン付トラックと呼ばれる派生車種が存在します。荷台とキャビンの間に搭載した車載クレーンで、荷台へ積み荷の積み下ろしや設備の据え付け作業などに使用可能です。
車載クレーンは、荷台上空が解放された平ボディの特徴をさらに向上させる架装で、多くのクレーン付トラックがさまざまなフィールドで活躍しています。
2.バン(箱車)に断熱処理を施した「冷凍冷蔵車」
冷凍冷蔵車は、バン(箱車)にアルミ製パネルなどで製造された荷室を搭載した架装トラックです。
荷室に断熱処理を施し、内部に冷却装置を搭載することにより、食品や医薬品など温度管理が必要な荷物を運ぶ際に欠かせない車両です。主に店舗や医療機関への配送で使われます。
特殊な架装を搭載するデメリット
特殊な架装を搭載することは、業務上のメリットもありますが、下記のようなデメリットもあります。
1.車両価格を押し上げる
2.納車期間が長くなる
それぞれのデメリットを解説していきます。
1.車両価格を押し上げる
特殊な架装トラックは、機能性や作業性が格段に向上しますが、特殊装備が非常に高額であることから平ボディなどと比べると架装搭載車両の車両価格は高額であると言えます。
高性能な架装であるほど架装搭載費用が大きくなるため、架装搭載車両の導入時の経済的負担は決して小さくありません。
特殊な架装を搭載する際は、費用対効果をしっかり考えてから装備しましょう。
2.納車期間が長くなる
トラックは、トラックメーカーと架装メーカーの2つの製造ライン上で受注生産に近い形で製造されます。そのため、製造にかかる時間が長期化する傾向にあるので注意が必要です。また、故障による緊急乗り換えに対応できないのもデメリットの1つです。
費用対効果に優れた架装トラックの導入方法
必要な架装を搭載したトラックは、機能性や作業性に優れているため、導入は非常に有益です。しかし、前述した通り車両価格や納車期間などの問題も存在します。
高性能な架装トラックの導入を考えた際に、中古トラック販売店を検討すると、費用対効果の高い理想的なトラック導入の実現が可能となります。
中古トラック市場には多彩な架装を搭載したトラックが大量流入している
中古トラック市場には、全国からさまざまな車両が流入しています。そのため、中古トラック販売店では多くの車両区分とボディタイプの中古トラックが取り扱われています。
また、中古トラックには高年式車両と低年式車両が存在するため、同じ車両区分やボディタイプのトラックを予算に合わせて選ぶことが可能です。
さらに中古トラックは完成車両の状態で取引されているため、どのような架装を搭載する車両でも新車と比べると短期間で納車されます。車両故障などで迫られる早急な乗り換えにも、中古トラック販売店は対応できるのが魅力です。
架装トラックの購入はトラック流通センターへ
トラック流通センターでは、多彩なニーズに応じた架装トラックを豊富に取り扱い、最適なトラックをご提案します。独自の中古トラックネットワークを活用し、市場に出回っていない在庫や日本全国の公開・未公開車両からもご提案可能です。さらに、トラック流通センターでは、業界最長の1年保証サービスを提供しており、他社では珍しい長期間のサポートを実現しています。コストパフォーマンスに優れたトラックを提供し、業務効率を最大化するための最適な選択肢をご提供します。
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まとめ
トラックの架装は、用途に応じたさまざまなタイプが存在し、トラックの性能や作業効率を大きく左右します。平ボディ、バン、ダンプ、ウイングなどそれぞれの架装には、特有のメリットがあり業務に最適なトラックを選ぶことが重要です。この記事を参考に、費用対効果や納車期間を考慮し、ニーズに合ったトラックを選んでみてください。
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- トラックの架装は荷台部分に取り付けられる装備で、トラックの種類や特徴を決定する重要な要素である
- トラックメーカーはキャビンとシャーシを製造し、架装メーカーがボディや上物を取り付けることで完成する
- 架装トラックには平ボディ、バン、ダンプ、ウイング、トレーラーがあり、それぞれ異なる用途に適している
- 平ボディは、汎用性が高く建設や物流で使用され、バンは精密機器や食品を保護し冷蔵・冷凍車も存在する
- トレーラーは、コンテナや重機輸送向けの牽引式車両で、ダンプは荷台を傾けて土砂などを下ろす機能を持ち、ウイングは側面が開く構造で、積み下ろしが容易・中古トラック市場では、多彩な架装を搭載した車両が取り扱われ、納車が短期間で、費用対効果の高い選択肢となる