平ボディあおりの劣化原因は?修理費用やあおりを長持ちさせるコツをご紹介!
平ボディに不可欠なパーツあおりの役割とは?
荷台全体が露出している平ボディのトラックにとって、あおりは欠かすことができない非常に重要なパーツだと言えます。あおりは積み荷の落下や飛散を防止と荷物の積み下ろしの作業性を向上させる2つの役割を担っています。
公道を走行するトラックは荷物の落下や飛散を防止することが義務付けられているため、あおりを使用せず荷物の落下や飛散を発生させた車両には飛散防止措置義務違反や転落等防止措置義務違反が適用される可能性があります。
荷台を囲むあおりと確実な荷締め、トラックシートの使用で積み荷の落下や飛散の発生リスクを下げ安全な運送を実現します。落下や飛散防止効果を発生させるためにあおりは低いものでも30cm前後の高さがありますが、開放できる可動式あおりは積み下ろし作業の際の作業効率の向上も実現します。
非常にシンプルで単純な構造のあおりですが、積み荷保護や作業性向上など運送業務に大きく影響する重要な役割を果たしていると言えるでしょう。
中古平ボディの車両選びは、あおりの素材や高さも重要
中古トラックの購入時にはできるだけコンディションの良い車両を選びたいものですが、中古平ボディ選びのチェックポイントの1つにあおりの材質や高さも加えるべきであることは意外と知られていないようです。
積み荷の落下や飛散リスク回避のためにあおりの高さは高いほど効果的ですし、あおりが高ければより多くの荷物を安全に積載できるのではないかと考えられます。しかし一般的なあおりは鋼製のものが多くあおりが巨大化するとあおりの重量で最大積載量が犠牲となるうえ、著しく操作性が低下するためあおりの高さは300~400mm前後のものが主流となっています。
しかし操作性を向上させるためにステンレスやアルミなどの素材で作られたあおりを搭載する車両も存在し、特に軽量なアルミ製のあおりは最大積載量を犠牲にすることなく標準的なものよりも遥かに高さのある600mm前後のものも存在します。
また、あおりは積み荷に接触する可能性もあるため、デリケートな積み荷の搬送には木材加工を施したあおりが用いられるケースも少なくありません。あおりの開閉をサポートするパーツも数多く発売されており、サポートパーツ装着の有無を中古平ボディのチェックポイントに加えるのも上手な中古トラック選び方だと言えるでしょう。
軽量で人気の高いアルミ製あおりとは?
アルミは軽量で耐久性や防錆性も高くアオリの素材として人気が高い金属で、アルミ製アオリは通称「アルミブロック」とも呼ばれます。アルミブロックの最大の特徴は鉄の1/3と言われるほど軽量であることで、既に紹介したように最大積載量を犠牲にすることなく通常よりも高さのある二段アオリと呼ばれるタイプも存在します。
また軽量なアルミブロックに交換した状態で構造変更手続きを行えば、最大積載量を増加することも可能です。さらにアルミ素材を活かしたドレスアップも可能となるので、アルミブロックは実用性とファッション性を兼ね備えた魅力的なパーツだと言えるでしょう。
あおりは消耗部品?あおりの劣化対策とは?
荷台を囲むあおりは荷物の積み下ろしの度に開閉するため、非常に使用頻度が高いパーツであり長期間の使用で劣化する消耗部品の1つだと言えるでしょう。あおり全体を交換することも可能ですが付属部品を交換するだけでもあおりの操作性が驚くほど復活します。
あおりを劣化させる原因とは?
あおりを劣化させる一般的な原因として挙げられるのはサビや稼働部分の摩耗などの経年劣化と積み荷からの影響で生じる劣化です。標準装備されている鋼製あおりはサビやすい鉄製ですので、運送業務中の積み下ろしや荷締めなどで塗装面が傷付きサビが発生します。
あおりの稼働部分も開閉の度に大きな力が加わりますので歪みやガタつきが生じやすいと言えます。またあおりは積み荷と接触する機会も高く、無理な荷締めや積み下ろしを繰り返すことで変形や摩耗、場合によっては破損するケースもあります。
あおりを長持ちさせるコツは?
あおりは経年劣化と積み荷からの影響で生じる劣化によってサビや摩耗が発生し、開閉が困難となったり歪みやガタつきが生じるなどで機能が低下します。あおりを長持ちさせるためには日常的に取り扱う積み荷との相性を考慮しあおり素材の選定を行うことや劣化防止に役立つアイテムを活用することなどが効果的です。
積み荷とあおりの相性を考慮した素材選定は重要!
あおりの素材に用いられるのは鉄・ステンレス・アルミ・木材ですが、最も汎用性が高いのは標準装備に用いられる鋼製のあおりです。鋼製あおりは強度があるため積載物を選ばないオールランドプレイヤーだと言えます。
ステンレスやアルミのあおりは見栄えが良く防錆性が高いものの土砂や岩石が直接触れると傷付きやすいと言えます。また鋼材が触れるとサビ移りや電位差腐食が生じるため鋼材の搬送にも不向きだと言えます。
摩擦係数が高い木材は鋼材の搬送には適していますが、重量のある土砂や硬い岩石の輸送に用いると接触面が削られるため適していません。鋼製部品とプラスチック部品が混在するスクラップ類の搬送などに多く用いられます。
あおりの劣化防止に役立つアイテム
一般的に標準装備される鋼製あおりは塗装に付いた傷がサビの原因となりますので、傷ついた塗装をタッチアップすることがあおりの劣化対策に効果的です。また、あおりの稼働部分に防錆スプレーを塗布することで稼働部分の劣化を防止できます。
荷台とあおりの接合部分は雨水が溜まりやすい構造となっているので、トラックシートで荷台全体をカバーすることもあおりを長持ちさせるポイントだと言えるでしょう。
日常の取り扱いでもあおりを長持ちさせられる!
運送業務の中であおりに生じる経年劣化は致し方ないと考えられますので、こまめに洗車をしてサビの原因となる汚れを残さないことや洗車後や雨の後に荷台とあおりの隙間に水分が溜まらないように気を付けるようにします。
もちろん丁寧なあおりの開閉や積み荷をあおりに接触させない積載を日頃から心掛けることもあおりを長持ちさせることに繋がります。
あおりの調子が悪い!あおりの修理方法と費用とは?
劣化防止策を講じたとしても稼働頻度の高いあおりの経年劣化は防止しようがありませんいで、劣化し動きが悪くなったあおりは修理が必要となります。
セルフリペアで修理できるケースも
あおりは構造がシンプルで鋼製のあおりであれば1枚数万円、蝶番や蝶番ピン、あおりハンドルや受け金などのパーツは数千円で購入できることからセルフリペアで修理できるケースが多いと言えます。
本体の歪みは気になる部分をハンマーで叩くなどの方法で修理することも可能ですので、セルフリペアに挑戦するのも良いでしょう。
業者に依頼した場合は?
整備工場などに依頼するとパーツの取り外し取付けや修理にかかる作業工賃が発生しますので、材料代だけで済むセルフリペアよりはコストがかさみます。また専門家は劣化が予想される部分にまで作業範囲を広げるケースもあるので、依頼する際に作業範囲を明確にしておくべきです。パーツの脱着費用は1ヶ所数万円を目安にしておくと良いでしょう。
中古トラック市場で人気の高い平ボディのメーカーとモデルは?
多くのトラックメーカーが製造販売する平ボディの中でも、中古トラック市場で特に人気の高いメーカーとモデルを紹介します。
日野自動車
商用車両専門メーカーとして小型から大型までのトラック生産を行うのが日野自動車です。国際レースのカミオン部門に連続出場しながら培ったノウハウをフィードバックさせた強靭なエンジンが高い評価を得ています。
デュトロ
小型トラックの生産から遠のいていた日野がトヨタと共同開発を行い、32年ぶりに自社生産モデルとして1999年に発表したのが2~3トンクラスの小型トラックシリーズ「デュトロ」です。豊富なボディバリエーションの中でもオーソドックスな平ボディは高い人気を誇ります。
いすゞ自動車
トヨタ・日産と共に国内自動車メーカー御三家と言われていたいすゞですが、2002年に乗用車や国内向けSUV生産から撤退しトラックメーカーへ転向しました。ディーゼルのいすゞの異名を持つだけに新車・中古を問わずトラック市場から高い評価を得ています。
エルフ
1959年から製造販売され続けるいすゞの小型・中型トラックシリーズが「エルフ」です。1975年に3代目モデルがトップシェアを獲得して以降、小型キャブオーバーモデルの代名詞として平ボディを初めとするエルフシリーズが多くのドライバーから選ばれています。
三菱ふそう
1917年に三菱造船として設立され三菱日本重工業(三菱重工業)・三菱自動車工業を経て、2003年に商用車両専門メーカーとして三菱ふそうトラック・バスが誕生しました。低燃費のエンジンに定評があり運送業従事者から高い評価を得ています。
キャンター
1963年から製造販売が続く三菱ふそうの人気小型トラックシリーズが「キャンター」です。現行モデル8代目は6速DCTトランスミッションを搭載し、高い走行性能と低燃費を実現した平ボディが人気です。
まとめ
汎用性の高い平ボディは中古車市場でも人気の高いボディタイプで、取引台数が多いためコストを抑えて導入することが可能だと言えます。低コストで導入した平ボディを長期間使用するためにはあおりの劣化を防ぐことが肝心です。
あおりの劣化防止には次の3つが効果的です。
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- あおりの素材と積み荷の相性や使用方法に気を付ける
- あおりの劣化防止に効果的なアイテムを積極的に有効活用する
- あおりの修理は意外と簡単!セルフリペアで積極的に修理を