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基礎知識

特殊車両とは?特殊車両の主な種類とその制度や登録方法を大紹介!

特殊車両とは?特殊車両の主な種類とその制度や登録方法を大紹介!
国内の公道はさまざまな車両が走行しており大きさや形状などによって各車両区分に分類されていますが、一定の規格を超える車両は特殊車両の車両区分に分類されます。特殊車両と聞くと大型クレーン車やコンクリートミキサー車のような作業車両をイメージしがちですが、特殊車両は作業車両以外にも数多く存在します。
特殊車両は法的に規格外の車両として区分されるため、運行には登録し許可を得る必要があるなどの規制が存在します。特殊車両を規定する制度や規格外の車両区分特殊車両に該当する車両の主な種類、特殊車両の運行に必要となる登録の方法などを紹介します。

条件によっては貨物車両も該当する!特殊車両の定義とは?

条件によっては貨物車両も該当する!特殊車両の定義とは?
特殊車両には車両構造が特殊な車両や特殊貨物を輸送する車両で、車両制限令で定める車両の全長・全幅・全高・車両総重量の一般制限値を1項目でも超える車両、各道路管理者が定める橋や高架道路、トンネル等の制限値を超える車両が該当します。

また特殊車両は小型特殊車両・新小型特殊車両・大型特殊車両に分類され、農耕トラクターや農業用薬剤散布車などの農耕作業用自動車なども該当しますが、今回は大型特殊車両に焦点を当てて紹介していきます。

特殊車両は道路運送車両法と道路交通法、2つの法律で定義付けられている

冒頭で特殊車両は法的に規格外の車両として区分される車両であることにふれましたが、車両を区分し規制する法律として道路運送車両法と道路交通法の2つの法律が挙げられます。

特殊車両は規格外の車両であるばかりに道路運送車両法と道路交通法の規制を受ける印象を持ちますが、国内を運行する全ての車両は道路運送車両法と道路交通法の規制を受けていますので、特殊車両が特別厳しい規制を受けているわけではありません。

道路運送車両法で定める特殊車両

道路運送車両法は国内の公道を走行する全ての車両に対する規制を行う法律で、車検制度はこの法律に基づいて実施される検査です。道路運行車両法では道路運送車両法施行規則の別表第1で特殊車両に該当する車両を具体的に定義しています。

道路運送車両法施行規則 別表第1
一 次に掲げる自動車であつて、小型特殊自動車以外のもの
イ ショベル・ローダ、タイヤ・ローラ、ロード・ローラ、グレーダ、ロード・スタビライザ、スクレーパ、ロータリ除雪自動車、アスファルト・フィニッシャ、タイヤ・ドーザ、モータ・スイーパ、ダンパ、ホイール・ハンマ、ホイール・ブレーカ、フォーク・リフト、フォーク・ローダ、ホイール・クレーン、ストラドル・キャリヤ、ターレット式構内運搬自動車、自動車の車台が屈折して操向する構造の自動車、国土交通大臣の指定する構造のカタピラを有する自動車及び国土交通大臣の指定する特殊な構造を有する自動車
ロ 農耕トラクター、農業用薬剤散布車、刈取脱穀作業車、田植機及び国土交通大臣の指定する農耕作業用自動車
二 ポール・トレーラー及び国土交通大臣の指定する特殊な構造を有する自動車

道路交通法で定める特殊車両

道路交通法は国内の公道における危険を防止、交通の安全や円滑を図るための法律で、公道を走行する車両や人に適用される公道使用のルールと言えるもので、一般的に交通違反と言われるものは道路交通法違反に抵触したことを意味します。

道路交通法では道路交通法施行規則(昭和三十五年十二月三日総理府令第六十号)(自動車の種類)第二条で特殊車両を具体的に定義しています。

道路交通法では道路交通法施行規則(昭和三十五年十二月三日総理府令第六十号)(自動車の種類)第二条
大型特殊自動車
カタピラを有する自動車(内閣総理大臣が指定するものを除く。)、ロード・ローラ、タイヤ・ローラ、ロード・スタビライザ、タイヤ・ドーザ、グレーダ、スクレーパ、ショベル・ローダ、ダンパ、モータ・スイーパ、フォーク・リフト、ホイール・クレーン、ストラドル・キャリヤ、アスファルト・フィニッシャ、ホイール・ハンマ、ホイール・ブレーカ、フォーク・ローダ、農耕作業用自動車、ロータリ除雪車、ターレット式構内運搬車、自動車の車台が屈折して操向する構造の自動車及び内閣総理大臣が指定する特殊な構造を有する自動車(この表の小型特殊自動車の項において「特殊自動車」という。)で、小型特殊自動車以外のもの

3つの特殊車両区分の中で貨物自動車は大型特殊車両に該当する


道路運行車両法と道路交通法で明確に定義付けられる特殊車両ですが、3つの車両区分の特殊車両は次のような条件で定義付けられています。

小型特殊車両の区分

小型特殊車両は車両の大きさが次に挙げるサイズのもので最高時速が毎時15キロメートル以上のスピードを超えない構造の車両が該当します。

  • 全長:4,700mm以下
  • 全幅:1,700mm以下
  • 全高:2,000mm以下

以前は1,500cc以下の排気量制限が存在しましたが、2004年の法改正で排気量規制は撤廃されました。小型特殊車両は原付免許以外の運転免許区分で運転が可能です。

新小型特殊車両の区分

新小型特車両は車両の大きさが次に挙げるサイズのもので最高時速が時速15km以上のスピードを超えない構造の車両が該当します。

  • 全長:4,700mm以下
  • 全幅:1,700mm以下
  • 全高:2,800mm以下

新小型特殊車両の区分は農耕作業用の車両に対して規制緩和を行っており、農耕作業用の車両は車両の大きさ制限の対象外となり、最高速度も時速35km未満まで緩和されました。新小型特殊車両の運転には大型特殊免許か大型特殊二種免許が必要(農耕作業用は大型特殊農耕車限定免許で可能)となります。

大型特殊車両の区分

大型特殊車両は車両の大きさが次に挙げるサイズのうち、1つでも超過する項目が存在する車両が該当します。

  • 全長:12,000mm以下
  • 全幅:2,500mm以下
  • 全高:3,800mm以下

また車両総重量は一般道では20.0トン、高速道路では25.0トンに制限され、車軸にかかる軸重は10.0トン、タイヤにかかる輪荷重は5.0トンなどの重量制限や最小回転半径が12.0m以内などの規制も存在し、これらの規制を上回る車両も大型特殊車両に分類されます。

大型特殊車両に該当する車両としてトレーラー・海上コンテナ・クレーン車ポールトレーラーなどが挙げられます。

大型特殊車両は運行に許可が必要!

大型特殊車両は運行に許可が必要!
冒頭でふれたとおり特殊車両を公道で運行する場合は、事前に登録し許可を得る必要があります。特殊車両を公道で運行する際に必要な許可は「特殊車両通行許可」という許可で、この許可登録を行っていない特殊車両は公道を運行することができません。

前項で紹介した大型車両の大きさや重さの基準を一般制限値と呼びますが、一般制限値を1項目でも超過する車両は特殊車両として扱われ、特殊車両運行許可の登録し許可を得る必要が生じます。

特殊車両ではないトラックが積み込んだ荷物の関係で一般制限値を超過する場合も、道路を走行する際に許可登録が必要となりますが、この場合必要となる許可は制限外積載物許可というもので特殊車両通行許可とは異なります。

特殊車両の通行に必要となる「特殊車両通行許可」の登録申請方法は?

記述した法律で定める一般制限で規制された大きさや重量を超える車両は大型特殊車両に分類され、原則的に公道で運行することができませんので公道で大型特殊車両を運行するためには許可登録し、特殊車両通行許可を得る必要があります。

特殊車両運行許可の登録申請は走行する道路の管理団体に対して行います。国道は国・都道府県道は都道府県道・市区町村道は市区町村の各管理事務所に行います。通行許可の審査は核管理事務所が連携して行うため、運行ルートに国道・都道府県道・市町村道の全てが含まれる場合でもいずれかの管理事務所に申請を行えば、個別協議で連携して運行計画の一括審査が行われます。

しかし個別協議で連携した一括審査が行われるのは国道と政令指定都市クラスの市区町村道となるため、運行ルートに政令指定都市クラス以外の市区町村道が含まれる場合は直接当該市区町村道の管理事務所に登録申請する必要があります。

特殊車両通行許可の登録申請はネットでも可能

国道を管理する国道事務所は特殊車両通行許可の登録申請手続きのインターネット受付に対応しており国道や都道府県道、政令指定都市クラスの市区町村道など一括審査が行われている道路の通行許可の登録申請はインターネットで行うことができます。

しかし都道府県や市区町村の道路管理事務所はインターネット対応を行っていないため、各道路管理事務所が連携する一括審査の対象外の道路に関しては、残念ながら直接道路管理事務所に登録申請を行う必要があります。

特殊車両ではないトラックでも荷物次第で特殊車両扱いとなる

特殊車両ではないトラックでも荷物次第で特殊車両扱いとなる
既述したとおり大型特殊車両に該当しない通常のトラックでも一般制限値を超えて運行する場合は制限外積載物許可(制限外許可)を取得する必要があり、特殊車両通行許可と混同されがちですので簡単に紹介します。

一般的なトラックが特殊車両扱いとなる制限外許可制度とは?

一般的なトラックでも既述の一般制限値を超えた状態で公道を運行する場合は許可が必要となりますが、登録許可申請を行うのは道路管理事務所ではなく出発地を管轄する警察署となります。

制限外許可が必要となる荷物の積載方法は?

トラックが一般制限値を超えた状態で運行する原因となるのは荷台に積載する荷物の大きさによるものが一般的で、特に荷台に積載すると高さ制限を超過するケースが多く見られると言えるでしょう。

公道で高さ制限は最大4.1mに定められていますが、制限外許可を登録申請し許可を得れば最大4.3mまで高さ制限が緩和されます。

制限外許可に該当するトラックも運行に登録申請が必要

制限外許可が必要となる状態で運行するためには特殊車両通行許可同様、事前に出発地を管轄する警察署で登録手続きを行い制限外許可を受ける必要があります。一般的に新規申請は3週間以内、更新申請の場合は2週間以内で制限外許可が発行されるので、制限外許可が必要となる運行計画は事前に手続きを行う必要があると言えます。

制限外許可登録申請に特殊車両通行許可証の添付は不要となった

従来のシステムでは制限外許可の登録申請には特殊車両運行許可証の添付が求められていましたが、特殊車両通行許可は道路運行車両法、制限外許可は道路交通法が根拠法となっていることから、現在は制限外許可登録申請に特殊車両通行証の添付は不要となりました。

しかし制限外積載許可登録申請先の警察によって独自のルールが存在する傾向にあるため、申請前に事前に出発地を管轄する警察に問い合わせを行い申請時の必要書類などを確認することをおすすめします。

道路の老朽化に伴い特殊車両運行違反に対する取り締まりが強化されている

道路の老朽化に伴い特殊車両運行違反に対する取り締まりが強化されている
国内の道路インフラは1955~1973年の高度経済成長期と呼ばれる期間に整備させたものが非常に多く、2028年には国内の橋梁の半数近くが耐用年数を超過すると言われています。

経年劣化による老朽化が進む道路インフラを安全に維持するために、特殊車両の通行に対する規制は厳格化される傾向にあり特殊車両運行違反に対する取り締まりが強化されていると言えます。

特殊車両運行許可制度に対する違反行為は社名や指導内容が公表される

国土交通省は警察と連携して特殊車両運行違反に対する取り締まりを行っています。特殊車両運行違反に対する取り締まりは指導取り締まり基地で行われ、無許可運行・許可外経路の運行・許可限度以上の積載などが取り締まられます。

特殊車両運行違反を繰り返す場合は道路管理事務所への出頭を求める行政指導や国土交通省の公式サイト内で行政指導内容の公表が行われ、行政処分対象業者の社名なども公表されます。

取り締まり強化だけではなく重さや高さに対する規制緩和も行われている

道路インフラを安全に維持するために特殊車両運行違反に対して厳しい姿勢を示す一方で、国土交通省は高速道路・一般国道・その他の道路に重さ指定道路や高さ指定道路を設置し重さや高さに対する規制緩和も行っています。重さ指定道路や高さ指定道路では次のような規制緩和が行われています。

車両総重量の規制が緩和された重さ指定道路

一般制限値では車両総重量が20トンまでに制限されていますが、重さ指定道路の指定を受けた道路では車両総重量25トンまでの車両の通行を許可する規制緩和を行っています。

高さ制限が規制緩和された高さ指定道路

一般制限値では車両の全高は3.8mまでに制限されていますが、高さ指定道路の指定を受けた道路では車両の全高は4.1mまでの車両の通行を許可する規制緩和を行っています。

まとめ

法で定められた一般制限値を超える車両は特殊車両に分類され、公道での通行には特殊車両通行許可を得る必要があります。特殊車両運行許可の登録手続きのポイントは次の3つだと言えます。

  • 登録申請は国道・都道府県道・市区町村の道路管理事務所で行
  • 国道・都道府県道・政令指定都市道は個別協議で一括審査が可能
  • インターネット登録申請は個別協議で一括審査対象道のみ有効

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