大型トラックのハシゴは何のため?ハシゴの正体と機能を解説
トラックのメンテナンスを行うためのハシゴ
大型トラックには、よくキャビン、いわゆる運転席の側面のところに、小さなハシゴが付いていることがあります。
・窓ガラスやキャビンの清掃
・キャビン屋根に積んであるもの(道具箱やシートなど)の取り出し・収納
・形状特有の装備(冷凍機など)のメンテナンス
大型トラックのキャビンはとても大きく高さも3m前後ありますから、このハシゴを昇降することよって上記のような作業がしやすくなっています。
このハシゴはオプションですので、中古トラックの場合はついているもの・ついていないものがまちまちですが、形状によってはハシゴがついていた方が便利な場合がありますのでご紹介していきましょう。
冷凍車の場合
冷凍車のキャビンには、一般的にこういったハシゴがついていることが多いです。
というのは、箱の前の部分にエバポレーターと呼ばれている冷凍機のシステムがくっついていて、例えばメンテナンスで作業するときにこのキャビンの天井に乗る必要があります。そこで人間が上れるようにこの小さなハシゴがついているというわけです。
この小さなハシゴなんですが、実際人間がちゃんと足をここに乗せて登ったとしてもきちんと耐えられるだけの強度が備わっています。
平ボディのトラックについていることも
このほかに多くこのハシゴが付けられているトラックの種類としては、平ボディが挙げられます。
平ボディは、荷物をきちんとカバーするためにシート掛けという作業を行うのですが、そのシートをキャビンの天井の部分にくくりつけておく台座みたいなものが備わっているんです。
そのシートを取り外したりしまったりするときにキャビンの上に登る必要があるので、こういったハシゴが付けられている例が多いです。
どのトラックでもハシゴは設置OK
ただ平ボディや冷凍車にだけついているのかというと決してそんな事はなくて、どのトラックでもオプションでくっつけることができます。
主にタイヤに片足を乗せてこのハシゴに手をかけることで、例えば運転席側、助手席側の窓ガラスをきれいに拭き取るための支えを目的としている人も多いようです。
一見すると飾りのような小さなハシゴなんですが、実はきちんと実用的な意図をもってくっつけられている部品だということがわかると思います。
それから他の用途としては、皆さんも大型トラックを見ていると非常に高い天井を持っていることに気付くと思います。
実際天井を洗うときに、こういったハシゴに登って人間がハシゴを使って天井に上ることで、手でワックスをかけたりということもできます。
最近はハシゴの出番が減少中?
しかし最近は、こういったキャビンに取り付けられているハシゴというのは、取り外されてしまうケースが多いです。
昔はよくオプションで付けられていたんですが、これだけ高いキャビンに登って、万が一転落した時に最悪死亡事故になりかねませんので、キャビンの上には安全のために登れないように措置が取られることが増えたのです。
命綱のようなものをつけるところもありませんし、これだけの高さのキャビンに人間が昇るとなると、落下したときのリスクは非常に大きいものになります。
安全を優先…キャビン自体を前傾させる方式
出典:三菱ふそう株式会社
ですので、大型トラックというのは本来キャビンを前に、チルトというふうに前傾させて倒すことができるようになっています。
キャビンを前に倒した状態で脚立を使って、手で天井を掃除できるということになります。昔の人はバンバン上に登ってゴシゴシ拭いていたんですが、今は危ないので、ハシゴをすべて取り払ってしまうことが多いようです。
現在は冷凍車でもあまり使わないように
今は冷凍車もエバポレーターが床下のスペースに収納されていることもあり、こういったハシゴはそもそも使う機会がほとんどありません。なのでもう新車の段階でつけていないタイプのトラックの方がほとんどになってきました。
町を走っていても、ほとんど車がこのハシゴはつけていないと思います。
空気抵抗にもなりますし、オプションの分、代金もかさみますので、経営判断としてハシゴを廃止する会社が多くなってきたのですね。
まとめ
今回は、大型トラックのキャビンの側面についている小さなハシゴについて見てきましたが、いかがでしたか?
最近は出番がだいぶ減っているパーツなのですが、今でも時々見かける機会があるのではないかと思います。トラックの購入を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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